小夜鳴先生は館のホールにキンジ達を案内するがそこにはオオカミが槍を咥えている年代物の旗と二頭の狼が混ざり合うかのように吠えているようなメダルが壁に
飾られていた。
アリアはそれを見て怯え切っていたがキンジ達はもうあきらめろと言わんばかりに
小夜鳴先生を見ていた。
まあ当の本人はと言うと・・・。
「いやー、この間のことがあったからキンジ君達が来てくれるなんて
よかったですよ。私ここの研究室を借りているうちに管理人にされてしまいましてね、そりゃあハウスキーパーさんが幾つかやってくれますけど私、研究に没頭しすぎて
しまうと周りが聞こえなくなる口でして、この間みたいに狼や不審者が入られたり
したら溜まったものじゃありませんからねぇ。」
良かった良かったと言いながら小夜鳴先生はギプスを着けていない方の腕で頭を
掻きながらほっとしていた。
「---いえ、驚きましたねぇ。まさか同じ学校の教師と生徒だったなんて。」
「いえ、私は非常勤の講師でして、本業は科学者何です。」
派遣会社を装っていた理子は困惑気味で言った言葉に小夜鳴先生は首を横に
振りながらそう答えた。
「然しこれは話のタネになりますね。まあ・・・この二人が契約期間中に
お戻りになれば・・・の話ですが。」
理子はブラドの現在の位置情報を知ろうとすると小夜鳴先生はこう答えた。
「いや、彼は今とても遠くにおりまして。ここしばらくは戻ってきてないん
ですよ。」
「「「(・・・・・ほっ)」」」」
その言葉を聞いてアリア以外の全員がほっとしていた。
「ここの本来の御主人はどう言うお仕事をされて?」
その言葉に小夜鳴先生はこう答えた。
「ああ、確か本人によれば生物関係の仕事についているそうですが途轍もなく
ブラックな企業らしく未だ帰れないそうです。」
「それ・・・厚労省に直訴したらよいのではないですか?」
理子は流石にそれはと思いながらそう返すと小夜鳴先生はこう答えた。
「いえ、その分給料は良いのだと言われてますが恥ずかしながら私は彼に一度も
あった事が無いのです。私と彼はとても親密なんですがねぇ。」
小夜鳴先生がそう言う言葉を聞いて全員が?を浮かべていた。
・・・それを聞いて疑問に感じたキンジ以外は。
「それでは掃除とかはハウスキーパーが作っている資料を見れば分かりますが
これだけは口頭で伝えておきます。」
「・・・何でしょうか?」
キンジは小夜鳴先生の言葉を聞くとこう答えた。
「いえ、簡単なこと何ですが食事についてですが基本串焼き肉で結構ですが焼き方は表面が軽く炙る程度のレアでニンニクの入った香辛料は比較的に入れないで
欲しいんです。」
「・・・は・・・はあ。」
それを聞いてキンジは脱力した様子でそう言うと小夜鳴先生はこう続けた。
「それと私は研究で多忙ですので暇なときは・・・遊戯室にビリヤード台があるんです。ラシャはあんまり使わないんで新品ですので好きに使ってくださいね。」
そう言い終わると小夜鳴先生はこう締めくくった。
「それじゃあ・・・夕食の時間まで地下の研究室にいますのでそれでは!!」
と言いながらどひゅんと言う勢いで下に降りて行った。
そしてキンジ達は広いホール(理子は既に帰った。)に残ってしまいお互い顔を
合わせるとこう言った。
「・・・それじゃあ・・・やりますか。」
「そうですね。」
「ここにいてもやることないし。」
「・・・うん。」
そしてキンジ達は着替え室にへと向かった。
さあてと・・・偽装仕事の始まりだ。