人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築   作:チャーシュー麺愉悦部

402 / 402
肆 復讐心

カディシュトゥの女魔は何を目的にする者達かをハデスに問うた時、復讐なのだと言われる。

 

サマエルと同じく女魔達も唯一神という秩序側に虐げられたため、報復を望んでいるという。

 

「女魔達の目的は世界を管理・抑圧してきたLAW(秩序)を貶め、混沌の世界を築くこと…」

 

「そう言ってたね…彼女達は唯一神だけでなく、多神教連合の秩序も憎んでる…」

 

「彼女達はあらゆる自然秩序を真逆に貶め、自分達に都合がいい快楽にすり替える極悪人です」

 

「秩序は片方だけのものじゃないよ…皆の同意があって成立する…彼女達は間違ってるよ…」

 

「極悪人に共通するのはすり替え手口…間違ってるのはお前の方だと問題を擦り付けますわ」

 

「やっぱり…話し合いで解決は…難しいのかな…」

 

「難しいですわね…ルシファーとバアルという柱を失った彼女達は追い詰められてますわ…」

 

「強硬手段で問題を解決しようとしたらいつだって暴力による解決しか残らない…悲しいね…」

 

再び殺し合いをしなければならない苦しみを感じていた時だった。

 

「ど、どうしたのです…?」

 

空の上で急停止したまどかの表情は青ざめており、震える口がこう告げてくる。

 

「セ…セルマちゃんと…紫丁香さんとの繋がりが…消えちゃった…」

 

円環のコトワリに吸収された魔法少女達は円環の女神との繋がりで円環の力を発揮する。

 

繋がりが消えたという事は消滅させられてしまったのだと分かるまどかは驚愕してしまう。

 

「そ…そんな…あの子達は概念存在ですよ…?消滅してしまうなんて…あるんですか!?」

 

「考えられるとしたら…悪魔に喰われて同化したんだと思う…別の概念存在になったんだよ…」

 

ワスの顔も青ざめてしまい、概念存在であっても滅ぶのだと突きつけられて震えぬく。

 

目から悔し涙を滲ませる彼女達は一気に加速しながら女魔の領域に入り込む。

 

そんな彼女達に浴びせられたのは魂までつんざく程の竜の咆哮である。

 

「あ…あれは…まさか……」

 

「黒い…ドラゴンでしょうか……?」

 

超巨大な翼竜の姿は遠く離れていても巨大に見える。

 

その全長はかつての魔王アモンを超える程の巨体であり、数キロメートルもある。

 

ひとたび翼を羽ばたかせれば地上のあらゆるモノをひっくり返す程の豪風を起こす。

 

女魔達が支配していた領域まで崩壊させられそうだが結界が張られた城館周囲は健在のようだ。

 

「間違いない…あれは…あの黒いドラゴンは…エジプト神話の裏切りの神…セトだよ!!」

 

【セト】

 

エジプト神話の神であり、エジプト9主神の一柱に数えられる邪悪な神。

 

冥界神オシリスの弟神であり、兄神を謀殺して最高権威を手にしたとされている。

 

異国の君主、砂漠や灼熱、エジプトの秩序に従わないあらゆる暴力を司る神と呼ばれるようだ。

 

しかしこれはエジプト王権の政争によって貶められただけであり、本来は高潔なる最高神。

 

政争によってオシリスやホルスよりも神格を下にされただけであり、政争によって貶められる。

 

ホルスとセトの争いの決着は世界が終わる最終戦争まで続くとされ、最強格の邪神になる。

 

異民族がファラオを務めた時代では彼らの主神()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「「ニクイ…ニクイ…ニクイィィィーーーーッッ!!!」」

 

憎悪の雄叫びを上げながら暴風の竜巻を起こし、冥界の曇天まで渦を巻く。

 

渦巻く曇天から降り注ぐのは炎の隕石であり、地上に目掛けて次々とメテオが降り注ぐ。

 

竜巻とメテオに破壊し尽くされる地上の光景こそ多神教連合の主神の次元に思えてくるだろう。

 

「なんという力なんですか…わたくしなんて…あれに比べたら…虫けらのようなものですわ…」

 

ワルプルギスの夜であるワスでさえ震えぬく程の邪神に対し、まどかはこう告げてくる。

 

