予測不可能者  遠山キンジ   作:caose

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 やっと・・・ここまでこれた。


強襲。

「理子を監禁したのは『無限罪のブラド』。そいつが親戚だと偽って理子を監禁

したのよ。それもフランスからルーマニアまでの長い旅路の果てにね。」

 レティシアはそう言ってレモネードを飲んだ後こう続けた。

 「そして理子が脱走して『イ・ウー』に匿われてね、後を追ったブラドを今のボスが返り討ちしたのよ。」

 「だけど理子を諦めきれなかったブラドがそのボスとこう言う契約をしたのよ。」

 「・・・契約?何だ??」

 キンジはそう聞くとレティシアはこう答えた。

 「『自分がナンバー1になったら理子を返してもらうがもし理子がその間に

初代ルパンを越える存在にまで昇華した時は諦める。』っていう契約よ。」

 「・・・成程・・・だから理子はあの時。」

 『曾お爺様を越えるために』

 あれは自分の自由が掛っていることに対する恐怖の裏返しだったのだとキンジはそう思った。

 ・・・たとえそれで人間を捨てたとしても・・・。

 「それとロイミュード技術は元々ブラドの初期段階の研究データを今のボスが

完成させたやつなのよ。それが逆にブラドのプライドを傷つける結果になったのよ。」

 ・・・如何やらブラドはそれに対しても怒っているのかもしれないと言ったが・・・当たり前だと思った。

 何せ自分の研究を横取りされたのだから。

 「それともう一つあるわ。」

 「・・・もう一つ?」

 レティシアが何やら意味深な表情をしたのを見てキンジは何事だと思って

聞くと・・・

 「それは・・・」

 「あれ?遠山君にダルクさん?どうしたんです、こんな所で??」

 「あ・・・小夜鳴先生。」

 レティシアが何か言う前に横から小夜鳴先生が声を掛けた。

 「ええと・・・これは・・。」

 レスティアはどう言おうかと迷っていた。

 何せ泥棒の準備をしていたなんて馬鹿正直に言えないのだ。

 如何したものかと迷っている中キンジはこう返した。

 「少し買い物に付き合ってたんです。もう夏ですから色々と。」

 なと言うと二人はこう答えた。

 「ええそうね。」

 「はい、そうです。」

 そう言うと小夜鳴は・・・言いにくそうな表情でこう言った。

 「そうですか、子供もできてますからその準備で忙しいんですね?」

 「「「ブフ――!!!」」」

 小夜鳴先生の言葉にキンジ達は飲んでいた飲み物を吐いた。

 「ええ!?どうしたんですか??」

 「ちょっと待ってください小夜鳴先生!!一体どう言う意味ですか!?

今のは!!??」

 キンジは小夜鳴先生に問い詰めると小夜鳴先生はこう返した。

 「ええとですね・・・噂が流れてるんですよ。『遠山キンジに子供が出来た』

って・・・。」

 「一体何処からですか!?」

 すると小夜鳴先生はこう答えた。

 「た・・・確か・・・武藤君辺りだったかなあ。」

 ハハハと小夜鳴先生は苦笑いしていると・・・キンジは怒りの表情でこう言った。

 「・・・武藤の野郎・・・次会ったら・・・ククククク」

 キンジはそう言いながら笑っているのを見て少し後ずさりするとレスティアは話題を変えようとこう聞いた。

 「そ、そう言えば先生。どうしたんです!?こんな所で。」

 そう聞くと小夜鳴先生はこう返した。

 「ああ、少し論文を作るのに必要な書物を買った帰りですよ。」

 そう言って鞄から何かを取り出そうとした瞬間・・・。

 バリーンと音がした。

 「きゃあアアア!!」 

 店員の一人が悲鳴を上げたのを聞いてキンジ達は武器を取り出すとその犯人・・・

いや・・・その正体が分かった。

 圧倒的な殺気。

 だが何処か気品を漂わせる体。

 そして100キロを超えかねないほどの巨体。

 それは絶滅危惧種「コーカサスハクギンオオカミ」であった。

 -ウオオオオオオオオオンン!!

 そのオオカミの遠吠えと同時にキンジ達に向かっていった。

 まるで・・・獲物を見つけたかのように。




 次回は・・・狼が変わるぞ。

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