予測不可能者  遠山キンジ   作:caose

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 死は永遠の別れではない。
 ただ少し・・・心の中にいるだけだ。


序曲のエンド/継がれしフューチャー 後編

『・・・バカな」

 シャーロックホームズはそう言いながらキンジと一夏を見ていた。

 自分が推理していた未来とは違うだけじゃない。

 何か根本的から違ってしまっているかのような感じがしていたのだ。

 それが何なのかは未だ何も分からなかった。

 「キンジさん!!」

 奥の方からレスティアがレティシアと一緒に走ってきた。

 如何やら遠くから戦いを見ていたそうだ。

 「レスティア!!早く兄さんに治療を!!」

 「!!直ぐに」

 レスティアは金一の状態を見た後に応急処置に移った。

 そんな中で防人はシャーロックホームズに近づくとこう言った。

 「シャーロックホームズ、『イ・ウー』のボスであると同時に幾つもの

闇組織を束ねる首領としてお前を拘束してもらう。」

 そう言って防人はシャーロックホームズに手錠をかけた。

 「この手錠は今までキンジが戦ってきた怪人のデータを参考に作ったやつだ。

お前の変身を阻害できるし超偵としての能力も封じれるから逃げようと

考えないことだ。」

 そう言うと防人はシャーロックホームズを立たせようとしたその時に・・・白煙が防人達の足元にかかっているのが見えた。

 「何だこれは?」

 「・・・時間のようだね。」

 そう言った瞬間に・・・外から爆発音が聞こえた。

 『『『!!!』』』

 全員が何事だと思っていると防人の通信機から通信してきた。

 「どうした!?」

 『俺です防人さん!カズキです!!』

 「カズキか!?一体何が起きた!?」

 『突然船が爆発したと思ったら造船場の天井も爆発してそしたら今まで戦っていた連中が潜水艦に向かったんです!!』

 「何!!」

 『多分そっちに向かっていると思います!気をつけてください!!』

 それを聞いた防人はやばいと思っていた。

 今いる面子の殆どはボロボロになってしまい今新手が来たら太刀打ちできないと悟ってしまったからだ。

 防人はシャーロックホームズを見、そしてキンジ達を見て・・・決断した。

 「全員撤退しろ!無事な奴は動けない仲間を助けろ!!」

 そう言って防人はシャーロックホームズを・・・置いて行った。

 「おい、シャーロックホームズは!?」

 獅堂は防人に向かってそう聞くと防人はこう答えた。

 「置いて行く!!」

 「ハア!?あんなに必死こいたのにか!?」

 「今は仲間が優先だ!!」

 防人はそう言って倒れている金一をキンジと肩を貸してそこから脱出して

いった。

 そんな中でただ一人、シャーロックホームズはある事を考えていた。

 「私は如何して・・・間違ってしまったんだろう」

 今まで自分の推理は間違っていなかった。

 そのおかげで多くの人間を救っていたんだと信じていたからだ。

 だが・・・何処から間違ってしまったのか分からなかった。

 「あの時・・・スイスで・・・モリアーティーと共に滝に堕ちた時か?」

 「もしかして・・・彼女を失った時か?」

 「それとも・・・もっと前から・・・」

 この推理をした時なのかと思っている中で・・・シャーロックホームズの

胸から・・・紅い光が零れ出してきた。

 「これは?!」

 シャーロックホームズはまさかと思っていると・・・奇跡が起きた。

 「目が・・・・・目が見える!?」

 嘗ての暗殺未遂で視力を失って久しい自分の目から・・・光が戻ったのだ。

 「あれは・・・・まさか!!」

 そして視力が取り戻したシャーロックホームズが見たのは・・・二つ。

 一つは・・・ある少女が誰かと喋っていた。

 金髪のような亜麻色の髪の少女が。

 「一つは間違いないがもう一つは・・・・!!」

 シャーロックホームズはそれを見て驚いていた。

 何処かの日本の縁側のような風景にいる二人の男の子。

 その内の一人をシャーロックホームズは分かってしまった。

 「・・・遠山・・・キンジ君・・・!!」

 そう、まだ幼いが間違いなく遠山キンジであった。

 「これはまさか!!・・・いや、伝承とは違う。ならこれは・・・」

 そう言いながらシャーロックホームズは自らの銃を見た。

 「弾丸が・・・二つ!?」

 シャーロックホームズはそれを見て驚いていた。

 一つは紅い弾丸。

 そしてもう一つは・・・白。

 何物にも染まることすらない・・・白い弾丸がそこにあった。

 それを見た後にシャーロックホームズは・・・ふっと笑ってしまった。

 「成程・・・神様も中々どうして・・・」

 そう言ってシャーロックホームズはまず1発目を少女に向けるとこう言った。

 「さらばだ・・・Aria The Scarlet Ammo(緋弾のアリア)」

 そう言ってシャーロックホームズはその少女・・・アリア目掛けて撃った。

 そしてその後にシャーロックホームズはキンジを見てこう言った。

 「君との戦い私の最後に相応しい相手であったよ。」

 「願わくば今度こそ・・・アリアの相棒になってくれ。」

 そう言っているシャーロックホームの髪は既に・・・白髪に染まっていた。

 そしてキンジに向けてこう名付けた。

 「さらばだ。Kinzi Toyama Unpredictabler(予測不可能者 遠山キンジ)」

 そう言ってシャーロックホームズは白の弾丸をキンジの背中目掛けて・・・

命中した。

 何やらもう一人の少年がこちらに銃を向けたが後ろから迫ってくる巨大な白煙をバックにシャーロックホームズはそのまま・・・砂となって・・・消えた。

 残されたのは服と彼の愛用してきた・・・拳銃だけであった。

 

 

 

 

 

 

 

