予測不可能者  遠山キンジ   作:caose

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 兄の死を超える日は何時になるのか?


ひと夏のバケーション/再開のデンジャー 前編

 国連軍基地対人演習場

 そこは対人演習や武術、兵術等を実践感覚で学ぶための場所であるため

あらゆる模造武器や模擬弾等が置かれている。

 その部屋の一角にある格闘演習場において二人の男性が稽古をしていた。

 「ウおらあ!!」

 「まだまだ!!」

 一人は長いロングコートを着た男性、「防人 衛」

 もう一人は制服を着た青年、「遠山キンジ」

 二人は何やら・・・と言うよりキンジが何やら思いつめたかのような様子で

稽古をしていた。

 「ウワアアアアアア!!」

 「甘い。」

 キンジが何やら取りつかれたかのように拳を振るうが防人はするりと避けるように往なした後に投げ飛ばした。

 「ぐわあ!」

 キンジは畳の上に叩き落されるとそれを見た防人はこう言った。

 「よし、今日はここまでにするぞ。」

 そう言って防人は部屋から離れようとすると・・・キンジは立ち上がろうと

しながらこう言った。

 「もう・・・一度・・・・お願い・・・じまず!!」

 キンジは息を荒げながらそう言うも防人は時計を見てこう言った。

 「もうやめろ。彼是朝飯と昼飯加えて8時間稽古してるんだ。これ以上は

お前の体が持たないぞ。」

 防人はタオルで汗を拭きながらキンジに向かってそう言った。

 そして防人はこう続けた。

 「あれから9日近く家に帰ってないだろう?偶には家に帰って彼女たちと

遊んで来い。来年は受験勉強もあるんだから今日だけはゆっくり寛いでも罰は」

 「そんなんじゃダメなんだよ!!」

 「・・・キンジ」

 防人は大声で怒鳴るキンジを見るとキンジはこう続けた。

 「俺は強くならなければいけないんだ・・・強くなければ・・・

強くなくちゃ・・何も守れねえんだよおおおお!!」

 キンジはそう言いながら防人に殴りかかろうとすると防人は

キンジの足元を蹴ってぐらつかせた。

 「!!」

 「少し・・・寝てろ!!」

 防人はキンジの後頭部に手刀を叩きつけて失神させた。

 「兄・・・・さん」

 キンジはそう言いながら・・・失神した。

 「キンジさん!!」

 すると出入り口からレスティアが水とタオルを持って出てきたのだ。

 「そいつを頼む。」

 そう言って防人はキンジをレスティアに託して部屋から出て行った。

 

 

 

 

 

 

 「まるで2年前の一夏そっくりだな。」

 防人はそう言いながら自室に入っていった。

 周りには今回の事件の報告書とある新聞が机の上に置かれていた。

 その新聞の表紙にはこう書かれていた。

 『「レインボー・クルージング」社倒産!2年前に沈んだと思われた

豪華客船発見!!』

 更に防人はある週刊誌を開いた。

 『「レインボー・クルージング」社社長と会長逮捕!!保険金詐欺と

テロリストに対する資金援助によるもの!!』

 『「武偵 遠山金一は英雄であった!遅すぎる賞賛!!言われなきパッシングと名誉棄損に訴えあるか!?』

 「・・・全くどこもかしこもメディアは手のひら返しかよ。」 

 防人はそう言いながら今回の顛末を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの後「レインボー・クルージング」社の会長と社長は逮捕された。

