はぐみ「すっごく楽しみだね!!」
こころ「そうね!!
あたしもまだ見てないからワクワクするわっ!!」
俺たちは今、弦巻の家に向かっている。
ライブまであと少しだから衣装を決めるためだ。
薫「私たちの儚いライブ。
儚い衣装じゃないとね。」
美咲「いや、儚い衣装ってなんですか。」
花音「羽衣…………とか?」
何それ見たい。
八幡「どうせ何着ても儚いって言うから大丈夫だろ。」
美咲「確かに…………」
花音「こころちゃんは、どんなのにするか考えてはいるの?」
こころ「いいえ!まだ考えてないわ!
黒服の人たちがたーくさん用意したと言っていたからすっごく楽しみなの!!」
八幡「たくさん…………………」
美咲「弦巻家のたくさんって………………たくさんですよね。」
たくさんだな。
多分俺たちの想像を超えるくらいの…………
×××
黒服「お待ちしておりました。
衣装の方は用意しておりますのでこちらにどうそ。」
弦巻家の中に入ると、黒服が既にスタンバってた。
そして、黒服の案内で部屋に向かっている。
美咲「あたし達のバンドはDJがいるから、モードっぽい衣装がいい気がするんだけど…………」
こころ「明るくて目立つような衣装がいいわっ!!」
はぐみ「かっこよくて動きやすい衣装もいいよねっ!!」
薫「やはりここは儚い衣装だね。」
見事に3人だけの世界にトリップしてる。
まぁ、うん。ここはアレだな。
いつも通りだね。
〜〜〜〜〜〜〜
蘭「…………っ!!」
モカ「らん〜?どうしたのさ急に〜?」
蘭「いや……………なんでもない。」
蘭(今の感覚はなんだろ。
分からないけどとてつもなく比企谷さんを殴りたい。)
モカ「変ならん〜。あ、元からか〜」
蘭「モカ!!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
八幡「…………………」
なんかいま、凄い寒気に襲われた。
なんなのだろうか…………
こころ「じゃあ、全部が入った衣装を探しましょう!!」
はぐみ「さんせーい!!」
薫「ふふっ。流石こころだ。」
美咲「あーうん。聞いてないよね。
知ってた。知ってました。」
花音「だ、大丈夫だよ美咲ちゃん。
私と比企谷君が聞いてたから………っ!」
さすが松原さんは優しいな。
だけど現実はそう甘くないんですよ。
八幡「まぁ、俺たちが聞いても決定権はあっちの3人が持ってるんだけどな…………」
大体全部が入った衣装って何?
そんなのあるわけ…………………黒服さん。
最近分かったことがあるんだけど、黒服の人たちって弦巻の無茶ぶりに対して喜んでるんだよな…………
普通は、そういうわがままなことってめんどくさいとか、大変だなーとか思うはずなんだけどな。
なんであんなに嬉しそうにするの?
弦巻は一体何をしたの?
頭がこころんになったんだな。
黒服「この部屋でございます。」
どうやら着いたようだ。
うん。やっぱりでかい部屋。
まぁ、小さい部屋何てものはないな。
こころ「さぁ!!!入るわよっ!!」
弦巻が扉を開くとそこには………………
花音「ふぇえええ。バ、バンド衣装がこ、こんなにいっぱい!」
はぐみ「うわー!!すっごいたくさんあるよ!!」
薫「あぁ!!私たちの幕開けに相応しい衣装がこの中に!!」
美咲「嘘でしょ………………服屋さんなのココ?」
八幡「………………マジか。」
こころ「もうすぐ勝負どころのライブだもの!
いい衣装を選んで、ぜったいに笑顔を引き出すわよっ!!」
黒服「こころ様。
サイズは全てメンバーの皆様分調整していますのですぐに着ていただけます。」
こころ「そうなのね!