「ワスさん…ハデスさん達にはわたしが念話を送ったから。これはもう神々の戦争になるよ…」

 

「そのようですね…地上で起こった神々の戦争の次は…冥界でも神々の戦争が起こるなんて…」

 

「わたしがセトを抑え込む!!ワスさんはハデスさん達が来るまで無茶をしたらダメだよ!!」

 

一方、召喚されたセトを見上げる女魔達は拍手を送りながら邪神を歓迎している。

 

「流石はバアル様と同一視される程の存在ですわ…だからこそサタンであり、神霊でもある」

 

「かつての神霊サタンはセトを纏ったというからねぇ…その力のせいで私達の領域も崩壊する」

 

「セトを召喚する為の果実は全て収穫し終えてます。また新しい葡萄畑を作ればいいだけです」

 

「そうだねぇ…次の葡萄畑を作る候補地は円環の世界にしようじゃないか…クックックッ!!」

 

円環の魔女達を全員拷問してマガツヒ貯蔵の悪しき果実に作り替えようとする女魔達。

 

そんな彼女達も復讐の女神であり、()()()()()()()()()()()()魔女であり悪魔達。

 

だからこそセルマと紫丁香は同じ復讐者に導かれた果てにミイラに成り果ててしまうのだ。

 

「「コロス…コロス…ニクイ…ニクイィィィーーーーッッ!!」」

 

迫りくる円環のコトワリに対し、邪神セトが悪しき輝きを全身から発する。

 

「こ、これは!!?」

 

その悪しき輝きは神霊サタンがルシファー尚紀に用いたものと同じである。

 

「わたしの衣が…無力化させられた!?」

 

神の耐性を全て剥ぎ取られてノーマル耐性に貶められたせいで全ての魔法が通じる状態になる。

 

これでは円環の女神でさえ魔法少女と同じ程度の魔法耐性しか残らず、強大な攻撃を防げない。

 

「「キサマモ…オトシメラレロォォォォーーーッッ!!!」」

 

強大な豪風が熱波となりながら襲い掛かってくる。

 

「あぁぁぁぁぁぁーーーーっ!!!」

 

セトの風魔法を無効化出来ないまどかは豪風に巻き上げられながらメテオが直撃していく。

 

それでも戦闘力まで貶められたわけではないため、強大な魔力で豪風を無理やり打ち破る。

 

大弓を構えながら無数の魔力の矢を発射する女神に対し、セトは大口を開く。

 

発射されたのは至高の魔弾であり、咄嗟に上昇しながらその一撃を避ける。

 

ならば直接喰らってやると迫りくるセトが放つ叫びを聞かされるまどかは気づいてくれる。

 

「この声は……セルマちゃんと紫丁香さん!!?」

 

邪神に成り果てた魔法少女達に気が付いてくれたまどかは絶望してしまう。

 

「わたしが…わたしが間に合わなかったばかりに…あんまりだよぉぉぉーーっ!!」

 

どうしていいか分からないまどかは防戦一方となってしまう。

 

一方、ワスに対しては女魔の一体が仕掛けてくる。

 

「私の血もたぎってきた!!アンタも救済してあげるよぉぉぉーーっ!!」

 

迫りくるエイシェトに対し、背中に魔法陣を浮かべたワスは力を開放する。

 

彼女の周囲に生み出されたのは黒い影で編まれた魔法少女達であり、突撃を命じられる。

 

「わたくしを救済出来るのは…マルグリートだけですわ!!」

 

魔法武器を構えながら突撃していく影の魔法少女達の背中を見送るワスの目が見開く。

 

(あの子達の姿は……)

 

その光景はかつてのマルグリートが指揮を執った魔法少女達の背中と酷似して見えてくる。

 

「さぁ、アンタの心の闇を私が味わってあげようかねぇぇぇぇーーっ!!」

 

ミナゴロシの愉悦を纏っているエイシェトは黒い翼を羽ばたかせながら回転する。

 

ドリルの如く回る彼女の両手の爪から放たれるのは刹那五月雨斬りの一撃。

 

<<アァァァァーーーッッ!!!>>

 

ワルプルギスの夜が生み出した影の魔法少女達はズタズタに切り裂かれながら落下する。

 

