今回は少し短めです。
クライブの話を終わらせただけなので!
香澄「あー!!!
さーやー!!はっちー!!」
りみ「2人とも、こんにちは」
有咲「………どうも」
たえ「あ、本当に来た」
地下に繋がってる階段を降りてる最中に、色々と挨拶される。
てか、花園。
今お前は俺を見て言ったよな?目が合ったもんな。
大体お前らが頼んだんだろうが………
あんまり期待されてなかったやつね。
市ヶ谷もやっぱり機嫌が悪そうだ。
………えー、これ帰っていい?
俺はもう用済みだろ?
沙綾「みんな、おつかれさまー。
もう比企谷君が遅れたりして大変だったよー」
八幡「お前何言ってんの?」
断じて遅れてない。
有咲「………はぁ。
相変わらず仲良しな事で。」
コイツは仲良しって意味を知らないらしいな。
怖いから声には出さないけども。
香澄「はっちー。
さーやを連れてきてくれてありがとう!」
八幡「…………………」
沙綾「…………………」
八幡「………お、おう。」
………急だし、素直にお礼を言われると何だかむず痒いな。
沙綾「…………うん。
比企谷君にはお礼しないとね。
それと、みんなにも。
………私のためにありがとね」
たえ「お礼を言うのはまだ早いよ、さあや。
私たちの演奏、聞いて欲しい。」
沙綾「………おたえ。」
りみ「わ、わたしたち………っ!
毎日コツコツ練習して頑張ったから!」
有咲「前のクライブの時よりかは上達したのは、たしかだな。」
沙綾「………うん。楽しみ。」
香澄「何度も誘ってごめん!
さーやが忙しいことは知ってるけど、どうしても一緒にバンドしたくて………」
沙綾「………大丈夫だよ。」
悪気があって少し落ち込んでる戸山の頭を山吹は優しく撫でる。
香澄「ありがどぉぉー。」
沙綾「……………でも、私は」
有咲「あー、待った。
沙綾がどんな気持ちで今日来たかは私たちには分からん。
それでも私たちは全力で演奏する気だ。
だから、沙綾も演奏を聞いてしっかり考えて欲しい。」
りみ「有咲ちゃん…………」
たえ「………………」
香澄「有咲…………」
有咲「…………だぁぁぁ!!
なんだよその目は!!
言っておくけど私だって言った後に凄い恥ずかしい事言ってるのは気づいてたからな!!」
香澄「そ、そうじゃないよ!」
りみ「う、うん。
有咲ちゃんがカッコイイと思っただけで」
たえ「うん。私も今こう…………グッときたよ。」
有咲「…………っ///
う、うるせー!早く準備するぞ!!」
うわ、顔真っ赤だ。
有咲「お前は見てんじゃねぇ!!
つーかもう帰れ!」
目の前で起きたことを見てんじゃねぇって…………
はー、辛い。帰りたいな。
あれ?でも今帰っていいって…………
よし、帰ろう。
早々と準備をして、蔵の出口へと向かう。
有咲「本当に帰ろうとするなぁ!!
早く座って待ってろー!!」
八幡「えー…………」
いや、マジでなんなのこの子。
面倒いし、口悪いし、怖い。
香澄「はっちーもよかったら聴いてよ。
上手じゃないかもだけど……」
苦笑いをしながら俺にそう言ってくる。
………確かに上手い下手は大事な事だ。
上手い方がいいに決まってる。
だけどバンドは………少なくとも俺が思うバンドって言うものは、上手くなくたって、記憶に残る、何かを伝えることが出来るものだって思っていたい。
コイツらも誰も上手いだなんて思ってない。
むしろめちゃくちゃ下手と思ってるかもしれない。
当然だ。初めて数ヶ月。それにドラム担当がいないらしい。
ドラムはバンドにとって重要すぎる楽器だ。
俺たちもバンド練習の時に、松原さんがバイトでいなかった時の練習は悲惨そのものだった。
リズムが取りにくいのだ。ドラムはリズム隊の要だ。
ドラムがいないバンドなんて少なくとも俺は知らない。
それでもコイツらは…………山吹に伝えたい何かがあるから、きっと演奏するのだろう。
俺はコイツらの演奏を聴いた事はないが、山吹は数回あるのだ。
それでも山吹は、自分のために演奏されるのは初めての事だろう。
香澄「じゃあ、始めるよ!」
×××
沙綾「今日はありがとね。」
八幡「…………………」
帰宅路、唐突に山吹からお礼をされる。
沙綾「正直行きたくはなかったけど、今なら行ってよかったって思えるかな。
比企谷君を理由にしたおかげかな。」
八幡「…………次、またあんな感じで理由にしてめんどくさいことになったらお店にクレーム出すからな。」
沙綾「え、それは酷すぎるよ。
言っておくけどうちのパンはすっごく美味しいからね!」
八幡「…………自分で言っちゃうのか。」
沙綾「それぐらい美味しいからね。」
まぁ、青葉は山吹パン中毒者らしいしな。
八幡「それにしてもアイツら……色々と凄かったな」
×××
演奏が始まり俺は彼女達の演奏に目を奪われていた。
別段上手すぎてとかでは無い。
むしろドラムがいないせいか、バンドとしての歴が低いのか、お世辞にも上手いとは言える程でもなかった。
それでも見てしまっていたのはきっと…………
沙綾「…………本当に楽しそうに演奏するなぁ。」
本人は無意識に口に出てた言葉を俺は聞こえていた。
そう、なんでか知らんがめちゃくちゃ楽しそうなのだ。
演奏するのが猛烈に嬉しくて楽しんでるふうに見えた。
八幡 (どっかのバンドメンバーといい勝負だな)
まぁ、世界を笑顔にするらしいからな。
当然といえば当然なのだが。
しばらく聴いていると音が止み、少しの静寂が訪れる。
俺と山吹は拍手を送り、少し照れる4人。
そして戸山が口を開く。
香澄「今日は演奏するだけだから!さーやの返事は聞かないっ!
