気がついたら名も無きパイロットになってた   作:ボートマン

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第13話

キラの活躍で三機のGを退けたアークエンジェルは無事に第8艦隊と合流することができた。

 

アークエンジェルを迎えに来た数十にものぼる駆逐艦、戦艦を見たアークエンジェルのクルーたちやヘリオポリスの民間人は安堵していた。

 

これまでの激戦を乗り越え、やっと第8艦隊と合流することができたことが嬉しかったことがわかる。

 

そんな中、格納庫ではメビウス・ゼロとプロトストライクの整備と修理が進められていた。

 

「折角艦隊と合流したのに、何でこんなに急いでるんですか?」

 

キラの不満のある声に、プロトストライクのコックピットにいるフィルは仕方ないと思う。

 

何せ艦隊と合流出来て休めると思ったのに、整備に駆り出されてしまえば不満の一つは出るものだ。

 

「壊れたままじゃ不安なんだよ!」

 

「どうしてなんですか?」

 

「第8艦隊のパイロットはひよっこぞろいなんだよ!なんかあった時にゃ、やっぱ大尉と少尉が出れねえとな」

 

ムウの答えに納得いかない様子のキラにマードックの声が格納庫に響く。

 

「第8艦隊もパイロットに関しては人手不足なんだよ。それにもしもの時に備えとかないといけないからね」

 

機体から出たフィルはキラ達に近づく。

 

「まだ敵が来ると考えているんですか?」

 

「まあね、ラウ・ル・クルーゼはGの性能を知ってるからね。Gの戦闘データから連合がMSを量産すれば、ラウ・ル・クルーゼでなくてもザフトにとっては脅威になるはずだ」

 

そのため、アークエンジェルをこのまま逃がすとは思えない。

 

というより絶対に来ることを知っているフィルとしては、わかっていても来てほしくないと願うばかりだ。

 

「それでストライクはどうするんですか?本当にあのままでいいんですか?」

 

キラの言うあのままとはOSのことだろう。

 

「う~ん、わかっちゃいるんだけどさ……」

 

「わざわざ元に戻して性能を低くするのも悩むよね」

 

ストライクのOSはハッキリ言ってキラ専用といっても過言ではない。

 

あれほどピーキーなOSを乗りこなせるパイロットはこの場にはいないし、これから現れるかわからない。

 

そんなパイロットが現れるまで格納庫にしまっているのももったいない。

 

「できれば、あのままで誰かが使えてくれたらって、思っちゃいますよね?」

 

上からの声にフィルたちは視線を上に向ける。

 

「艦長!?」

 

「おやまあ…」

 

声の主はマリューでフィル達に近づく。

 

「あらら、こんなところへどうしたんです?」

 

ムウは笑いながら問いかけ、マリューはキラの顔を見る。

 

「ちょっと、キラ君と話したくて」

 

「え?」

 

いきなりのことに尻込みするキラにマリューは苦笑する。

 

「そんなに疑わないで。まあ、無理もないとは思うけど」

 

そうしてマリューとキラはストライクの前に移動する。

 

「それで?お前、もしもの時の備えって言ったけど本当はどう考えてるんだ?」

 

ムウからの真面目な問いかけに、フィルは誤魔化さず話すことにした。

 

「そうですね。……おそらくというより絶対に来ます」

 

「そうか……。お前もそう考えてるか。あ~やだやだ本当にしつこい奴だぜ」

 

ムウの言う通り本当にしつこいとフィルも同意する。

 

「そういえば、坊主はどうするのかね?」

 

「それは……わかりませんね。艦を降りるのか、それとも…」

 

「それともあのままストライクで戦うってか?」

 

「こればかりはキラ君が決めることですからね。俺達がとやかく言っていいわけないですからね」

 

「そうだよなあ……」

 

そうして急ピッチで整備作業を終え、格納庫にクルーが集まっていた。

 

そして、一艇の連絡艇(ランチ)が格納庫に着艦した。

 

「いや、ヘリオポリス崩壊の報せを聞いたときは駄目だと思ったよ!それがこうして諸君に合えるとは!」

 

中から長身の将校が気さくな様子で降りてきてマリュー達の前に出る。

 

この人物こそがデュエイン・ハルバートン提督。

 

連合軍において唯一の良心といっても過言ではない人物だ。

 

「ありがとうございます、ハルバートン閣下。お久しぶりです」

 

マリューはハルバートンへ敬礼し、ハルバートンも敬礼し返す。

 

「先も戦闘中だったと聞いて間に合わないかと冷や冷やしたぞ。大丈夫か?」

 

ハルバートンはクルーを見渡し、ナタルとムウが前に出る。

 

「ナタル・バジルールであります!」

 

「第7軌道艦隊所属、ムウ・ラ・フラガであります」

 

ナタルとムウもマリュー同様にハルバートンに敬礼して名乗る。

 

「ああ!君がいてくれて幸いだった」

 

「いえ、さして役にも立ちませんで」

 

ハルバートンの労いにムウは苦笑し、後ろに整列しているキラ達を見る。

 

「それで彼らが?」

 

「はい、彼らが艦の操艦を手伝ってくれたヘリオポリス学生たちです」

 

そして、ハルバートンは今度はキラ達に近づく。

 

「君達のご家族も消息は確認してるぞ。安心したまえ、皆さんご無事だ」

 

家族が無事であるという情報にキラ達は皆喜んでいた。

 

「こんなとんでもない状況の中、よく頑張ってくれた。私からも礼を言わせてほしい」

 

「閣下、あまりお時間が」

 

そこへ副官であるホフマンが静かに声をかける。

 

「うむ。後で君達とゆっくり話をしたいな」

 

そう言ってハルバートンはマリュー達と共に格納庫を去っていった。

 

「(さて、こっちも色々と動くとするか)」

 

去っていく後ろ姿を見るフィルもこれからの戦闘に備えて行動を開始するのであった。

 

 

 

 

 

 

 




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