女魔の中では物理攻撃に秀でたエイシェトは貪る者でもあり、禍々しい口を開く。

 

「シャァァァァーーーーッッ!!!」

 

どす黒い舌が一気に伸び、その形が黒い手に変化しながらバラバラの魔法少女達を掴む。

 

圧縮した肉片を握り潰し、マガツヒの光に変えながら舌を戻して飲み込んでしまう。

 

『悪しき果実の貪り』によって食べられた魔法少女達の感情をエイシェトは吸収するだろう。

 

「お前達の醜い感情は私が救済してやろう…私の一部となって永遠を生きるんだよぉぉぉ…」

 

「わたくしの中に溶けた魔法少女達を返しなさい!!」

 

「無理だねぇ?悪魔の中に溶けた魔法少女は別の概念存在と成り果てる…あの邪神のようにね」

 

「まさか…あの黒いドラゴンの中に溶けたのは…!?」

 

「察しの通り、私達の領域にやってきた魔法少女共さ。彼女達は捧げられし者(カディシュトゥ)になったんだよ」

 

セルマと紫丁香は二度と帰らない者になったと理解したワスの眉間にシワが寄り切る。

 

憎悪の魔力を噴き上がらせる彼女の背後に浮かび上がるのは大魔女ワルプルギスの夜である。

 

「魔法少女を悪魔の生贄にするのが救済ですって…?どこまでも愚かで悲しい生き物め!!」

 

「酷いブーメランな理屈だねぇ?アンタも呪いをばら撒きながら人間を生贄にしてきたくせに」

 

「そ…それは……」

 

「それだけじゃない、アンタは付き従った魔法少女共さえ契約の天使の生贄にしたんだろ…?」

 

喰らった魔法少女達の感情エネルギーから記憶を読み取ったエイシェトはこう告げてくる。

 

「私に喰らわれた女達はアンタに救いを求めたはず…なのにアンタはこいつらを裏切った」

 

「うっ……うぅ……!!」

 

「なのに私達だけが愚かで悲しい生き物?ふざけんじゃないよ…このダブスタ女がぁぁぁ!!」

 

禅問答を仕掛けられたワスの心に強い乱れが生じたせいで戦いは極めて劣勢となってしまう。

 

ワスもまたカディシュトゥであり、無知な魔法少女達をキュウべぇの生贄にした邪悪な魔女。

 

それだけでなく唯一神が生んだ世界に復讐をするために大勢の人間達まで殺戮している。

 

ならば()()()()()()()()()()()()()に過ぎず、同族嫌悪を向けているだけだと宣告されるのだ。

 

「他人を好き放題生贄にしたくせに、私達が生贄にするのはダメとくる…この卑怯者め!!」

 

「し…仕方なかったの!!わたくし達は契約の天使に騙されていただけで…」

 

「都合が悪くなれば自分の悪行を全て他人に擦り付ける!()()()()()()()()()()()()だろ!!」

 

因果とは選択であり、無知な選択によって滅びの結果がついてくる。

 

それこそが魔法少女達が背負った因果であり、滅びるのは必然なのだと告げられる。

 

「他責の安心感に浸りたい奴らの脳みそはご都合主義さ!潔く自分の罪を認めてみせろぉ!!」

 

「知りようなんてなかったの!インキュベーターが悪者だなんて気が付かなかったの!!」

 

「どうして調()()()()()()()()()()()()さ?探偵と同じく調査する自由まで奪われなかったろ?」

 

「そ…それは…その……」

 

キリストと同じ救世主が現れたと勝手に思い込み、似非キリストの言葉を鵜呑みにする。

 

それこそが権威主義者の心理であり、尊師である御上様が間違うはずがないと勝手に信じ込む。

 

カルト宗教信者と同じ心理であり、自分が間違っていたと分かった時、立ち直れなくなる。

 

それこそが大日本帝国大本営様を信じた愚民族日本人の在り方であり、ワスも同じだと告げる。

 

「認めるのが怖いだけ、それならバカの方が遥かにマシ。間違った分、勉強出来るからねぇ…」

 

「愚者なのは…わたくしの方なのですか…?」

 

「アンタの性質は何処までも()()()()()さ。まさにワルプルギスの夜だよねぇぇぇ…!!」

 

エイシェトの言葉通りキュウべぇを疑い、フランスの魔法少女に事情調査をしていたらどうだ?

