フェアベルゲンを後にしたハジメ達は、大樹の近くに拠点を作るとハウリア族を鍛え上げることにした。
契約は『大樹の下に案内するまで守る』であるため、それが達成されたらハウリア族はハジメの庇護から離れることになる。
当然と言えば、当然な話だ。
ハジメによって拾った命を、自らが弱いという理由だけで諦めてしまうのか…。
答えは否だ。
シアもハウリア族もそのようなことでせっかく拾った命を散らしたくないのだろう。
そこでハジメはかつて自分が"無能"と呼ばれていて、奈落の底で強くならなければならなかったことも話した。
最初こそ困惑したハウリア族だったが、それでも強くなるために行動したハジメと今の自分達に何の差があるのか、と行動することを決意していた。
期間は大樹の下の霧が薄くなるまでの十日間のみ。
その間にハジメもまたハウリア族のために手を貸すことにした。
翌日から本格的な訓練を開始したのだが…。
ハウリア族…それとも兎人族だからだろうか?
魔物を一匹殺す度に三文芝居みたいないちいち大袈裟な演出が入ってしまう。
さらに花や虫を気にして動きがたまに変になることもしばしば…。
それに堪忍袋の緒が切れたハジメはどこぞの軍曹的な扱きにシフトした。
汚い言葉を浴びせ、銃を発砲し、精神構造から変えようとしたのだ…。
一方で、シアはというと…そんな風に一族が扱かれているなどと露とも思わず、ユエとの模擬戦風の訓練をしていた。
さらにこの模擬戦風訓練でシアがユエに傷一つでも付けれたら勝ち、という"ある約束"を賭けていた。
そして、今回も微妙にハブられ気味な忍はと言うと…
「親友が鬼軍曹になってらっしゃる…」
それはハウリア族を鍛えるハジメの姿を見た感想だった。
ちなみにそれを見て『周囲の警戒してくるわ~』と、早々に逃げの一手をかましたのだ。
「ま、ちょうどいい機会だし…俺も少しは慣れとかないとな…」
そんなことを呟き、忍は濃霧の中へと消えていく。
………
……
…
「とは言え、この程度の魔物なら武器を使わずとも倒せるわけで…今更、魔物に対して罪悪感を抱くわけでもなし」
しばらく濃霧の中を進みながら襲ってくる魔物を倒し、素材を回収する。
ハジメのように宝物庫があるわけではないので嵩張るが…。
「だからと言って周辺の人を無差別に殺す、なんて外道以下に成り下がりたくないし、そこまで堕ちちゃいないからな。第一、俺はそんな狂人を目指してるのではなく、覇王を目指してるわけであって……むむむ…」
変心した今のハジメは人殺しに何も感じなかったらしいが、忍は違うようでどうにもまだ割り切れていない様子だった。
「さて、親友に素材でも渡して……ん?」
しかし、何かを感じたのかクンクンと鼻を動かす。
「はて、何やらこっちに来る匂いが…?」
ハジメと共にフェアベルゲンや他の集落への出禁を言われているし、長老衆も下手に手を出すなともお触れを言っているだろうから、忍に近寄るとなるとハッキリ言って余程の物好きくらいしかいないだろう。
もしくは単なる偶然か。
「(人数は…4人? しかも別々の方から来たっぽい気が…)ま、会ってみるか。人違いだったら、その時さ」
嵩張った素材を手に、こちらに向かって来る4つの気配が鉢合わせるような場所に赴く忍だった。
「ここならちょうど終着点になるか?」
ちょうど開けた場所があったので、そこに陣取って来訪者を待つことにした。
そうして忍がその場で少し待ってみると一番最初に訪れたのは…
「テメェが覇王何某か?」
前髪に白いメッシュの入った短めの黒髪と翡翠色の瞳を持ち、野性味溢れつつも整った綺麗な顔立ち、女性としては長身で、線も少し太めな筋肉隆々とまではいかないまでもそれなりに筋肉質でやや凹凸の激しい体型に加え、頭と臀部から黒に白い縞々の虎の耳と尻尾を生やしている虎人族の女性だった。
「まぁ、一応はその覇王を目指している者だけど…」
「そうかよ。なら…!!」
それを聞いて虎人族の女性は即座に忍に殴り掛かる。
「何故、急に殴り掛かられる?」
それを回避しながら素材を近くの樹の根元に置き、そんな言葉を漏らす。
「そんなもん、テメェが強いかどうか確かめるためだ!!」
「え~…」
まさかの脳筋的な発言に忍は不満そうな声を漏らす。
「わかったら、オレの相手をしやがれ!!」
「いや、そんな風に喧嘩売られても…」
困るだけ、と言いかけて忍はその場にしゃがみ込む。
シュッ!