それとね!やっぱり沙綾と一緒に演奏したいから諦めない!
何年経ったとしても!!」
沙綾「っ!!」
戸山は真剣な表情で山吹に言う。
…………すげーな。
演奏も終わったし、今日は返事を聞かないのなら長くいても気まずいだけだ。
それに戸山も何となくわかっているのだろう。
このままだと、山吹をもっと傷つけてしまうことだって。
八幡「………じゃあ、俺たちは帰るとするわ。」
沙綾「比企谷………君……」
有咲「………あぁ、そうだな。
今日は………その…………〜〜〜っ!!
や、やっぱりやめだっ!さっさと帰れ!」
りみ「あ、有咲ちゃんっ!?
きょ、今日はありがとね〜」
たえ「………楽しかった。」
×××
沙綾「あはは………まぁ、そうだね。
香澄たちも、どんどん上手くなってて、凄いなぁ。」
山吹は先程の彼女達の演奏を思い出してるのか、目をつぶって空を見上げていた。
八幡「…………………」
沙綾「……………比企谷君はさ。
私がバンドやらない理由を深く聞かないよね。」
八幡「………何?聞いて欲しいの?」
人が頑なに隠してることなんて、聞いたっていいことない。
そういうのは大抵地雷だらけの、他人じゃどうしようも無いことばかりなのだから。
戸山たちだって聞きたいのだろう。
山吹がバンドを断る理由が、パン屋で忙しいからだけでは無いという事を。
沙綾「そういう訳じゃないけど…………さ。
うーん………でも、聞いて欲しいのかな?」
山吹は、顎に手を当て首を傾げる。
『?』マークが頭に浮かびそうな表情だ。
八幡「いや、俺が知るかよ。
…………アイツらだったら聞いてくれるんじゃねぇの?」
まぁ、お前のことを気にして聞くに聞けないみたいな感じだったけど。
沙綾「………比企谷君は聞いてくれないの?」
八幡「………は?俺?
俺はごめんだな。これ以上お前らの話に入るのは疲れるし」
問題事は弦巻たちで足りてる。
沙綾「まぁ、そうだね………
それに話したところで何かが変わる訳でもないんだよ……
私のした事は何も変わらないから。」
悲痛のような叫びを殺して、悲しそうに呟く山吹は拳を握りながら何かを悔やんでいた。
俺はそれに対し「そうか。」と返し、その後はお互い一言も喋らずに家へと帰った。
八幡「ただいま。」
小町「あれ?お兄ちゃん?」
家に着くと、小町がてってと音を立ててお迎えしてくれる。
うん、お兄ちゃん想いで嬉しいな。
小町「なんか変な事考えてない?
いや、それよりも帰ってくるの早くない?
家出てから2時間くらいしか経ってないよ?」
八幡「まぁ、それほどの用事だったって事だよ。」
待ち合わせ場所行って、蔵に行って、ライブ聴いて、帰っただけだからな。
小町「もしかして喧嘩でもしたの?」
八幡「おいおい小町ちゃん?
俺が喧嘩するほど深く関わってるやつなんて小町しかいないぞ?
お、今の八幡的にポイント高いな。」
俺の知ってる喧嘩なんてのは、兄弟喧嘩だけだしな。
大抵いつも、トラップカードで母親が出てきて俺が負けるのだが。
それでも夕飯になったら仲良く食卓を囲んで、兄弟喧嘩は終結するのだ。
小町「うーん。
コレは喧嘩ではないっぽい……?
小町のお兄ちゃん嘘レーダーには引っかからないし………」
八幡「ねぇ?何そのレーダー?
俺もそれ欲しいんだけど?どこで売ってんの?
カプセルコーポレーション?」
ほら、女の嘘って凄い分からないじゃん。
二十面相とか聞くしさ。
小町「のんのんだよお兄ちゃん。
コレは愛がなせる技だからね!
あ、今の小町的にポイントたっかーい!」
人差し指をチッチと振り、はにかむ笑顔で言う。
我が妹ながら、あざと可愛い。
あざとさも感じられないくらいの可愛いさ。
それもうただの可愛いだけど、仕方ない。うん。
八幡「…………お前そういうのクラスの男子にしてないだろうな?」
心配になってきた。
こんなのされたら一溜りもないと思うんだけど。
兄の俺でさえ、危う…………くないな。危うかったら色々とやばい。
だがこれでは、勘違い男子が湧くのも仕方ないし、コレはもう小町が可愛すぎるのが悪いとか言っても過言ではないレベル。
その後、小町は考える素振りを見せ、パッと何かを思いついた表情を浮かべ俺に近づいてくる。
八幡「?」
小町「こんなことするのはお兄ちゃんだけだよ。」ボソ
耳元で囁く小町。
八幡「………っ!?」
小町「………うっそでしたー!
どう?小町的にポイント高い?」
ペロッと舌を出してウインクする小町は、小悪魔にしか見えず、
コレはもう兄である俺が責任をもってこれからも一緒に末永く暮らさなくては、という考えがしばらく残るのであった。
本作品のヒロインは小町です。と、真顔で言える作品を目指して行きたいと思っておりま(殴