予測不可能者  遠山キンジ   作:caose

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 今日は御巣鷹山の事故から三十四年です。
 この事故で落命された方々に哀悼の意を表します。


正義とは?悪とは?

さてさて半蔵が何やら計画を飛鳥達に話した後彼らはキンジが住んでいるアパートに

向かったが部屋の前には多数の報道陣やマスメディアが居座っており入る事すら

容易でないことが見てうかがえる。

 それを近くのビルの・・・屋上から双眼鏡で飛鳥が見ていた。

 「こちら飛鳥。目標の部屋前に多数のマスゴミが健在。」

 飛鳥は無線でそう言うと近くの河に屋形船の中で待機している雪泉達に届いた。

 「了解。おじいさまたちが入るのを見た後再度連絡を。」

 『了解。』

 そう聞いて飛鳥は無線を切った後雪泉は屋形船にいる焔たちに顔を向けた後

こう言った。

 「それではこれより・・・『遠山キンジ』救出作戦を決行いたします。」

 「「「「おおおおお!!」」」」」

 

 

 

 

 「いやーまさか車に乗せてもらえるとはありがたいのう、『武藤』君。」

 「いや、いいっすよこれくらい。ダチが大変な時に何も出来ねえと思っていたら丁度あんたらがキンジの所に行くって言うんだからこれくらい当然すよ。」

 半蔵達は学園から出る途中でそのことを聞いていた『武藤 ゴウキ』は自身が

所属している「車輌科(ロジ)」にある車に乗せてもらっていた。

 そして目的地のすぐそこに着いた後「武藤 ゴウキ」は半蔵達に向かってこう

言った。 

 「本当なら俺達が何とかしてえとこだけど俺達じゃあ・・・キンジを何とか出来ねえかもしれねえから・・・キンジを宜しくお願い致します!!」

 武藤は運転する場所越しであるが頭を下げるとそれを見ていた半蔵達はこう言った。

 「・・・分かったわい。」

 「何とかするわい。」

 そう言って立ち去っていった。

    

 

 

 

 

 そして半蔵達はキンジの部屋の所に行こうとすると記者達に囲まれた。

 「すいませんが遠山キンジさんの関係者ですか?」

 「今回の事件について一言を!」 

 「すまんが通してくれんかのお?」

 半蔵は記者達の質問を聞かずそのまま入ろうとするもある一言が・・・彼らの耳に入ってしまった。

 「今回『遠山金一』がやったクルージング会社の損害について何か謝罪をして

下さい!!」

 「「・・・・・アアア(# ゚Д゚)」」

 「ヒィイ!!」

 すると半蔵はその記者に笑顔で向かってきてこう言った。

 「ほおお。謝罪って・・・何をじゃ?」

 「きききき、決まってるでしょ!今回クルージング会社が保有していた豪華客船を

沈没させたことに対してですよ!」

 記者の一人は恐怖しながらも虚勢を張って言い返すも半蔵は記者の手を握ってこう言った。

 「ほおお。たかが船一槽と人の命は同じ価値とは驚きじゃのお。」

 「へ?」

 記者の間抜けな言葉に半蔵はこう続けた。

 「船などはのう。作ればまた出来るが・・・人の命はそう簡単な物ではないしもし

あの時お主が乗っていたら・・・出来るのか?」

 その言葉に記者は馬鹿らしいと思いながらこう返した。

 「何言ってるんですか?一般人では出来ることなど限られるけど武偵は何でもできるじゃないですか?それで出来ない武偵なんて役立たず以外の何物でも・・・」

 「馬鹿者がーーーー!!!!」

 半蔵はその記者に向かって大声でそう言うと半蔵はこう続けた。

 「武偵と言えども只の人も同じく間違いは起きるし過ちも起こす!然し彼らはそれを押し殺してでも人々を守り、悪から世を守ろうと必死にその力を使っておるのに

お主たちは『出来て当たり前』じゃと?違う!!出来ようと努力と研鑽を積んでおるのじゃ!!今回の金一君の行為は多くの人間の命を救い、守り切ったというのに

それに尊敬の念ではなく侮辱を振りまいて死者を冒とくしていることと

分からぬのかあ!!」

 すると傍でじっとしていた黒影が記者達に向けてこう言った。

 「お主等は仕事と割り切っているようじゃが貴様らの行為が遺族の傷を広げさせ、多くの人間を不幸にさせていると自覚しているのか?」

 その言葉に記者の一人がこう言い返した。

 「然し我々には『言論の自由』がある!どう言う風に表現するも

我々の自由であり正義」

 「それが正義と言うのなら・・・悪は何だ?」

 「へ?」

 「悪とは何だ?船を守れなかった事か?財産を守れなかった事か?謝罪しない

ことか?・・・否だ!真の悪とは命を守ったものに対して感謝ではなく暴言を吐き、

悪意をばら撒き、自らの罪を隠蔽しようとする者共ではないのか!!」

 「そしてなによりも命を懸けて大勢の命を守り抜いた若き武偵に対して哀悼の意を

述べず!死者の思いを踏み散らかすものたちではないのか!?」

 「・・・・・・」

 その言葉に全員が黙りこくってしまった。

 正義とは何か?悪とは何か?仕事とはいえ本来なら自分達よりも年下の青年が

命がけでやっていたことを蔑ろにしているという真実が彼らの胸に強く突き刺さった。

 「それでも正義を語るというなら・・・もう一度今自分達が持っている

そのペンの重さを思い出せ。」

 そう言った後黒影と半蔵はキンジの部屋をノックした。

 「おおい?おるか?」

 そう言った後何やら扉を少し開けると・・・カナメが立っていた。

 「誰ですか?」

 カナメは半蔵達に向かってそう聞くと半蔵はにこりと笑ってこう返した。

 「儂は『飛鳥』の祖父じゃが『キンジ』君はおるかい?」

 そう聞くとカナメは笑顔になってこう言った。

 「『飛鳥』さんの!どうぞこちらです!!」

 そう言って扉を開けた後半蔵と黒影は素早く部屋に入った。

 




 そう言えば「クライマーズハイ」での記者達は少なからず信念と責任感を持って
行動していましたが今それをしている人達はどれくらいの人間でしょうか?

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