予測不可能者  遠山キンジ   作:caose

64 / 269
 互いに譲れないものがある。


譲れない思い。

 「姉さーーん!!」

 「レティシア---!!!」

 嘗ては共に戦った姉妹。

 今はお互いの自分の為に闘っている。

 レティシアは姉を連れ戻すために。

 カナメはキンジと共に居たいという願いの為に。

 どちらが正しいのかは誰も分からない。

 何故ならどちらも・・・願いの為であるからだ。

 「はあ!!」

 レティシアは槍を穿つようにカナメに当てようとし・・・。

 「てえい!!」

 カナメは剣で槍の軌道を逸らしながら接近戦で戦っていた。

 「くう!」

 「貴方にその槍の戦い方を教えたのが誰なのか忘れましたか!」

 「姉・・・さん!」

 

 

 

 

 

 『あたしの勝ち―!』

 『ふぁあん、また負けたア!』

 何処かの小さな農家の家。

 二人はそこで生まれ、育った。

 双子であった彼女達は髪の色以外は同じである。

 二人はよく棒を使って戦いごっこをして遊んでいた。

 無論、近所にも子供たちがいるがどちらかと言えば二人で遊ぶタイプであった。

 『---!!、レティシア!!ご飯よーー!!』

 『はあい!!行こう、レティシア!』

 『うん!!』

 二人はいつも一緒で本当に仲の良い姉妹であった。

 

 

 

 

 

 だがそれもたった一人の男の存在で狂った。

 

 

 

 

 

 キンジの存在により姉は恋を知り、妹は彼に殺意を抱いた。

 全く違うコインの裏表のようになってしまった二人はあまりにも哀れとしか

言えなかった。

 「はアア!!」

 カナメの剣がレティシアの槍を真っ二つに叩き切った。

 そして・・・。

 「もう観念してください。レティシア」

 「・・・姉さん」

 カナメはレティシアの喉元に剣を突き立てた。

 勝負ありと思っていたその瞬間・・・爆発音が聞こえた。

 ドカーーン!!

 「!何です!?」

 カナメはその音に気を取られた瞬間にレティシアは跳躍してそこから離れた。

 そして・・・。

 「遠山君!!」

 「キンジさん!!」

 HPCの上から飛鳥と雪泉が彼女達を見た。

 「え!?どう言う事!!?カナメちゃんが二人!!??」

 「いえ、よく見て下さい!!二人の髪の色が違います!!」

 もしかしたら彼女がデュランダル?と飛鳥の言葉に雪泉が違いを説明していた。

 更に・・・。

 「キンちゃん!」

 「「キンジ!!」」

 白雪と夜桜、華毘も駆けつけた。

 そして最後にアリアがガバメントを取り出してこう言った。

 「デュランダル!あんたを未成年略取の現行犯で逮捕するわ!!」

 そう言うとカナメはレティシアに向けてこう言った。

 「もう逃げられませんよ。レティシア」

 そう言うとレティシアは・・・。

 「ふざけんな。」

 「「「「「「?」」」」」」

 「ふざけんな、ふざけんな、フザケンナフザケルンジャナイワヨ---!!!」

 突如、レティシアが大声を上げるや否やこう続けた。

 「何で、どうしてこうなるのよ!!やっと姉さんを見つけたと思ったら邪魔ばかりの連中が何人も何人も現われて計画がパアヨ!!ここまでやってきた事が

水の泡になるなんて・・・そんなこと!!」

 出来るか---!!!と言いながらレティシアが剣を抜くとカナメは全員に向けて

こう言った。

 「皆さん気を付けて下さい!!彼女は超偵です!!」

 「「「「「「!!」」」」」」

 全員がそれを聞いて構えた瞬間・・・レティシアはカナメに対してこう言った。

 「さああ・・・修正するわ。」




 そして・・魔女の牙が襲い掛かる。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。