予測不可能者  遠山キンジ   作:caose

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 貴方はいますか・・・そう言う人が。


貴方に・・・ありがとう。

「おー・・・来たかー・・・。」

 武偵校のロジ専用自動車格納庫の前で綴が煙草を吹かして待っていた。

 「先生、デュランダルと・・・+αです。」

 そう言ってアリアが助手席から出てトラックの荷台の扉を開けた。

 それを見て綴は・・・少し驚いていた。

 「アリアー・・・そこのー・・・銀髪はー・・・分かるけど―・・・白雪はー・・・

どうしたのー・・・?」

 そう聞くとアリアはこう答えた。

 「星伽 白雪は一般人を剣の鍔で気を失わせ、デュランダルに引き渡そうと

していました。」

 それを聞いた綴は・・・二やぁと笑って白雪に向けてこう言った。

 「白雪ー・・・あんたー・・・やらかしたねー・・・武偵のー・・・罪はー・・・

三倍ー・・・重いってー・・・知ってるよねえ。」

 それを聞いた白雪はビクッと体を震わせると綴はこう続けた。

 「あんたはー・・・アタシがー・・・取り調べるからー・・・

覚悟しときなー・・・。」

 それを聞いた白雪はガクガクっと震えていた。

 そしてキンジのいる方を見た後アリアはこう続けた。

 「先生、デュランダルは二人組であいつもその一人です。」

 「ちょ、ちょっと神崎さん!」

 「お主、それは今言う事では!!」

 アリアの言葉に飛鳥と夜桜が反論しようとすると綴はカナメを見るとカナメは

立ち上がってこう言った。

 「はい・・・私もデュランダルです。」

 「カナメちゃん!!」

 カナメの言葉に飛鳥が綴に説明しようとすると・・・キンジが立ち上がっってこう言った。

 「綴先生・・・こいつは・・・こいつを許してくれませんか!!」

 そして綴先生の所まで行くとキンジが綴先生に対して土下座をした。

 「キンジさん!」

 「確かにこいつはデュランダルかもしれねえ!けどこいつは罪の意識に際悩まれて

いたんだ!!だから綴先生!!頼む!!!」

 キンジはそう言って綴先生に土下座で頼むも・・・綴先生はこう返した。

 「遠山ー・・・例えー・・・どんな理由がー・・・あってもー・・・悪事をー・・・したんならー・・・償わせるー・・・のもー・・・必要だよー・・・。」

 「・・・くう!」

 キンジは綴先生の言葉を聞いて言葉が出なかった。

 たとえどんな理由があっても悪事を犯したのなら償わせるのも良心である。

 そう言う事である。

 キンジはそれであってもと思いながら両手を握っていると・・・カナメがその手を

優しく握ってこう言った。

 「ありがとうございます、キンジさん。私は大丈夫ですから・・・だからもう・・・頭を上げて下さい。」

 それを聞いてキンジはカナメに涙ながらこう言った。

 「カナメ・・・あの家で待ってるからな。」

 「キンジさん・・・。」

 それを聞いたカナメは困ったような表情で何か言おうとすると・・・綴が思いだしたようにこう言った。

 「そう言えばー・・・アタシー・・・こいつらをー・・・連れてー・・・

行かなきゃなー・・・。」

 「アリアー・・・あんたー・・・飛鳥とー・・・一緒にー・・・ダキュラのー・・・尋問室にー・・・銀髪ー・・・連れてっといてー・・・。」

 「え?」

 「あ・・・はい?」

 「白雪はー・・・アタシがー・・・連れてってー・・・行くからー・・・

雪泉はー・・・アンビキュラムにー・・・再生カプセルー・・・

頼んどいてー・・・。」

 「あ、・・・はい!」

 「それとー・・・手錠・・・置いちゃってたからー・・・取りにー・・・

行かなきゃー・・・いけないからー・・・三分ー・・・待っといてねー・・・。

その間ー・・・夜桜とー・・・華毘はー・・・ここでー・・・見張りー・・・。」

 「分かったのじゃ。」 

 「了解っす。」

 「ソレジャアー・・・逝こうかー・・・。」

 そう言って綴先生は白雪達を連行しようとした。

 「待ってください綴先生!キンちゃんをあの女と一緒にっって!!・・・

キンちゃ~~ん!!」

 「ちょっと待ってよ!あの男を姉さんと一緒にさせちゃって話聞きなさいよ!!

