Fate/Diend Order   作:クロウド、

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この話はありか、なしか……悩んでます。


旅の軌跡 海東大樹と■■■■■

「ここは……。」

 

 僕は気がつくと、燃え盛る場所にいた。一面、火の海。それ以外に見えるものは何一つない。瓦礫さえ見えはしない。まるで、全てが燃やし尽くされたような景色だった。

 

「……この世とあの世の境ということかな?」

 

 僕はゲーティアとの戦いでたしかに死んだ。今の僕がディエンドの力を持っていないのが何よりの証拠だ。ディケイドの力と同じくディエンドの力は僕の存在そのもの、その力が全くないとなると……答えは自ずと出る。

 

「てっきり冥界直行かと思ったけど」

 

 エレシュキガルに死後を管理してもらえるなら、さして文句はなかったが、一体ここはどこなんだ?

 

「……ひとまず、歩いてみるか」

 

 炎のない道を歩き始めた。見えるのはただひたすらに燃え続ける炎。この世の全てを燃やし尽くさんばかりの炎の海。それ以外は何もない殺風景な場所。

 

「さしずめ、煉獄ってところか?」

 

 炎で死後と聞けば、カトリック教の煉獄。天国と地獄の狭間にあり罪を浄化する炎の燃え盛る場所。

 

 ……どれほど、長い間歩いただろう……気付くと、僕の目の前には一人の少女がその場に佇んで燃え盛る炎を眺めていた。

 

「君はここで何をしているんだい」

 

「私は……もう、ここ以外にいられないから……。」

 

 少女は流し目で僕を見ると、それだけ答えて炎に視線を戻した。その瞳からは深い深い……孤独が伺えた。

 

「なら、君が何処かに行けるようになるまで、僕がここにいるとしよう」

 

「え?」

 

 僕の言葉に少女は面食らったような表情をする。どのみち、僕は役目を終えた身だ。なら、英霊を真似て死後まで自分の在り方を貫こう。

 

 僕は彼女の隣に立ち、燃え盛る地平線を眺める。

 

「さて……暇だから、なにか話そうか?」

 

「話……?」

 

「なに、飽きはさせないさ。良くも悪くも退屈しない話だからね」

 

 それから、僕はただひたすらに自分の旅の話をした。

 

 聖杯大戦でアタランテに誓いを立て、第四次聖杯戦争で『誰かの味方』として戦う道を選び、第五次聖杯戦争で家族と過ごす幸せを得て、グランドオーダーで……人を愛することを知った。

 

 当初は自分のことしか考えてなかった。だけど、過ちを犯して、手痛いしっぺ返しをくらい、僕は自分の為に力を使わないと誓った。

 

 僕は……あの終局特異点でようやく本当の意味で仮面ライダーになれたと思っている。

 

 最初は興味なさげに聞いていた彼女だったが、段々と僕の話に興味を持ち始め、魔法少女の世界の話になった時点で質問まで投げかけてくるようになった。

 

「その世界の弟さんはあなたが知っている彼とは別の道を歩んだのね……。」

 

「ああ……だけど、やっぱり本質は変わらない。彼は優しい少年だよ」

 

「……その人は幸せね。貴方という良き理解者がいて」

 

「……いいや、幸せだったのは僕の方さ。多くの人間に出会い、関わっていく中で……僕は本当に大切なものを受け取った……ああ、本当に幸せな旅だったよ」

 

「ええ……とても素敵な旅ね」

 

 その話に少女は微笑んで返した。

 

「……今度は君のことを教えてくれないか?」

 

「私のこと?」

 

「いいじゃないか、どうせ暇なんだ」

 

「私の話は……貴方の話の様に聞く価値のある話ではないわよ?」

 

「そうかな? 価値のない人間なんていない……だから、価値のない人生なんてないと思うんだ」

 

 僕がそう言うと、彼女は自分の生い立ちをポツポツと話し始めた。

 

 彼女は厳格な魔術師の家系に生まれ、幼い頃から魔術の英才教育を受けてきた。だが、その反面彼女は両親達からの過度な重圧から両親が共にいる日曜日が嫌いになった。そんなとき、カルデアに招かれある少女に出会った。その姿はまるで自分の生き写しのようで、彼女となら仲良くなれると思っていた。

 

「だけど私は……人に関わる勇気が出せなかった。だから、あの子に、マシュに……関わる事ができなかった」

 

「……それでいいんじゃないか? 誰だって勇気を出すのは簡単なことじゃない。だからこそ、勇気って言葉には重みがあるんだろう?」

 

「………………。」

 

「そっか……君は自分を理解してくれる相手が欲しかったのか……。」

 

「ええ。今思えばそうなのかもしれないわね」

 

「……これは僕の勝手な推測だが……君はもっと自分の内側をさらけ出せばよかったんじゃないかな」

 

「自分の内側……。」

 

「自分の気持ちなんて他人にわかるわけない。だからこそ、お互いに本音をぶつけ合って、自分の心を理解してもらうしかないんだ。

 それが出来ない人間に人の気持ちを知ることなんてできやしない。簡単な話だろ?」

 

「そっか……そんなに簡単な話だったのね」

 

 ……その時、少女の体に空から光が降り注ぐ。

 

「これって……。」

 

 それを浴びた彼女の体がゆっくりと消えていく。

 

「どうやら、君の旅はまだ終わっていないらしい」

 

「………………。」

 

「もし、君がまたここに来たら今度は君の旅の話をに聞かせてくれ。」

 

「待って! 貴方の名前は……?」

 

「僕は海東大樹だ、君は?」

 

「私はーーー」

 

 彼女が名乗り終える前にその姿は完全に消え去った。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「……成功だ!」

 

 聞き慣れた声とともに僕は目を覚ます。

 

 瞼を開けると、そこには多くのサーヴァントと、僕が導いた少女達が立っていた。

 

「ここは……まさか、カルデア「「大樹さん!!!」」うぉっ!」

 

 あたりを見回していると二人の少女、立花とマシュにひっつかれた。

 

「えっと……これってもしかして……サーヴァントとして呼ばれた感じかい?」

 

「うん、そうだよ……!」

 

 半泣きの状態の立花が僕の言葉を肯定する。

 

「一体、どうやって……。」

 

「君の形見のこれと、聖杯で擬似的に英霊にしたのさ。あとは、マーリンの手助けがあったというのもあるけどね」

 

 ロマンがシアンと黒のライドウォッチ、僕のディエンドライドウォッチを見せながら説明した。

 

「世界の後押しもあったんだろうね、かなりあっさり成功したよ」

 

 おいおい、やってくれたなソロモン王。力を盗まれた腹いせかよ……。

 

 僕は差し出されたライドウォッチを受け取り、バズルを合わせてスターターを押し込む。

 

『ディエンド!』

 

 ライドウォッチが、光となって消え代わりに僕の左手にディエンドライバーが現れる。

 

「仮面ライダーディエンド、完全復活だ」

 

「さっ、行こっ。大樹さん、カルデアの中案内するからっ!」

 

「さぁ、行きましょう!」

 

「おっ、おい……!」

 

 そのまま、立花とマシュに両手を引っ張られていく、ロマンに助けを求める視線を向けるが、

 

「後で霊基のチェックがしたいから、早めにしてくれよ〜」

 

「「はい!」」

 

 ……やれやれ、仕方ない。今は彼女達に付き合うとするか。

 

 そういえば、なにか()()()()()()()()()()()()()()気がしたが、今はこの喜びを味わおう。

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