キンジとアリアはあの後一階のバーに向かっていった。
すると・・・。
ブー!ブー!ブー!とキンジのポケットからバイブレーションの音が響いた。
「あんた何やってるのよ!?電源消したの!!?」
アリアはそれを聞いて小さな声で怒鳴り散らすとキンジは慌てながら携帯電話を
出そうとすると・・・ある事を思い出した。
「そういやもうメールが来ているはずだよな?」
そう思い携帯電話の時刻を見た後キンジはその携帯電話を見ると確かにメールが
来ていた。
『遠山キンジ様 貴方達を狙っている≪武偵殺し≫の正体が分かりましたので
名前と画像データを送信いたします。
敵は貴方のすぐ近くにまだいる可能性が高いので気を付けて下さい。』
それを見たキンジは携帯電話の画面をスクロールしてその人間の正体を・・・
見てしまった。
「!!」
「如何したのよキンジ?」
アリアはキンジの表情を見て何かあったのかと話すとキンジはアリアに向けてこう言った。
「・・・如何やら俺達は足元を掬われてしまったようだぜ。」
そしてキンジ達はそのままバーに向かうとその部屋のシャンデリアの下で
フリルたっぷりの・・・武偵校の制服を着ていたフライトアテンダントが
足を組んでそこでカクテルを嗜んでいた。
キンジはその服を見て確信に変わった。
これ程変な改造服を着て活動する武偵はキンジが知っている限り只一人しか
いないのだ。
「まさか手前が≪武偵殺し≫だったとはな、俺達はまんまと騙されていたわけだ。
ずっとアリアがお前を捕まえようと四方八方する様を見ていて楽しかったんだろう?」
キンジはそう言いながら銃を構えた。
「いい加減に正体を現したらどうだ?『峰 理子』いや・・・。」
そしてキンジはメールが送信されていた方の携帯電話をフライトアテンダントに
向けてこう言った。
「『峰 理子 リュパン四世』!!」
「!!」
キンジの言葉にアリアは雷を撃たれたように驚いていた。
何せ目の前にいるのは嘗ての先祖の仇の末裔なのだから。
「・・・まさか私の正体をここまで気づくなんてやっぱり凄いな、キー君は。」
そう言いながらフライトアテンダントは自分の顔を掴むと・・・べりべりと
はがれ始めたのだ。
そしてその下から・・・もう一つの顔が現われた。
それこそ「武偵殺し」峰 理子であった。
「BON SOIR」
こんばんわとフランス語でそう言うと理子はこう続けた。
「でもさ、家の人間は皆理子の事をさ『四世。四世。四世。四世様』って皆私の名前じゃなくてそう言う記号で呼ぶんだよ~~。酷くない?」
「それがどうしたって言うのよ?・・・四世のどこが悪いのよ?」
アリアがそう言うと理子は・・・目ん玉をひん剥かせてこう言った。
「--悪いに決まってるんだろ!あたしは数字か!?記号か!!?あたしは『理子』何だよ!!それなのにどいつもこいつもアタシの事を認めてくれない!!」
だから!!と理子は天井を見上げてこう言った。
「曾お爺様を越えるためにあたしは『イ・ウー』に入ってこの力を得た。
あたしはこの力で自分を手に入れて・・・自由を得る!!」
そのために!!と今度はアリアに指さしてこう言った。
「あんたをおびき寄せるためにこれ迄殺してきた武偵16人の経験値を総動員して・・・あんたを殺す!」
だけどと今度はキンジの方を見てこう言った。
「知っての通りだと思うけどホームズ家の一族にはパートナーがいないと十全に発揮されないから条件を合わせるために選んだのがお前だ。」
「・・・何で俺なんだ?」
キンジは静かにそう言うと理子はニヤリと笑ってこう言った。
「アリアと同じ実力で曲者ぞろいの『アサルト』を纏め上げているお前こそ
ふさわしいと思ったからさ。でもよ~~。チャリジャックの時にゃあ簡単な電波で
気づかせても駄目だからさあ、態々変装してバスジャックに乗り込んで見ていたのに
お前ら協力せずにキンジが一人でアタシの無人車両を全部倒しちまったから
どうしようかと思ったら何故か分からねえがちゃんと来てくれたようだから
助かっちまったよ。」
「・・・やっぱりあの女子中学生はお前だったようだな。」
「・・・気づいてたのかよ?」
「最初は気づかなかったがあの無人のスポーツカーが来た後に疑問に思ったんだよ。『何でこんなにジャストなタイミングだったんだ?』ってな。」
そしてキンジは理子を見てこう言った。
「あの時犯人がそこでネットワークを経由して操作すりゃ大抵のタイミングが合う筈だからな。それでこそ『中にいない限り』見えてなかったはずだぜ?」
そう言うと理子は更に笑うとキンジに向けてこう言った。
「ハハハハハ!!まさかそれだけで真実に辿り着いちまうとはこりゃあとんでもねえ推理力持った奴だぜ!まるで曾お爺様のライバルみてえな奴だぜ!さあ来いよ!!
これで手前をぶっ飛ばす準備が整ったってもんだぜェ!!」
そう言うと理子はスカートから二丁のワルサーP99を出した。
戦闘が始まった。
火蓋は切って落とされた。