Fate/Diend Order   作:クロウド、

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久しぶりに投稿しました!
結構人気があるのから再投稿していこうと思います。
もうすぐ卒業なので!


仮面ライダー(自由を守る者)

「マルタ、君はいまどれくらい戦える?」

 

 僕はリオンへの道すがら、隣を歩くマルタに声をかける。

 

 マリーの馬車で行っても良かったが、それでは敵に察知される危険性があるため僕達は徒歩でリヨンに向かうことになった。

 

「……はっきり言って、タラスクを失ったのは痛いですね。私はライダー、馬となるものがいなければステータスは弱体しますから」

 

「まっ、ステゴロであれだけ戦えるんだ。問題ないんじゃないか?」

 

「……アマデウス、次ステゴロって言ったら顔が凹むと思いなさい」

 

 怖っ……。

 

 鋭い眼光でアマデウスを睨む自分のサーヴァントに寒気を覚える。考えてみれば、契約したサーヴァントなんて彼女が二人目か。

 

 僕のサーヴァントはなんでこうおっかない女性が多いのか?

 

「ねぇねぇ、大樹さん。そろそろ教えて?」

 

 最初に契約したサーヴァントを思い出し、視線を遠くしていると立花が質問を投げかけてきた。

 

「なにをだい?」

 

『そうそう、君の能力は一体なんなんだい? サーヴァントにも負けない力を与える鎧に、それを召喚する能力

 ……おまけに世界を渡る力なんて、魔術師が聞いたら発狂するよ?』

 

「だからさ、僕は魔術師じゃない。『通りすがりの仮面ライダー』。それが僕だよ」

 

「「「「『仮面ライダー?』」」」」

 

 ロマニ、立花、マシュ、ジャンヌ、マリーが聞き慣れない単語に疑問符を浮かべる。

 

 毎度思うことだけど、この説明いちいちしなきゃいけないのかな?

 

「ふぅ。仮面ライダーっていうのはこことは違う世界の……所謂、抑止力に近いかな?」

 

「抑止力?」

 

『ああ、立花君。抑止力っていうのはね……』

 

 魔術師となって日の浅い立花がロマニに説明を受ける。

 

 カウンターガーディアンとも呼ばれるそれは星の延命を願う無意識集合『ガイア』と、霊長類の存続を願う『アラヤ』の二つによる安全装置のようなものだ。

 

『アラヤ』などは一般人を後押しするような形で顕現したりするが、仮面ライダーの生まれ方もそれによく似ている。

 

 立花が、ロマニからの抑止力の講義を終えると僕は自分のカード、『仮面ライダーディエンド』のカードを取り出す。

 

「仮面ライダーというのはその世界にその対となる『悪』が生まれたとき、それに対応するように同時に生まれるものなのさ。その一人一人が現代における世界を救った英雄と言ってもいいかもしれない」

 

『そんなにすごいのかい?』

 

「すごいとも」

 

 ーーーあるものは皆の笑顔を守るために戦い。

 

 ーーーあるものは人間の可能性を信じて戦い。

 

 ーーーあるものはそれぞれの願いを叶えるための戦いを止めるために戦い。

 

 ーーーあるものは人間として戦い。

 

 ーーーあるものは運命に抗うために戦い。

 

 ーーーあるものは心を鍛え続け、二人の少年を導くために戦い。

 

 ーーーあるものは己の信念を貫くために戦い。

 

 ーーーあるものは時の運行を守るために戦い。

 

 ーーーあるもの人と怪物の境界に立とうと戦い。

 

 ーーーあるものは世界を破壊し、再生するために戦い。

 

 ーーーあるものたちは自分が愛した街の涙を拭うために戦い。

 

 ーーーあるものは己の欲望を見つけるために戦い。

 

 ーーーあるものは友情を守るために戦い。

 

 ーーーあるものは絶望を希望に変えるためにに戦い。

 

 ーーーあるものは世界を救うための力を求めて戦い。

 

 ーーーあるものは人の善性を信じて戦い。

 

 ーーーあるものは命を燃やして戦い。

 

 ーーーあるものは人々を救うために戦い。

 

 ーーーあるものは愛と平和のために戦い。

 

 ーーーあるものは世界を良くするために王になるために戦った。

 

『つまり、君もその仮面ライダーの一人だと?』

 

「まあ、そういうことだね。

 僕が他のライダーと違うのは本来、ライダーにはそれぞれの物語が存在するが、僕の場合は決まった世界が存在しないからそういう物語がない。だからこそ、世界を行き来できるのさ」

 

「あっ、な〜るほど。決まった世界がないから、自由に世界を渡れるのか」

 

 勘の良いアマデウスが僕の言葉をいち早く理解して、手を叩く。

 

「まっ、自由自在とはいかないがね。何処かのライダーが言っていたよ、『俺達は正義のために戦っているんじゃない、俺達は人々の自由のために生きている』のだとね」

 

