イカしたヒーローが召喚されました。   作:烏賊焼き

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金イクラを集めるだけの簡単なバイトです

 カルデアのキャスターたちが誇りと威信をかけて作った翻訳プログラムは無事完成し、カルデア中の注目の的だった3号の放った"ニンゲンは1万2千年前の地層から化石が見つかった絶滅動物”という言葉でカルデアが再び大騒ぎになってから、それなりに時間が過ぎた。3号は立派なカルデアの一員として真面目に働いていた。

 

「マスターおはよー!今日は何するの?」

「おはようイカちゃん。今日はようやくちょっと余裕が出てきたから、イカちゃんにも召喚を体験してもらうつもりだよ」

「やったー!」

 

 ぴょんぴょんとかわいらしい擬音が聞こえてきそうなジャンプをしながら全身で喜びを表現する3号を連れて、立香は召喚サークルへやってきた。

 

『いいよ立香君、始めてくれ!』

「了解!」

 

 ロマニの言葉で、聖晶石を3つ召喚サークルに乗せる。立香と隣で立香の真似をするイカちゃんが召喚の態勢に入ると、聖晶石が砕けて発生した強烈な光が発生した。光を見ながら文字通り目を輝かせるイカちゃんの声をBGMに光はやがて収束し、召喚サークルの上で回転しながら形を作っていく。そして光が一際強くなった後、そこには新たなサーヴァントがいた。

 

「「え…?」」

『嘘…』

 

 驚愕に言葉を失う立香たちに不思議そうな顔をした後、"もう一人の"インクリングが声をかけた。

 

「Newカラストンビ部隊 4号っす!よろしくお願いしまーす!」

 

ーーーーー

 

 3号という前例があったこと、翻訳プログラムが存在していたこと、そして何よりインクリング特有の享楽的な性格が前面に出ていたこともあり4号はすんなりとカルデアに馴染んだ。そんな4号は今、とある要望をロマ二に叩きつけていた。

 

「バイトかぁ…」

「そう!シャケをシバいてイクラを集めるめっちゃ楽しいバイトっす!」

 

 その後も怪しさ満点の宣伝文句をつらつらと並べ立てる4号を見ながらロマ二は考える。同種の存在が現れたことで戦闘本能が刺激されたのか、ここ最近の3号と4号はシミュレーターに足しげく通っていた。いわばある種の欲求不満な状態のようだ。ロマ二は知らないが、インクリングはナワバリバトルというスポーツに100年前のものとは言え14式竹筒銃という実際につかわれた兵器を持ち込むほど好戦的な種族であるのだ。しばらく腕を組んで考えた後、よしと言ってロマ二は答えた。

 

「シミュレーターを使えば再現くらいはできるかもしれないね。ちょっと試してみようか」

「いいんすか!やったー!」

 

 試すと言っただけなのに喜びを全身で表す4号に苦笑しながら、4号とロマ二はシミュレーターに向かった。

 

ーーーーー

 

 4号がもたらしたサーモンランは電力・魔力資源が無限に欲しいと言っても過言ではないカルデアに革命をもたらした。それが良いものか悪いものかをいったん置いておいてとにかく革命をもたらした。サーモンランをやることで集められる金イクラと呼ばれる物体。中で小さな魚が泳いでいる金色の巨大なイクラという何とも言えないこの物体が、石油などと同じようなエネルギー資源として非常に有用であったからだ。電力を使って魔力をつくっているカルデアでは手っ取り早く燃料を調達できるこのバイトは渡りに船だったのである。3号と4号のストレス発散という本来の目的と合わせて、新たな資源確保の場としてサーモンランはカルデア内で大きな存在感を示すこととなった。

 

 しかしながらサーモンランには非常に困った仕様があった。1つ目はサーモンランの内部においてはクラスに関係なく魔力をインクに非常に効率よく変換できること。2つ目はシャケはインク以外では基本的に倒せないことである。いや、可能ではあるのだ。魔力をふんだんに使って魔術や身体能力の底上げで倒すことには倒せる。しかし、サーモンランの目的は金イクラ、すなわち電力として魔力リソースを回収することであるので、当然回収した金イクラと使用した魔力を天秤にかけて金イクラの方が上回っている必要がある。そうなると固いウロコに覆われていてシンプルな物理攻撃よりもインクを使った攻撃の方か簡単に倒せるシャケには、できるだけインクショットで倒した方がいいとなる。フライパンでぶん殴ってくるならまだかわいいもの、インクとはいえ爆弾やミサイルを使って攻撃してくる超好戦的な種族あいてに慣れないインク武器を使って戦わされることについて、カルデアの面々は以下のように零している。

 

「セイバーの私にリッターを渡す意味が分かりません」

「アーチャーの俺になぜボールドを持たせた」

「ランサーの俺にはヒッセンとか無理だから」

「エクスロといいハイドラといいやたら目立って強い武器をなぜアサシンに配るのかな」

「あの、シェルターこそシールダーに…」

 

 しかし資源を回収するにはなれない武器で頑張って、凶暴なシャケをシバいてシバいてシバき尽くすしかないのだ。今日もカルデアでは専用の装備に身を包んだ何人かのサーヴァントがサーモンランに消えていった。

 

 -----もう一人3号を名乗るイカがコジャケを連れて現れ、NEXT WAVEが始まるのはまた別の話。

 

 

 

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