なんだか便利なことになってるわね!」
八幡、美咲「「『なってるわね!』じゃねぇ(ない)!!」」
美咲「え、なんで!?いつ!?いつ測ったの!?」
八幡「もう怖ーよ。やだよ。黒服さんやることおかしいって」
はぐみ「すぐ着れるなら試着いっぱい出来るね!!」
薫「どれも素晴らしくて迷ってしまうよ。」
コイツらはなんの心配もしてない。
いや、これが正しいのかもしれない。
考えるのを放棄すれば色々と楽だ……………
花音「この部屋中にある衣装が、全部特注ってこと……………ふぅ」
こころ「花音、どうしたの天井を見たりして」
花音「う、ううん。規模の大きさに私ってば毎回なれなくて…………
ワールドワイドだね。こころちゃんの家……………というか
ハロー、ハッピーワールド!って」
こころ「世界中を笑顔にするんですもの、ワイドどころかワイルドくらい行かないと大変よ!」
八幡「色々とキャパオーバーしすぎだけどな。
高校生バンドとしては失格レベルになりそうだし。」
美咲「それにしてもすごいですよ………
靴なんかの小物も揃ってて、アイドルみたいな可愛い衣装、
安全ピンや破れたTシャツ…………」
花音「お嬢様みたいなドレス、ちょっとセクシーなミニスカート。
うーん……………これだけあると迷………」
こころ「あたしはこれがいいわっ!!」
八幡「早いな。全く迷わねーし。」
こころ「この赤とか帽子とか、あたし、すごく好き」
八幡「鼓笛隊…………マーチングバンド?の衣装だな。」
こころ「それよ!!あたしもそう思ったの。
みんなで行進して、世界中を笑顔にして行くのよっ」
こころ「ハロー、ハッピーワールド!の衣装はこれしかないわ!!」
美咲「これだけ衣装があるのに言い切るんだね。
まぁ、こころらしいけど。」
はぐみ「すごくいいよっ!!
これでこころんが指揮棒を持って先頭に立って行進したらすごくそれっぽいね!」
はぐみ「こころんは指揮者って感じがする!!」
まぁ、ボーカルだけどな。
こころ「あたしが指揮者なの?」
はぐみ「え、違うかな?」
こころ「間違ってはないと思うけど、正解でもないと思うわ」
こころ「あたしね。
ヨーロッパやアメリカでたくさんのマーチングバンドを見てきたの」
こころ「よくわからないんだけど、うちのジェットで空港について、
街に出ると、大体の人たちが旗を振って、大きなマーチングバンドが歓迎のセレモニーをしてくれるのよね」
八幡「へぇ。……………ん?ジェット?は?」
あ、こいつの家ってなんでもあるんだったわ。(適当)
今更ジェットで驚くことはないのか。
黒服「気になるようでしたらご覧になられますか?
わが社の専用ジェットを」
八幡「い、いや、遠慮しときます」
少し見てみたいと思ってしまった。
…………だってジェットだよ?生きてるうちに生で見れることってあんの?
こころ「ライブに行く時に使うのもいいかもしれないわね!」
黒服「では市街地にこころ様方を降ろせるよう、少し手を加えさせていただきます。」
美咲「ちょっと待てい!いいわけないでしょ!
そんな登場の仕方、高校生バンドとしてぜったいにダメだから!
なんなら大人でもダメ!
……………比企谷くん、なんでちょっとしょんぼりしてんの。
ダメなものはダメだから。
てか、少し手を加えるって何する気なの…………」
別にしょんぼりなんてしてないし…………
ショックなんてうけてないし……………
…………ジェットは、男の、ロマンだ。
こころ「まぁ、とにかくそのセレモニーで出てくるマーチングバンドは、どれもみんなとっても大勢いるの。
ラグビーコートから離れるくらいよ」
花音「す、すごいね」
こころ「そうなの。すごい大きさだから、
演奏者が常に見える位置に、ドラムメジャーの誰かがいるようになっているのよ。」
はぐみ「ドラムメジャー?」
八幡「指揮者のことをそういうらしいぞ」
こころ「そう。だから指揮者はひとりじゃないの。」
こころ「それに、世界を笑顔にするのに指揮者がたった1人じゃ足りないじゃない!」
5人「「ーーーーー!!」」
薫「…………ふふっ。」
こころ「指揮者はハロー、ハッピーワールド!の全員よ!!」
こころ「そして指揮者のバトンはあたし達が、
笑顔になった人に渡して、その人も指揮者になって次の人に…………
そうやって、どんどん世界中に増えていくの」
こころ「指揮棒はいつだって!!誰だって!!
好きな時に振っていいの!!
だからみんなも、今、誰かを笑顔にするって思ったら、
すぐに指揮棒をあげるのよ!」
はぐみ「うん………!そうだね!!
誰かの出した合図を見つけて、会いに行って、
みんなでどんどん笑顔を増やして行くんだねっ!!」
薫「世界中に指揮者を増やして……………」
こころ「どう?と〜っても楽しそうでしょ?」
弦巻の何の根拠もない言葉なのに、今俺が…………いや、きっと、「俺たち」が感じてる感覚は何なのだろう。
1番楽しそうに話してる弦巻を見ていたら、実現させたくなってしまったのだろうか。
出来る気がすると思ったのだろうか。
……………多分答えは出ない。
1つわかる事があるとすれば、弦巻に着いていけばきっと…………
こんなふうに笑顔になれるんじゃないかと思ってしまうことだ。
八幡「……………だいぶ早く衣装が決まったな。」
美咲「…………だね。
もう少し意見が別れると思ったけどね。」
花音「でも、早かったけど…………すごくいいものが決まったね。」
はぐみ「早く着たいねっ!!」
薫「すごく儚いよ。」
こころ「じゃあ決まりねっ!
