頑張れ切嗣、セイバーと会話をするんだ!
けど実はこんな理由があったんだよって話
"素に銀と鉄。礎に石と契約の大公
降り立つ風には壁を
四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ"
聖杯戦争に使う英霊を召喚するために魔方陣を書き、詠唱を開始する。
"
繰り返す都度に五度
ただ、満たされる時を破却する"
今回の聖杯戦争で聖杯を手に入れるために色々な犠牲を払った。
"—————告げる
汝の身は我が下に、汝の命運は汝の剣に
聖杯の寄る辺に従い、この意、この
アイリはもとより、場合によっては舞弥も犠牲となるかもしれない。最悪、敗北して僕が命を落とすかもしれない。
"誓いをここに
我は常世総ての善となる者
我は常世総ての悪を敷くもの"
しかしそれがどうしたというのか、聖杯を手に入れるためならどんな犠牲もいとわないと決めた。たとえそれが愛する妻や子、そして自分の命であったとしても。
"汝三大の言霊を纏う七天。
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ—————!"
総ては世界の恒久的平和のために————
詠唱を終えたと同時にまばゆい光が部屋を覆い、視界のすべてが真っ白になった。そして視界が元に戻った時に目に飛び込んできたのは今まで誰もいなかったはずの魔方陣の上に立つ人間だった。
「問おう。あなたが私のマスターか」
そこにいたのはとても高名な英霊とは思われないほどの小柄な少女だった。しかしその小柄な体が纏っている防具がその少女が戦いを経験している立派な騎士であることを如実に表していた。
その女騎士を見た瞬間、全てを理解した僕はアイリや舞弥、その女騎士を放置してその部屋を出る。そして速足で自室に戻る。
自室に戻ったらすぐさま鍵を閉め、あの時自分以外の人間が居た為に口に出さなかった本音を大声で叫んだ。
「かわえええええええええええええ!!」
ああイケナイ。可愛すぎる。イリヤに勝るとも劣らないあの可愛さは反則だろう。僕は自分がフェミニストだと自覚している。しかも重度の。そんな僕があんな可愛い英霊と一緒にいて冷静を保てると思っているのか?
あ゛ぁぁぁ!!マジで可愛い!もう少しじっくり観てから部屋を出ればよかったかなぁ!けどあのままあの部屋にいたらどんな行動に出るか自分でも分からない。だったら部屋を出て正解だったかもしれない。
ひっひっふー、よし、落ち着いた。しかし冷静になって考えてみると少しおかしいな、確か僕が召喚の触媒としたのはアーサー王の物だったはずだ。アーサー王は伝説によると男だったはず。しかし実際に召喚されたのは小柄な少女、まさか本当はアーサー王は少女だったとでもいうつもりなのだろうか。全く伝説なんか当てにならないな。まあそれはそれで良かったのだが。それはともかく今持っている伝記は全て捨ててしまおう。
しかし今回の聖杯戦争の難易度が急に上がったな。所詮魔術師なんては僕の敵ではないと思っていたんだが……今日から毎日あの子と同じ屋根の下で暮らすかと考えると冷静に物を考えるなんて出来やしない。これは日頃の行いとでも言うのだろうか、しかしあんな美少女を毎日間近で見られると思うとそれも悪くない……か。
待て待て待て、僕はアイリ一筋のはずだ、あの子にうつつを抜かしていいのか。え?舞弥?知りませんねぇ、あれはアイリも公認だから良いんだよ。これも大人の特権かな。
けど既に愛人は1人いるんだし、もう1人くらいいても良いかな!しかし1つ、いや2つ心配なことがある。あの子を愛人にしたとしたら僕は聖杯戦争に集中することが出来るのか?願いである世界の恒久的平和を実現するために聖杯は何としても手に入れなければならない。そんな大事な時にあの子とキャッキャウフフしていたら聖杯を逃しかねない。一目見た今でさえやばいと言うのに。
それともう1つだが、あの子を愛人とかしていたら僕が豚箱に入れられるかもしれない。彼女はどう見ても高校生くらい。そして美少女ときた。そんな彼女が冴えない三十代のおっさんと一緒に歩いていたとしよう。うん、僕でも疑う。
