神降ろしをしたら、施しの英雄が降りてきた。 作:黒い小説家
「尋ねるが霊夢よ、この世界はどういった場所なのだ?」
神霊として現世に降りてきたのはこれが初めてだったが、少なくともこの世界はオレが生まれ育ったインドではなさそうだ。
景色や建築物を始め、オレが住んでいた世界とは雰囲気や気配がまるで違う世界だからだ。
居間と呼ばれる、非常に簡素な作りをした和室に来て早々カルナに質問されると、霊夢は何かを思い出したような表情を浮かべながら返答をする。
「そういえば説明してなかったわね。ここは幻想郷、あいつ風に説明するなら、神々や妖怪達が住まう楽園と言ったところかしら」
「なるほどな、つまりこの世界にはオレの他にも別の神々や妖怪とやらが住まわっているのか」
景色や雰囲気はかなり違うが、どうやらこの幻想郷という世界はオレが生まれ育った世界に少々似ている部分がある。
外を眺めてみれば綺麗に掃除された神社の境内、そして沢山の草木が育っている広大で緑豊かな大地、こんな美しい自然の景色を見れるとは嬉しい限りだ。
「それじゃあ私も質問するけど、カルナは何の神様なの? 太陽神スーリヤの子とか言ってたけど、そんな神様は聞いたことがないわ」
太陽神と聞けば、まず日本だとメジャーな天照大神を思い浮かべるだろう。しかし太陽神スーリヤは日本では日天と呼ばれているが、本来はインドの神様の名前なので、日本の宗教などにしか精通していない霊夢にとっては知らないのも当然だといえる。
「元々オレは神と人の間に生まれた子だったが、死後に太陽神であり父であるスーリヤと一体化し、今は神の座に着いているようだ。
つまり、オレも父と同じく太陽神だと思われる」
「神の座に着いているようだって……ずいぶんと軽い発言するのね」
「オレを受け入れてくれた父スーリヤにはこの上無く感謝している、だが申し訳ないが、オレは神の座には興味ない。
元々オレは半人半神の身、本来ならば神の座に着くような存在ではないからな」
あくまでもオレは父スーリヤの慈悲により神格化したようなもの、本来ならば自分が神として呼ばれること自体がありえないことだ。
だからオレは自らを神とは名乗らない。例え神として呼ばれたとしても、あくまでオレは太陽神の子であり、一人の戦士だ。その信念は生前と何も変わることはない。
「気になってたんだけど、カルナって謙虚過ぎじゃない? さっきから自分を低く見過ぎてるわよね」
「周りから同じような事をよく言われる。」
「まぁ、そういう性格なら仕方ないわね。別に悪い訳じゃないし、寧ろそれがカルナの良いところだと思うから」
「褒めて頂き恐縮の限りだ」
このとき霊夢は、もしかして自分が呼んだのは神様などではなく、聖人のような精神性を持った英霊でも呼んだのではないかと疑い始めてきた。
「ところでさっきから槍を片手に持ってずっと立っているけど、座らないの?」
「問題ない。この態勢が一番楽だからな」
そんな話を続けていると、縁側の方からドタドタとこちらに向かってくる大きな足音が聞こえてくる。そして
「おい霊夢、遊びに来てやったぜ!!」
一人の少女が元気な声で叫びながら居間に上がり込んできた。
髪型は片側だけおさげにして前に垂らしたウェービーな金髪、つばが広くコーンの様に先が尖っている白いリボンが付いた黒い三角帽を着用している、服装は黒系の服に白いエプロンと、いかにも魔法使い然とした身なりをしている
だが、カルナを見た途端、金髪の少女はその場に立ち止まり、唖然とした表情を浮かべながら黙り込んでしまった。
それも無理はない。普段通り友人の家にお邪魔してみれば、色んな意味で神々しい人物が先客として居たのだから。
「えぇ~と、霊夢? この神々しいお方は一体?」
「我が名はカルナ、博麗霊夢に呼ばれて、この地に参上した太陽神の子。」
