神降ろしをしたら、施しの英雄が降りてきた。   作:黒い小説家

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伝統の幻想ブン屋

 カルナと魔理沙の二人は、目的地である守矢神社に向かうために森林の真上を飛んでおり、博霊神社を離れてから少しの時間が経っていた。

 

 箒に股がって空を飛んでいる魔理沙に対して、カルナは脚から炎を噴射させて空を飛んでいる。

 

 そんな空中での移動だけでは暇を感じていたのだろう。二人は世間話や雑談を話し合って退屈を紛らわせていた。

 

「今の人は天空を舞い飛べるのか、やはり人の計り知れない成長ぶりには感服の他ないな。」

 

「いやいや、確かにわたしや霊夢とかは空飛べるけど、全員が全員飛べる訳じゃないぜ?」

 

 そんな話をしながら二人が空を飛んでいると、前方から人の形をした飛行物体がこちらに向かって飛んで来るのが見えた。

 

「前方のあれは何だ?」

 

 最初は何なのか理解できなかったが、ある程度の距離まで接近してきたことにより、カルナ達はその飛行物体の正体がわかった。

 

 こちらに向かって飛行する人型の正体、それは背中に黒い翼を生やした一人の少女だった。

 

 カルナ達の目の前までやって来ると、黒い翼を持つ少女は空中に留まり、それに対してカルナ達も移動するのを止めた。

 

 少女は服装はシンプルに黒いフリルの付いたミニスカートと白いフォーマルな半袖シャツ、赤い靴は底が天狗のゲタのように高くなっている。黒のボブの髪型、その頭の上には赤い山伏風の帽子を被っている。

 背中には猛禽類の黒く大きな翼が生えており、首はカメラを掛けている。

 

「どうも初めまして、私は清く正しく生きる伝統の幻想ブン屋 射命丸文です。以後お見知りおきを」

 

 この世界で初めて見る妖怪を前に顔色一つ変えなかったものの、カルナは射命丸を観察するようにじっくりと見つめた。

 

「この背に黒い翼を持つ者は一体? 少なくとも人では無さそうだな」

 

「もしかしてカルナ、鴉天狗を知らないのか?」

 

 顔が象で身体が人間の神がいたうえ、この天狗とやらに似ている容姿の神も心当たりがある。しかしインドにこんな妖怪は存在しなかった。

 

「あぁ、初めて見聞した。それで魔理沙よ、天狗とはどういった存在なのだ?」

 

「簡単に言えば風や神通力を操る妖怪かな、あとはご覧の通り背中に黒い鴉のような翼が生えてて、中には頭が鳥で身体が人間のような奴もいるぜ」

 

「容姿だけ聞けばガルーダのようなものだな」

 

「ガルーダ? なんだそれ?」

 

 ガルーダとはインド神話に登場する仏教の守護神、容姿は鳥頭人身有翼をしており、日本の鴉天狗のモチーフになったといわれている。

 

 それにしても、この射命丸と言う女天狗、下手に出てるように見えるが、頭が切れるうえに、やたらと狡猾な性格だ。それに、かなりの実力を持った強者と見える。

 

「あの~私抜きで話をするの止めて貰えませんか?」

 

「すまない、何せこの世界の事を知らない身でな」

 

「と言うことはやっぱり、最近幻想郷にやって来た方でしたか」

 

 射命丸とやらが何故そんなに嬉しそうにしているのか知らないが、少なくとも何かオレに用件があることは確かだろう。ならばこう答えるまでだ

 

「それでオレに何か用でもあるのか?」

 

「単刀直入に聞きますが、新聞記事の取材をさせて貰っても宜しいですか? 私が質問を問い掛けるので、それに答えて頂ければ構いませんので。」

 

「承知した。お前の期待に答えれるような返答ができないかもしれないが、最善を尽くそう」

 

 しかし、このカルナの潔い良い返答に不満を持っていた少女が一人いた。

 

 その少女とはカルナの隣にいる霧雨魔理沙。まるで近い将来カルナの身に良からぬ事が起きると言わんばかりに、魔理沙は不安そうな表情を浮かべながらカルナに対して警告をしてくる。

 

「おい本当に良いのかよカルナ? こいつの記事のネタにされたらロクな事が起きないぜ」

 

「聞きたいのであれば、それに精一杯答えるまでだ。

 それに、オレは何か乞われたり頼まれた時に断らない事を信条としていてな」

 

 生前からカルナは人種身分関係なく、誰かに乞われたり頼まれたりすれば決して断らずに、快く引き受けることを信条としていた。

 

 その事に関する逸話では血肉である黄金の鎧と耳輪でさえ、神に乞われれば捧げたと伝えられている。

 

 その聖人のような信条と底知れない精神性こそ、カルナが『施しの英雄』と呼ばれている由来である。

 

 あまりにも潔い良いカルナの返答に魔理沙は返す言葉も見つからず、ただ納得するしか方法はなかった。

 

「そっ…そうか、カルナがそう言うなら仕方ないな」

 

「では早速始めますね。」

 

 そう言うと射命丸は胸ポケットからメモ帳と筆記具を取り出して、取材の準備をした。

 

 

 

 

《~少女取材中~》

 

 

 

 

 

「それでは最後に、カルナさんが身に付けているその黄金の物は一体なんですか?」

 

「これか? これは父スーリヤから授かった黄金の鎧と耳輪、これを身に纏っている限りオレは不死身だと父から聞いている。」

 

 カルナが身に纏っている黄金の鎧と耳輪、これは物理・概念を問わずあらゆる攻撃やダメージを削減し、傷も即座に回復する高い自己治癒能力を与える効果を持つ無敵の鎧。

 

 神話では、カルナは黄金の鎧と耳輪を身に着けた姿で誕生し、鎧は皮膚の如くカルナの体の一部として繋がっていたため、脱ぐことは出来なかった。

 

 本来ならばこの黄金の鎧と耳輪は生前にインドラに捧げて失ったもの。しかし、死後に父スーリヤがオレと一体化すると共に、黄金の鎧と耳輪を再び授けてくれた。

 

「あや~それはとんでもない代物ですね」

 

「他に問いたいことはあるか?」

 

「いえ、これで十分ですよ。ご協力して頂き、どうもありがとうございます」

 

「こちらこそ、喜んで貰えて光栄だ」

 

「では私はこれにて失礼させて頂きます。」

 

 そう言いながらお辞儀をしたあと、射命丸は風と共にカルナ達の目の前から突然姿を消した。

 

 しかし、カルナには見えていた。射命丸は突然姿を消したのではなく、肉眼では追えないほどのスピードで移動したところを。

 

「とてつもなく速いな、まるでヴァーユだ」

 

「よし厄介者はいなくなったし、さっさと守矢神社に向かおうぜ」

 

「待たせてすまなかったな。それでは行くとしよう」

 

 そう言うと二人は再び移動を始め、目的地である守矢神社へと向かった。

 

 途中、道草を食ってしまったが、争い事が起きなかっただけ良しとしよう。

 

 それにしても、あの射命丸が言っていた『新聞』とは一体なんだったのか?




Qカルナが幻想郷で闘ったら?

A小競り合いでも地形が大きく変わってしまう。(それだけで済めば良いが)
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