 

魔法少女の中にはキュウべぇの嘘に気が付いている暁美ほむらのような者もいたかもしれない。

 

気が付くキッカケとなり、キュウべぇの嘘に惑わされないまま人間として生きられたはず。

 

それはマルグリートを信じて破滅した修道女達も同じであり、罪の意識が膨張していく。

 

「わたくしは…わたくしは…無力な…道化……」

 

ガタガタ震えて動きが止まったワスに目掛けて迫りくるエイシェトが貫手を放つ。

 

「ガハッ!!!」

 

心臓を貫いた刃の爪から血と感情エネルギーを吸われるワスに対し、エイシェトはこう語る。

 

()()()()()()()()()()()()()?」

 

その一言で狂ったのか、ワスは大粒の涙を零しながら大笑いを始めてしまう。

 

「アハ…ハハハ…ハハハハハ…アハハハハハハハハハッッ!!!!」

 

マヌケで無力な大魔女ワルプルギスの夜が可笑しいのか、ワスは命の限り大笑いを繰り返す。

 

貫手の刃を抜かれた彼女は力なく落下しながらも大笑いを繰り返すだろう。

 

倒れ込んで意識を失う最後の時まで愚かな自分を嘲笑う狂気の笑い声を上げるのであった。

 

 

まどかからの念話を受け取ったハデスはヘカーテ達と共に女魔の領域に進軍している。

 

ケルベロス族やヘカトンケイル、それにオーカス率いる豚の戦士は完全武装をしているようだ。

 

「オークックックッ!!オークの戦士達よ!ワガハイと共に戦で武功を立てるのだ!!」

 

<<ウォォォォォォォーーーーッッ!!!>>

 

【オーク】

 

オルクスの配下である豚頭の悪鬼であり、魔界の亜人種として人間に極めて近い種族である。

 

食欲と性欲が旺盛であり、人間の集落を襲撃しては食料や女性を略奪する悪魔であろう。

 

「やれやれ…オルクスの奴はオーカスの姿に戻るとオークと変わらん下品な性格に堕ちる…」

 

「地上に召喚された時は混沌王殿の戦に参加したのだ…我らも混沌王殿に忠義を示す機会だ」

 

「その通りだな。我らは混沌王陛下の娘となったアラディアのために戦おうぞ」

 

巨大なキマイラが引っ張る戦車の上に立つハデスとヘカーテは遠くに現れた軍勢に目を向ける。

 

「アグラトめ…現れたか…」

 

毒のように禍々しい霧の上で佇んでいるのはアグラトであり、毒の霧は山のように巨大である。

 

「あらあら?いつの間にかアラディアの僕にまで堕ちていたようね?ハデス、ヘカーテ?」

 

「勘違いするな、我らが忠義を示すのは混沌王陛下である」

 

「混沌王である人修羅殿が娘としてアラディアを受け入れた以上、我らは守らねばならぬ」

 

「人修羅は閣下とバアル様を裏切った逆賊…その味方をするなら…覚悟はよろしくて?」

 

「覚悟をするのは貴様らの方だ。今日この日をもって、貴様らとの因縁を終わりにしてやろう」

 

威風堂々としたハデスの軍勢に対し、アグラトは不気味な笑みを浮かべてくる。

 

壁となる山の如き霧の中に潜む者達に気が付いているキマイラとケルベロスが唸り声を上げる。

 

「気ヲツケヨ、ハデス様!アノ霧ノ奥ニ潜ムノハ…我ラノ兄弟ダ!!」

 

「デテクルガイイ!!我トキマイラノ鼻ハゴマカセンゾ!!」

 

毒の霧を大きく吸い込みながらその巨体を表すのは塔の如き悪魔であり、首が何本もある。

 

斬る程に増殖する毒蛇であり、英雄ヘラクレスと死闘を演じた存在が毒の息を噴き出す。

 

アグラトが立つのは屋根となってくれる中央の首であり、雄叫びを上げてくるのだ。

 

【ヒュドラ】

 

ギリシャ神話に登場する多頭の大蛇であり、怪物達の母エキドナと巨獣ティホンの子。

 

