神降ろしをしたら、施しの英雄が降りてきた。 作:黒い小説家
聖白蓮率いる妙蓮寺のメンバーと八雲紫が来てから数時間が経過したあとのこと、カルナは魔理沙に自分の思い出を話していた。
「いやぁ~カルナの世界にいた英雄達は凄いな、色んな強い奴がいて」
恩師ドローナやパラシュラーマ、宿敵パーンダヴァ五兄弟、アルジュナの友クリシュナ、
そして最後の締めには、自分の生涯の幕を閉じるきっかけとなったクルクシェートラの戦いを知ってる限り教えた。
「俺の話を聞いて楽しんでくれたか、結構なことだ。」
「中でもカルナの主君はとても面白い奴だな、他の英雄と比べて人間臭いというかなんというか、なんか親近感が湧いちまうんだよな」
「ドゥリーヨダナのことか、奴は厚顔で小心な男だが、俺を救ってくれた掛け替えの無い恩人だ。」
ドゥリーヨダナ、アルジュナ達と対立したカウラヴァ百王子の長兄であり、
とてもお調子者な性格であり、すぐ調子に乗って、失敗するとこの世の終わりのように落ち込み、すぐ立ち直る。アップダウンが激しい人物である。
「でもさ、話を聞いてると、やっぱりカルナの人生は悲劇的じゃないのかな? 呪いを掛けられたり、黄金の鎧とかを奪われたりしてさ、明らかに理不尽じゃないか?」
「お前にはオレの人生が悲劇や理不尽に満ち溢れているように見えるか、だがオレは自分の歩んできた人生に何の後悔も無い。 しかし、強いて我欲を言うのならば、我が宿敵アルジュナと思う存分に闘いたかったことだ。」
あらゆる苦難・理不尽すら全て「それもあり」とし受け入れ、それでいてそれら全てを恨むことは決してない、それが英雄カルナの信条であり生き方でもある。
そんな聖人染みた人生を歩むことなんて魔理沙はそんなことは決して出来無い、真似することもできない。 カルナだからこそできる偉業だと、そう思っていた。
「やっぱり凄いよカルナは、私には到底だけど真似出来ないぜ」
そんな会話を長々と話していると、二人のいる元に霊夢がやってきた。
「ちょっとカルナ、そこにいるの?」
「どうした霊夢、オレに何か用か」
「あんた暇でしょ? 折角なんだから寺子屋に行ってきたらどう?」
聞き慣れない言葉に疑問を抱くカルナ。 それも無理はない、そんなものはカルナがいた世界には存在しなかったのだから。
「寺子屋、それは一体どんな場所だ?」
「子供達が学問とかを学ぶ場所のことよ、あんたこの世界のこと何にも知らないんだから、寺子屋に行って少しでも知識を付けてきなさいよ」
「なるほど教養のためか、悪くないことだ。」
少しでもこの世界の文化などを知ることができれば、主である霊夢の助けになるだろうと思ったのだろう。カルナは寺子屋に行くことに何の躊躇いもなかった。
「と言うわけよ魔理沙、あんたも暇だろうしカルナを寺子屋まで連れて行ってあげなさいよ」
「なんで私なんだよ、霊夢が行けば良いじゃないか」
「私は忙しいから駄目なの、文句言わないでさっさと行ってきなさいよ」
どうせ家でゴロゴロしてるだけだろうと思ったのだろう、魔理沙は不満そうな表情を浮かべていた。 だがカルナと一緒に何処かに出かけるのは満更でもないようだ。
しかしカルナは霊夢に対して一切の不満を持っておらず、機嫌を損ねた魔理沙を宥めようとする。
「仕方ない魔理沙、どうやら霊夢には他に仕事があるらしい。また神降ろしをするかもしれん」
「言っとくけど神降ろしなんて絶対にやらないわよ、あんたみたいな天変地異を引き起こす神なんて、もう降ろしてたまるものですか」
誤った神降ろしをするのを余程恐れているのだろう。このときの霊夢は絶対に神降ろしをしないと言わんばかりに必死な表情をしていた。
「………………………………………………………………………………………………………………………そうなのか」
何に落ち込んだのかはわからないが、カルナは珍しく肩を落とし残念そうな表情でそう答える。
このとき霊夢と魔理沙の二人はカルナのことを何事にも動じない奴かと思っていたが、他者から直球で指摘されると脆い一面があることを初めて知った。
「まぁまぁ、そんなに落ち込むなよ。 気を取り直して寺子屋に行こうぜ」
「そうだな、ずっと落ち込んでいるよりも、迅速に行動した方が賢明な判断だ。」
さっきまで落ち込んでいたはずが既に立ち直っている。流石はカルナ、ポジティブ思考で気持ちの切り替えがあまりにも早い。
「それじゃあ寺子屋に行こう。 ついでに人里も案内してやるぜ」
「承知した。」
そう言うと魔理沙はあらかじめ所持していた箒に乗って空を飛び、カルナは両足の裏から炎をジェットのように噴射させて飛翔する。
人里に向かうカルナと魔理沙、果たしてその先に待っているのは一体何か?