赤い流星が青き星に降り(おり)し時、そこに病むほどの愛が現れる……?

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TSしたエボルトと戦兎が男を取り合う話です……たぶん


TSエボルトは人間を愛せるか?

 朝、()()()吹いてくる風と衝撃で目が覚めた。

 上半身を起こして周りを見て見れば、部屋の壁と屋根が吹き飛んでいて、まるで巨大な台風に襲われた後のようだった。

 

「はあ……」

 

 まあ、()()()()()()なので、上空をのぞいて見ればそこには――辛うじて見える速度で戦う二人の戦士がいた。

 ……言い争いをしながら。

 

 

「今日こそは消滅させてやるわよ、この押しかけ地球外生命体が!」

 

 一人は右半身にオレンジ色をしたタカモチーフのアーマーと、左半身に黒のアーマーが半分ずつ混ざった姿の戦士。

 手にはアーマーと同じ色カラーリングの銃を持っている。

 

「ははは、そんなことをしたら主様が悲しむという簡単なことに、なぜ気づかないのかしらねぇこのメスは……」

 

 もう一人は地球儀のような装飾が付いた赤い色をした姿の戦士だった。

 

「お生憎さま、あんたが消えたところで彼が悲しむなんて可能性は欠片も存在しないわ!、むしろ厚かましい居候が消えて清々するわよ!」

 

 手に持つ銃の弾倉に当たる部分を回転させながら混ざった姿の戦士がそう言った。

 対する赤い色の戦士は

 

「あーら、嫉妬してるのかしら? 幼馴染さん?」

 

 と、煽り返す。

 

「だーれが……」

 

【ワンハンドレッド!】

 

 手に持つ銃の回転が止まり最大までたまったことを知らせる音声がなったと思えば、それは即座に放たれた。

 

【フルバレット!】

 

「嫉妬してるってぇ!?」

 

 放たれたタカの形をしたエネルギー弾が縦横無尽に飛び回り、赤い戦士へと襲い掛かる。

 

「いまさらこんなものが効くとでも思ってるのかしら?」

 

 赤い戦士はそう言うと、いつの間にか手に持っていた銃で飛び回るエネルギー弾をすべて撃ち落とした。

 

「ちっ」

 

「あらあら、舌打ちとは淑女がすることではありませんわよ?」

 

「ええい、地球外生命体にそんなこと言われたくないわよ! ……でもそうね、あんたの言うようにこれではもう効かないみたいね、なら」

 

 混ざりものの戦士はそう言うと、大きな白いボトルを取り出した。

 

「あらあら、そちらがその気ならこちらも」

 

 対する赤い戦士は片手サイズの黒い装置を取り出した。

 二人の戦士は、それを起動する。

 

        【グレイトオールイェイ!】    【オーバーザエボリューション!】

 

 そして、それを似たデザインをしたベルトに装填しハンドルを回す。

 回転が終わると、ベルトから声は違うが同じ内容の音声が鳴る。

 

 

 

                【【Are you ready ?】】

 

 

           「変身!」          「変……身……」     

 

 

【完全無欠のボトルガール! ビルドジーニアス!】

【ブラックホール!ブラックホール!ブラックホール!エヴォリューション!】

 

 二人の戦士の姿は黒と白、決して交わることはないという意思が互いの姿から感じられる。

 二人の戦士は互いの名前を叫びながら激突する。

 

 

「エボルトオオオオオオ!」

 

桐生 雪兎(きりゅう ゆきと)おおおおおおおおお!」

 

 

【ジーニアスフィニッシュ!】  【ブラックホールフィニッシュ!】

 

 もう線にしか見えない速度で戦い始めた。

 激突する時に何やら衝撃波が発生しているようだが、何やらバリアのような物に守られているようで、被害は自分の部屋だけのようだった。

 

「はぁ……」

 

 もう一度空を見上げて、思わずため息をつく。

 どうしてこうなってしまったのだろうか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれは、一カ月ほど前。

 学校の授業を終えて家へと向かうまだ日があまり傾いていない頃、空に流れる赤い星を見つけたときだった。

 

「まだ明るいのに流れ星?」

 

 そう言って呑気に星を眺めていたらその星はその動きをピタリと止めた。

 

「はい?」

 

 唖然とする自分を置いて、その星は角度を変えて急に動き始めたのだ……此方に向けて。

 

「うおおおおおおおお!?」

 

