Poppin’Partyのライブも無事に終了し、文化祭1日目は終わりを告げた。
俺は動画でライブの終わりを確認すると、山吹家に別れを告げて学校へ戻っていた。
山吹父に車を出すと言われたが、なんかもうこれ以上は気まずいので歩いていくことにした。
学校に着くと一般のお客さんは帰宅しており、それぞれ片付けが始まっていた。
時間はもう夕方16時30分を回っており、病院からここまで来るのに約20分かかったので少し焦っている。
クラスの奴らが怒ってる可能性があるが、言い訳はここに来るまでに考えておいた。
ぶっちゃけ、考えたも何も俺は文実なので『文実の仕事をしていたので遅くなった』
これで全てが解決。文句は誰も言えないのだ。
…………どうしよう、もうちょいサボろうかな。
なんて思ってみるも、やはり怖いので教室へ向かってみる。
八幡「同じ文実とか知り合いには会いたくないもんだな。
特に奥沢とかは。」
アイツ、やたらと鋭いしサボってんのバレたら面倒だしな。
結局弦巻の世話も任せたし、怒られても仕方ないというか
美咲「で?
誰に特に会いたくないって?」
八幡「……………………」
美咲「……………………」
八幡「oh………………」
×××
まずい。
聞かれたくないことを聞かれてしまった。
美咲「で?
そんなに私に会いたくなかった?」
八幡「い、いやぁ、あの…………ですね?
それは言葉の綾というか、その、アレがあれ」
美咲「………………はぁ。ま、別にいいけどね。
そっちも割と大変そうだったけど、一件落着めでたしめでたしって感じで良かったよ」
…………意外とあっさり?
でも本当そうなんだよな。
大変だったけど、一件落着で……
八幡「あれ?お前らに話してたっけ?」
Poppin’Partyのことはコイツら(ハロハピ)には、話してなかった気がするんだけどな。
美咲「いや、比企谷くんから直接聞いてはないよ。
ただ戸山さんとかたまに来てたし、なんなら「はっちー少し借りるね!」とか言ってたからね。」
あ、そうなんですね。まあ別に隠してる訳でもないから良いんだけどね。
ただ俺が言うのはおかしいと思ってたから黙ってたけども。
てか借りるってなんだよ。俺は物か。
美咲「でも本当に良かったね。
Poppin’Party、みんな凄く楽しそうだった。」
八幡「まあ、そうだな。
これで俺も自由になれたわけだし、めでたしだな。
結構疲れたけど」
主にメンタル面の方が…………
美咲「こころに振り回されまくったから、私も今日はクタクタだよ。」
そうだった。奥沢は弦巻と一緒だったわ。
八幡「本当にお疲れ様じゃん。ガチでドンマイ」
美咲「うん、どうも。…………まあ私で良かったかな。
他の人だったらヤバかったかもだし、私は多少慣れてるし」
「それでも突発的過ぎて困るけど。」
などと、苦笑いで言う奥沢に俺は驚きと関心していた。
マジ優しいやん。
オカンだわコレ。
美咲「あ、そうだ。
比企谷くんに伝えること会ったんだ。」
八幡「え、なに急に。告白?」
美咲「えっ、は!??///
ち、違うって!!//」
八幡「いや、冗談だから。」
美咲「っ…………」
告白だって文化祭のイベントの1つって聞いたけど全然違うらしい。
ま、知ってたけどね!!悲しくなんてないから!!
美咲「はぁ。
…………こころが比企谷くんのこと探してたの。
その調子だと会ってないみたいだけど」
は、弦巻が?なんで?
八幡「いや、見てねーな。
ちなみになんで探してたかわかるか?」
美咲「それがさ、Poppin’Partyのライブが終わってからソワソワしてて、
片付け終わったらすぐに『はちまん探してくるわ!』って走って行っちゃった。」
なるほどわからん。ソワソワしてるのが少し怖いけど。
でも、片付け終わらせてから行くのは偉いな………………ん?
八幡「片付け終わったのか?」
美咲「あー、うん。
私たちマジックで使った場所も教室も終わったよ。
まあ、明日もあるからね。片付けって言うほどのものでもないけど」
あ、そうか!