レルネの沼を根城とし、首を切ると新たな首が生え、中央の一首は不死である死と再生の悪魔。

 

ヒュドラの吐く息や血には近づくだけでも命を奪う程の猛毒が備わり、土地を汚染するという。

 

女神ヘラによってヘラクレスを倒すために育てられ、十二の功業の一つとなった大蛇であった。

 

「久しいではないか、ケルベロス、キマイラよ!我らは中々巡り合えぬ定めであったな!」

 

「ウムッ…マタサレスギテ…キット()()()()()()()()()()()()()()ト思ッテイタゾ」

 

「ファイブ…?おかしな事を言い出すな、それは割と…メタい発言だと…思うぞ」

 

「アオォォーーン!!ソウデアッタ…口ハ災イノ元ダ…我ガ顎ハ敵ヲクラウ事ニ集中シヨウ」

 

「茶番ヲシテイル場合デハナイゾ、ケルベロス。奴メ…以前ヨリモ毒々シイ魔力ヲ纏ッテイル」

 

黒と金色で彩られたヒュドラの頭は目が備わっておらず、鉄の額当てのような硬質な見た目。

 

邪悪な文様が描かれたその下には剣山の如き鋭い歯がむき出しであり、猛毒の息を吐きだす。

 

「かつてのヘラクレスに敗れたヒュドラを我々は密かに回収し、毒の沼で育てましたわ」

 

「ヘラクレスですら不死の首を滅ぼす事は出来ず、切り落として土に埋めて封印したからな…」

 

「夫のサマエルと同じく猛毒の蛇を愛する邪悪な魔女共め…今日こそ滅ぼしてくれるわ!」

 

「冷たい御方ですわね?私達も唯一神に虐げられた魔女だというのに、救ってくれませんの?」

 

「貴様らは秩序を真逆にするグノーシス主義者だ!そんな貴様らなど()()()()()()()()()()!」

 

「アッハハハハハ!ええ…私達は世界の全てを真逆に貶める…故に私達は女魔ですわねぇ」

 

「魔女達とて虐げられる存在でなければ平安を望む…平穏な生活は秩序があって成り立つ!!」

 

「貴女も魔女である魔法少女の生活は見てきたはず。彼女達の生活の中に秩序はありました?」

 

それを問われたヘカーテは押し黙ってしまう。

 

ヘカーテは魔法少女達が同性愛という堕落を望んできた歴史に心を痛めてきた魔女の女神。

 

その恋愛は秩序の真逆であり、自由と混沌を掲げながら世界の在り方を真逆にしてしまう。

 

それでは人類は堕落と腐敗に飲み込まれながら自滅の道を辿ると分かるため、敵視している。

 

「魔法少女こそ堕落と腐敗を司る人間らしさに溢れた連中…だからこそ私達を望むのですわ」

 

「貴様らの元に魔法少女共が流れていくのは必然なのか…」

 

「彼女達の話では円環ですら同性愛を望む派閥が大勢いるそうです。これが魔法少女なのです」

 

魔法少女の在り方とは何処までもCHAOSであり、自由という名の我儘を敷くだけの左翼脳共。

 

自分達の我儘の正当化を望んだ末にフェミニストに成り果てた歴史魔法少女は数多くいる。

 

彼女達の本質は百合を司るリリスと同じであり、リリム達なのだとアグラトは断言してくる。

 

「円環の女王であるアラディアと鹿目まどかも同じだったら…我は魔法少女を見捨てていたな」

 

右手に持つ巨大な鞭を強く握り込み、ピンと張らせたヘカーテはこう告げる。

 

「しかし円環の女王の心には我と同じ秩序が宿っていてくれた…だからこそ我は見捨てない!」

 

「貴様…魔女の女神のくせに…そこまで秩序に加担するのですか!?この名誉男性め!!」

 

「貴様もフェミニストのようだな?フェミニズムの象徴であるリリスに連なる邪悪な女魔め!」

 

「我らは男神である混沌王陛下の家臣となった者達!男神の権威を貶める売女共を滅する!!」

 

「黙りなさいハデス!!貴様も妻を誘拐して女を苦しめたDV男です!この私が滅しましょう!」

 

「確かにペルセポネを誘拐した…それでも我を愛してくれた!男を支えてくれた愛する妻だ!」

 

