予測不可能者  遠山キンジ   作:caose

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 猫は気まぐれでずる賢くて・・・何故か癒される。


猫にご用心。

『それでは当系列会社特別企画《にゃんにゃんカモン》を始めますう!!』

 店員の言葉を聞いて店にいる人たち全員が拍手をするが約1名は・・・暗い感じになっていた。

 「何で俺が・・・。」

 キンジであった。

 動物に好かれずにそれどころか必死に威嚇されたり吠えられたりとされるほど

動物に嫌われてるのだ。

 一方のレスティアはと言うと・・・。

 「見て下さいキンジさん!猫があんなに!!」

 目を輝かせて喜んでいた。

 キンジとは正反対でレスティアは動物に好かれるのでこう言うのが好きなのだ。

 すると店の店員の女性がルールを説明してきた。

 『ルールは簡単!1分以内に猫を何匹か来させてその合計数で勝者を決めますが

席を立ったり手で猫を掴んだら失敗ですのでしてはいけまへんでぇ!!』

 『それでは準備宜しいでしょうか?・・・始め!!』

 そしてその言葉通りに始まった。

 客は全員「おいでおいで」などと猫なで声を出したり口笛を吹いたりして

猫を呼び始めるが・・・猫は警戒心が強く、用心深い生き物なのでそんな程度で

初めての人間相手に来るはず等ないのだ。

 そう・・・約1名除いては。

 「はいはい、こっちですよ~~。」

 レスティアである。

 彼女の足元には・・・結構いた。

 どうやってこさせたのかと言うくらいいた。

 「お前・・・やっぱスゲエな。」

 キンジはその光景を見て初めて出会った日を思い出した。

 「(そういやあ、あの時も猫に囲まれていたなあ。)」

 そう思っていると・・・。

 「にゃ~~。」

 「?」

 キンジの足元から猫の鳴き声が聞こえた。

 「どうしたんだお前?」

 キンジはそう聞くとその猫はキンジの足元にまで行くと・・・。

 「にゃ~~。」

 ゴロゴロと喉を鳴らしてすり寄ってきたのだ。

 「・・・・え?」

 キンジはそれを見て驚いているが暫くするとレスティアは驚きながら

こう言った。

 「良かったじゃないですかキンジさん!動物に好かれてるじゃないですか!?」

 そう言うとキンジはその猫を恐る恐る撫でようとすると・・・。

 「うにゃ~~。」

 自分から頭を出してすり寄ってきたのだ。

 「・・・・。」

 それを見たキンジはレスティアに対して・・・泣くような表情で見ていた。

 「えーー!!どうしたんですかキンジさん!」

 そう聞くとキンジはこう答えた。

 「俺・・・初めて・・・動物撫でれて・・・嬉しくて・・・(´;ω;`)」

 「ああ・・・ですか。」

 何ともいたたまれない光景であった。

 そして・・・。

 『終了ーー!!優勝者はキンジ・レスティアチーム!!優勝者には

半額キャッシュバック券をプレゼントやーー!!』

 何だか分からないが半ばやけくそな感じでそう言っていた。

 するとレスティアがこう言った。

 「良かったですね。キンジさん。」

 「ああ、そうだな。」

 まあ・・・何とかなったかなとそう思うキンジであった。

 

 

 

 

 

 

 

 あの店の隣は如何やらセレクトショップだったらしいのでそこで秋や冬用の服を買う事にしたようだ。

 全員キャッシュバック券を使っているので結構買えたと喜んでいた。

 「まあ・・・俺の財布はぼろぼろだがな。」

 そう言いながらキンジは武偵校生用の口座から自身の金を引き下ろしていた。

 無論国連軍から貰った給与金もあるのだがそれは万が一の為に保管することとなっている。

 そんな中でキンジはナニカいるなあと思って周りを見渡していた。

 「?・・・何だ」

 そう言うと上から・・・ナニカが降りてきた。

 「!!何だ・・・お前かよ。」

 「にゃ~~。」

 あの時キンジの所にやってきた黒猫がキンジの肩に飛び乗ってきたのだ。

 その猫はキンジの顔をゴロゴロと擦っていた。

 無論それを見ていた飛鳥達は店に電話してみると向こうはこう返した。

 『ああ、それやったらアンタらが引き受けてくれんやろかあ?』

 「ええ、良いんですか!?」

 『うちの店にいる猫なあ、ペットショップや悪質なブリーダーから引き取った

動物でな。他にも犬やウサギ、鳥とかの専門もあるんや。』

 『その子は怪我した野良猫でなア、可愛そうに結構傷だらけやったんやあ。』

 『やからうちらは里親探しも兼ねて経営してたんや。』

 『その子今まで他の客には愛想一つせんから心配やったんやけどその子気に

入ってくれてる子がおるからなあ。』

 『せやから・・・その子を頼めまへんやろかあ?』

 店員の言葉を聞いてどうしようかと思って見てみると・・・。

 「おい、やめろって。」

 「にゃ~~。」

 キンジのカバンの中に入って寛いでいた。

 キンジは飛鳥の電話を借りるとこう言った。

 「分かりました。引き受けますよ。」

 『ほんまかあ!?良かったわあ。その子の事大事にして下さいね。』

 ではと店員が電話を切った。

  「良いの?」

 飛鳥がそう聞くとキンジはこう答えた。

 「まあな、ここまでなついてくれてんのに追い返すのもなあ。」

 そう言いながらキンジはバックの中で寝ている黒猫を見てそう言うと

レスティアがこう提案した。

 「でしたらその子の名前を考えないといけませんね。」

 そう言うと全員で何にするか考えると飛鳥はキンジに向けてこう聞いた。

 「遠山君はどういう名前が良いと思うの?」

 そう聞くとキンジは暫くして・・・こう決めた。

 「『クロメ』」

 「?」

 「イヤな、こいつって雌だろだからだ。」

 「そのまんまだね。」

 「ウルセエヨ。じゃあお前は如何なんだよ?」

 「う~~ん、・・・『クロちゃん』」

 「没だ。」

 そう言うとキンジは黒猫に向けてこう聞いた。

 「お前、『クロメ』でいいか?」

 そう聞くと黒猫は・・・。

 「うにゃ~~ん。」

 にこやかに微笑んでいた。

 「良し、お前の名前は今日から・・・『クロメ』だ。」

 「にゃ~~ん。」

 それを聞いたクロメの顔は穏やかであった。




 次回は宿です。

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