side:藤丸立花
バーコードのような仮面の戦士になった青年は、銃を構え空を飛び交うワイバーンに視線を向ける。
ワイバーンはあの人から何かを感じたのか一斉に炎を吐き出して攻撃を仕掛けてきた。
「危ないっ!」
慌てて叫ぶが。今からではマシュのガードが間に合わない。
しかし、仮面の戦士は避ける動作を一切見せず、ベルトの脇についたケースからカードを取り出し銃に装填する。
『ATTACK RIDE……BARRIER!』
装填した弾丸を打ち出すと、それが光のバリアーとなって彼を炎から守る。
「よそ見をしていていいのかい? 一瞬で終わってしまうよ」
『ATTACK RIDE……BLAST!』
さらに、新しいカードを装填し、引き金を引くと弾丸はまるでワイバーンに吸い寄せられるように飛んでいき次々と着弾し、爆発した。
ワイバーンが次々と地に落ちる。
「はい、おしまい」
そんな緊張感のない言葉を発し、仮面の戦士は銃を下ろしてこちらを向く。
「す、すごい……」
「関心はいいから、あとは地上にいるワイバーンだけだよ」
「あっ、はい。マシュ」
「はい、先輩!」
私達はフランス兵と戦っているワイバーンを倒すために戦闘を再開した。
side:海東大樹
「これでっ…終わりです!」
外套を被った旗を槍のように操るサーヴァントが最後のワイバーンを貫き、僕は変身をといた。だが、僕は無言でディエンドライバーの銃口を
「え? 何してるの?」
『ええっ!? ここに来てまさかの敵だったパターンかいっ!?』
手の甲に令呪を刻むマスターの少女と、何処からか聞こえる軟弱そうな声に僕は笑いながら答える。
「違う違う、最初に言っただろ? 僕はこの街に恩があるって。だからこそ彼女から警戒を解くわけにはいかないんだよ」
「どういうことですか?」
「……フードをとったらどうだい? ジャンヌ・ダルク?」
「え? ジャンヌ・ダルクって……」
彼女は僕の言葉に素直に答え、フードを外す。フードの下から顕になったその顔は僕があの世界で出会ったジャンヌ・ダルク本人で間違いなかった。
そして、その顔を見た街の兵士達の顔に恐怖が浮かぶ。
「魔女だ! 魔女が現れたぞぉ!!」
兵士達は彼女の顔を見た途端、街の方へ逃げ出した。あれだけのワイバーンに襲われたあとだ、戦おうという気力すらもう無いだろう。
僕はガンフリップして、ディエンドライバーをおろした。
「人よけはこんなものでいいかな?」
「「「『え?』」」」
「ほら、早くここから立ち去るよ。ここだと、彼等の気も休まらないだろ」
「あっ…だから、わざと……」
「近くに森があったはずだ、込み入った話はそこでしよう。それでいいね? ジャンヌ・ダルク?」
「はい、それで問題ありません」
「君達はどうする? 出来ればついてきてほしいんだけど?」
「どうしましょう、先輩?」
僕の質問に盾をもったナス色の髪の女の子がマスターである橙色の髪の少女に支持を仰ぐ。
「……私は、ついていったほうがいいと思う」
『僕も賛成だ、弱体化しているが彼女はサーヴァント、この時代の事情に精通しているはずだ。それに、彼の事情についても聞かなければいけないしね』
「決まりだ。そうそう、茄子ちゃん」
「茄子ちゃん!?」
「自分のマスターはしっかり連れていきたまえ、君が抱えて走ったほうが早いだろ?」
「確かにそうですが、その前にその呼び方の訂正を「さあ、行くよ」ちょっと!」
僕は後ろから叫ぶ茄子ちゃんの文句を無視して、走り出しその後ろを三人がついてくる。
「この辺でいいかな?」
「ええ、たしかにこの辺りなら落ち着いて話ができそうです」
森に辿り着いた僕たちは互いに向かい合っていた。
「まず、貴方達の名前をお聞かせください」
「僕は海東大樹。よろしく」
「私の個体名はマシュ・キリエライトです。断じて、茄子ちゃん等という名前ではありません」
「藤丸立花です。マシュのマスターをしています」
「マスター? この聖杯戦争にもマスターは存在するのですね」