例えばあの子と一緒に街中を歩いていたとする。
『あ、すみません。職質いいですか?』
(ここで断ったら怪しいやつだと思われるかもしれないな)
『いいですよ』
「ご協力有難うございます。えー、お隣のお嬢さんとの関係はなんですか?』
『僕の愛人です』ドヤァ
『逮捕』
なんて事になりかけない。ていうかなる。僕がお縄になること待った無しだ。いや、お縄になる理由なら両手両足の指では数えきれない程あるんだけど、流石にそんな理由で捕まるのはご遠慮願いたい。だから愛人にするのはやめておいたがいいな。
ならどうしようか、あの子を愛でたいし……だからといって対面するのはまだ恥ずかしい。あんな美少女を正面から見たら挙動不審になる可能性が高い。僕のマスターとしての威厳のためにもそれは避けたいところだ。
そうだ、日本に発つのはまだだし、影からこっそり愛でるとしよう。
取り敢えず、セイバー、真名はアルトリア・ペンドラゴン(かわいい)を
今はアイリとセイバーが喋っているところだ。全く綺麗どころ2人が一緒に居ると圧巻だな。今にもその輝きで目が潰れそうだ。
しかしやっとじっくりセイバーの顔を見ることができたが、本当に美少女だな。今は横顔しか見えないがそのことがよくわかる。今はこっそりと物陰から見ることしかできないが、その内に対面する事にはなるだろう。女の子を戦わせるのは不本意だが、聖杯戦争とはそんなものだ。
それにしても物陰から見ている僕に気付いている様子はない。よもやこんな所で暗殺者としての気配遮断が役に立つとは思わなかった。正直言って気配遮断の技術を持っていて今までで一番感謝した瞬間だ。
まさか!僕が暗殺者として気配遮断の技術を持つこととなったのはこの瞬間のためだったとでも言うつもりなのか!?全く、人生の因果とは分からないものだな。僕は神なんか信じちゃいないが、今この瞬間だけは神に感謝してやってもいい。
そんなアホなことを考えているとふとセイバーがこちらを向いた。それにびっくりしてすぐさま物陰から退散する。
危ないなー、そういえばセイバーのスキルに直感Aがあったな。それのせいで見つかりかけたのだろう。僕ももう少し気配遮断のレベルを上げなければいけないな。かの暗殺者ハサンを凌駕するくらいに。それくらいないとセイバーを
よし、今日は反省を生かして気配遮断の訓練に勤しむとしよう。
後でアイリから聞いた事だが、あの時僕を見つけたセイバーが、自分を見ている僕の顔が
ぬおぉぉー!憎たらしいぞ僕の表情筋!
今日のセイバーは僕らの宝、イリヤと遊んでくれているようだ。現に今、僕の視線の先でイリヤとセイバーが戯れている。
イリヤが美少女なのは常識として、今日のセイバーははいつもの甲冑やスーツではなく、イリヤと遊ぶからなのかアイリが用意したと言うワンピースを着ている。その姿はいつもの凛々しい美しさと違い、柔らかい表情も相まって正に美少女という単語を具現化したかのようなかわいさに溢れている。
元気いっぱいなイリヤにセイバーが少し振り回させながらも時折見せる微笑が僕の胸を貫く。ふぅ、セイバーが美少女なのは十分に理解したつもりであったが、まだまだ甘かったようだ。
そんなセイバーとイリヤの美少女2人が一緒に居るところをこの世の何よりも美しかった。そうか、これが
そうしてしばらくの間イリヤとセイバーが戯れているところを見ていると、ふと両目から涙が流れ出してきた。訳が解らず困惑していたが、すぐにその意味に気づく。
家族を守る。そんな大切なことを僕は忘れていたのか……アイリやイリヤ、舞弥、そしてセイバー、彼女らを守る事が僕のやる事だったんだ。
そう決めたからにはセイバーとも向き合わなくてはならないな。頑張れ僕!
それを決めた翌日、廊下でセイバーと出会ったが緊張しすぎてしかめっ面で無視してしまった。僕のヘタレがー!
ちなみにセイバーを無視して素通りしてしまった時に、後ろから"切嗣!"と名前を呼ばれてニヤニヤしていたのは内緒だ。
セイバーはかわいい、これは確定だから!そして切嗣もかわいい。ていうかみんな可愛い。
続くかどうかは作者のやる気と発想力次第。