予測不可能者  遠山キンジ   作:caose

55 / 269
 心の醜悪は誰にも理解できない。


真実の闇

キンジはザビ―を肩に乗せて走って行く中、ある部屋にへと向かった。

 そこは・・・。

 「後はここだけか。」

 キンジが着いた場所は弾薬が管理、保管されている大倉庫の扉の前である。

 「粗方調べて残ったのがここだけど・・・行くしかないな。」

 キンジはそう言って銃を収めて、バタフライ・ナイフと脇差を出してゆっくりと

扉を開けて中に入った。

 キンジは潜入時には音が出やすく使えないバタフライ・ナイフの刀身を

鏡代わりにして進んだ。

 そしてしばらく歩いている中声が聞こえた。

 「誰かいるな。」

 キンジはそう言って少しずつ近づくと・・・それが分かった。

 「(白雪!!)」

 キンジは巫女装束の白雪を見つけると足元にある誰かを見つけた。

 「(カナメ!!)」

 キンジはカナメを見つけるや否や助け出したいという衝動を耐えて、様子を見ようとしていた。

 「デュランダル。貴方がどうして私を欲しがるのか分かったけど何で彼女もなの?

超偵でもない一般人なのに?」

 白雪がキンジから見て不規則に並べ替えられている火薬庫の奥で誰かと話していた。

 『彼女は貴方が思っている以上に重要だからよ』

 「(ボイスチェンジャー!!)」

 キンジは機械的に修正された音声を聞いてそう確信した。

 「それと約束を覚えているわね。」

 『勿論だ。彼女と君を連れ去れるなら彼を・・・遠山キンジを生かしてやろう。』

 「(どう言う事だ!?)」

 キンジは何のことだと思っている中その声の主はこう続けた。

 『然し君も悪女だねえ。虫一匹も殺さない顔をしているくせに男の周りにいる女を

遠ざけたいだけで私に協力するなんて。』

 「!!違う!私はキンちゃんの安全の為に貴方を!!」

 『あらあら何言ってるんだ?君は夜な夜な彼女達を呪い殺そうと幾つもの呪術法を

学んでいることもお見通しだよ。』

 「違う違う!!私はただキンちゃんの為と思って!!」

 『それだけじゃない。君は彼女の写真を切り刻んで殺す所を何度も何度も

想像してるんだろ?成程成程。優秀な人間ほど闇は深いと言うのは本当だねえ。』

 「イヤ!!もうやめて!!」

 白雪は頭を振りながら否定するも彼女の言葉にドンドンと追い込まれていることに

気が付いてない。

 『まあ約束は守るさ。・・・彼がここにいなければね。』

 「へ?」

 「そこまでだ。」

 声の主の言葉に白雪は声のあった方向を見た。

 そこにいたのは脇差を構えていた・・・。

 「デュランダル。お前を誘拐、犯罪教唆の現行犯で・・・そして、星伽 白雪。

お前を誘拐の容疑で逮捕する。」

 遠山キンジがそこにいた。




 真実は残酷にも二人を分かつ。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。