 「兄さん!!しっかりしろ!?」

 キンジはそう言いながら金一の意識を保とうとしていたのだ。

 「レスティア!!兄さんの怪我は!?」

 「・・・・・・」

 レスティアは金一の刺された腹部に自身の能力でもある焔を使って怪我を

塞いでいっているが・・・目を瞑ってこう思っていた。

 「(腹部の傷がここまで・・・このままじゃあ!?)」

 そう思いながら必死に命を繋ぎとめようとしている中・・・

金一がレスティアの手を取ってこう言った。

 「もう・・・良い。」

 「ですが!?」

 「自分の・・・体・・・くらい・・・分かって・・・るさ」

 「!!!」

 レスティアはその言葉を聞いて・・・やめた。

 「レスティアどうして!!このままじゃ兄さんが!!」

 「キンジ・・・もう・・・良いんだ。」

 「兄さん!!」

 すると金一がキンジに向けてこう言った。

 「キンジ・・・俺は・・・お前・・・が・・・心ぱ・・・い・・・だった。」

 「母さんが・・・死んで・・・父さんも・・・死んで・・・たった・・・

一人・・・の・・・家族・・・守る・・・って・・・誓っ・・・て・・・

お前・・・の・・・事・・・信じ・・・られ・・・なかった・・・だ。」

 「だけど・・・お前の・・・戦・・・い・・・見て・・・分かった・・・」

 そう言いながら金一はキンジの頭に手を添えて・・・撫でながらこう言った。

 「もう・・・俺・・・抜き・・・でも・・・大丈・・・夫・・・て・・・

分かっ・・・て・・・ホット・・・した・・・・だ」

 「(あの時俺はお前を見てこう思ってたんだぞ。)」

 「『大きくなったなあ、キンジ。』」

 「だから・・・お前・・・の・・・戦・・・い・・・最後・・・まで・・・

見届・・・けて・・・もう・・・何も・・・悔いも・・・ない」

 「ふざけんな!!」

 金一の言葉を聞いてキンジは大声でこう言った。

 「何が悔いが残らないだ!何死にそうになってんだよ!!」

 「兄さんの帰りを待っている人達がまだいるんだぞ!!」

 「飛鳥に、雪泉姉!爺ちゃんにばあちゃん!!飛鳥や雪泉姉の

爺ちゃんばあちゃんも皆心配してたんだぞ!!」

 「家に帰ったら飛鳥と雪泉姉が兄さんに怒りながらも泣いて『お帰り』って

言ってさ!!」

 脳裏に浮かぶのはキンジの実家で帰りを待っていた飛鳥と雪泉の笑顔が。

 「爺ちゃんとばあちゃん達から怒鳴られても暖かく迎えてくれてさ!!」

 更に浮かんでくるのは自身の爺ちゃんばあちゃんや飛鳥や雪泉の方の

爺ちゃんばあちゃんが手料理を作って迎えてくれる光景が。

 「そんでさ・・・レスティアとレティシアも一緒にさ・・・笑って・・・

そんで」

 キンジは泣きながらもそう言っていたが遂に言葉が詰まってしまったのだ。

 それを見た金一はキンジの頭を・・・ゆっくりとだが・・・撫でていた。

 「(大丈夫だキンジ。お前はもう大丈夫だ。)」

 「(お前の帰りを待ってくれる仲間たちがいる)」

 飛鳥や雪泉、そして他にもできた仲間の光景が。

 「(お前を支えてくれる人がいる)」

 キンジの隣でキンジの手を握りながら泣いているレスティアを見た。

 「(お前と共に戦ってくれる仲間がいる)」

 そう言って防人達を見た。