 容疑は保険金詐欺とテロリストに対する資金援助、名誉棄損、書類偽装等と

挙げればきりがない程の容疑で捕まった。

 会社は無論倒産し社員の内社長、会長と親しかったもの以外は防人が予め

紹介した会社に再就職した。

 そして防人はメディアに対して以下の報告をした。

 ①遠山金一は船よりも船員及び乗客を守るために一人で主犯格と戦った事。

 ②その戦闘後に彼は死んだこと。

 ③メディアはこれまでの行き過ぎた報道に対して遠山家に謝罪すること。

 ④慰謝料は法定金額の3倍を耳を揃えて支払う事。

 ⑤以下の要求に一つでも応じられない場合は・・・生死の保証はできかねます。

 このように見たままの脅しでメディアに送付させた。

 無論反対意見をする馬鹿どもがいたがそれはこう言って納得させた。

 「それじゃあご家族を一人ずつ顔のパーツをそぎ落として

送り返しましょうか?」

 そう言って更に反論した奴は・・・顔とまではいかないが手足がなかったり

二度と表社会に顔を出すことが出きない位にぼっこ凹にして言う事聞かせた。

 更に言えば助けてくれた恩を仇にして返した馬鹿どもは居場所を特定した後に

これでもかというくらいの痛みと恐怖を与えさせた。

 そんなこんなで金一の名誉回復や事後処理等で疲れたのに更に何もしていない

武偵局から目の前でこう言われたのだ。

 「『後の処理は我々が引き継ぐ代わりに今回の事は永久に他言無用』」と・・・言ってきたので流石に防人もガチで切れて全員凹した後にこう言った。

 「手前ら何もしてねえ給料泥棒が一端の人間の様にほざいてんじゃねえ!!」

 そう言って残りの仕事も防人が全て引き受けた。

 その後に武偵局から抗議があったがこう言って退かせた。

 「お前ら阿保言ってると手前らの無能っぷりをイタリアの武偵局本部に

チクるぞ。」

 棘と言うか・・・ランスの如き強烈な攻撃にそれ以降何も言わなくなった。

 無論指令所と潜水艦にあった証拠品は既に国連軍管理下に置いた。

 そしてそれらは全てある裁判官にリボン付きで送り渡した。

(指紋も確認した上で)

 防人は報告書を書き終えた後キンジの事を思い出していた。

 「(あいつ思いつめて・・・当たり前か、兄貴を失ったんだから)」

 精神的ダメージは一夏以上だなあと思っている中どうすればいいのかを

考えているが・・・。

 「ああ!全然思いつかねえ!!!」

 防人は頭を掻きながらそう言うと気晴らしにチャンネルを取って

テレビを付けた。

 するとあるCMを見て・・・・。ピコんと閃いた。

 「これだ!!!」

 そう思って防人は思い当たったが吉日と直ぐに行動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 一方、京都。

 

 

 

 

 

 

 

 「ありがとうね一夏。荷物持ち手伝わせて。」

 「良いよ、唯依。この間まで向こうにいたんだから」

 一夏と唯依が何やら荷物を持って商店街を歩いていた。

 「それにしても父様『流しそうめんするから麺を買って欲しい』ってさ。」

 「まあ仕方がないよ。俺の機体がセカンドシフトしたから整備の為に

皆頑張ってくれてるんだからさ。」

 一夏はそう言いながら唯依を宥めていた。

 あの作戦の後に一夏は京都に戻って自身の機体『黒式・焔天』と共に

帰還した後、機体の整備とテスト、専用武装の制作などで全員中々休まることが

出来なかったのだ。

 その為に佑唯は休み返上で働いている研究員たちに休息も兼ねてこう言う企画を思いつくに至ったのだ。

 「そう言えばさ一夏、何貰ったの?」

 唯依がそう聞くと一夏はこう答えた。

 「ん?何か福引があるらしくてな。それの引換券」

 そう言って一夏は一枚の紙を唯依に見せると唯依はもしかしてといって

指さした。

 「もしかしてあそこじゃない?」

 そう言って指さすとそこにあったのは・・・。

 ガラガラ抽選を机に置いているスタッフ達がそこにいた。

 「一度やってみる?」

 唯依は一夏にそう聞くと一夏もそれに従ってそこに向かった。

 「おじさん1回」

 「あいよ。」

 一夏はそう言って引換券を渡してガラガラ抽選を回して暫くすると

出てきたのは・・・。

 「・・・金色?」

 「大当たり~~~~!!!」

 一夏が球の色を見てそう言うとおじさんはそう言ってベルを鳴らした。

 するとおじさんはある物を出した。

 「はい、特賞のペアチケット。」

 そう言って一夏に渡すと何だろうと思って開けてみるとその中に

入っていたのは・・・。

 「『東京ビッグウオーターアイランド』ご招待券?」

 「そ、今月分の前売り券は既に品切れで後は当日券なんだけどプレオープンで

どれで遊んでもなんと半額!二人ともついてるねえ。」

 そう言っておじさんは一夏達を見ているとおじさんは一夏を見てこう言った。

 「あれま!?あんた『織斑 一夏』かい?!」

 「あ・・・はい。」

 「だったらこいつも持って行ってくれ!特賞祝いだ!!」

 「ええ、良いですよ別に!!」 

 「ガハハハッどうせ客はあんまり来ないからサービスだよ!!」

 そう言っておじさんは一夏にある物を渡した。

 「こいつは最新型の腕時計だ。こいつ一つで心拍数測ったり音楽聞けたり、

投影ディスプレイで地図を見ることが出来るんだ!持ってけよ!どうせ

祖父さんばあさんしか来ねえからさ!!」

 そう言ってじゃあなとおじさんは一夏と別れた。

 そして暫くして一夏は唯依に向けてこう聞いた。

 「なあ、唯依。一緒に来るか?」

 そう聞くと唯依は暫くして・・・。

 「え・・・・え・・・・・ええええええええええええ!!!」

 驚いたそうだ。

 後で家族とも許可を貰ってその前日には東京に向かう事とした。

 

 

 

 

 

 「ええ・・・ですから・・・・ありがとうございます!!

 防人は何処か電話していたようだが終わるとこう言った。

 「後でキンジに任務と称して外に出させるか。」

 そう言って準備していた。




 準備は上々。
 後は本人たち次第。

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