彼ら彼女らは青春を謳歌する……?   作:えーく。

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クラスに1人くらいは何かしら飛び抜けた奴がいるものである。

 

 

 

怒ってる人が目の前にいると、人はどのように思うだろうか?

まず、怒ってる人を確認するだろう。

そして見覚えがあったり知り合いなら、原因を探してみると思う。

ココで原因が分かれば、謝るなど対処をしていくと思う。

原因がわからない場合もあるだろう。

人は生きてるだけで他人に迷惑や怒りを買われることだってある。

そういう時はもう仕方なく謝るしかないのだ。

 

 

 

八幡「お帰りなさいませ母上様!そして今日はすいませんでした!」(土下座)

 

 

 

お袋が仕事から帰ってきて、第一声である。

最初から謝っておいて、後に仕方がないような理由を話しつつ、土下座も決め込めば向こう側も怒るに怒れないだろう。

 

 

 

母「ただいま。怪我とかじゃなくて安心したよ………

じゃあ、どんな理由があったか聞こうか」

 

 

 

こ、怖いよ怖い、あと怖い。

まぁ、入学式サボるのは問題児扱いされてもおかしくないからな。

心配してくれているのだろう。

 

 

 

八幡「そ、それはですね……」

 

 

 

今日の出来事を話した。

バイトを始めることも伝えると………

 

 

 

母「……はぁ。なるほどね…………

まぁ、バイトの件があるなら嘘をついてないということはわかったわ。

でも、あんたも実際ラッキーとか思ってたでしょ」

 

 

八幡「やだなー。そんなことあるわけないじゃないですかぁー」

 

 

ほんとほんと。ハチマン、ウソ、ツカナイ。

まぁ、運は良かったのかもな。

入学式にも出ないで、バイト先が見つかるとはな。

でも、ブラックな匂いが………

 

 

 

母「………でもね、八幡。働いてくれるのはすごく助かるけど無理しちゃダメよ?高校生なのだから、友達もしっかりつくって楽しんで欲しいの。」

 

八幡「俺は1人でも充分に楽しめてるし、無理もしてないから問題ない。高校で出来る友達なんてのは、卒業したら大体の奴は連絡もしなくなり、会わなくなるだろうしな。」

 

 

無理に友達は作るものじゃない。

友達が多いのはステータスになるとは思うが、そんなステータスそもそも俺に必要ない。

 

 

母「…………小町?絶対にこういう人間にはなってはいけないわよ?確かに言ってることは否定出来ないけど、私だって数人は今でも連絡取ってる友達がいるのだから」

 

 

小町「だいじょーぶであります!!

小町はお兄ちゃんと違って友達沢山いるから!」

 

 

八幡「おいおい小町ちゃん?

ぼっちと友達の数比べて勝っても誇らしく思ってはいけないぞ?

勝って当たり前なのだからな!」

 

 

小町「なんで負けてるお兄ちゃんが誇ってんの…………」

 

 

お袋と小町に呆れられてる目で見られる。

あれ?いつから俺の事を虐める展開になってたの?家族の絆でテレパシーしたの?

俺がその絆に入ってないのは気の所為だよね?

 

 

 

八幡「つ、つまりだな。

………バイトで家に帰るのが遅くなっちまうが、大丈夫か小町?」

 

 

小町「小町の事心配してくれるのはポイント高いよ!

でも小町も、もう中学生なのです!

お家で勉強とかやることもあるし、寂しくなったりしたら友達の家とかで遅くまで遊ぶから心配しなくても大丈夫だよ」

 

 

………ホントにたくましいな。

俺と違ってコミュ力あって仲のいい友達も沢山いる。

家事も得意し、頭もかなり良く、それに可愛いときた。

………え、小町ってマジで最強なんじゃねーの?