角が生えた髑髏と黒いフリルで編まれた背骨の杖を掲げたハデスの号令の元、軍団が突撃する。

 

迎え撃つのはヒュドラの足元にいる女魔の軍勢であり、夢魔や夜魔、鬼女や妖鬼共が突撃する。

 

「CHAOSの悪魔共はティタン神族よりもタチが悪い!全員タルタロスに突き落とす!!」

 

ヒュドラよりも巨大なヘカトンケイルに備わる無数の腕が岩盤大地を持ち上げながら投げる。

 

迫りくる巨大な岩盤大地に対し、アグラトは二層構造の魔法陣傘を構えて魔法を放つ。

 

「な、なんだとぉーーーっ!!?」

 

行使された魔法はテトラカーンであり、物理攻撃を反射されたため岩盤大地が跳ね返る。

 

無数の腕で岩盤大地を受け止めるが勢いが強過ぎて押し込まれながら倒れ込む。

 

「うぉぉぉぉぉぉーーーーっ!!?」

 

倒れ込んだヘカトンケイルの巨体にのしかかった岩盤大地によって下敷きにされたようだ。

 

「来るがいいヒュドラめ!蛇の蒲焼きにしてワガハイが食ってくれる!消化してやるぞぉ!」

 

「我を食い殺すだと…?やってみるがいい!貴様をかつ丼にして喰ってくれるわぁ!!」

 

地響きを立てながら迫りくるオーカスに対し、アグラトを下ろしたヒュドラも迫っていく。

 

宙に浮かぶアグラトの下界では悪魔達の大乱戦が展開されているようだ。

 

「我が従魔の軍勢よ…行きなさい、自由と混沌で世界を塗り潰すために…」

 

魔法陣傘を振りぬくと無数の光が周囲に生み出されていき、意志が宿るように動き出す。

 

光を放つ悪霊共が地上に目掛けて撃ち放たれ、地上が光と呪いの爆発に飲み込まれる。

 

『従魔の行軍』の一撃で吹き飛ぶオークの軍勢を果敢に飛び越えていくのはケルベロス達。

 

<<タトエ兄弟デアロウガ戦場デハ容赦セン!!>>

 

ケルベロス族に連なる地獄の番犬達がヒュドラの巨体に飛びつきながら肉を食い千切っていく。

 

しかし不死を司るヒュドラの再生力は凄まじく、齧ったそばから傷が復元してしまう。

 

「ぐははははぁ!!猛毒の蛇を豪快に喰らうのはいいが…体を壊す事になるぞ?」

 

「グゥ!!?コイツノ体ハ…猛毒ノ塊ナノカ!!?」

 

齧りついたケルベロス族が猛毒に犯されながら地上に落下していき、動けない状態で襲われる。

 

助けに入ったのは戦車に繋がれた鎖を食い千切って現れたキマイラであり、魔法を行使。

 

状態異常を回復するメパトラを行使してくれた事でケルベロス達が起き上がり、果敢に戦う。

 

ティホンとエキドナの子供達は兄弟であろうが容赦なく殺し合える獣悪魔達なのだろう。

 

「胃が弱い獣悪魔とワガハイを一緒にするなよ!なにせワガハイは毒が効かん体だからな!!」

 

巨体に巻き付くヒュドラの首の一つを巨大なナイフで切り落とし、フォークに突き刺す。

 

ヒュドラの踊り食いを楽しむオーカスならばフグですら踊り食いが出来るのやもしれない。

 

しかし切り落とした首から新しい首が生えてしまい、ヘラクレスが苦戦したのも頷けるだろう。

 

「今度はこちらが貴様を焼き豚にしてやる番だぁ!!」

 

「なに!?ヌォォォォォーーーーッッ!!?」

 

伸びてきた首の大口が開き、ファイアブレスを放ってくる。

 

燃え上がるオーカスは苦戦を強いられる中、空から落ちてきたのは特大の氷結魔法。

 

マハブフバリオンを浴びたヒュドラは弱点属性を突かれた事で拘束を解きながら倒れ込む。

 

「無様な戦いは許されんぞ、オーカス!我らの戦いを陛下も見ておられるはず…奮闘せよ!!」

 

「しょ…承知した!このオーカス、食い物に殺されては食の魔王の名折れ!必ず食い殺す!!」

 

