そして、最初は純愛的なボーイミーツガール的なお話を書こうと思ったんだけど、あじぽんにはやっぱりむりだったよ…
ホームグラウンドの日光迷宮を探索中のことである。
迷宮の転移魔方陣らしき罠に引っかかって出てきたのは、バスケットの試合が余裕でやれそうな石造りの大部屋だった。
ボスモンスター部屋へ転移する殺意の高い罠。
ここら辺までは普段からよくあること。
しかしいつもと違うのは、目の前にはモンスターではなく、鎧姿の白人系らしき外人がわらわらと、剣や槍などの武器を構え待ち構えていたことだ。
ざっと目視確認しただけでも三十人ってところ。
わかりやすくも人為的に仕掛けられた罠。
ギラギラと見つめられる視線が居心地悪く、こんにちはと間の抜けた挨拶をしてみたら、返されたのはどこの国の言葉とも知らぬ言語と嫌な笑い。
国籍不明な団体さんは明らかにこちらに対して敵意……いや、悪意を持っている感じ。
不本意なことであるがオレはある事情から、こういうトラブルに遭遇するのが珍しくない。
いや、でもまあ、外人さんが、こんな集団で日光迷宮にいるというのは珍しいかな?
だけど不思議に思ったのはそれだけではなく、彼らの容姿というか髪や肌質など全体的に見て汚く、着ている鉄製らしき鎧も洗練されてなくて不格好であった。
日本在住にしては清潔感がまったくなく、なんだか洋ゲームに出てくる汗と泥と鉄錆のにおいがしてきそうなファンタジーキャラみたいだった。
サンケー仕事とはいえ、身だしなみに気を使うおしゃれな迷宮探索者は多いからよけいにね。
その違和感が確信に変わったのは、足元の地面に描かれた用途不明な禍々しい魔法陣らしき図形と、周りに飛び散る人のものと思しき大量の血痕と手足や内臓などの肉片を確認できたから。
そして……。
「ゔゔゔゔゔゔゔゔうっ‼」
魔法陣の外……オレと鎧集団の向かい合った丁度中間あたり。
首ひもを着けられ、すえた匂いのしそうな汚れたボロ切れをまとった女がいた。
成人女性と思しき彼女は獣じみたうめき声をあげながら床で仰向けになっていて、狂ったように
先ほどから鎧姿の集団から聞こえている嫌らしげに笑う不快な声は、そのさまを明らかに嘲るものであった。
彼女は必死な様子で体を起こそうとしているが、そうしようにも使うべき手足は肘と膝の先から消失して存在せず、立ちあがることすら困難のようだ。
金色の髪はざんばらに切られ、顔は片目が見えなくなるほど醜く腫れあがり、声をあげ続けるために大きく開いた口には舌がなく歯もいくつか欠けていた。
大きな乳房や女性器などの恥部がボロ切れから見え隠れし、歯型らしき跡や打撲の痣で肌がまだら模様のようになっていて、そのありさまから彼女が拷問のような凌辱を、どれほどの長い期間受けてきたのかを察することができた。
口の中に苦いものがこみあげる……彼女が畜生以下の扱いをされていることが理解できたからだ。
そして、中ほどで切断された両耳は明らかに人間のモノとは形が違っていた。
エルフ種……もしくはそれに該当する種族。
日光迷宮のある日光市でも、外世界から来訪してくる異人種はそれほど珍しい存在でなくなってきている。
そこら辺のコンビニかファミレスに入れば、出稼ぎにきている美形なエルフが普通に出迎えてくれるくらいだ。
そして、異人種といえ、彼らにも日本憲法で定められ保証された人権がある。
異人種だからって、決して、このような扱いを受けていいはずがない。
この国にいる限り、どのような理由があろうと、こんな残酷で非人道な行為は許されるはずがないのだ。
そりゃ、乱暴者の迷宮探索者なんて、獲物の取り合いで殺し合い一歩手前……というかヤっちゃいました、なんてよくあることだが、ここまでイかれたことをする連中なんてまずいない。
醒めた気分で鎧姿の集団を見る。
顔の上半分を覆うヒヒイロカネ合金製のフェイスガードごしに、
胸糞の悪くなるようなエロゲリョナ状態の彼女を、笑い、侮蔑と思われる言葉をかけ、情欲の目で見る者がいた。
オレを対象に何らかの効率の悪そうな魔法を詠唱している者がいた。
剣と盾を構えて打ち鳴し、サルじみた表情を見せながら得意げにオレを挑発している者がいた。
そして、他の者とは明らかに作りの違う、一番立派そうな鎧を着けた人間が、吐き気を覚えるような欲望に満ちた目をした女がいた。
もう一度、手足のないエルフを見た。
彼女の声は人の言葉をなしてなく、何を言っているのかは理解できない。
しかし、言葉を喋れても多分通じないだろう。
だって、鎧姿の集団が先ほどから何言ってるのかまったく理解できねーし。
それにこの、人としてのモラルが微塵も存在しない異様な状況は、間違いなくここが日光迷宮どころか日本でないことを示していた。
床に描かれているのが、おそらく強制召喚魔方陣。
ひょっとしてこいつらが、ここ最近、日光迷宮で続出している神隠しの犯人グループなのかもしれない。
「ゔゔゔ‼ ゔゔゔ!! ゔゔゔゔっー‼」
だけど、だけどね、それでもオレにはわかったんだよ……。
手足をばたつかせ、必死にオレの姿を見ようとしている彼女の言葉が。
自死を考えてもおかしくないほど欠損し辱しめられたエルフの彼女が、ひたすらに自らを憐れみ助けを求めてもおかしくない彼女が、すべてのモノを怨み増悪の言葉を吐きだしてもおかしくない彼女が、何と言ってあれほど泣き狂っているのか。
――ごめんなさい、ごめんなさい、こんなところにあなたさまを呼びだしてしまってほんとうにごめんなさい。
心が震えたよ。
オレがいま感じているこの気持ち、この熱さ、語らなくてもわかるだろう……男の子ならさ?