明日もあるからそこまで時間かからないのか。
良かったー、先程の心配も杞憂で済んだな。
八幡「じゃあもう帰宅でいいのか?」
美咲「うん。
片付け終わった時に先生が解散って言ってたから多分大丈夫だと思うよ」
それなら帰ろう。
でもこのカメラどうしよう…………
文化祭実行委員で渡されたものだから返さなきゃ行けないのか?
でも明日も文化祭あるし明日でいいか、めんどくさいし。
八幡「そうか、色々とサンキュー。
てことなら俺は帰る。
弦巻には明日『ごっめーん、帰ってたわ』って言えば大丈夫だろ。」
美咲「大丈夫なのかな……?
まあじゃあ、一緒に帰ろうよ。
私ももう帰るし」
八幡「え、俺自転車なんだけど。」
自転車と一緒に帰るって事は走って着いてくる覚悟があるってことか?
それなら全然いいけど。
美咲「はいはい、いいから行くよ。」
八幡「俺が良くな「何?」いこともないな、うん。」
怖いよ怖い、あと怖い。
×××
一応念のために職員室に行ってみたが、文実で借りたカメラは一旦回収するらしく、一台無いとちょっとした騒ぎになってたらしい。
悪気はなかったんです、はい。
そして今俺と奥沢は、自転車置き場に向かっているのだが1つ大事なことを思い出した。
八幡「自転車の鍵が無い」
美咲「え、は……?
無くしちゃったの?」
馬鹿なの?みたいな顔をする奥沢に少々怒りを覚える。
八幡「無くしてはない。」
美咲「何その訳ありみたいな返事。」
八幡「まあ実際に訳ありだからな。」
忘れてた。
自転車の鍵は多分山吹が持ってるな。
自転車貸してから会ってないし。
美咲「???
じゃあどうするの?」
八幡「まあ、とりあえず自転車取りに行ってみるか。」
鍵差しっぱなしっていう可能性がまだあるからな。
無かったら明日返して貰えばいいし。
そして、自転車置き場が見えてきた頃。
美咲「誰かいない?しかも複数人で」
八幡「あぁ、いるな。
しかも俺の自転車がある場所ピンポイントで。」
美咲「アレは………」
香澄「あー!!!アレはっちーだよ!!!」
八幡「え、なに、なんか叫んで無い?
てか走ってきてない?」
大声で何かを叫んでからこっちに走ってくる姿は、たとえ誰であっても怖い。
美咲「と、戸山さんだ。
ていうかPoppin’Partyの人達じゃない?!」
香澄「はっち〜〜!!!!!!!」
八幡「ちょ、まっ、ぐえっ!!?」
戸山ダイブが直撃。効果は抜群だ!
そのまま地面に倒れ、戦闘不能。コンクリートが痛いです。
たえ「おぉー。いいの入ったね。
生きてる?」
八幡「生きてるから早くコイツを何とかしてくれ!」
未だに戸山は俺の身体に覆いかぶさってるままで顔を埋めている。
香澄「うわぁ〜ん、ありがど〜。
はっちーのおかげでさあやがぁーー」
八幡「は!?ちょ、泣かれても困るんだけど…」
りみ「香澄ちゃん……」
有咲「香澄……」
市ヶ谷と牛込さんは若干息を切らしながら俺らの方を見る。
そしてその2人の後ろにいる山吹と目が合った。
沙綾「………えっと、そ、そのっ!」
明らかに山吹は焦っていて、顔を赤くしては視線を右、左へと動かす。
おい、やめろ。俺まで緊張するじゃねーか!
八幡「お、おう…………あの、だな……」
((なんか病院の時のこと思い出したら恥ずかしくなって来た!!))
え、なに、『お疲れさん』とか言えばいいの?!!
病院での出来事は俺の中で新たな黒歴史となったと言いますか……
沙綾(うぅ……
あの時泣いちゃってたし、なんか凄く子どもっぽかった所を見られてたし……)
八幡、沙綾「「えーっと………」」
美咲、有咲 (付き合いたてのカップルかな?かよ!)