小町=最強説は経った今証明されてしまったな。

 

 

母「本当に立派に育ったわね。お母さん嬉しいわ。

それで、八幡は明日から早速仕事なの?」

 

 

八幡「いやわからん。とりあえず履歴書だけ持ってきてって言われたから持ってく。」

 

母「そう。あ、ところで聞くの忘れてたけど何をするバイトなの?」

 

 

小町「小町もそれ気になってたー!」

 

 

そう言えば話してなかったな。

いや、でもなんかこう……言いづらいな。

 

 

 

八幡「あー、CiRCLEっていうライブハウスで働く事になった。」

 

 

母、小町「「……え」」

 

 

 

2人は驚いた顔をする。

仲良いっすね。

 

 

母「……………あんた……やっぱり……」

 

 

八幡「じゃあ俺、明日の準備と勉強とかしなきゃ行けねーから」

 

 

重たい空気を背に感じつつ、早々とリビングから出て明日の準備に取り掛かる。

明日から高校生活か……

まぁ、中学生でやった事と変わらんな。

場所と名前と人が変わっただけ。

バイトと自転車通学が出来るのなら有難い。

 

 

 

勉強とバイトの両立。

俺に出来るかね…………

 

 

 

×××

 

 

翌日の朝

俺は今学校に着き、自分のクラスに行きたいのだが………そもそもクラスがわからん。

入学式出なかったからどこが何の教室とかもわからん。

詳しい教室とかは今日教えてもらうだろうけど、流石に自分の教室分からないのは不味いな。

まぁ、職員室行けば分かるか。

 

 

 

 

職員室は行ったことがある為、すんなり辿り着けた。

ちょっと緊張するけど遅刻はしたくないし行くか。

自分に気合を入れ、扉をノックする。

 

 

八幡「し、失礼します。1年の比企谷八幡です。昨日の入学式に出れなかった為、自分のクラスを聞きに来たのですが……」

 

 

先生「あー、ちょっと待っててね。

えーっと、ひきがや、ひきがや……あ、あった。

比企谷八幡君…………君は1年C組だね。

はい、このプリントに教室の場所が載ってるから渡しておくね」

 

 

八幡「はい、ありがとうございました。それでは失礼します」

 

 

扉をゆっくりと閉める。

結構すんなりといって助かった。

1年C組か……静かなクラスだといいな。

 

 

×××

 

 

先生「皆さんおはようございます!!

今日からこのメンバーがクラスの人達です!

それでは!!

早速だけど自己紹介やろっか!」

 

 

 

来たな…………自己紹介。またの名を事故紹介。

このイベントでは、共通の趣味や、関わりやすい系の人間だとか色んなレッテルを貼られる。

 

 

人間は第一印象が大事とよく言われる。

まさにその通りだ。

話したり遊んだりすれば、「あ、この子普段はあまり喋らないけど好きなものとかはすごく喋るタイプなんだな」などと、印象が変わるかもしれないが、

話さない人や関わらない人からしたら、第一印象でしかその人を評価できない。

常に出来上がってしまった評価を変えることは凄く難しいことなのである。

人が人を評価するのは、加点方式でも減点方式でもない。

固定観念と印象でしかものを見ない。

 

 

つまり、俺がこの自己紹介でやることは1つ。

関わりにくい人をしっかりとアピールすることだ。

 

 

 

先生「それでは、奥沢美咲さんから自己紹介お願いします!」

 

 

 

美咲「……あ、はい。えーと、奥沢美咲と言います。

趣味は、裁縫ですかね。 妹がいるんですが、羊毛フェルトとか作ってあげたりしてます。

あと、その、運動が割と好きなので運動部に入ろうと思ってます。

1年間よろしくお願いしまーす」

 

 

 

先生「はい。奥沢さんよろしくね!それでは次………」

 

 

 

どんどん自己紹介が終わって行く。

おー、あまりウェイ勢は居ないらしいな。

非常に助かる。静かに授業受けたいからな。

中学の時はマジでうるさい奴らが沢山いたからな。

コレは少し期待出来るのではないだろうか?

 

 

 

先生「はい。ありがとうございます。

次は………弦巻こころさん!お願いします」

 

 

こころ「わかったわ!!それじゃあ………

みんな〜元気かしら!私はすっごく元気よ!」

 

 

突然、弦巻こころという女の子が席を勢いよく立ち、大声で発言する。

 

 

こころ「私の名前は弦巻こころよ!好きな食べ物はぜーんぶ!

特技は……そうね!走る事や、歌うこと、バク転も得意だわ!まだまだあるわよー!!

あ、それと好きなものは笑顔よ!あと、絵本も好きだわ!

それと……」

 

先生「つ、弦巻さんありがと!時間もあるから残りは授業が終わって放課後になったらみんなに話してね」

 

 

 

こころ「それもそうね!ん〜!!