こんな男らしくない姿になったオレだけど、割り切ることの多い日常を送ってるけど、子供じみた正義感やヒーロー願望はまだあるし、心のオオカミは子猫ちゃんにはなっちゃいない。
ボーイミーツガールは嫌いではなく憧れる。
ようやく体を起こし、ぶるぶる震えながらも四つん這いで立ちあがった彼女と真っすぐに視線があった。
フェイスガード越しだけど、彼女のぬれた瞳がオレの目を見ていると感じられた。
耳は切られ手足は半ばから無く、体中が傷と痣だらけで涙と涎をたらし、人としての尊厳を奪われて、生き物としても歪で不自然な姿だろう。
それでもオレには、彼女のそのありようが、今まで見てきたどんなものよりも気高く美しく思えた。
「ゔぐぁ⁉」
腫れあがった唇で彼女が声を発しようとした瞬間、それは悲鳴になった。
彼女のお尻が上から踏みつぶされるかのように蹴られたのだ。
やったのは鎧姿の女だった。
女は酷薄な笑みを浮かべて、彼女の体に、オレの目の前で、棘のついた鉄製のブーツで何度も蹴りを入れた。
「ゔぅあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ぁぁ!!」
痛みに泣き、激痛に失禁し、体を小さく丸めて惨めに蹲る彼女に、鎧姿の集団が雑音のような大きな笑い声をあげた。
炎が、ヒヒイロカネ合金製の体に、怒りが炎となって宿る。
オレの心臓である三重式魔導リアクターが殺意に呼応し、
異音をたてながら背中の多機能翼が展開し、フェイスガードを開放して素顔をさらすと、鎧姿の集団からどよめきがあがった。
彼女を虐げていた鎧姿の女も、驚愕の表情とともに動きを止めた。
だがオレはそれらには構わず、この体になっても以前とまったく変わらない女のような顔で、ぼんやりとこちらを見あげる彼女に精一杯の笑顔をつくって応えてやった。
大丈夫、君はオレが守る、と。
そして鎧姿の女に、その集団に告げる。
不本意ながら、同業者にネタでつけられた二つ名の断罪の天使のように。
「
キャラ設定的なものですが
主人公…TSサイボーグ娘。
迷宮に入るために、ジョブを落ち武者か魔導式サイボーグのどっちかを選べと言われサイボーグになった栃木県日光市在住の少年。
迷宮探索中に別世界に召喚された。
サイボーグになる前は男の娘的な顔だったので手違いで女ボディに改造されてしまう。
イメージ的にはゼノブレイドのフィオルン(メカルン)
エロフちゃん
二十歳ほどの見た目、エルフの里の族長の一人娘。
帝国軍に里が襲撃され、村人を救うために奴隷の身になった。
帝国軍に脅され、異世界の神(人間)の召喚を魂を削って繰り返す。
その神(人間)は莫大な魔力を得るために、帝国軍によって殺され分解されていた。
自らのことより他人のことを思いやる優しい娘、それ故に召喚した相手に対して深い罪悪感を抱いている。
鎧姿の女
小国であった帝国に突如現れ、見る見るうちにいくつもの人の国を一つにまとめた英雄、勇者と呼ばれる少年のハーレムメンバーの一人。
勇者のこだわりでハーレムメンバーは13人なのだが、鎧姿の女が末のため、勇者に捨てられないよう功績を上げることに焦っている。
ちなみに、エロフちゃんの美貌は帝国にも届いており、勇者が関心を抱かないように散々な目(リョナ)にあわせていた模様。
こっから主人公が大暴れって感じですが、ここで力尽きました(
需要もなさそうだし、いいよネ!