予測不可能者  遠山キンジ   作:caose

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 玉屋と鍵屋は大体同じです。


花火を見て

 「「「「「「「玉屋ーー!!」」」」」」」

 キンジ達は屋形船で花火を見ていた。

 無論デュランダルの事も考えて警戒しているがそれはそれ、これはこれである。

 白雪も今回は楽しんでいた。

 「ねえキンちゃん、覚えてる?青森の花火大会?」

 白雪は花火を見ながらキンジにそう聞いた。

 キンジはそれを聞くとこう答えた。

 「ああ、覚えてるぜ。あの後俺滅茶苦茶怒られてお前土蔵に数日間

閉じ込められたな。」

 「・・・遠山君。そんなことしてたの?」

 キンジはその後についても答えると飛鳥はそれを聞いて呆れていた。

 「あの時も・・・キンちゃんが、私を星伽から出してくれた。」

 「いや結果的に出したのアリアだろ?」

 キンジはアリアを見てそう言った。

 そのアリアも花火を見てご満悦であった。

 「それでもね・・・私からしたらキンちゃんがきっかけを作ってくれたから・・・

今日はありがとう。」

 白雪がキンジに向かって笑顔でそう言った。

 「そうか。」

 キンジも満更でもないような表情でそう言うと・・・雪泉がキンジにこう言った。

 「ほらキンジさん、白雪さん!!!そろそろ最後ですよ!!」

 そう言って窓の方を見るとフィナーレなのか今までの中で大きな花火が

打ち上げられた。

 その中で・・・携帯が鳴った。

 「あ、ごめんなさい。」

 白雪の携帯であったようだ。

 「ごめんねキンちゃん。ちょっと後ろにいるけどメール見るだけだから。」

 「分かった。だけど俺の背中合わせでいろよ。」

 「うん。分かった。」

  キンジは白雪の言葉を聞いてそう言うと自身の背中の近くにいることを

確認した。

 そしてそのメールを見た白雪の顔色は・・・少し蒼くなっていた。

 

 

 

 

 その後白雪は船から降りてキンジの家に帰った後「少し疲れたからもう寝るね。」と言って部屋に入った。

 その時キンジは失念していた。

 あの時のメールの事を聞いていれば・・・あのような事にはならなかったかも

しれない。

 

 

 

 

 

 

 そして海際にある何処かの雑居ビルの2階にある居住部屋。

 そこではある人間が勝手に・・・住み込んでいた。

 そこには数多の写真と『アドシアード』に関する資料、学園島の各ブロック毎の

簡単な見取り図などが所狭しとあった。

 そしてそこにいる人間がずっと同じ写真を見ていた。

 それはアングル毎であるが・・・カナメの写真があった。

 ご飯を食べている所。

 洗濯をしているところ。

 買い物をしている所。

 色々なアングルの写真があった。

 「ああ姉さん。いつ見ても良い笑顔ね・・・こいつさえいなければ。」

 そう言いながらキンジと仲睦まじい様子で笑っているカナメの写真を見ると・・・

強いナニカを感じた。

 「なんでそいつに見せるのよ姉さん。その笑顔はいつも私に見せてくれるのに何で?

何でナンデナンデナンデナンデナンデソンナヤツニミセルノヨ!!」

 そう言いながらその人間は机を叩いた後ダーツボードを見た。

 そこには幾つも串刺しになり、穴だらけになったキンジの写真があった。

 「待っててね姉さん。直ぐにそいつを殺して・・・ムカエニイクカラ。」

 そう言いながらダーツをキンジの写真に当てると・・・その写真が凍り始めたのだ。

 そしてその人間はある物をみた。

 それぞれ色違いであるが・・・同じ槍と剣があった。

 「さあ・・・始めましょう!私と姉さんの再会ドラマを!!」

 「アハハハハハハハハ!!」

 そう言いながらその人間は狂ったように・・・笑い出した。




 美しくも狂おしい劇が幕を開けようとしていた。

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