放課後が楽しみね!」

 

 

おいおいなんだよ、あの弦巻こころとか言う奴………

早速俺の願いがぶち壊された気がする。

それにしても元気すぎるだろ。

アイツと関わったら絶対に面倒な事になりそうだな。

まぁ、俺と関わる事はないだろうがな。

授業中は静かにしてくれることを願おう。

 

 

先生「はい次は、比企谷八幡君」

 

 

俺が思考をねりねりしてた間に、もう俺の番か……

まぁ、名前言ってよろしくで終わりだ。

5秒もかからん。

 

 

 

八幡「比企谷八幡と言います。

よろしくお願いします」

 

 

ふー、終わったぁ。

少し緊張したが噛めずに言えた。

 

 

先生「え、えーとそれだけですか?」

 

 

八幡「え、あ、はい。他に話すこともありませんので。」

 

 

自己紹介なのだから、最低限名前さえ言えばいいと思うんですよ。

趣味とか話すのはその人の自由だし。

 

 

先生「え、えーと、じゃあ皆さんは比企谷君に聞きたいことありますか?」

 

 

ナンデソウナル?

くっ。この先生はきっと優しい人なのだろう。

だがその優しさのベクトルを変えて欲しかった………

 

 

こころ「はいはーい!私が質問したいわ!」

 

 

………うん、わかってた。きっとお前だろうって思ってた。

仕方ない。ほら質問しろよ。

俺しか答えられないもんな。

………なんか凄い人の気分になった感じだな。

ゴッド比企谷と言われるのも時間の問題だろこれ。

 

 

こころ「あなたの目はなんでそんなに腐ってるのかしら!私すっごく気になるわっ」

 

 

『『あはは、弦巻さんストレートすぎ笑』』

 

 

「「確かにそれは思ったけどさw」」

 

 

のっけからいいパンチ打ってくんなーコイツ…………

そんなに腐ってますかね?

てかお前の目はキラキラしすぎなんだけど?

光ってる目もいれば腐ってる目だっていてもおかしくないだろ。

 

 

八幡「えーと、コレはデフォr「趣味は何かしら!それと、好きな食べ物!」…ル……ト」

 

 

質問したのキミだよね?

なんなの。質問っていくつあんの。

てか、今答えようとしたよね?

聞く気ないなら質問しないで貰えますかね…………?

 

 

×××

 

 

先生「今日はここまで!来週からは授業が始まるので、ノートを買っておくことと、教科書などは忘れないようにね!」

 

 

「「「さよならー」」」

 

 

 

今日は自己紹介と、学校の教室紹介で終わり。

授業という授業はなく午前で帰れる素晴らしい日だ。

まぁ、来週から授業始まるんだけどな………

 

 

こころ「みんなー!来週また会いましょ!」

 

 

「ばいばーい」「弦巻さんまた来週ね」

 

 

弦巻は笑顔でクラスの奴らに手を振っている。

自己紹介の質問の時のアイツはヤバかった。

どれくらいヤバイかと言うと、もうめちゃくちゃヤバイ。

目が腐ってるから始まり、好きな食べ物やら色、動物に花。

あまりにも多い質問をされた。

結局時間が来てしまいアイツの質問には答えていない。

てか、そんなに聞くなよ。個人情報保護法って知らないの?

まぁ、もう喋ることはないだろうし良しとするか。

さぁて、CiRCLEに行くとするか……と廊下に出たその時だった。

 

 

こころ「八幡!放課後よ!さっきの質問に答えてくれるかしらっ、もっとお話しましょ!」

 

 

「ガラララララバンッ!」

 

 

 

…………ナンカイタ。

 

 

 

教室から出なきゃ行けないのに、自分を教室に残して閉めちゃったよ。

教室にいたのが俺だけでよかったわ。

てか何あれ。なんで居んの?さっきみんなにお別れして帰ったんじゃないの?

……え、じゃあ何?俺には別れの挨拶してなかった的な?

みんなに含まれてなかったのね俺。

あとなんで下の名前で呼んでんの?友達なの?

………気のせいかもしれないと意を決して扉を開けてみる。

 

 

こころ「急に扉を閉めるからビックリしたわ!何かいたのかしら?」

 

 

と自分の後ろをみる弦巻………

やっぱりいますよね。

てかお前の事だよ。後ろ見ないで鏡見て来い。

 

 

八幡「え、えーと、俺、これから予定あるから……」

 

 

勿論嘘ではないので、罪悪感などこれっぽちもなく弦巻に背を向けて歩き出せる。

まぁ、用事がなくても何かしら言って帰ってたけどな。

すると横から、俺を越すように走ってくる少女……。

くるりとこちらを向くと、

 

 

こころ「歩きながらでも構わないわっ!

