神降ろしをしたら、施しの英雄が降りてきた。   作:黒い小説家

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長らくお待たせしました(待ってない)


人里へと

 博麗神社を出てから数十分後のこと、カルナと魔理沙は特に事件に巻き込まれることも、一悶着も無く人里へと到着した。

 

 人間の里に建つ家々は全て、現代にも拘らず江戸時代の町並みを感じさせる庶民的な造りだ。レンガとか石造りの壁、鉄筋やコンクリートなどという技術を必要とする材料は一切使用されていない。

 

 博麗神社にいたときから大体予想はしていたが、やはり服装や建物、文化や季節など、カルナがいた世界の人里とは大きく異なっていた。

 

「どうだカルナ、初めてきた人里の感想は?」

 

「やはりオレのいた世界とは違うな、人も物も、初めて見るものばかりだ。」

 

 絶世の美男子だが、目付きは鋭く、幽鬼のような白い肌と黄金の鎧、そして他人を引き付けない神々しい気配が目を引くのだろう、周りの人達は皆カルナの姿を見て呆然としていた。

 

「自意識過剰かもしれないが、オレを物珍しそうに見てる者が多くいるように感じる」

 

「そりゃあそうだろうな、そんな派手な金色の鎧を着てたら、誰でも見るだろうぜ」

 

 ほぼ毎日傍にいる魔理沙に取ってはカルナは特に珍しくもないだろうが、見知らぬ者から見れば異常にしか見えない。

 

「おっ、見えた見えた。寺子屋はあそこだ」

 

 二人は寺子屋のある場所へと歩いて向かう。

 

 

《寺子屋》

 

 寺子屋の中に入り、先生と子供達の居るであろう教室へ行くために縁側を歩く。無論魔理沙に連れて行かれてである。

 

 教室へ入ると、そこには立っている先生と沢山の子供達が座っていた。しかし人間の子供以外にも妖怪や妖精の子供もいた。

 

 先生の容姿は腰まで届こうかというまで長い、青のメッシュが入った銀髪。頭には頂に赤いリボンをつけ、六面体と三角錐の間に板を挟んだような形の青い帽子を乗せている。この帽子は赤い文字のような模様が描かれている。

衣服は胸元が大きく開き、上下が一体になっている青い服。袖は短く白。襟は半円をいくつか組み合わせ、それを白が縁取っている。胸元に赤いリボンをつけている。下半身のスカート部分には幾重にも重なった白のレースがついている。長い。

 

 しかし、二人の存在に先に気づいたのは先生ではなく、今まで二度対面したことがある妖精であった。

 

 そう。チルノである。

 

「あー!! また性懲りもなく現れたわね白い頭!」

 

「チルノか、まさかこんな所でも合うとはな、もはやこれは宿命なのかもしれんな」

 

 二度だけでなく三度相まみえるとは、これは運命としか言いようがない。

 

「今ここで決闘よ、今度こそあたいが勝つから覚悟しなさい」

 

「良いだろう。お前が納得するまで打ち砕いてやる」

 

 槍の矛先を向けて闘おうとするカルナ、この場に先生や子供達がいるのにも関わらず始めようする。

 

「こーら、寺子屋で喧嘩はいかんぞ」

 

 そういうと先生と思われる人物は両手でチルノの頭を掴んで思い切り頭突きを喰らわした。

 

「あいたっ!!」

 

 先生の頭突きがかなり強烈だったのだろう。額を真っ赤にしてチルノは気絶して倒れてしまう。

 

 そして、チルノに対するお仕置きが終わると、次に先生の目線はカルナへと向けられた。 太陽神であるカルナに向かってあの強烈な頭突きを食らわすのか。

 

「あなたはそうね……初対面だし今日は大目に見て頭突きは勘弁してあげるわ、だが次は無いと思え」

 

「そうしてくれると助かる。」

 

「よう慧音、相変わらずの頭突きだな」

 

「魔理沙久しぶりだな、この青年と何しに寺子屋に来た?」

 