「いえ、私達はこの聖杯戦争とは無関係なのです」
そこから、茄子ちゃん……じゃなかった、マシュがデミ・サーヴァントについて説明し、ジャンヌも自身が英霊としての力が弱まっていることと本来聖杯から受け取るはずの知識がないこと。所謂、死後すぐに英霊として召喚されたこと。そして、この特異点にはもう一人ジャンヌが召喚されていることなどを説明した。
「それで、貴方は一体?」
「名前からして、ひょっとして日本人?」
「まあ、名前は日本人だけど。故郷なんか覚えてないし、旅をする身としてはどうでもいいんだけどね」
「旅? 貴方は旅人なのですか?」
「まぁね、ただし、世界を渡り歩く旅さ。」
「世界を渡り歩く? それって、どういうこと?」
「平行世界の移動ってやつさ。聞いたことくらいあるだろ? パラレルワールドってやつさ」
『平行世界への移動!? それって、魔法の域じゃないか!』
「そんなこと言われても、君達魔術師の事情なんて僕からしたらどうでもいいことだし。それで、さっきから声だけ聞こえる君は誰だい?」
『ああ、そういえば僕だけ自己紹介が終わってなかったね。始めまして、ジャンヌ・ダルク。そして、海東大樹君。僕はロマニ・アーキマン。皆からはロマンと呼ばれている』
「ロマン……なるほど、夢見がちな方なのですね!」
『なんだろう、この敗北感。褒められたのに全然嬉しくないような……』
「いやいや、僕はいいと思うよ。うん、悪くないセンスだよ」
『笑いながら言われても説得力がないやい!』
そこからは立花とマシュ、ロマンからカルデアについての説明をされた。そして、この時代の聖杯がもう一人のジャンヌが持つという仮設が上がった。
「なるほど、よくわかりました。まさか世界そのものが焼却されているなんて。……私の悩みなど小さなものでした。ですが、今の私は自分すら信じられなくなっています」
「竜の魔女とかいうあれかい?」
「はい、あれらを操っているのは間違いなく
誰よりもこの国を慈しむ彼女にとってそれは確かに自身の喪失に繋がる原因になるだろう。
「ジャンヌさん、貴方はこれからどうするつもりなのですか?」
「……目的は決まっています。オルレアンに向かい。都市を奪還します。その障害となるジャンヌ・ダルクを排除します」
「……一人でも戦う。歴史書通りですね、先輩」
「うん、何処かの天才様とは大違いだね」
そうだ、これが僕の知っているジャンヌ・ダルク。誰よりも純白な心を持った、女性。彼が惚れたのはこういうところかもしれないな。
「マスター、それにドクター。私達とジャンヌさんの利害は一致しています。どうでしょう、これからの方針として彼女に協力するというのは?」
「うん。私もそう思ってた」
『だね。ここはジャンヌと協力するのが最善だ。救国の聖女と共に戦えるなんて滅多にない機会だ』
「良かった。では改めて、ジャンヌさん。私達は私達の目的がありますが。それと並列して貴女の助けになりたい。」
「私達と一緒に戦ってくれますか?」
「そんな……こちらからお願いします。感謝しても足りないほどです。」
「じゃあ、僕も付き合おうかな」
「大樹さん? でも貴方は……」
「これでも、いろんな世界で聖杯戦争に巻き込まれてたんだ。それに、この世界に呼ばれた以上この世界にも僕の狙うお宝があるはずだからね。それを探すついで、とでも考えてくれていいよ」
「「「『お宝?』」」」
「あれ? 言ってなかったかい? 僕の本職……」
僕はディエンドライバーを見せつけるように持ち、
「怪盗なんだ」
そう名乗った。
ちょっと、設定を追加します。
今後の敵のことを考えてもうちょいディエンドを強化します。具体的には、
・他ライダーのアタックライドの使用可能(カブトのCLOCKUPなど)
・グランドジオウのような他ライダーの武器、及び必殺技の使用可能
・召喚ライダーのフォームチェンジなどです。
Fate時空だと、これでも全然上がいるのがちょっと怖いです。