水着沖田ついに来ましたねぇ!父上がルーラーにまで手を出しましたねぇ!自分は三十連しておっきーとカーミラが出ましたよ。ですが、本命はピックアップ2です!だって、水着沖田だもの!ルーラー獅子王だもの!ペンギンメルトだもの!引くでしょ?引くよね!?
ーーーー懐かしい夢を見る。
僕が
記憶に映るのは二人のサーヴァントが対峙している姿。
一人はオルレアンの聖処女。
もう一人は、ギリシャで二人の神を信仰し純潔の狩人と呼ばれた女性。しかし、その姿は伝承にある美しくも気高い姿ではない。
彼女が伝説で打倒した獣、魔獣カリュドーンの毛皮をまとい、闇と凶暴性を放つ姿。美しかった森を連想した緑の髪は色を失い。その姿は、憎しみのみで動く獣そのものだった。もはや、その姿は英雄ですらなかった。
一進一退の攻防を繰り広げる二人に放たれた弾丸が二人の動きを止める。
『貴方は……赤のアーチャーのマスター……!』
『元……マスターさ』
そう、例え僕が召喚したサーヴァントであろうと既に僕と彼女の間にパスの繋がりはない。
『悪いね、彼女の相手は僕に譲ってもらう』
『待ってください! 彼女をあのままには……!』
『……だから、僕がやるんだ。君は早く大聖杯に向かい給え』
『ですがッ! 彼女はッ!』
僕は奥歯をギリッと噛み、彼女の足元に数発弾丸を飛ばす。
『早くいけと言っているだろうッ!!
………頼むから』
『ッ! ……わかりました』
『待てぇ!』
走りさろうとする聖女を追いかけようとする、彼女の前に立ちふさがる。
『君の相手は、僕だ。……君をそんな姿にしてしまったのはマスターであった僕に責任がある』
一番近くにいたのに、一番彼女の気持ちに気付けていたはずなのに。なのに、僕は彼女の心の根底に歩みよろうともしなかった。
『だから、僕が君に引導を渡す。それが、僕にできるせめてもの償いだ』
『どけぇぇぇぇ!!!』
『……変身』
彼女の矢と、ライドプレートが激突し戦いの火蓋が切られた。
ーーーーーーーーーーーー
「お目覚めかい?」
目を覚ましたバーサーク・ライダー、いや、元バーサーク・ライダー、聖女マルタは僕の顔を見て表情に驚きの色が浮かび、自分の身体を確かめるように触れる。
「……私はどうしてまだ現界しているの? 確かに貴方にトドメをさされたはずなのに」
「ああ、これのことかい?」
僕は昨日、自身が彼女の胸に突き立てた歪な形の短刀を見せるように持つ。
「これは僕が昔立ち寄った世界で手に入れたお宝でね。『
随分前になるが、ある世界で散々煮え湯を飲まされた相手。これは彼女を倒した戦利品として頂いたものだ。
『裏切りの魔女』の異名を持ち、その名の由来が宝具となった短刀。
「それで、私の『狂化』の呪いを解いたということ?」
「ああ、ついでに『竜の魔女』との契約もだ」
僕は右手に刻まれた赤い紋様、2画分の彼女の令呪を見せる。
「ホントに驚いたよ、目が覚めたらマルタさんが大樹さんのサーヴァントになってるんだもん」
ついさっきまで魔力回路の消耗で目を覚まさなかった立花が興奮した様子で語る。
『その短剣があればあの場にいた他の三騎とも契約できたんじゃないのかい?』
「無茶を言う、君だってわかってるだろ? これはあくまで盗品。僕本来の力じゃない。一回使うのにどれだけの魔力を持っていかれるか」
実際、ついさっきまで僕も全く動けなかったし。便利なんだが、リスクが高い。
「おかげで嫌なものを見た」
「? なにか言ったかい。」
「いや、なんでもない。それに、変な希望をもたせるのも悪いからハッキリ言うけど、彼女以外のサーヴァントはもう手遅れだ」
「手遅れ?」
「彼女はその意志の強さで理性を抑えてたおかげで呪いの進行が遅れた。全く、信じられない精神の強さだよ
だが僕の見立てだと、あの三人は既に『狂化』の呪いが霊核にまで及んでいる。呪いを解除すれば霊核が崩れて消滅するだけだ」
「そんなっ!」
「まぁ、正規の英霊に無理矢理『狂化』の呪いなんて付与したんだ。当然といえば当然だろう。それに向こうには聖杯という膨大な魔力リソースがある。駒がかければ新たに召喚するって腹じゃないのかい?」
「でも、それではあまりに……」
「君達はまだ聖杯戦争についてあまり知らないんだったね。だったら、よく覚えておくといい。聖杯戦争っていうのはこういうものさ。聖杯を求める魔術師なんてものはどいつもこいつも基本はクズしかいない。
今回はその相手が更に輪をかけてクズだっただけの話さ」
僕の言葉に一般的な人間の意見を持つ立花とマシュはなにか言いたげだが、これが現実だ。
いつかの世界の虫爺に外道神父なんかがいい例だ。
まあ、何処かのうっかり優雅な娘と正義の味方の少年君みたいに甘すぎるやつもいたけどさ。彼の言葉を借りるなら心の贅肉っところか。
「まぁ、だからといって向こうのやってることが正しいなんて言う気はないし、それを容認してやるつもりも全くないさ。
それで、マルタ。君はどうするんだい?」
「はぁ、貴方ねぇ。ちょっと前まで敵だった相手に、人々を虐殺してたサーヴァントに今度は国のために戦えって言うの?」
「だけど、それは竜の魔女に操られて……!」
マルタを庇護しようとしたマシュの言葉を僕は手で制する。彼女の中で周りがどう思おうが関係ないだろう。大事なのは彼女がどう思うか。
「僕をサディストと言いたければそうすればいいさ。僕の目的はあの竜の魔女を倒すこと、そのために効率的だったから君を引き入れたそれだけだ」
「私からもお願いします」
僕の隣からジャンヌが前に出てマルタに懇願する。
「私はなんとしてもこの国の平和を取り戻さなければなりません。それが私がこの世界に召喚された意味であり、偽りのない私の意思です」
ジャンヌの真っ直ぐな瞳で見つめられたマルタはバツが悪そうにため息をこぼす。
「はぁ……仕方ないわね。聖女の後輩にここまで頼まれたんじゃ、断らないわけにはいかないわよね。それに、私も私でかなり腹にすえかねてるもの」
パンっと拳を片手に打ち付け、怒りを表明する。
「嬉しいわ! 私貴女とも話がしてみたかったの! なんてたって、かの救世主と親交があったとされる聖女様ですもの!」
「はぁ、またマリアの悪い癖が出た」
「よろしくお願いしますね、マルタさん」
「ええ、よろしくお願いします」
「そういえば、昨日から思ってたんだけどなんで口調がコロコロ変わるの?」
「その話はまた今度ね」
全く、昨日まで敵だったっていうのにこんなに早く順応するとは。
どの世界にも必ずその物語の中心となった人物がいた。この物語の主役は間違いなく彼女だ。そして、僕が関わる以上僕の物語でもある。お宝も大事だけど、最後まで見届けてやるのも僕の役目か。
「それじゃあ早く行こう。リオンとやらにいるこの戦いの命運を握る
感想評価どんどん来てください。
あっ、だけど自分就職試験に向けて忙しいんで9月すぎまでかなり亀更新だと思います。