 すると金一の体が・・・0と1のデータになり始めたのだ。

 「兄さん!!??」

 キンジは泣きじゃくりながらもそう聞くと金一は・・・ニコリと笑って口パクでこう言った。

 ア・リ・ガ・ト・ウ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「もう、良いの?」

 「!!」

 金一は何か声が聞こえたので見てみるとそこにいたのは・・・。

 「カナ・・・。」

 自身が女装していた時の人格。

 『カナ』であった。

 「もう、良いの?」

 そう聞くと金一はこう答えた。

 「ああ・・・もう良いよ。」

 「あいつはもう俺抜きでも大丈夫さ。」

 そう言うとカナは金一の目の前に手を伸ばすとこう言った。

 「じゃあ・・・逝こう?」

 「ああ・・・逝こう。」

 そう言って金一はカナの手を取って立ち上がると金一はカナに向けて

こう聞いた。

 「なあ、カナ。」

 「ん?なあに??」

 カナが金一に何なのかと聞くと金一はこう答えた。

 「手を・・・繋いだままで・・・良いか?」

 そう聞くとカナは・・・笑顔でこう答えた。

 「うん。良いよ」

 そう言って二人は光が見える場所に向かって・・・歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 潜水艦の中とは思えない聖堂で一人の人間が・・・天に召された。

 全員が哀悼の意を込めて黙とうを捧げ、防人は帽子を更に目部下にかぶり

直していた。

 その時の防人の肩は・・・震えていた。

 「うう・・・ううう。」

 一夏はその光景に涙を流していた。

 然しその中でも一際泣いている人達がいた。

 「うう・・・・アアアアアアア」

 レティシアは顔を手で隠すように泣いていた。

 「アアアアアアア・・・アアアアアアア!!」

 レスティアは金一を抱きしめるように泣いていた。

 そしてキンジはと言うと・・・。

 「兄さん・・・・兄さん・・・兄さん!!!」

 「アアアアアアア!!・・・ウワアアアアアア!!!」

 レスティアに抱きしめられるように胸を頭で埋もれるかのように・・・

泣いていた。

 朝日が顔を出し、らんらんと輝いていた。

 その空に向かって立ち上る7本の煙柱。

 まるで・・・死者を天国に召すための道を作るかのように・・・真っすぐに

伸びていた。

 そして聖堂に一際輝くステンドグラスの光はまるで彼の魂を祝福するかの

ように・・・美しく・・・輝いていた。

そしてそんなステンドグラスの光にあったのは金一が着ていた・・・服だけであった。




 次回 予測不可能者 遠山キンジ
 《推奨BGM 仮面ライダー エグゼイド》
 たった一人の肉親を亡くし力に支配されかけたキンジ
 「俺は・・・強くなければいけないんだ!!!」
 それを心配する少女
 「・・・キンジさん。」
 そして防人の妙案とは!?
 「よし、これでいこう!!」
 次回予告
 ひと夏のバケーション/再開のデンジャー
 「遠山君?・・・・」
 「え」
 それは・・・色んな意味で危険な再会

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