香澄「さーやが少し変なの!」
八幡「そ、そうか。」
そんなはっきりと変なの!って言われてもなぁ………
というか、この始まり方はなんかデジャブを感じるぞ………
香澄「変……というか、元気がないっていうか、
いつものさーやじゃないっていうか………」
いや、それを俺に話されても困るって言うか、
どうにも出来そうにないというか…………
香澄「少し前からなんだけどね。
いつもは普通なのに、バンドの話をすると様子が変わるっていうか………」
八幡「バンド………?」
バンドってあのバンド?
…………いや、でもこの前コイツがギターケース背負ってんの見た事ある気がする。
香澄「そう!バンド!!
あたし達バンドをやるの!」
八幡「そ、そうか………
…………ん?やるって事はまだバンド出来たわけじゃないのか」
『達』とはいつも一緒にいるアイツらのことだろうか。
香澄「………今は4人なんだ。
私と有咲とおたえとりみりん!
でもね……さーやも、さーやとも一緒にバンドしたいの!」
八幡「…………誘ってはみたんだろ?
それで断られた。それでも無理に一緒にやらせるのか?」
香澄「………うん。お店が忙しいからって。
でも、それが理由ならあたし達だって手伝う!」
八幡「いや、それを俺に言われてもだな…………」
お店が原因か。
まぁ、アイツの家はパン屋らしいし。
それに、小さい下の子も2人いるしな。
香澄「それにさーやは…………!」
沙綾「なになに?なんの話?」
香澄「さ、さーや!?」
沙綾「あれ?なんかお取り込み中だった??
ごめんごめん!なんかあたしの名前が聞こえた気がしたからさ」
香澄「い、いやぁ………なんでもないよ?
あははー………」
おい、嘘下手すぎだろこいつ。
………タイミングいいんだか悪いんだか、いやいいのか。
コイツが来なかったら延々と話を聞かされる所だったし。
沙綾「比企谷君はなんでここに?
香澄は職員室に呼ばれてたもんね」
香澄「そ、そうだった〜!!
じゃあ、あたし急ぐね!!」
おい…………
八幡「じゃあ、俺もここで」
乗るしかない、このビックウェーブに。
沙綾「弦巻さんの彼氏さんはどうしたの?」
八幡「………………」
って言っても、俺もアイツと行く場所一緒なんだよな………
ていうかもうすぐ職員室着くし。
それにしても奥沢はいるのかと不安になってきた。
いたとしても他の人と昼の約束あったら終わりだし。
なんで弦巻は最初から奥沢のこと誘わないんだよ………
沙綾「ご、ごめんごめんって!!冗談冗談!!
だから無視はしないでよー」
コイツ、人をからかうの好きなの?からかい上手なの?
いや、上手いと言うよりうざいけど。
八幡「……………で、なんか用か?
用がないなら俺も行くけど」
遅くなると、奥沢が職員室からいなくなってそうだし。
沙綾「いや、用は特にないんだけど………あっははー。」
八幡「ないのかよ。からかっただけか。
まぁ、いいんだけど。」
沙綾「比企谷君からかうと面白いからね!」
八幡「じゃあな。」
沙綾「弦巻さんとお幸せにー……………っ」
八幡「………お前なぁ。
一応言っておくがあの噂は事実じゃねーから。
弦巻はああいう奴なんだよ…………本当に勘弁して欲しいレベルでな。」
弦巻はもう少し男女との仲、というか一般常識と言うか色々と学んだ方がいいのでは?
黒服さん、貴方たちは弦巻を甘やかしすぎ!
おかげでモンスターが生まれてるのに気づいて!
おっと…………これ以上は俺が二度と陽の光を浴びれなくなってしまうからやめとこう。
俺の周りには頭の中を読んでくるやつとかいるし。
沙綾「………そっか。」
八幡「あ?なんか言ったか?」
沙綾「ふふっ…………なんでもないよ!
そうだよね!比企谷君だもんね!」
八幡「なんで若干嬉しそうなんだよお前………
ていうか、めちゃくちゃ失礼だからね?」
ホントこいつ、いい性格してる。
×××
美咲「失礼しましたー。」
八幡「間に合ったか。」
美咲「うわっ!…………なんだ、比企谷くんか。」
八幡「わるい、脅かすつもりはなかった。」
俺も今着いたばっかりで正直間に合わないと思ってた。
主に2つの角生えた騒がしいやつと、からかいパン屋のせいで。
美咲「いや、別に大丈夫だけど………
それで?間に合ったって何が?」
八幡「あー、そうだった。
昼休憩、誰かと約束とかあるか?ないなら一緒に食べるぞ。」
美咲「あぁ、そういう………………ん?