鋭い回し蹴りが忍の頭上を過ぎた。
「(話、聞いてくれねぇのな…)」
問答無用とばかりに虎人族の女性が攻撃を仕掛けてくるが、それを忍は最低限の動きだけで回避する。
「ちっ…のらりくらりとか躱しやがって…男なら一発くらい反撃したらどうだ! あぁ!?」
しかも攻撃がまったく当たらないからと逆ギレする始末。
「(どうしたもんか…)」
こんなヤンキーっぽい女性の対応なんてしたことない忍はどうしたらいいのが一番いいのか悩む。
「(とりあえず…)」
仕方ないとばかりに虎人族の女性の正拳を回避してからすぐさま懐に一歩踏み出し…
「ふっ…!」
同じく右拳で正拳を繰り出すが、顔に当てるのは流石にダメな気がしたので寸止めした。
ブォア!!
「っ!!?」
その寸止めした拳の余波なのか、少しだけ風が吹き荒び、虎人族の女性が驚いたように目を見開く。
「(ん~…ステータス的には親友よりも上だと自負してるが…これ、力加減が難しいな…)」
一方の忍はそんなことを考えていた。
「こ、この…っ!!」
寸止めされた虎人族の女性はすぐさま身を後ろ向きに回転させて足払いを決めに掛かるが…
「よっと…」
忍は繰り出してた右拳を虎人族の女性の肩に乗せて一足飛びのように飛び上がって回避する。
すると…
パチパチ!
「きゃはっ♪ 凄い凄~い」
頭上から拍手と共に何とも呑気な声がしてきた。
「誰だ!?」
虎人族の女性は何者かと警戒していたが…
「(これで2人目、か…)」
忍は静かに頭上を見上げる。
そこには背中が隠れる程度に伸ばしたまるで燃え盛るような紅蓮の髪と赤い瞳を持ち、ちょっと幼げな印象を纏った可愛らしい顔立ち、全体的には華奢に見えるが、程良い背丈に女性らしい肉の付き方をした体型に加え、背中から1対2枚の紅蓮の翼を生やしている翼人族の少女が樹の枝に座っていた。
「(虎に翼……ふむ…?)」
集まってきた2人の共通項を考えるも、特に思い当たることがなかった。
「(残る2人が来れば、或いは…?)」
その共通項がわかるのでは、とちょっとだけ期待してみる忍だったが…
「「……………………」」
別々の方向からやってきたのは、狼人族の少女と狐人族の女性だった。
どちらもこれがどういう状況かわからず、忍と虎人族の女性の方を注意深く見ているような感じだ。
狼人族の方は背中まで伸びた銀髪と琥珀色の瞳を持ち、凛々しさを含んだ綺麗な顔立ち、全体的にバランス良く手足がスラッとしていて均等の取れた体型に加え、頭と臀部からは髪と同色の狼の耳と尻尾が生えている少女だった。
狐人族の方は腰まで伸びた流れるような白髪と黄色い瞳を持ち、理知的な雰囲気を纏った綺麗な顔立ち、全体的な線は細く見えるが、出るとこは出て引っ込むとこは引っ込んでる女性らしい体型に加え、頭と臀部から髪と同色の狐の耳と尻尾を生やしている女性だ。
それを見て…
「(狼少女キターーーーーー!! って言ってる場合でもない! ますますわからんくなった!)」
一瞬、歓喜に満ちた雄叫びを心の中で吼えたものの、その共通項の無さに困惑の色がさらに深まった。
「で、君らは何しに来たの?」
とりあえず、という感じで忍が声を発する。
「フェアベルゲンの長老衆からお触れが出てるだろうに…南雲 ハジメ一派には手出し無用ってな感じにさ。なのに、なんで君らは…ここに、というか俺に会いに来たの?」
虎人族の女性の言が確かなら、覇王が何か関わってそうだと今更ながら考える。
「(そういや、あの時の扉の絵って、確か…)」