 逃げようにもそんな暇もなく、迫る輝く星。

 もうだめかと思い、目を潰る。

 だが、今か今かと待とうとも衝突による衝撃や痛みが来ない、不審に思い目を開ければそこに赤い輝きを放つ星はなかった。

 その時は、幻覚でも見たのかと思いすぐに忘れてしまった。

 

 だが、事は家に帰った瞬間に起こった。

 家に帰ると、玄関前に少女が立っている。

 自分のよく知る人物だった。

 

「あれ。 雪兎じゃないか、どうかしたのか?」

 

 桐生雪兎。

 自分の幼馴染で、世界的に知られる天才美少女だ。

 以前彼女の家に行ったときには様々な発明品が飾ってあった。

 

「ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

 

 そう言って、雪兎は早足で自分のすぐそばまで近寄ってくる。

 距離は相手の呼吸が聞こえてくる距離で、少し自分はたじろいでしまった。

 

「なっなんだよ、一体」

 

 顔が少し熱くなるのを感じる。

 雪兎は、いつも自身を美少女だと声高らかに謳っているのだが、その通りで間近まで近づかれると照れてしまう。

 

「――今日、私以外に女とあった?」

 

 氷のような声が耳に届き思わず体をこわばらせる。

 今までに聞いたことのない声だった。

 

「おいおい、俺がモテないことをしてて言ってるのか? 誰とも会ってないぞ」

 

 少し声を震わせながらも軽い口調で自分は答えた。

 

「ふーん」

 

 だが、その答えはお気に召さなかったようで雪兎の機嫌を損ねてしまったようだった。

 なにか悪いことでもしただろうか、そう考えていると雪兎が匂いを嗅いできた。

 

「なっなんだよ、なんか匂うか?」

 

「……女の匂いがする」

 

 その瞬間、雪兎の顔を見てしまった。

 ()()()()()()、どう見ても普通ではなかった。

 思わず後ろに身を引いた。

 

「ほっほんとに今日はどうしたんだよ!?」

 

 思わず叫ぶが雪兎の表所は変わらなかった。

 ただただこちらをじっと見つめてくるだけだった。

 たじろぐ自分はそうすることもできずオドオドすることしかできなかった。

 そんな時、自分の体から女性の声が響いてきた。

 

『おやおや、困らせてしまっているのではありませんか、これでは主様には似合いませんねぇ‥‥‥』

 

「誰!?」

 

『驚くことはありません主様、今姿をお見せしましょう』

 

 その瞬間、体から赤いスライムのような物体があふれ出してきた。

 赤いスライムは形を形成していくと、赤い髪のグラマラスな女性が現れた。

 

「初めまして、主様、私の名はエボルト宇宙よりあなたに愛を捧げるために馳せ参じたものにございます」

 

 そう言って、赤い髪の女性は自分を抱きしめた。

 

「なななななな!?」

 

「あらあら耳まで赤くしてしまって初心な方ですねぇ、これからが楽しみです」

 

 上半身にやわらかい感触を感じながら成すがままになっていると、ここにいたもう一人の声が聞こえてきた。

 

「おい」

 

 その声からは明らかな怒気、そして殺意がこもっていることを肌で感じることができた。

 

「彼から離れろ」

 

 雪兎の手にはいつの間にか持っていたハンドルのついた発明品を腰に押し付けて身に着けた。

 

「あらあら、女の嫉妬は見苦しいですわよ?」

 

 対するエボルトと名乗った女は自分を離すと、銃を取り出していた。

 

「ちょっと!? いったい何するきだ!?」

 

 並々ならぬ状態に声を荒げる。

 だが、臨戦態勢になっている二人に自分の声が届くことはなかった。

 

「お前に彼は渡さない」

 

「あなたに主様は似合わない」

 

「「……」」

 

 張り詰める空気の中、自分を置いてけぼりにして二人は動いた。

 

     【スーパーベストマッチ!】  【コブラ!】

 

         「変身」        「蒸血」

 

【アンコントロールスイッチ! ブラックハザード!】  【コブラ……コブラ……ファイア……】

 

「「消えろクソ女!」」

 

 二人は謎のスーツを装着すると、戦い始めてしまった。

 

「……誰かなんとかして」 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これは、空からやってきた地球外生命体と幼馴染が一人の男を取り合う愛の物語……なのかもしれない。




ヤンデレが書いてみたかった……
そしてこれをビルドといっていいのだろうか‥…


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