姉さ~~ん!!」

 二人はお互い大声を上げながら引き摺られて行った。

 それを見た後カナメはキンジに向けてこう言った。

 「キンジさん・・・待たないでください。」

 「え」

 キンジはカナメの言葉に何故と思っているとカナメはこう続けた。

 「私を持っていたら貴方はそこで時間が・・・何もかもが止まってしまいます。

それだけはさせたくないんです。」

 「・・・カナメ。」

 「だから・・・私を忘れて生きて・・・未来を作って下さい。それが私が・・・

貴方に出来る最後の仕事です。」

 「カナメ・・・。」

 キンジはカナメの言葉に泣きだしそうになっていた。

 それは・・・永遠の別れになるという意思表示であった。

 「キンジさん。」

 「カナメ」

 キンジはカナメの呼びかけの答えようとするとカナメはキンジに・・・キスをした。

 「おお!」

 「これは確かに飛鳥達には見せんが方が良いな。」

 華毘が興奮して夜桜が成程なっと思っているとカナメはキンジから少し離れると

キンジに向けてある事を言った。

 「キンジさん。私の本当の名前を伝えます。」

 「お前の・・・本当の。」

 「私の名前は。」

 「『レスティア・ジャンヌダルク』。それが私の名前です。」

 「・・・レスティア。」

 「呼んでくれませんか?貴方の声で・・・貴方の言葉で・・・私を・・・

呼んでください。」

 カナメ・・・いや、レスティアがそう聞くとキンジは・・・彼女を抱きしめて

こう呼んだ。

 「レスティア・・・レスティア・・・レスティア!」

 「キンジさん・・・キンジさん・・・キンジさん!」

 キンジとレスティアはお互い呼び合いながら抱き着いた。

 まるで心の内側が露になったように・・・。

 「・・・行かないでくれ、レスティア。・・・行かないでくれ。」

 「キンジさん・・・もっと呼んでください。私の心を満たさせて・・・。」

 「一人にしないでくれ・・・レスティア。」

 「私はいつまでもいます。・・・初めて恋した貴方の心の中で・・・何時までも。」

 キンジとレスティアの様子を見て夜桜は華毘と共に外に出ようとするとある物を

見つけた。

 「これは・・・。」

 「超偵用の手錠っすね。」

 それを見た瞬間・・・夜桜はそれが何処のなのかが見当が付いた。

 「(全く綴先生は・・・。)」

 そう思いキンジに渡そうとするとレスティアがそれを見てキンジにこう言った。

 「これを付けさせてください。・・・貴方に・・・逮捕されたいんです。」

 そう言うとキンジはそれを持ってレスティアに向けてこう言った。

 「レスティア・ジャンヌダルク。お前を・・・超偵誘拐・・・及び・・・傷害・・・罪で・・・罪で・・・。」

 キンジは最後の一言を言えずにいた。

 それを言う事とはたった一つ。

 ・・・もう二度と会えないという事だ。

 それでもと思う中レスティアを見ると・・・。

 泣いていた。

 笑って・・・泣いていた。

 「キンジさん・・・お願いします。」

 そう言うとキンジは振り絞るように・・・こう言った。

 「・・・逮捕する。」

 ガチャンと言う音と共に手錠が掛けられた。

 そしてレスティアはキンジにこう告げた。

 「ありがとうございます、キンジさん。・・・私の大切な人。」

 「!・・・~~~~~~~!!!」

 それを聞いたキンジは声を押し殺すように泣いた。

 それを見ていた夜桜達は空を見上げた。

 綺麗な青空の中だというのに・・・まるで雨が降っているかのような気分であった。




 忘れないで下さい。・・・私も貴方の心を忘れませんから。

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