そうしてふと忍はオルクス大迷宮…奈落の底の最下層、あの解放者の住処に続く扉に描かれていた動物の絵を思い出し、やってきた4人の特徴を照らし合わせると、狼、虎、狐、鳥と合致しなくもないような気がしてならなかった。
「(ふむ…俺の考え過ぎかな?)」
そんな風に考えを巡らせていると…
「えぇ、新たな覇王を見極めろ。という変な夢を見たので、こうして足を運びました。私の他にもいるとは思いませんでしたが…」
そう言ったのは…狐人族の女性だった。
その視線は他の3人も吟味してるかのようだった。
「ハッ! オレはそんなことよりも、夢とは言えあんな強い存在との戦いをお預け喰らったんだ。そいつと同格っぽいのがいるってんなら戦わないと損だろ?」
虎人族の女性は未だ忍との戦いを望んでいるようで目をギラギラさせていた。
「きゃはっ♪」
樹の枝に座っている翼人族の少女は独特な笑い声をあげるだけ。
「あの夢の真意を知りたい。どうして、私が…覇王の巫女とやらに選ばれたのか…」
狼人族の少女は忍を見ながらそう呟く。
「夢?」
4人中3人から『夢』というワードが出て忍も首を傾げる。
「なんかね~、こう暑そうな場所でおっきい鳥さんに新たな覇王を見極めろ~って言われたよ?」
と、樹の枝に座ってた翼人族の少女がそう言うと…
「あぁ? オレは闇の中で漆黒の虎だったぞ?」
「私は森の中で九尾を持つ純白の狐でしたが?」
「私は夜の草原で月を背にした神秘的な狼だった」
残る3人もそれぞれの夢に出てきた存在を明かしていく。
「うん。ものの見事にバラバラだな…(そして、微妙にあの絵とも一致するな…)」
扉の絵を鮮明に思い出した訳じゃないが、色はともかく鯱、飛竜、東洋龍以外は4人の言う存在と合致してる、ような気がすると推測を立てる。
「それで…新たな覇王を見極めろ、っていうのは?」
気になるワードと言えば、そちらもそうだったので尋ねることにした。
「『汝、覇王の巫女よ。悠久の時を経て覇王の魂は今この地に再臨した。新たな覇王と共に歩むか否か…己の眼で確かめよ』って言われたわ。あと、『覇王と巫女はいずれ交わる
狼人族の少女がそう言って説明すると…
「私もそう言われました」
「オレも、んなこと言われたような…」
「私も~♪」
他の3人も同じような夢の内容だったことが判明する。
「ふむふむ。覇王の巫女ってのがどういうのか俺にもよくわからんが……皆さん、俺の見極めに来たと?」
実際、巫女の話なんぞこれっぽっちも聞いてない忍もわからなかったが、ここにいる4人は総じて自分を見極めに来たのか、と解釈する。
とは言え、何をどう見極めるのかサッパリだが…。
「"新たな覇王と共に歩むか否か"、という点に注目するのであれば、故郷を捨ててあなたと一緒に行くかどうか…ということなんでしょうか?」
「でも、"覇王と巫女はいずれ交わる"とも言ってたんだから、最終的にはこの人と共にあることが確定してるのでは?」
「ったく、めんどくせぇな」
「私は楽しければそれでいいんだけどなぁ~」
「いや、急にそんなこと言われてもだな。そもそも俺は君らを連れてく気はないんだが……第一、親友になんて言われるか…」
4人の言葉に忍は困惑げに言う。
ハジメのことだ、『足手纏いだ』と言って切り捨てるのが容易に想像出来る。
実際のところ、忍も似たような感想を抱いているので否定はしない。