う〜んっ!!早く着てライブしたいわ!!」
薫「私たちの晴れ舞台を飾る素敵なステージにしなくてはいけないね。」
花音「でも、これだけ用意して貰ったのになんだか申し訳ない気持ちがあるね………」
美咲「まぁ、そうですね。
でも、黒服の人たちなら他の物に活用出来そうな気もしますど………」
こころ「別に気にすることでもないじゃない!」
花音、美咲「「えっ?」」
……………なんて事言ってんだコイツ。
その言い方だと性格悪いやつと思われるぞ。
八幡「その言い方だと誤解を生むぞ。
もう少し言葉を選べっつーの。」
美咲、花音「「………誤解?」」
こころ「???
八幡の言ってる意味は分からないけど、気にすることでもないわよ!!」
こころ「ハロー、ハッピーワールド!の主な衣装はコレになるけど、ここにある衣装も使ってライブとかすればいいわ!!
色んな衣装を使って演奏なんて楽しそうじゃない!」
美咲「あー、そういうことね。
こころに限って悪い意味じゃないとは思ってたけど、少しビックリした。」
花音「あ、あたしも…………
でも、こころちゃんらしいね。」
はぐみ、薫「「???」」
北沢と瀬田先輩はよく意味が分かってないみたいだけど説明するのもめんどくさいし、気になるようなタイプでもないだろ。
美咲「でも、比企谷くんはすぐに分かってたね。
あたしと花音さんは分からなかったのに。」
八幡「………そうか?」
美咲「『衣装が勿体ない』に対して、『気にすることない』なんて言ったら誰でもビックリすると思うけど。」
八幡「…………いや、弦巻がそんな事言うわけないと思ってたし。
どうせ色んな衣装着てライブしたいとかって思ってたからな。」
別に不思議な事はないと思うけど。
花音「…………………」
美咲「…………………」
八幡「………………いや、なんだよ。」
花音「………………比企谷君はこころちゃんのこと信頼してるんだね。」
八幡「いや、ちょっと待てください。
なんでそうなるんですか。」
美咲「信頼してないとこころの思考回路なんて理解出来ないでしょ」
八幡「いや、コイツの思考回路なんて全然わかんねーよ!
コイツの頭の中は、お花畑でポップコーンとか作ってるぞ絶対。」
はぐみ「はちくんすごいね!!」
八幡「すごくないから。」
薫「八幡………………」
八幡「はいはい。また儚いですよね。」
薫「………………つまりそういうことさ」
八幡「いやどういうこと!?
しかも儚いじゃねーのかよ。」
こころ「あっ!!!
はちまん!みさき!あたしいま、曲が思いついたの!
聴いて欲しいわ!」
八幡「は?いま?」
美咲「…………嘘でしょ。」
こころ「ほらっ!行くわよ!
ラララ〜…………」
×××
今現在八幡と知り合ってる人に、「比企谷八幡くんについてどう思う?」と聞いてみた。
第2回《ハロー、ハッピーワールド!》
薫「八幡かい?
そうだね…………彼はとっても儚いよ。
………ん?儚いは禁止でお願いします?
それならば…………彼はとても努力家だね。
私はバンド練習がある時は、いつも先に個人練をするんだ。
演劇でも一緒だね。
やはりみんなで合わせるんだからより素晴らしい演奏や演劇にしたいと思ってるからね。
だから先にCiRCLEに行くのだけど、既に八幡はスタジオ借りて練習していたんだ。
私と同じで個人練をしていたんだろうね。
バイトがない日は大体いつも借りてると、まりなさんからも聞いたよ。
私は演劇の仲間たちからは、努力家とよく言われるけど、自分ではそう思わなかったんだ。
ただ素晴らしい演劇にしたいからやるだけであって深い意味などなかったんだよ。
でも、八幡を見ていたら努力家と呼ぶ気持ちがわかったよ。
自分もこう見られてると思うと少し恥ずかしいけどね。
色んなことを頑張ってる人は、すごく輝いててとても儚いね。」
「儚いと言ってしまいましたね。」
薫「…………まぁ、つまりそういうことさ」
「はい。それではありがとうございました。」