あれから寒い冬が訪れた。
「はあ、はあ、はあ。」
飛鳥は自身の家に帰って行く途中であった。
この時武偵校も冬休みに入りそれぞれ家に帰っているのだ。
そして自身もそれにより家に帰っていった。
彼女の家は「寿司どころ 服部」と言う小さな寿司屋であるが地元から愛されており
常連もいる程である。
さてさて間もなくクリスマスであるが老人たちは孫が帰ってくるのに備え玩具と
お昼に寿司を頼む事がしょっちゅうあり今は書き入れ時である。(大晦日も然り)
「じっちゃん!只今ー!」
「おお、お帰り飛鳥。早速で悪いんじゃが」
「店の手伝いでしょ?二人は?」
飛鳥は店の奥にある自室にへと向かいながら半蔵にそう聞くと半蔵はこう答えた。
「一人は出前に行って、もう一人は昼ご飯の準備をしておるぞ。」
そう言っていると飛鳥は台所に立っている人間を見た。
足元まで届く長髪を三つ編みにし、包丁の叩く音と鍋の煮える音が聞こえていた。
「只今!カナメちゃん!!」
「!・・・お帰りなさい飛鳥ちゃん。」
カナメが台所で昼食の準備をしていた。
「今日は皆さん忙しそうだからサンドイッチを作ってます。おかずのから揚げも後でどうぞ。」
「ありがとうカナメちゃん!」
飛鳥はカナメにお礼を言った後自室に入って寿司屋の制服に着替えていた。
そして着替え終わるとスクーターの止まる音が聞こえた。
「ああさみい!!半蔵さん!終わりました!!」
「おおご苦労さん。後は婆さんが魚の買い入れの補充が済めば昼からの作業に
取り掛かれそうじゃ。」
それじゃあそれまで二人とも小休止じゃと言うと飛鳥は店に入るなりその
帰ってきた人物に向けてこう言った。
「お帰り!遠山君。」
「おお只今。飛鳥」
それは黒髪の青年キンジであった。
あの後浅草に向かったあと半蔵の計らいで寿司屋で働かせてくれるように配慮した。
最初は裏方の仕事や魚の買い付けの手伝いなどをしていたが噂がなくなったことから出前や店の手伝いをするようになった。
無論それだけではなく自身が武偵になる前「忍び」として過ごしてきた際の
経験と技術をキンジと彼と一緒に強くなりたいとカナメも混じって特訓させた。
半蔵はカナメび戦闘経験があるんじゃないかと特訓の中で知るがそれは後にしようと考えた。
そして昼の仕事と夜までの通常営業が終わると帰ってきた「服部 小百合」と夕食をすることとなった。
「「「「「いただきます。」」」」」
それぞれそう言ってご飯を食べるとキンジは飛鳥にこう聞いた。
「そういや皆元気していたか?」
「うん武藤君は相変わらずだけど不知火君がサポートしてるよ。白雪さんは・・・
遠山君がいなくなった後何だか少し怖かったけど他の皆は元気だよ。それと雪泉姉は
暫く生徒会関連で来るのが年末だって。」
それを聞いた後飛鳥はこう続けた。
「ねえ遠山君。・・・何時でも良いけど、私今幸せだよ。こうやって一緒に
笑っているだけで良いから。」
そう言った後飛鳥はご飯を進めた後キンジは小さな声でこう言った。
「・・・ありがとう。」
そう言った後キンジは心の中でこう思っていた。
「(一度戻ってそして世間にこう言うんだ。『遠山金一は間違って
いなかった!!』って言えるぐらいに強くなろう!)」
すると隣に座っていたカナメもにこっと笑って答えた。
ここから新たに始めようと決心して。
そして始業式前にキンジは半蔵達にお礼を言って武偵校に戻っていった。
その時のキンジの顔には後悔などなかった。
次回から第一巻です!!