八幡「と、とりあえず戸山は離れろって!!」
この絵面は普通に不味い。
泣いてる戸山が俺に抱きついてるので、あらぬ誤解を生みそうだ。
八幡「……それにだ。
最終的に決めたのは山吹だし、5人でPoppin’Partyは作ったんだろ。」
有咲「お前………」
沙綾「うん…………でも、それでもだよ。
比企谷くんが居なきゃ私はPoppin’Partyにいなかったかもしれないから。
本当にありがとね。
それと、みんなも心配かけてごめん…………本当にありがとう」
香澄「ざあやぁぁぁぁーー!」
泣きながら山吹に抱きつく戸山。
沙綾「あー、もうよしよし。
………………もう、泣かれると私も泣いちゃうじゃん」
有咲「もうキリねぇなお前らぁぁ!!」
りみ「ふふっ……でも、嬉しいよね?」
有咲「それはまぁ…………そうだけど」
たえ「ありさー、私たちもー」
有咲「はっ!?お、おい!やめろって!
離せー!!!!」
美咲「あ、あはははは。
私たち空気になっちゃったね」
八幡「だな。
騒がしいし、先帰りたいんだけどな。」
あのー、百合百合しててもいいんですけど自転車の鍵だけ返してくれませんか?
×××
沙綾「あ、あはは…………ごめんねー、色々と。
それと、はいコレ。自転車ありがとね」
そう言って山吹に自転車の鍵を渡される。
八幡「ん、どーも。
じゃあ俺は帰るから」
自転車のロックを外し、カゴに自分の荷物を置き、サドルに座りハンドルを手に取る。
そして素早くペダルを漕ぐ。
このスマートな動きを誰も止めることは出来ない。
美咲「あ、ちょ………!!」
甘いな奥沢。
勝負は一瞬で決まるものだ。
自転車の人と一緒に帰るってことはこういうことなのだ!
こっちが合わせるのでは無く、そっちが合わせてもらわないと困るね!!
えー、一緒に帰ろうよー!?なんて戸山の声も後ろから聴こえるが、聞かなかったことにしよう。
時にはそういうことも大事になってくる。
女子6人と一緒に帰ったって話すことなど無いし、場に浮くし、うるさそうだしでちょっと勘弁してください。
駐輪場から校門へと向かう間に妙なテンションになっていた俺は、校門の前にいる生物に気が付かなかった。
こころ「あら?はちまんじゃない!」
校門の前で大きく手を振る金髪少女。
弦巻……!?何でコイツがここに…………!
突っ切るか?行けんのか?
『辞めた方がよろしいかと。』
八幡「!!?」
脳内に直接語りかけられ、俺は思わず急ブレーキをかけて弦巻の前で止まった。
こころ「今のとっても楽しそうだわっ!」
八幡「楽しくないです。怖いです。ごめんなさい。」
俺の心境など微塵も分かってない弦巻が目を光らせているが、既に隣にいた黒服のことしか頭になかった。
脳内に語りかけてくるなよ!
黒服「比企谷様、例の件は上手くいったのですね。良かったです。」
八幡「…………あ、はい、お陰様で。
色々手伝ってもらって助かりました」
良かったと思ってるならもう少し笑顔で言ってくれませんかね……。
真顔すぎて怖いって!
それともあれか?さっき弦巻を無視して突っ切ろうとしてたの気にしてるのん?
…………まあ?弦巻の安全のためなら害になりそうな人間を1人や2人、東京湾に沈めててもおかしくは
黒服「……………………」
なくないな、うん。そんなことする訳ないんだから。
黒服集団は、安心安全笑顔満開弦巻大好き信者なだけで大体の事は何でも出来て、人の心が読めて脳内に介入できるくらい普通なんだから。
…………普通って何だっけ。
美咲「それで?
何そこでフリーズしてるのかな?」
八幡「すみませんでした。」
こっちの問題もあった。
もうやだ、敵多すぎ。
×××
香澄「えー!!!!
こころん達もバンドやってるの!???
しかと、はっちーも一緒に!????」
たえ「わーお」
りみ「うん、ちょっと驚きだね?」
沙綾「………………」
有咲「意外すぎるだろ」
弦巻の一言で、あの場にいた全員で帰ることになった俺ら。
8人中7人は女子、そして俺と自転車くん。
黒服は知らない。最早知りたくもない。
しかも大人数の女子達の中では、肩身が狭い所の話ではなく、一番後ろで自転車を押しながら歩く俺は、いてもいなくても良いのではないかと思うくらいの女子トークで会話が弾んでいた。
ぼーっとしながら歩いてると、いつの間にかハロハピの話になっていてPoppin’Partyのメンツが一斉にこちらを向いた。
それぞれ反応するが、
山吹は俺の事をジト目で見ていたが無視。
大方、何でバンドに入ってること黙ってたの?って感じだろうが、聞かれてもないのに答える必要は無いからである。
それと市ヶ谷、お前に意外って言われたくないわ。
香澄「はっちーは何するの!?
