予測不可能者  遠山キンジ   作:caose

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 パンドラの箱は開けるとき細心の注意を払え。


その記憶は果たして戻して良い物か?

「・・・ううん。」

 キンジが来る少し前、カナメは目を覚ました。

 辺りを見ると大きな機械が至る所にあった。

 「ここは、一体・・・?」

 カナメはここが何処なのかと思いながら記憶を辿っていた。

 「確かあの時・・・白雪さんが来て・・・それから・・・何かが首元に!!」

 カナメは全てを思い出した瞬間・・・何処からか声が聞こえた。

 「久しぶりねぇ。姉さん。」

 「!!」

 カナメは誰かと思いそれを見るとそこにいたのは・・・。

 「わ・・・私?」

 自分と髪の色以外全てそっくりな黒いドレスを着た女性であった。

 「・・・やっぱり忘れてるのね。」

 「何の事です?」

 その女性の言葉にカナメが問いかけると女性は人差し指を頭に添えてこう言った。

 「大丈夫。次に目を覚ましたら全て思い出すから、それまで寝ててね。姉さん♡」

 そしてそれを着た瞬間カナメは・・・再び失神した。

 「さてと・・・あの男を殺せば全部上手くいくわ。」

 そう言って少女は近くにあった黒い槍と剣を携えた。

 

 

 

 

 

 そして前回の終わりに繋がる。

 「初めまして、遠山キンジ。」

 キンジはその女性を見て驚いていた。

 髪が銀髪である事以外カナメと瓜二つなのだから。

 「お前は一体」

 「あたしはあんたが『カナメ』って言ってる女の双子の妹よ。」

 キンジの言葉に少女は素知らぬ顔で明かすとこう続けた。

 「そしてまあ貴方達が名付けた『デュランダル』の片割れよ。」

 「片割れ・・だと、・・・じゃあまさか『カナメ』も」

 「姉さんをそんな俗な名前で呼ぶな汚らわしい。」

 キンジの言葉に少女は吐き捨てるように言うと少女は持っていた槍を構えて

こう言った。

 「さあ始めましょ、遠山キンジ。私達の再会を貴方の死で飾ってあげるわ。」

 そう言うと少女はそのままキンジに突進してきた。

 

 

 

 

 

 「剣道三倍段」を知っているか?

 剣で槍相手に戦う際には相手が槍の初段に対して剣を使う方はその三倍の段を

持っていなければ互角に戦えないという事だ。

 そしてそれは現代でも変わらない。

 「くそっ!」

 「そらそら!手も足も出ないのかしらあ!!」

 キンジは如何にか耐えているが彼女の槍さばきはとてもではないが対応することが

難しいのだ。

 槍とは突くだけではなく振り下ろし、叩き、いなすことが出来る武器なのだ。

 無論剣でも出来るがリーチの長さのより防御領域を作れるという利点があるのだが

槍はその反面密室空間ではその長さにより振りまわす事が出来ないという

愚点があったのだがそれを彼女は上ではなく左右で回すことでそれを可能としたのだ。

 そして遠心力を活かすことで打撃力を倍増させているのだ。

 キンジは何とかしなくてはと思いながらもその攻撃を対処していた。

 だがやはり剣だけでは対処が難しい。

 キンジは一度HPCの裏に隠れて考えていた。

 どうすればと思う中キンジはある事を思いついた。

 然しそれは下手すれば自分の身の危なさを助長させてしまうのではないかと

思っていたがキンジはこれ以外思いつかなかった。

 「いっちょやるか。」

 キンジは思ったが吉日だと決心してそれを仕掛けるタイミングを待ち構えていた。

 「何処に行ったのかしらあ?かくれんぼしてもここからは逃げれないわよお。」

 少女は嘲笑いながらもキンジを探していた。

 そしてキンジは懐からある物を出した。

 そしてそれを少女に投げた。

 それは・・。

 「なにこれ?・・・・くう!」

 少女の視界が突如に煙でかき消された。

 「煙幕なんて・・・二番煎じも良い・・・!!」

 少女は侮辱するような態度でそう言うと何かが来るのを煙の動きで感じ取りそれから避けた。

 「ナイフ!!・・・いえこれは。」

 それは彼女は知らないようだがそれは苦無と呼ぶ飛び道具である。

 そして彼女は周りを見渡そうとすると・・・下から何かを感知した。

 「まさか!!」

 それは脇差を口に加えたキンジがそこにいた。

 「(槍の弱点はそのリーチの長さ由縁の短距離を想定していない設計思想!

これなら!!」

 キンジはそう思いながら脇差を口から離して手に持って少女に迫った。

 「これで!!」

 キンジは勝利を確信していた。

 この時までは・・・。

 「レティシア!!」

 突如そう言う声が聞こえた瞬間・・・キンジの後ろから何かが来るのを感じ取った。

 「ちぃい!!」

 キンジはすかさずそこから離れてもう一度HPCの裏に入ろうとすると・・・ヤタガンのナイフがキンジの行動を阻んだ。

 「くそっ!」

 キンジはそう言いながら煙幕の向こうにいる誰かを見た。

 そして煙幕が晴れるとそこにいたのは・・・一人の女性であった。

 紫色のドレス

 銀色の手甲とティアラ

 白色の槍と剣

 そして何よりも・・・鮮やかな足元まで届きそうな金髪

 それをキンジが見た瞬間・・・その人間が誰なのかが一目で分かった。

 イヤ・・・分かってしまったのだ。

 だってそれは・・・初めて彼女と出会った時に着ていたのだから。

 「何でお前が・・・いるんだよ?」

 自分が初めて自身の力で救おうと決めていた彼女

 「なあ・・・答えてくれよ?」

 そして何より・・・孤独を癒してくれたヒト

 「何でここにいるんだ『カナメ』!!」

 遠山カナメが武器を持ってそこにいたからだ。




 そして悲しき真実が明らかになる。

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