予測不可能者  遠山キンジ   作:caose

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 死の真相は親しい物にこそ聞かせるべきだ。


金一の報告。

あの騒動から暫くして・・・。

 「ここですか?キンジさん?」

 レスティアはそう聞くながら黒い服を着てそう聞いた。

 「ああ、ここだよ・・・・。」

 キンジも黒い服を着てそう言っていた。

 「それにしても結構お墓があるわねえ。」

 レティシアも同じ服を着てそう言った。

 そして暫くして着いたのが・・・。

 「ここだ。」

 一つの墓石である。

 そこにはこう書かれていた。

 〈遠山金四郎景元〉

 「これがキンジさんのご先祖様の。」

 「まあな、そしてここから・・・ここだ。」

 キンジはそう言いながら墓石の横にある名前の列の最後尾を見た。

 そこに書かれていたのは・・・。

 〈遠山金一 2009年没 享年19〉

 「・・・後で新しい所にも行かなきゃな。」

 そう言ってキンジは墓の前に花とお供え物のお菓子を添えて祈った。

 金一の墓は防人が手配し、墨田区にある無縁寺『回向院』に特別に名付で

弔ってくれたのだ。

 無論そっちにも行くがキンジはある理由でここ、巣鴨にある本妙寺に

来ていたのだ。

 「さてと・・・次はあそこだな。」

 そう言ってキンジが次に向かったのは・・・浅草である。

 浅草にはキンジの祖父母が住んでいる家がありそこに向かっているのだ。

 そして着いた場所が・・・。

 「何だかサザ〇さんみたいな家ねえ。」

 「お前よく知ってんなア。」

 キンジはレティシアのツッコミを聞きながら扉をノックすると扉がスライドして

開いた。

 「おお、キンジじゃねえか!!何だ急に!?」

 着流しに半纏を重ね着した老人

 キンジの祖父『遠山 鐵』である。

 「只今・・・ちょっと話したいんだが飛鳥達は?」

 そう聞くと鐵はこう答えた。

 「おお、お前が話したいことがあるっつうから入れたけど・・・へえ・・・

成程ねえ・・・。」

 鐵はキンジの後ろにいるレスティアとレティシアを見て・・・

エロ爺その物の表情でキンジに向かってこう聞いた。

 「お前も中々隅に置けねえなあ?どっちがキンジのコレだよ??」

 そう聞くながら小指立ててそう聞くがキンジはその指を・・・。

 「痛ててててててててて!!」

 「何言ってんだ爺ちゃん。」

 思いっきりへし折るかのように握りながらそう答えた。

 「ちょ、何してんですかキンジさん!!」

 レスティアはキンジを止めるようにレスティアは引き離そうとすると

キンジはこう言った。

 「大丈夫だ、レスティア。爺ちゃんはこれぐらいじゃあ怪我すら無しねえよ。」

 然しそれでもキンジから離そうとすると鐵はこう言って怒鳴った。

 「そうだぞ!そうだぞ!!こんないい匂いのする別嬪さん2人も連れてくるからお前学生」

 「おや、キンジ。お帰り」

 「ほおぷ!!」

 「ええええええええ!!!!」

 鐵が何か言いかけた瞬間に女の声をした誰かが鐵をぶっ飛ばした。

 無論それをまじかで見ていたレスティアは更に驚いていたが。

 然し老婆『遠山 セツ』は何事もないかのようにこう続けた。

 「あれまあ、可愛い女の子が二人も。キンジも隅が置けないわねえ。」

 平然にそう言うあたり矢張り遠山家である。

 「只今、ばあちゃん」

 「・・・お帰り、中に入りなさい。金花の『揃い踏み』があるよ。」

 そう言ってセツはキンジ達を家の中に入れようとするとレスティアはと言うと・・・。

 「あのう・・・キンジさん?」

 「?」

 「大丈夫なんですか?・・・お爺さん」

 そう聞いてレスティアは崩れたブロック塀の下敷きになっている・・・

鐵を見るとセツはこう答えた。

 「ああ、大丈夫よ。また直せばいいからね、ブロック塀」

 「いえいえ、お爺さんはどうなるんですか!?」

 「大丈夫よ~~。ああ見えて何十発も飛ばされてるから慣れてるわよ。」

 「・・・・ええええええ・・・・。」

 レスティアは何やら人外超えたナニカを見るような感じで二人を見ているが

レティシアはと言うと・・・。

 「・・・なんつうバケモノよ。」

 そう言ったそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「よう、来てたか?飛鳥、雪泉姉」

 キンジは飛鳥達を見てそう聞くと二人はこう答えた。

 「うん、店番とかで疲れたよ~~。」