大迷宮を攻略すべく旅をしているので、生半可な覚悟ではついてこれないだろうというのと、シアのように先祖返りしてる訳でもなさそうなのでそれも足を引っ張る要因に繋がりそうだからだ。
第一、そもそも連れてく理由がない。
いくら狼好きな忍とて気に入ったから連れていく、なんて無責任な真似はしない。
そんなものただの無駄死にと同じだからだ。
危険な旅には違いなく、このハルツィナ樹海の外で亜人がどういう扱いを受けてるかもハウリア族との話でだいたい想像出来る。
つまり、奴隷に堕ちるか、他の要因で死ぬか…。
少なくともシアのように先祖返りでもして、魔力を直接操作出来たり、固有魔法でも宿ってれば話は別なんだが…。
そんなハウリア族でもあるまいに、忌み子が生まれた時点で殺されているだろう(生みの親の心情は別にして…)。
また、覇王の巫女とやらがもしも天職であった場合、どんな恩恵を与えているかにもよるが…こればかりはステータスプレートでもないとどうにもならない気がする。
「(う~ん…俺の中にある覇王の魂が彼女らに何らかの影響を与えた? でも、能力的にはまだ覇狼しか得てないしな……魂と能力はまた別なのか? ふむ…)」
どうしたもんか、と悩む忍だった。
「とりあえず、今更だけど自己紹介しね?」
そういや、自己紹介がまだだったな~という考えからの提案だった。
まずはお互いを知る所から始めてみる作戦だ。
そんな忍の言葉に4人の注目が忍に向かう。
「俺は忍。紅神 忍っていうんだよ。名前が忍な? 紅神ってのは…まぁ、ファミリーネーム…部族名とはちょい違うような気もするが…ま、似たか寄ったかだろ」
と言い出しっぺなので、先に忍から自己紹介をすることにした。
それを聞き…
「狼人族のセレナ」
「チッ…オレは虎人族のジェシカだ」
「狐人族のレイラと申します」
「翼人族のティアラだよ~ん♪」
それぞれ簡潔に自分の名前を口にしていた。
「さて…自己紹介もしたから改めて言うが…俺は君らを連れていく気はない。大迷宮の攻略もそうだが、亜人を連れて歩くには色々とリスクが大きい。というか、ハッキリ言って足手纏いになる可能性が高い」
仕方ないとばかりに忍は包み隠さず事実を述べる。
「オレが足手纏いだと…?」
その言葉に眉を顰めたのはジェシカだった。
他の3人も程度は違うが、面白くないといった表情をしている。
「俺に一撃も当てられない時点で厳しいって…」
「チッ…」
忍の言葉に舌打ちしか出来なかった。
「悪いが、俺も親友もステータスが化け物じみててな。それぐらいないと大迷宮の攻略はかなり厳しいんだ。仮に樹海の外に出たとして、君らに魔法に対する備えがあるわけでもないだろ?」
亜人はそもそも魔力を持たない。
故にハルツィナ樹海を領土とし、樹海の外には出ないようにしてきたのだ。
「「「「……………………」」」」
そんな忍の言葉に4人は反論出来ないでいた。
「そんな外に出たら即死地みたいな旅に連れて行くのは、流石にね。せめて巫女ってのが具体的にどういうものかわかればいいんだが…」
そんな風に忍が言うと…
「確かに。現状であなたについていくメリットは無さそうですね」
レイラが冷静な口調で頷く。
「覇王と巫女はいずれ交わるのなら別に"今"でなくてもいいわけですからね。それがわかっただけでも良しとしましょう」
レイラが1人納得していると…
「え~、せっかく退屈から抜け出せると思ったのにぃ~」
ティアラが不満そうに口を尖らせている。
「チッ…今のままじゃ届かねぇってんならもっと鍛えねぇとダメか…」