氷結と呪殺のスペシャリストであるハデスの援護の元、オーカスの戦いは苛烈さを増す。

 

戦況を観察しているアグラトに対して、曇天の空が一気に広がる。

 

「冥界の空に…月が現れたですって!?」

 

冥界に現れたのは青白く光る満月であり、地上では巨大な鞭を構える魔女の女王が立つ。

 

「自らを由とする自由とは我儘ではない、責任の道だ。貴様も我儘を敷くなら…責任を持て」

 

鞭を大地に打ち付けたヘカーテが放つのは満月の女王の一撃。

 

ナオミに召喚されていた分霊の一撃よりも遥かに強力な極太レーザーが月から降り注ぐ。

 

「くっ!!」

 

コンセントレイトを行使したアグラトは右手にメギドの光を生み出して空に投げ放つ。

 

膨張していくメギドラオンの巨大な光球に直撃した事で冥界の空は爆発の光で埋め尽くされる。

 

眩い光を魔法陣傘で防いだアグラトは傘を持ち上げた時に戦慄する。

 

「ハァァァァァァァーーーーッッ!!!」

 

跳躍した巨体から振り下ろされる鞭の一撃がアグラトに直撃した事で弾き落とされる。

 

「あぁぁぁぁーーーーっ!!!」

 

大地に叩きつけられたアグラトは勢いのまま大地を削りながら遠ざかっていく。

 

倒れ込むアグラトに対して巨体のヘカーテが迫ってくる中、憎しみをたぎらせていく。

 

「そんなに男が好きなの…男神が好きなの…私達魔女を貶めたのは…男神の唯一神ですわ!!」

 

「だから全ての男と男神を貶めるか?被害者意識もそこまでいくと反吐が出る」

 

「どうして分かってくれませんの!?貴女は虐げられた魔女達の救い神だというのに!!」

 

「我もアルテミスも出産を司る守護神…子供を産むのは男女という秩序を守った守護神なのだ」

 

「その秩序こそ偏見ですわ!女同士でも男女の愛と同じように支え合えますのよ!!」

 

「女同士で支え合う?()()()()()()()()()()()()()()()()()()()貴様らが女を支えるだと?」

 

フェミニストの虚言など魔女の女神には通用せず、秩序の守護神として宣言してくる。

 

「貴様らは()()()()()()()()()()()()に過ぎない…世界は糞ガキ共が荒らしまわる場ではない」

 

その一言でアグラトは怒り狂い、眉間にシワが寄り切った形相で叫んでくる。

 

「女をレイプして苦しめる事しか頭にない男に味方する邪神め…私が女の正義を果たします!」

 

「自己批判しない、己の正しさしか目が向かない、仏教ではこれを()()という…愚か者め!!」

 

再び魔女の行軍を放とうと宙に浮かび上がるアグラトに対し、ヘカーテも鞭を構える。

 

リリスに連なる女魔達もリリスと同じ思想を宿し、イルミナティと同じように世界を貶める。

 

それは円環の世界で同性愛を繰り返す円環魔法少女も同じであり、どちらもワルプルギスの夜。

 

そこにあるのは唯一神への復讐心であり、復讐心こそが世界中の左翼を突き動かす原動力。

 

故に()()()()()()()()()()()()であり、世界の秩序を真逆にすり替えようとするテロリスト神。

 

グノーシス主義や新プラトン主義からイルミナティが誕生し、その教義は共産党が継いでいく。

 

だからこそ多神教連合の神々は地上からグノーシス主義や新プラトン主義や共産主義を滅ぼす。

 

秩序の戦いは冥界でさえ繰り返されていき、新たな世界を築く基盤は死の上に築かれるだろう。

 

勝った者が歴史を作るのが世界の歴史であり、故にその戦いは凄惨を極めるのであった。

 




メガテン5のアグラトちゃんはナアマと同じく気に入ってるんですが、リリスに与する以上はろくでもない女なんやろなぁ…と思いながら描いてみました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

転生ハンターがダンまちをモンハン世界だと間違っているまま黒竜を狩る話(作者:シャリ)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

さてはミラボレアスだなオメー


総合評価:22983/評価:8.76/完結:11話/更新日時:2026年08月19日(水) 19:10 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>