ギター!?ベース!?それともボーカル!!??」
八幡「ちょ、待て!落ち着け。
近いしうるさい、危ないし手を握るな」
勢いよく俺の手を握り、弦巻に負けないくらい目を輝かせる戸山。
何その技、どこで習うの?
あと自転車押してるからマジで危ない。
それにあんまり男子高校生の手を気安く握らないで頂きたい。
こっちが逆に手を握ると警察沙汰になるというのに…………………
りみ「男性の方はドラムとか多いよね」
有咲「ドラムもアレだけど、ボーカルだったらマジで面白いな」
市ヶ谷さんはとても楽しそうに笑ってる。
てかアレってなんだよ、舐めてんの?やんの??
こころ「キーボードよ!」
有咲「私と一緒か!?」
沙綾「あはははっ」
八幡「一緒で悪かったな」
どんだけ嫌なんだよ、嫌われすぎだろ俺。
もう泣きたい。
たえ「美咲ちゃんもメンバーなの?」
美咲「あー、うん、一応DJでやってるね」
「「「DJ!??」」」
香澄「すごいね!!」
こころ「???
DJはミッシェルよ?おっきいクマのミッシェルがDJをやってるわ!
………あ!もしかして美咲もDJもやってるの!?
すごいわっ!今度ミッシェルと一緒にやるといいわ!」
八幡、美咲「…………」
Poppin’Party「……………………?」
りみ「え、えーと……美咲ちゃんじゃなくて、ミッシェルなんだよね!」
美咲「あ、あぁ、そうなんだよね!
私はハロハピの補佐、マネージャーみたいな感じ、うん。」
牛込さんのフォローがなければまずかったな。
あと奥沢がまじで可哀想…………
今後の奥沢の多少の行いは許してやるか。
だから強く生きろよな。
牛込さん以外の4人はポカーンとしていたが、知らなくていいこともあるのだ。
だけど、弦巻さんは知らないことが多すぎると思います!
有咲「ミッシェル……?熊……?」
ほら困惑してる人出てきてるって。
まあ、教えてやらないけどな。
結局その後は色々話してそれぞれ帰路に着いた。
帰った後に気づいたのだが、弦巻が俺を探してた理由を聞くの忘れた。
まあ、本人から何も言われないし大した事ではないんだろうな。
アイツの話なんて大抵規格外な事しか言わないし………
明日で花咲川の咲祭も終わりだ。
2日と短いようにも感じるが、準備期間とかもあって俺は割と長く感じたんだけど。
それに黒歴史も作ったし、精神的に疲れたわ。
暫くでいいから普通の生活がしてーな……………
と思っていた時期がありました。
薫「やぁ子猫ちゃん達、待たせたかな?」
こころ「薫、全然大丈夫よ!
準備はいいかしら!」
花音「ふぇぇ、緊張してきた…………」
はぐみ「かのちゃん先輩、リラックスだよ!」
美咲「はぁ、やりますか…………。
それじゃあミッシェルになっ………じゃなかった。
ミッシェル呼んできますねー」
八幡「ちょっと待て」
こころ「はちまん?どうしたのかしら?」
はぐみ「はちくんトイレ?」
薫「そうなのかい?我慢は良くないよ」
美咲、花音「「……………?」」
八幡「なんで今俺たちは体育館のステージ裏にいる?
そして、何で瀬田さんが花咲川にいる?」
こころ「変なことを聞くのね?
もちろんそれは、これからライブだからよ!」
八幡「変なことじゃねーよ!初耳なんだけど!!てかライブ!?
いや、お前ら楽器持ってるし何となく分かってたけど!」
はぐみ、薫「………?」
美咲、花音「えっ!?」
こころ「…………???」
美咲「こころ〜〜!!?」
八幡「はぁ。」