霊夢に話し掛けた筈なのだが、それよりも先に本人が名乗り出てきてしまった。
黄金の鎧と存在が神々しいうえ、幽鬼のような白い肌と無表情さが威圧感になっているのか、さっきまで威勢の良かった魔理沙も、カルナの前では思わず畏まった態度になってしまう。
「わっ、私の名前は霧雨魔理沙だ。よっ、よろしく。」
「魔理沙か、一瞥したところ魔術を所業とする者か。人間の身でありながら、苦行を積むとは感服の一言だ。」
「……えっ? 何でわたしが魔法使いだとわかったんだ?」
一言も自分は普通の魔法使いだと名乗っていないのに、なぜ初対面のカルナは知っていたのか、魔理沙は戸惑いを隠せなかった。
「驚かせてすまない。オレには相手の本質を見通す
カルナは相手の本質を見通す能力を持つが、実直過ぎる故に、歯に布着せぬ物言いや言葉足らずで、相手の全てを誉めているつもりでも、相手には皮肉に受けとられてしまう事が多い。
「……はえ~ そう言うわけか、それにしても便利な能力だな、羨ましいぜ。」
別に大した能力ではないとは思うが。まぁ、羨ましがる本人がそう言うのならそれで良いだろう。
それよりも新たな人物と巡り会えたのだ。一応例のことを聞いてみるとしよう。もしかしたら手掛かりが見つかるかもしれない。
「ところで魔理沙よ、お前は神々が住まう世界に帰還する方法を知っているか?」
「……へっ? 神々の住まう世界? 帰還する方法? 一体どうゆうことなんだぜ?」
カルナのあまりにぶっ飛んだ発言が理解できなかったのだろう。このとき魔理沙は戸惑った表情を浮かべると同時に、頭を悩ませていた。
「そういえばあんたに言ってなかったわね、カルナは私が間違って呼び出した神様なのよ。まぁ、本人は自分のこと神とは認めてないらしいけど」
「えっ、神様!? どうしてまた?」
「神降ろしの練習をしてたら本当に神様が降りてきたのよ、理由なんて私が知りたいぐらいだわ」
このとき霊夢は自分がとんでもない行いと発言をしていたことに自覚していなかった。
二人が話し合っている中、申し訳ないと思いながらもカルナは魔理沙にもう一度問いかけてくる。
「話を戻すが魔理沙よ、些細なことでも構わない、何か知ってることはあるのか?」
「わたしは神様関連は専門外だから知らないけど、カルナは神様なんだろ? それなら同じ神様に聞いてみるとかはどうなんだ?」
「では改めて聞こう。神は何処に住まわっているのだ?」
「そうだな、ちょっと遠いけどやっぱり守矢神社かな」
「情報を提供して頂き感謝する、では早速その守矢神社とやらにオレは向かうとしよう」
そう言ってカルナは居間から縁側に歩いて行くと、そのまま庭へと舞い降りた。
そして、カルナが空を飛ぼうとした直後、慌てた表情を浮かべる魔理沙に呼び止められてしまった。
「ちょっと待てよ、まだ場所とか教えていないぜ。どうやって向かうつもりなんだよ」
「神気を感じる方向を辿って向かおうとしたのだが、それでは駄目なのか?」
「そんな事しなくてもわたしが案内してやるよ」
「ちなみに言っとくけど私は行かないわよ、あそこの巫女に絡まれると面倒だから」
自分も誘われることを先読みをしていたと言わんばかりに、霊夢は守矢神社に行くことを真っ先に拒否する。
本人が行きたくないのであれば仕方ない。それに元々はオレ一人で守矢神社とやらに行く予定だったし、何の問題もない。
「だそうだ、本人に代わって申し訳ないぜ」
「いや、寧ろ十分過ぎるくらいだ。恐縮だが知恵と力を貸して頂こう」
「それじゃあ早速行こうぜ、わたしの後に着いてきな」
こうしてカルナは守矢神社の案内を魔理沙にしてもらう事になった。
このとき、道中で何か良からぬ事が起きそうな予感をカルナは無意識に感じていたが、それに関して本人はあまり気にしていなかった。
Q神格化したカルナさんに対立できる幻想郷のキャラは?
Aインド神話の規模がおかしすぎてわからないです。