 「私は今受験勉強中です。」

 そしてキンジは半蔵達を見た後に少し大きなバックを置くとキンジは

全員に向けて・・・真剣な表情でこう言った。

 「皆に話さなければいけないことがあります。」

 「何じゃ?・・・キンジ君」

 半蔵は何事だと思っているとキンジはセツに向けてこう言った。

 「ばあちゃん、爺ちゃんも連れてきてくれない?大事な話があるんだ。」

 「・・・分かったよ。」

 セツはキンジの表情を見てそう言うと鐵を連れてきた。

 無論・・・無傷だ。

 そしてキンジは鐵が座るのを見るとキンジは全員に向けてこう言った。

 「皆に話す事なんだけど・・・兄さんの事で」

 「そうだよ!!遠山君!!じっちゃん達に言わなきゃいけなかったじゃん!!」

 「そうですよ!それに金一さんは!?来てるんですよね!!」

 飛鳥と雪泉がそう聞くとキンジは袋からある物を出した。

 それは・・・。

 「これって!?」

 「まさか・・・!!」

 飛鳥と雪泉はそれを見てまさかと思って見たものは・・・。

 血だらけの服と金一が使っていた拳銃『ピースメーカー』であった。

 「遠山君・・・これって・・・・」

 飛鳥はまさかと思いながら聞くとキンジは意を決してこう答えた。

 「ああ・・・兄さんの・・・遺品だ。」

 「「!!!!!」」

 二人は揃いも揃って息を呑むとキンジはこう続けた。

 「これから話すことは全て・・・真実だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてキンジは全てを話した。

 金一が『イ・ウー』に潜入し、何をしてきたのか。

 そして『イ・ウー』の戦いで敵のトップに戦いを挑んだこと。

 そしてキンジの目の前で金一が・・・死んだことも。

 全てありのままを話した。

 全員がそれを聞いたが・・・飛鳥は俯いたままこう言った。

 「・・・嘘だよ。」

 「飛鳥さん。」

 「嘘だよ・・・嘘だよ・・・嘘よ!!」

 「何で!?何で金一さんが死ななければいけなかったの!?」

 「折角また会えたのに!!」

 「また一緒に・・・一緒に・・・・昔みたいに・・・また・・・。」

 飛鳥が泣きながらそう言うが遂に言葉を詰まらせて泣きじゃくると

キンジは・・・飛鳥を抱きしめてこう言った。

 「と・・・遠山君!?」

 「・・・泣けよ。」

 「へ・・・・?」

 「今は泣いても良いんだ。」

 「俺がこうやって抱きしめてやるから・・・雪泉姉もさ。」

 「飛鳥と一緒に・・・泣いて良いんだ。」

 するとキンジも静かにだが頬に・・・涙を流していた。

 そして飛鳥達も・・・決壊するかのように涙を流した。

 「ウワアアアアアアン!!!」

 「アアアアアアアアアア!!」

 二人が泣く姿を見て両家の祖父母達は・・・。

 肩を震わせていた。

 するとセツは遺品の中にある写真を見つけるとキンジに向けてこう聞いた。

 「キンジ・・・これは・・・」

 「ああ・・兄さんの胸ポケットに入ってたよ。」

 そう言ってセツが見ていたのは・・・・。

 血まみれの写真の中で未だ赤ん坊の頃のキンジを中心に撮った・・・父や母、

そして金一がいる・・・写真であった。

 「あの子・・・未だ持ってたのね。」

 セツはそう言うと・・・涙を流してこう言った。

 「お帰り・・・・金一。」

 セツの言葉に全員が涙を流し始めた。

 すると鐵がいきなり立ち上がると部屋から立ち去る寸前にキンジに向けて

こう聞いた。

 「キンジ、・・・金一は最後に・・・何て言って逝ったんだ?」

 後ろ姿であるがそう聞くとキンジはこう答えた。

 「・・・『アリガトウ』・・・って。」

 「・・・そうか。」

 そう言って鐵は部屋から出て行くとある所に向かった。

 そこは屋根であった。

 屋根に上っていった鐵はそのに座り込むと空を見上げてこう言った。

 「金一・・・金叉には会えたか?」

 そう言うと鐵は・・・鼻声で・・・泣きながらこう言った。

 「馬鹿野郎が・・・俺よりも・・・先に逝くたあ・・・爺不孝者だな・・・

お前はよ!!」

 最後に歯を食いしばりながらそう言って鐵は人知れずに・・・泣いていた。

 嘗ては息子の死を・・・、そして今・・・孫の死を聞き・・・青く美しい空を

恨むかのように・・・泣いていた。




 親よりも先に死ぬ。
 それこそ最大の親不孝である。

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