あなたのこと知りたいの!」

 

 

そう言って笑顔を見せてくる。

ーーーー不覚にも見惚れてしまった。

端正な顔立ち。眩しい笑顔。クラスの有象無象の女子達と同じ制服を着ているはずなのに、まるで違って見えた。

 

 

こころ「それにあなたの目やっぱり気になるわ!よく見せて!」

 

 

……………うわぁ、今ので目が覚めたわ。

危うく見てくれに騙されて勘違いするとこだった。

あなたのこと知りたいって目の事ね。

てかコイツどんだけ目が気になってんの?

コレクターなの?集めて家に飾っちゃうの?

怖いから他を当たってくださいごめんなさい。

 

 

八幡「やべーわ、急がなきゃ行けねーわ!じゃあな!」

 

 

一目散に自分の靴がある下駄箱へとダッシュする。

きっとコイツはアレだ、話が通じないタイプ。

何を言ってもダメなら逃げるしかない。

逃げるが勝ち、逃げるは恥だが役に立つって言うだろ?

逃げるって素晴らしいなおい。

 

 

下駄箱に着き靴を履く。そして校庭を出た途端………

 

 

こころ「鬼ごっこかしらっ、負けないわよっ」

 

靴を履いていて、すぐそこまで来ていた。

なんでいるんだよ。追いかけてくんなよ。

 

 

八幡「てか、もう、ハァハァ、げん、ハァ、かい……」

 

 

こころ「ターッチ!!次は八幡が鬼よ!私を捕まえられるかしらっ!」

 

 

………とんでもない速さで学校から出て、見えなくなって行った。

バカで助かった。

 

 

×××

 

 

学校からCiRCLEは別段遠くなく、歩いて行ける距離である。

まぁ、俺は自転車だけども。

 

 

 

CiRCLEに着き、自動扉が音を出し開く。

 

 

八幡「こんにちはー」

 

 

まりな「……あ、来た来た。こんにちはー!

待ってたよ八幡君!」

 

 

手をぶんぶん振って迎えてくれる様子はまるで、大好きな飼い主の帰りを懸命に待つペットのようだ…………

まぁ、カマクラは俺が帰ってきても興味無さそうだがな。

 

 

まりな「じゃあ早速仕事教えるからね!

しっかりと覚えるように!」

 

 

わー、すっごいノリノリ。やはり人が足りてないから人員が増えるのが嬉しいのだろうか。

てか、それよりも………

 

 

 

八幡「え、えーと履歴書とか確認しなくていいんですか?」

 

 

まりな「え、あ、うん!そんなのは書いてもらえばOKだからね!見なくたって採用だし!嘘の情報とか書いてないでしょ?」

 

 

 

いや、確かに嘘の情報とかは書いてないけどそれでいいんですかね。

まぁ、見て欲しいわけでもないからいいんだけどさ。

 

 

 

まりな「じゃあまず、具体的な仕事内容から説明していくね。

CiRCLEでは、ライブが出来たり、音楽スタジオがあってバンド練習にも利用出来たりするんだ。それと………」

 

 

あー、コレはアレか。ど素人がやるのは不味いバイトだったかな。

経験者じゃないとキツそう。

てか、凄い大変そうなんだけど。

まぁ、ここまで来たらやるしかないよな……

 

 

 

×××

 

 

 

まりな「はい!お疲れ様ー。

今日はここまでね!じゃあ続きは明日だね!

あ、そうだ!シフトとか連絡取りたいから連絡先教えてくれるかな?」

 

 

 

あー、疲れたー。

まぁ、でも確かに大変だが肝心のお客さんがあまり居ないからそうでもないと分かったな。

これから混むのだろうか?

それにしても…………連絡先?誰の?俺の?

