予測不可能者  遠山キンジ   作:caose

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 いつの世も出会いは突然だ。


訪れは唐突に

 あの後キンジは国連軍に戻った後、もう一度基礎からやり直していた。

 無茶苦茶なやり方で強くなろうではなく自分の限界を見極めつつ戦い方を

模倣していた。

 無論レスティア達もそれを応援するような形で見守っている。

 そんな中キンジは今ある所にいる。

 そこは・・・。

 「(・・・・・未だだな。)」

 国連軍の修練場である。

 未だここにいるのかと思っているが今は違う意味でここにいた。

 その目的は・・・。

 「(あの時から夢見る・・・あの場所に。)」

 金一の死を仲間たちに告げてからという物ある夢を毎日の様に見ていたのだ。

 周りが全て黒色

 そんな場所にある一頭の・・・ナニカがそこにいた。

 黒い体。

 両肩に付いている大きな盾と剣が一対化した武器。

 二本足で目の前に立ちふさがっていた。

 ・・・お前は一体誰だ!!

 キンジはそう言うが黒いナニカは何も言わずに黙り込んだままある場所を

指さしていた。

 キンジはその方向を見てそれを見るとそこにあったのは・・・。

 ・・・剣?

 白い剣であった。

 それらが幾つもあるのを目にするとそのナニカは・・・大きな咆哮を上げた。

 ・・・グおアアアアアアアアアアア!!!

 それが全てである。

 それをキンジは意識を集中させてその場所に向かおうとしていたのだ。

 「(未だだ!・・・後もう少し!!)」

 キンジはそう思いながら更に集中しているがここで見落としていることが一つ。

 ・・・あんたそこに入れば誰が来るのか・・・分かってるよね?

 「何やってんだこの大馬鹿がアアアア!!」

 「ぎゃふん!!」

 唐突に防人が現れてキンジの頭に拳骨を叩き込んできた。

 「何するんですか防人さん!!」

 キンジがそう言うと防人はこう言ってキンジに怒鳴った。

 「何してるはこっちの台詞だ馬鹿が!お前また何こんな所に

入り浸っているんだ!!もう夏休みも終わりそうだからさっさと家に帰れって

言うか外でレスティアちゃん達と山にでも行って頭冷やして」

 「俺が外に出たらどうなるんか分かってんすか防人さん???」

 キンジは防人に向かって・・・ハイライト無しどころかカオ〇シと同じ表情で

そう言いながらこう続けた。

 「俺が外に出るとねえ、何でだか分からないけど色々と巻き込まれるんだよ~~だからここで夏休み終わりまで引きこもってたいんですよ~~~。」

 「お前お化けに憑りつかれたのか?」

 防人はキンジのその表情に少し恐怖しながらもそう聞くとキンジは・・・。

 「お化けならまだマシだアアア!!」

 大声で反論してこう言った。

 「前にプールに行ったら前に知り合った奴に水着姿で出会って抱き着かれて

挙句にキスされて何の因果か分からないけど幼馴染にバレるわ爺ちゃん達には

冗談半分で『曾孫何時見れるんだ?』何て言うから面倒くさい事この上ない状況になっちまったんだぞ!!どうしてくれるんだああああ!!」

 「いや、それって俺よりも普段のお前の生活となんら変わんなくないかって

言うかお前少し本気で休め。」

 防人はそう心配するがキンジは更にこう続けた。

 「それに『ザビー』が使えないから精神集中の訓練しか出来ないって

何時になったりゃ」

 キンジが言いかけると防人が・・・アイアンクローをしながらこう言った。

 「誰のせいだと・・・・思ってんだこの馬鹿がアアアアアアア!!!」

 「グォォォォォオオ!!」

 「お前が『ライダーシステム』を二人羽織宜しくデやっちまったせいで

『ザビー』の修理でこっちはてんてこ舞いなんだぞ!!どう責任取るんじゃ

おるわああああああ!!」

 「す・・・・すみましぇんでしちゃああああ」

 現在『ザビー』は前の戦いの後にシステム不良が見つかったため修理中なのだが普通の修理とは違い二つの『ライダーシステム』のデータが使用されたため

時間がかかるのだ。

 「全く、さっさと帰って家の掃除ぐらいして来い!良いな!!?」

 「はい・・・分かりました。」

 キンジは防人からのアイアンクローから解放されてからそう言った後に急いで

レスティアたちを呼んで荷造りさせて次の日に帰ることとなった。

 

 

 

 

 

 

 午後に国連軍基地から出てキンジが学園島に着いた時にはもうすぐ

夜になろうとしていた

 そんな中でも矢張り暑い。

 何せ夏真っ盛りなのだから。

 「・・・暑いなあ。」

 「はい・・・早く休みたいですウウ。」

 「このままじゃアタシたち・・・溶けちゃいそうよ~~。」

 三人ともそう言いながらダラダラと・・・歩きながら自分たちが暮らしている

部屋に向かった。

 「・・・やっと帰ってきたな。」

 「そうですね。」

 「早く入りましょ~~。」

 レティシアは早く休みたいようなので早く部屋に向かおうとすると・・・。

 「あ、キンちゃん。」

 「げ・・・・白雪。」

 キンジはその姿を見てイヤそうな顔になった。

 何せあの拉致事件の後から暫くは会わない様に色々と工夫してきたのだ。

 それに彼女たちに対する接触はご法度のはずじゃないのかと思っていたが白雪は何やらソワソワした様子でキンジに対してこう言った。

 「あのね、キンちゃん・・・そのね・・・話したいことが」

 「あるなら端的に伝えろ。今回は幼馴染に免じて報告させないしその首に

付いているチョーカーの事も含めて目を瞑るから早く」

 「何ですかその態度は!!」

 キンジが白雪に対して素っ気ない態度をしてそう言うと白雪の後ろから

大声が聞こえた。

 「折角姉さまが来て下さったのにその態度は何ですか!!

恥を知りなさい!!!」

 「こら、粉雪!?」

 「粉・・・雪・・・・・!!」

 キンジは白雪のその言葉を聞いて思い出した。

 五芒星の家紋が入った風呂敷包みを背に背負い。

 赤い唐傘を日傘にした・・・黒髪セミロングの目がきつめの少女。

 「お前・・・・『粉雪』か!?」

 「ええ、そうですよ。」

 粉雪という少女がそう言うと彼女はキンジを見るなりこう言った。

 「やっぱりお姉さまを誑かしていたのは貴方だったんですね!!悪しき武偵

『遠山キンジ』!!」

 「「「・・・・はああああ?」」」

 キンジ達はその言葉を聞いて・・・何じゃそりゃと思っていた。




 粉雪・・・そいつじゃなくてお前の姉さんが悪しきだぞ。

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