ジェシカも何やら物騒な考えをしていた。
「……………………」
ただ1人、セレナだけは特に何も言わなかったが…。
「それでは、また次の機会にお会いしましょう。新たな覇王よ」
「次は確実に一発殴るから覚悟しとけよ!」
「ばいば~い」
そう言ってレイラ、ジェシカ、ティアラの3人は濃霧の中に消えていった。
しかし…
「……………………」
セレナだけはどういうわけか引き下がる様子を見せなかった。
「で、君は帰らないのかい?」
「えぇ、私はあなたについていく」
「……理由を聞いても?」
忍がそう尋ねると…
「さっきあなたが言った通り、今の私達ではあなた達の旅についていくのは厳しい。でも、だからと言って引き下がる理由にはならない。私は、覇王の巫女としてあなたについていく」
「何故、それを今言うかな? 他の3人もいた時に言えば、同調させることも出来たろう?」
忍は他の3人がいた時に言えば、"効果的だったのでは?"と首を傾げる。
しかし、セレナの答えは…
「それに何の意味がある?」
こうであった。
「ふむ…」
「巫女とは…恐らく、覇王に寄り添う者。過去の巫女がどんな風だったのかは知らない。でも、傍にいないとわからないこともあるし、見極められない。今を逃したらこの胸に渦巻くモヤモヤだって晴れない気がする。だったら、私はあなたと共に歩む。今、この時を選択する。だから…私も連れてって」
セレナの真剣な眼差しを受け…
「……………………」
忍は瞑目して考えを巡らせる。
もし、セレナの言う通り巫女が覇王に寄り添う者だとしてその役割とは何なのか?
確かに傍にいなくてはわからないこともあるだろう。
見極めろ、と覇王に言われたのならそれが一番かもしれない。
だが、だからと言って旅の同行を許可していいものか?
彼女をこの危険な旅に連れていくことに何か意味があるのだろうか?
忍がそうやって思い悩んでいる間も…
「……………………」
セレナは真剣な眼差しで忍を見続けていた。
こんなにも真剣な想いを無碍にしてもいいのか?
彼女も"覇王の巫女"だなんて訳分からずのものに内心で引っ掻き回されてるんではないだろうか?
自分でも覇王について知っていることなんて微々たるもの。
それをもっと知る機会があるのなら、それに乗ってみるのも一つの道では?
それに覇王のことを知りたいとも思っていたので丁度いいとも考えてしまった。
そんな風に考え始めてしまった忍は…
「…………………はぁ…」
一つ溜息を吐いてから…
「わかったよ。親友は俺が説得するからついてくるといいさ」
結局、折れてしまった。
「っ! ありがと」
「礼ならいらんよ。ただ、これだけは覚えていてくれ」
「?」
「俺は…いや、俺達は故郷に帰るために大迷宮を攻略するんだ。親友は彼女を故郷に連れてく気だろうが……俺は、身の振り方をどう決めるかまだ悩んでいるからな…それに"あいつ"のことも気掛かりだしな」
そう語る忍の眼は誰かを心配するかのような色を携えていた。
「恋人?」
セレナが尋ねると…
「……まぁ、そんなとこさ」
苦笑いしながらもそう答えた忍は樹の根元に置いた素材を取り…
「セレナ、だったな? 君も一旦帰って備えるといい。どうせ、あと九日後には大樹の下に行くんだしな。その間に親友を説得しとくよ」
「わかった」
それを最後にセレナも濃霧の中に消え、忍もハジメ達の元へと匂いを頼りに帰るのだった。
帰る間、忍はどうハジメを説得するかを考えていた。