始めて人から欲しいって言われたわ。

感動するわー。

 

 

八幡「えーと、すいません。

俺、自分のケータイ持ってないんですよね」

 

 

まりな「え!?そうなの!?」

 

 

凄く驚かれた。てか、有り得ないような目で現在進行形で見られてる。

そんなに驚く事ですかね………

確かにケータイはあって損は無いし、むしろ素晴らしいものかも知れん。

だけど俺には必要なかった。それだけの話。

母さんは連絡するのに必要だから持ちなさいって言われたけど、自分が働いた時に給料で買う!と断固拒否したから持ってない。

 

 

八幡「あ、はい。すいません。用意した方がいいんですかね………」

 

 

正直今すぐ買えと言われたら厳しい。

せめて1ヶ月後の給料を貰ってからにして頂きたいのだが…

 

 

まりな「いや、なくても大丈夫だよ!ごめんね!ちょっとビックリしちゃって!今どきの高校生は皆持ってるのかなーって思っちゃったからさ」

 

 

まぁ、確かに持ってない方が少ないのは調べなくても分かるだろう。

それでもゼロではない。俺がいるからな!

……やだ。俺ってばちょっとカッコイイかも。

 

 

まりな「じゃあ、一応なにか急な予定があったりしたらお母さんの電話番号にかけるね」

 

 

俺の母さんの電話番号知ってる……だと…?

あ、履歴書見たのか。ビックリしたわ。

 

 

八幡「わかりました。よろしくお願いします。じゃあ俺はこれで失礼します。」

 

 

まりな「うん!今日はありがとね!ご苦労さま!明日からもよろしくねー」

 

 

俺の初バイトは何事もなく無事に終わったが、学校の方は少し面倒くさそうな奴に目をつけられた気がする……

はぁ。早く帰って勉強しようかな。

 

 

……………あ。今日買い物頼まれてたの忘れてた。

家の電球が切れかかってるから、ビーキューカメラで買って来いって言われたんだった。

 

 

 

×××

 

 

お目当ての電球も買えたし、帰ろうかと思っていると、

小さな女の子がクマの人形を抱えて1人でうろちょろしてる。

 

 

「ママ………?ママ!!ママー!」

 

 

 

……………あれはいわゆる迷子ってやつだよな。

周りには人が………俺とこの子と店員しかいない?

店員がいるなら充分だろ。俺じゃあ力になれなさそうだし。

 

 

 

……………泣いてる少女に人が来ない。

店員さんも忙しくて見てないのか、ただ女の子が泣いてるだけかと思ってる。

違いますよー。この子迷子ですよー。

 

 

 

「うわーーーん!!ママーーー!!」

 

 

 

俺が行くしか無さそうだな。

 

 

八幡「え、えーと、大丈夫か?

迷子になったんだろ?お兄ちゃんが一緒に探してやるから」

 

 

「ひっ………!うわーーーん!怖いよーー!」

 

 

 

八幡「え、ちょっと!?」

 

 

やばいやばい。このままだと俺がヤバいやつと思われるぞこれ!

 

どうしようかと悩んでいると俺の目にある物が入った。

 

 

 

八幡「……………」

 

 

椅子に座り、指を当てる。

久しぶりだなこの感覚。

 

 

八幡「〜〜〜♪〜〜〜〜♪」

 

 

「…………グスッ。あ…」

 

 

俺はピアノを弾いている。

この階にはピアノが沢山置いてあり、弾けるものもあった。

本当は弾きたくなかったのだが、警察のお世話になるのはもっと嫌だし。

 

 

八幡「〜♪〜〜♪」

 

 

「みゆコレしってる!よーちえんできいたー!」

 

 

 

まぁ、小さい子が分かりそうなの弾いてるからな。

 

 

「なんかピアノの音聴こえない?」

「うん。すごく上手だよね?」

 

「ぼくこの歌うたえるよ!ようちえんでやってるもん!」

 

「とても綺麗ね」

 

 

???「……………!!!!」

 

 

 

人が結構集まってきた。

コレでお母さんが見つかってくれればいいんだけど……

 

 

 

「っ!みゆ!みゆっ!」

「あっ!ママっ!ママーーー!!」

 

 

お、見つかったようだな。

良かった良かった。

じゃあ俺も帰りますかね……

 

 

×××

 

 

 

迷子の件も片付いて帰宅している。

結構時間かかっちまったな。

小町に怒られないといいんだけど……

 

 

………それにしても久しぶりに弾いたな。

意外と弾けた事に自分でもビックリした。

 

 

八幡「もう弾く事は無いと思ってたんだけどな……」

 

 

ピアノの感触が指から離れるのには少し時間がかかった。

 

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