「幻想郷のことを学びに来たんだ、ちなみにこいつの名前はカルナ、確か太陽神スーリヤの子」

 

「ほう、この青年は神なのか。道理で神々しい存在感を放つわけだ。それに強さも尋常ではない。恐らく幻想郷でも一二を争うほどの実力者だ。流石は万全であれば三界を単独で制覇することができる戦士だ。」

 

 神々しい存在感を放つのはどうやら黄金の鎧を着ているからかもしれない。光そのものが鎧になった宝具、神々が作り出した神造武具なのだから。

 

「名前はカルナと言ったな、印度に伝わる伝説の大英雄の一人。アルジュナの宿敵。私は上白沢慧音、この寺子屋で子どもたちに勉強を教えている先生をしてる者だ。よろしく」

 

「子を守り、民を守り、そして導く者か。半人半獣の身でありながら王のような在り方をする。お前はそうすることによって何が目的だ?」

 

「別に何も求めてないさ、ただ皆が笑顔で楽しく過ごしてくれれば良いのよ。」

 

「なるほど、お前は聖人だったか」

 

「貴方ほどではないさ。望めば血肉である鎧を神に捧げ、あらゆる呪いを受けて最後に弟に殺されても誰も憎まず恨まずこの世を去っていた貴方には。」

 

「俺のことを知っているようだが、やはり伝わっているのか?」

 

「そりゃあもちろん、私は歴史が大好きだからね。もちろん貴方の叙事詩も読ませて貰っているよ」

 

「そうか」

 

「さて、今回の授業は特別教え子としてカルナ様もいることだし、外の世界に伝わる神話『マハーバーラタ』の授業でもしようか」

 

「せんせい。まはーばーらたってなんですか?」

 

「よく聞いてくれた。マハーバーラタというのは簡潔に言ってしまえば外の世界の昔話だ。様々な神や英雄達が集う集大成。

 アルジュナ、パーンダヴァ五兄弟と言う英雄を中心として物語が進むとても長いお話だ。

 そこにいるカルナ様も出てくるぞ」

 

 子供達は一斉にカルナの方向を見た。この方は凄い方、物語の世界からやって来た伝説の方だと。

 

 それに対してカルナはマハーバーラタの簡単な説明を聞いてどこか不服そうな素振りを見せる。

 

「アルジュナが中心という事は、オレは敵という立場と言うわけか」

 

「まぁそうだな。話によればパーンダヴァと敵対していたカラヴァ族であるドゥルヨーダナの仲間というわけだったわけだが

 だがカルナ様は自分が王族だと知り、パーンダヴァが自分の兄弟と知ったうえでドゥルヨーダナ側についたんだろ?」

 

「ドゥルヨーダナはオレを助けてくれた掛け替えない恩人であり最愛の友だ。裏切ることはできなかった。」

 

「それとアルジュナを打ち倒すためでもあるだろ? 相当ライバル意識を持っているように感じたが」

 

「そうだな、確かに宿敵として見ていた。」

 

「競技場に飛び入りで出場したのも、アルジュナの対抗心だったんだろ?」

 

「見てはいられなかった。 アルジュナが許せなかった。」

 

 普段誰も羨まず、誰も憎まないはずのカルナだったのに、アルジュナの弓の技術を目にしたことで消極的な姿勢を守り切れず、飛び入りで競技に参加しアルジュナに並ぶ武芸を披露した。

 

「せんせぇーさっきから二人で何はなしてるんですかー?」

 

「すまんすまん、物語の登場人物が目の前にいるもんで、色々質問したかったんだ。 さて、授業に戻るか」

 

 そうして上白沢慧音によって子供たちはマハーバーラタについて授業することになる。

 

 様々な英雄、神々、そしてドゥリーヨダナによって引き起こされる戦争、物語は聖書四冊分になるので、子供たちにマハーバーラタ全ては教えることはできなかったが、できるだけわかりやすく、そして簡潔に教えることだった。

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