「あら! だったら、ダイキさんもその仮面ライダー?としてこの世界に呼ばれたのかもしれないわね!!」

 

 マリーがなにか思いついたように手を合わせ、キラキラした目で僕を見る。

 

 立花も気になったのか、マリーに尋ねる。

 

「マリーさん、それってどう言うこと?」

 

「だってそうでしょ? 仮面ライダーって、人々の自由のために戦うのよね? だったら、()()()()()()()()()()()()()()()()()この世界に呼ばれるのは当然じゃない?」

 

「あっ、そっか!」

 

 この戦いは世界を救う戦い、言い方を変えれば人々の自由を守るための戦い。ならば、その守護者たる仮面ライダーがその世界に呼ばれてもおかしくはないということか……。

 

「参ったね、今までそんなこと考えなかったら気付かなかったよ……。」

 

 面食らって額を抑えていると、ジャンヌが何か気付いたように声をかけてきた。

 

「もしかして……今までの世界でもそうだっのではないですか?」

 

「というと?」

 

「今までの世界でも人々の自由を妨げる何かと戦ったことはないか? ということよ」

 

 ジャンヌの言葉をマルタが補足して伝える。

 

「言われてみれば……割と人類規模でやばかった世界が多かった気が……。」

 

『例えば……?』

 

「汚染された大聖杯とか、第三魔法で魂の物質化を行おうとした神父がいた世界とか?」

 

『さらっと言ってるけど、とんでもないなっ!? 後でその話について詳しく教えてもらえないか!?』

 

 興奮した様子で、喚くロマニとかなり驚いている様子の面々。

 

 その中で立花が代表して質問を投げかけてきた。

 

「大樹さん、大聖杯って……冬木にも行ったことがあるの?」

 

「なんだ? 君達も冬木に行ったことがあるのかい?」

 

「実は……」

 

 立花の言葉を次いで、マシュが特異点Fで起こったことについて語った。キャスターのクー・フーリンとともに戦い、アーサー王を打倒したこと、そして、レフ・ライノール・フラウロスを名乗る男にカルデア所長、オルガマリー・アニムスフィアを殺されたこと。

 

 僕とジャンヌ達は悲痛な面持ちでその話を聞いていた。飄々としているのはアマデウスくらいなものだろう。この年の少女たちが背負うには重すぎる業だろうからな。

 

「……なるほど、その世界の聖杯戦争は僕がいた世界と大分違うようだね」

 

「というと?」

 

「セイバー、アーチャー、アサシンは僕が知っている者と同じだけど、クー・フーリン、メドゥーサは僕がいた世界ではランサーとライダーのクラスだったからね」

 

 僕は三つの世界で第五次聖杯戦争に挑んだことがあるが、アサシンは二種類いた。話からして間違いなくハサンだろう。

 

 セイバーは言わずもがな、アーチャーはまぁ、あの少年の未来だろうな。ならば、セイバーを守ってたのも納得がいく。

 

「この話はまた今度にしよう。かなり長い話になるからね」

 

 そう言って半ば強引に話を区切った。あまり話して気分がいいものじゃあない。

 

「……そう言えば、マルタ様。竜殺しの真名はわかるのですか?」

 

「ええ、わかるわよ。彼の英雄の真名はニーベルゲンの歌に謳われる万夫不当の竜殺し。聖剣バルムンクの担い手である彼の名は……」

 

()()()()()()()

 

 マルタの言葉をついで僕がその真名を告げた。

 

『ジークフリートだって!? 最強の竜殺しじゃないか!?』

 

「ああ、彼がいれば心強い」

 

 ロマニの言葉に僕も同意する。

 

「もしかして、大樹さんはジークフリートさんとも出会ったことがあるんですか?」

 

 僕の口ぶりからマシュが察した、

 

「ああ、ここまで来ると……本当に因果を感じるよ。

 ーーーマルタ、一つ聞くけど向こうにアーチャーはいるかい?」

 

「ええ、いるわよ。もしかして心当たりがあるの?」

 

「……真名はわかるか?」

 

「……ごめんなさい、そこまではーーー」

 

 これに彼女に対しての非はない。狂化されていた彼女に他のサーヴの真名を知る余裕があったかと問われれば否だろう。

 

 だが、彼女には他の英霊にはない大きな特徴があった。

 

「なら……獣の耳と尾がなかったかい?」

 

 僕は真剣な表情でマルタを見る。どうか、無いと言ってくれ、僕の考え過ぎであってくれと願った。

 

 だが、

 

「彼女も知ってるのですか?」

 

 マルタのその言葉は僕に残った僅かな希望すら打ち砕いた。そう桐生戦兎風にいうなら、

 

「……最っ悪だ」

 

『君がそんなことをいうほど危険なのかい? そのアーチャーというのは?』

 

「いや……彼女は……」

 

 僕が次に紡いだ言葉に全員が目を向いた。

 

 

 

 

 

 

「僕が始めて契約したサーヴァントだ」

 

 

 

 

 

 

 




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