神降ろしをしたら、施しの英雄が降りてきた。   作:黒い小説家

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評判が良ければ、連載しようと思ってます。


神として呼ばれた施しの英雄

 青年は目覚めると、自分がいる空間が今までいた場所とは違うことに気づき周囲をキョロキョロと見回す。

 

 青年がいた場所は神棚が置かれている非常に簡素な作りをした和室、自分が立つ床には魔法陣のようなものが描かれていた。

 

 黄金の輝きを帯びた白髪、まるで幽鬼のような白い肌。長い前髪から覗く、他人を寄せ付けない鋭い目付きと透き通った蒼氷色の瞳。

 股体を覆う黄金の鎧と胸元に埋め込まれた赤石が眼を引く、片手に金色の槍を持つ細身の青年。

 

 突然知らない場所にいれば、普通の人間は困惑し、焦るだろう。だがこの青年は焦るような様子はなく、至って冷静だった。そして

 

「問おう、お前がオレを呼んだのか?」

 

 青年の前にいたのは巫女装束を身に纏った一人の少女だった。

 

 黒髪の真っ直ぐなストレートヘアーで後頭部にはトレードマークとも言える大きな赤いリボンを結んでいる

 

 衣服は変わった紅白の巫女装束、袖が着いておらず肩や腋を露出しているが代わりに白色の別途袖を腕に着けており、下に履いているのは袴ではなく何故か赤色のスカート。

 

 しかし少女は青年の問いには答えなかった。

 

 それも無理はない。少女はまるで予想外の出来事が起きてしまったと言わんばかりに、唖然とした表情を浮かべており、声が出せないような状態になっていたのだから。

 

「おい、どうした?」

 

 巫女少女が返事をしてくれないので、もう一度話しかける青年。しかし

 

 突然、少女は落ち込んだような表情を浮かべながら、その場に屈み込むと、ようやく口を開いて喋り出した。

 

「神霊の力を借りるはずが、どうして本物の神霊が降りて来ちゃったのよ」

 

 どうやらこの巫女少女は神霊を降ろして、その力を借りる儀式をしていたらしい。

 

 しかし、今回は神霊の力を借りた訳ではなく、どういう訳か神霊そのものを降ろしてしまったらしい。

 

「すまない、話を聞いてくれ」

 

「……なによ?」

 

「お前がオレを呼んだのか?」

 

「そうよ、私が貴方を呼び出したのよ、何か文句でもある?」

 

 自分が呼んだ神霊に対して逆ギレをする巫女少女、いったい神を何だと思っているのか?

 

 しかし、そんな態度を霊夢にされても青年は恨みも怒りもしない。寧ろ、それもありだと受け入れているように見える。

 

「我が名はカルナ、太陽神スーリヤの子、お前の召喚により現界した。」

 

 青年の名はカルナ、太陽神スーリヤと人間の間に生まれた半人半神。そして現在は父であるスーリヤと一体化している。

 

「随分と丁寧なご挨拶ね、私の名前は博麗霊夢、この博麗神社で巫女をやっているわ」

 

「それでは霊夢、何故オレを現世に呼び出した?」

 

「別に呼び出したくて呼んだんじゃないわよ。神降ろしの儀式をしてたら突然貴方が降りてきたのよ」

 

 霊夢は他人事のように言っているが、神として呼ばれたカルナからしてみれば、とても迷惑な話である。

 

 だが、こうして呼ばれたのも何かの因果だと思い受け入れよう、それよりも霊夢にやって貰わなければいけないことが一つある。それは

 

「早速で悪いが霊夢、此処にいることが不満なら、オレを神々が住まう場所に戻すことはできるか?」

 

「そんなこと出来る訳ないじゃない。神霊自体が降りてくるなんて初めての事なんだから」

 

 このとき霊夢は借りた神霊の力を返すことはできるが、降りてきた神霊本体をどうやって元いた場所に戻せば良いのかなんて分からなかった。

 

 カルナも帰る方法がわからないなら仕方ないとすぐに諦め、取り合えず別の件を考えることにした。

 

「そうか、ではオレはどうすれば良い?」

 

「知らないわよ、あんたの好きにすれば良いじゃない」

 

「承知した、では自分で寝床を探すとしよう」

 

 本来なら霊夢が悪い筈なのにも関わらず、カルナは一切の咎めもせずに、寧ろ潔く立ち去ろうとする。

 

 そんなカルナの底抜けに寛容な性格を前に、霊夢は自分の今までの態度が申し訳ないと思うと同時に、このままカルナをほっとく訳にはいかないと思ったのだろう。

 

 この場から立ち去ろうとするカルナを呼び止めようと決意をした。

 

「待ちなさいカルナ!」

 

「……どうした霊夢、オレに何か用でもあるのか?」

 

「貴方が元いた場所に帰れるまで私の家に泊まらせてあげるわ、元はと言えば私の責任でもあるし」

 

「迷惑を掛けるとは思うが世話になる」

 

 人間である霊夢に深く頭を下げるカルナ。それに対して霊夢はカルナのあまりにも義理堅い態度を前に動揺を隠しきれなかった。

 

「ちょっと頭なんか下げなくて良いのよ、あんた神様でしょ。

 まぁ、その神様にこんな態度をしてる私も無礼極まりないけど」

 

「問題ない、普段通りでいてくれ」

 

「ありがとう、そう言ってくれると助かるわ」

 

 このとき霊夢は、カルナは神というよりも、清々しいほどの誇り高い精神性を持った聖人というイメージが強かった。

 

 それも無理はない。何かを乞われたり頼まれた時に決して断らない事を信条とし、その悟りの境地と言える無我の精神性から『施しの英雄』と呼ばれるほどの英雄なのだから。

 

「それじゃあ着いて来て、私の家を案内するわ」

 

「すまない、恩に着る」

 

 こうして、霊夢に神として降ろされたカルナの幻想郷生活が始まった。

 

 果たして、これからカルナを待ち受けているのは、終わりの見え無い戦闘か、それとも穏やかな安寧なのか。

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