ええっ!?」
八幡「いや、なんだよ。何を驚いてんだよ。」
急に大きな声出すからビックリしたわ。
美咲「い、いや、だって………え、そのためにわざわざ職員室まで来たの?」
八幡「……?まぁ、そうだな。
正直間に合わないかと思ったからよかった。」
美咲「え、あ、そ、そう…………。
な、なんかごめん」
美咲 (え?!あの比企谷くんが!?昼の誘い!?
え、なんで?あたし?)
八幡「いや別に、俺が勝手に来ただけだしな。
事前に言ってもなかったし」
美咲「そ、そっか…………
まぁ、特に約束とかなかったからいいけど。」
美咲 (あたしを誘ったってことはライブの相談とか?
でも、2人でご飯食べるのは初めてだっけ?)
八幡「よし、なら行くぞ。
アイツらのところに」
美咲「う、うん、わかった。
……………ん、アイツら?」
八幡「おう。松原先輩達のところ。」
美咲「あー…………うん。そうだね。
早く行こうか」
八幡「あ、あぁ……?」
何かとてつもなく早口になって棒読みになったんだけど、スルーした方がいいな。
ツッコミ入れたら行けないオーラが出てる気がするし。
美咲「待ってるんでしょ?早く行こう。」
八幡「お、おう。中庭にいるって言ってたぞ」
美咲 (あー、もうホント最悪!恥ずかしいにも程がある!
早とちりしたあたしが悪いけど、私も女子高生だし。
そういうのには少し敏感というか…………
いや、そもそも比企谷くんは友達だし!!
そういう感情はない!!
でもあたしは男の子が昔から苦手だったから、ちゃんと話す男の人は比企谷くんしかいないし………
てかそもそも最初からみんなでって言ってくれればこんな早とちりをすることは無かったし……
比企谷くんのせいだ、うん。)
美咲「うん。切り替えていこ。冷静に考えればわかる事だったし」
八幡「………お前大丈夫か?
顔赤くしたと思ったら、目をつぶって唸りそうになってるし。
と思ったら自分の顔叩いて独り言呟くし。」
美咲「いや、ちょっとね………
何でもないから気にしないで。」
八幡「そ、そうか。」
あれを、「何でもないから」で済ますのが凄いな。
まぁ、本人が言うなら大丈夫ってことにしとくか。
×××
美咲「はい、お待たせしましたー」
はぐみ「あー!来た来たー!
みーくんとはーくんが来たよー!」
花音「美咲ちゃんごめんね?急に呼んじゃって……」
美咲「いや、花音さんが謝る事じゃないですって。
比企谷くんから聞きましたし。こころがあたしだけ誘ってなかったって」
こころ「うう〜、ほっぺが痛いわ」
美咲「あんたが悪いんでしょ」
八幡「………………」
あの時の奥沢は速かった。
こいつらと合流した時に、弦巻が「あら!ミッシェルの中の人も来てくれたのね!」と言った途端に奥沢が弦巻の左右のほっぺたを掴んでた。
美咲「それで?何か急用なの?
今日の放課後も集まるのに昼に集まったのって」
こころ「別に用なんてないわ!みんなで食べたいからよ!」
八幡「うん。もう薄々気づいてたわ。」
断ったら面倒だから諦めた。
だから奥沢も巻き添え…………じゃなくて、暴走したら止めてくれる人員だからな。
花音「ふふっ、こころちゃんらしいね」
はぐみ「みんなで食べると美味しいからね!」
美咲「結構騒がしいですけどね」
八幡「静かすぎても逆に怖いけどな」
こころ「楽しいわね!
あ、はちまんの玉子焼き美味しそうね!………パクっ。
う〜んっ!!とっても甘くて美味しいわ!!」
八幡「おい、てめぇ……何してんだコラ。
小町の玉子焼きを食っていいのは俺だけなんだよ。」
はぐみ「は、はちくんが怒ってる!」
美咲「え、いやちょっと!?これ結構ガチっぽくない?」
花音「ひ、比企谷君は妹さんを大切に思ってるから……」
許さん。弦巻許さん。
こちとら毎日弁当じゃないんだぞ。
小町の手料理を食える素敵な日だったのに…………
こころ「こっちよこっちー!捕まらないわよっ!」
美咲「比企谷くん、ドンマイ」
八幡「待てコラ」
×××
お昼休みも終え、午後の授業に入っており、今はLHR。
ロングホームルームの時間だ。
そこで黒板に書かれている不可思議な内容に驚きを隠せなかった。
八幡「え……………いやいや、え?」
美咲「いやいやいや無理でしょ。」
こころ「じっこういいん?
よく分からないけど、文化祭を盛り上げればいいのよねっ!」
1年C組文化祭実行委員
男子
女子 弦巻こころ
弦巻。お前じゃ無理だ。
勿論悪い意味ではないのだ。いい意味でもないけど。
だって……………
八幡、美咲 ((絶対黒服の人たちがなんかしちゃうじゃん!))
文化祭じゃないレベルの事をしてくる可能性だってあるんだぞ?
弦巻は多分、無茶苦茶なことを言うだろ?
そしたら黒服が全力で何とかしてくるやつじゃん。
お嬢様大好き集団だし。
文化祭がテーマパークになってもいいの?
学級委員「え、えーと、じゃあ女子は弦巻さんで決まりね!
他、男子は??」
美咲「…………………」
八幡「…………………」
美咲「…………………」
え、何こいつ。めちゃくちゃ見てくるじゃん。
やれよって目で見てやがる。
ふざけんなよ、嫌だよ、絶対。
そんなことしたら面倒な事に………………いや、待てよ。
弦巻と同じ委員になった奴が、弦巻のことをあんまり知らなかったら……………
八幡「…………………はぁ。」
とんでもない未来が見えた。
困り果てた先生や生徒の顔が目に浮かぶ。
弦巻を止めれる男子は俺しかいなさそうだな……………
いや、止めれないけどね。
こころ「決まらないのならあたしが決めるわっ!
はちまんっ!一緒に委員会やるわよっ!」
八幡「はい?」
「おー!いいねー!」
「またコイツらはイチャイチャを……」
「やっぱり愛じゃない?!!」
「適任だな!」
「てぇてぇ」
学級委員「え、えーと、比企谷君どうかな?」
えー、何この展開。
めんど………いや、本当にめんどくせぇ。
確かにやろうと思ってたけど………はぁ。もういいや。
八幡「あー、はい。じゃあやります。」
「おおー!」
「イチャイチャも程々になー!」
「てぇてぇ」
何ですかね。このノリは………
この前の事があったから暫くはこうなるのか………
委員長「じゃあ決まりね!2人ともお願いね!
文化祭まで約2週間だから、今日の放課後に委員会の集まりがあるからよろしくね!」
残り2週間しかないのに、今日文化祭委員決めるとかのんびりだな。
まぁ、ほとんどのクラスは何をやるかは既に決まってるらしいので大丈夫か。
香澄「あ〜!!はっちーだー!!」
沙綾「あ、本当だ。なんか……すごく意外だね」
今日の授業は全て終わり、放課後になったので文実委員の集合場所に来てみたらこれだ。
何でお前らがいるんだよ…………
こころ「あら?はちまんのお友達かしら?」
八幡「友達じゃないからスルーしていいぞ。」
香澄「えー!!友達だよー!はっちーってば酷い!」
沙綾「あはは………。
弦巻さんも文実委員なの??」
こころ「えぇ!そうよ!!
ところで…………会ったことあるかしら?」
沙綾「あー、ごめんね!
弦巻さんは有名だから私が一方的に知ってただけだよ。
私は山吹沙綾、それと……」
香澄「はい!戸山香澄です!!
好きな食べ物は白いご飯!あとは………」
沙綾「かすみー。ストップストップ。落ち着いて………ね?
………そんなわけだからよろしくねー、弦巻さん!」
こころ「こちらこそよろしくだわっ!」
弦巻と戸山が出会った。
混ぜるな危険ってこの事だろ………
嫌な予感がするな………
沙綾「それにしても比企谷君がこういうのやるの意外でびっくりしたよ」
ち、近い、離れろ、耳元で喋るな。
八幡「…………別にやりたくてやってるわけじゃない。
お前も同じような理由じゃねーの?」
沙綾「あー…………うん。
いや、やったらきっと楽しいと思うんだけどね!
最初の理由は…………その………」
八幡「弦巻の保護者」
沙綾「香澄の保護者」
沙綾「クラスのみんなから、「香澄の保護者はさーや!」って言われててね。まぁ、やろっかなーって感じで」
八幡「俺なんてほぼ強制的だったぞ。
拒否権もきっとなかった。」
沙綾「…………お互い頑張ろっか。」
八幡「まぁ、そうだな。」
こころ「はちまん!なんの話しをしてるのかしら?」
香澄「さーや!なんの話し、なんの話しー?」
お前ら(2人)の事だよ!
とは言えない2人であった。