昨日、俺はバイトがあったため、途中で弦巻たちのバンド作戦会議?を抜け出したのである。
話し合いは進んだのだろうか………
奥沢さんは辞めれたのかな………
まぁ、今日学校に着けば嫌でもわかるだろうなと、登校しながら考えてる俺。
なんだかんだで気になっちゃってんだよなー。
×××
はい放課後。
もう大変だった。
教室着いたら、ハイテンション弦巻(いつも通り)が昨日のことをたくさん話してきた。
掛け声が決まったとか、コレからやることが決まったーとか。
そして、もう1人は…………うん。
明らかに元気ないというか、疲れてるというか………
その………お疲れ様です。
きっと脱退に失敗したんだろうな………
こころ「はちまん!今日も会議するわよ!
会議の次は楽器の練習よっ!
今からすごく楽しみだわ!」
はぐみ「こころん!はちくん!みーくん!
早くいこうよー!はぐみもう走りたい気分だよ!」
こころ「それはとてもいいアイデアだわ!
それじゃあたしの家まで競走よっ!」
こころ、はぐみ「「よーーい、ドンッ!!」
廊下で大きく叫び、走り出す2人。
風紀委員に捕まっても知らんからな。
………あ、いま「ふぇぇ」って聞こえたけど、松原さんがアイツらに捕まったか……
美咲「………比企谷くん。あの2人がやばいんですけど………」
八幡「それは今に始まった事じゃないな。
………結局昨日の事、あんまり知らないんだけど何が決まったんだ?」
弦巻は、掛け声が決まってハッピーラッキースマイルイェーイとか連呼してたけど、内容が全然わからん。
美咲「はぁ…………そうですね。
歩きながら話しますよ」
×××
歩きながら奥沢から聞いたことは……………
・バンドで楽しいことがしたい。
・世界を笑顔にしたい。
・笑顔になりたくない人なんていないから笑顔にする。
・世界を笑顔にする。
・あたし達が集まったのには理由がある。
・世界をハッピーにする。
・相手に楽しくしてもらうにはまずは自分が楽しくなる。
・ワールドハッピー。
・ハッピー!ラッキー!スマイル!イェーイ!!
・楽器をそれぞれ手に入れた。
…………何コレ。
奥沢のやつ無意識か分からないけど、世界を笑顔にする的なこと4回言ってるぞ。
それほどカオスだったのか………
最後のやつ、ゲームのRPG見たいになっとりますよ?
世界を笑顔にする………ね。
弦巻が言いそうな言葉だ。
しかも本気なんだろうな。
何とも志が高いバンドだな。
学校を出て少し歩くと、弦巻と北沢、松原さん、瀬田先輩がいて近くに見覚えのある黒色のリムジンが止まっている。
あぁ、そういう事ね………
はぐみ「わぁー!!すーっごいよ!リムジンだよリムジン!はぐみ初めて乗るよっ!!」
花音「わ、わたしも……初めて。
さ、さすがこころちゃん…だね。」
美咲「いやいやいや!
そもそもリムジンに乗る高校生なんてほとんどいないからっ!
この状況が異常なだけです!」
薫「ふふっ。さすがお姫様だ。
あぁ、儚い。」
それぞれリムジンへの感想をこぼしている。
俺は昨日乗ったからな。全然余裕。
………嘘です。2回目だろうと驚くことには驚く。
なんでこんなに広いの?
×××
こころ「さぁ、始めるわよっ!」
弦巻家に着き、またまた会議室で話し合いが始まった。
美咲「始めるって言ったって何話すの?」
こころ「ーーライブが決まらないわっ!」
八幡、花音、美咲
「「「へ?」」」
ライブ?はやくない?この前バンド結成したばっかりだよ?
薫「昨日解散した後に、
2人でこの辺りのライブハウスに行ったけど軒並み断られてしまってね。
私の美しさの………」
こころ「まだ演奏する曲がないって、
そんなに重要なことかしら」
おいおいマジかよ。行動するの早い。
あと、近くのライブハウスってCiRCLEですか?
それと、瀬田先輩まだ話の途中だったぞ………
こころ「バンドと言えばスタジオ練習!
そしてライブ!!
はぐみのくれた雑誌にそう書いてあったわ!
だからライブを決めたいのだけど、
まずはスタジオ練習からかしらっ!」
はぐみ「いいねスタジオ練習っ!
そしてその次はライブだね!!!」
花音「あ、あのねっ。ライブハウスって、
お客さんが来てくれないと困っちゃうんだよ。
だから、ある程度上手なバンドじゃないと…」
八幡「たった数回練習したって、ダメってことだ。まだ1曲も出来ないんだからしばらくライブなんて無理だ。」
こころ、薫、はぐみ
「「「???」」」
いや、ハテナを浮かべるなよ。
美咲「あ。
だったらあのスーツの人たちに、相談すればいいじゃん」
こころ「だめよっ。これはあたし達のバンドなのよっ。
バンドはライブの演出も、曲作りも、衣装も、全部自分たちでやってこそよ!」
はぐみ「こころんカッコイイ!よーし、はぐみも頑張るよっ!!」
薫「流石はこころだ。一生ついていこう」
こころ「ありがとう!!
それに人の力を借りたら、
オリジナリティがはばたいて、
アーティスト性がふやけて、
元に戻らなくなっちゃうのよ!」
オリジナリティははばたくのに、アーティスト性はふやけちゃうのか。
美咲「それ全部意味わかってないで言ってるね?
で?それも全部雑誌の受け売り?」
はぐみ「うん!
それでやっとバンドとして1人前なんだよ!」
こころ「早くなりたいわ、1人前に!
そしたらもっともっと、楽しくなるわよ、絶対!!」
薫「そうだね。自分たちの力で、1人前になろうじゃないか」
やる気に満ち溢れてる3人と、未だ心配だと思ってる3人。
……バランスって大事だよな(遠い目)
美咲「うーん。じゃあまーとりあえず、
マジメに練習して、最低でも4、5曲演奏出来るようになって、話はそれからなんじゃないですか?」
花音「うん。それなら大丈夫……だと、思います………」
はぐみ「わかった!!根性根性だね!!」
こころ「じゃあ早速楽器の練習をするわよー!!」
はぐみ「わー!待ってましたー!」
薫「私の実力をみせる時が来たようだね。」
美咲「ちょっと待って待って!誰が何するかも決めてないでしょ!」
こころ「そうね。はぐみと薫と花音は決まってるけど、ミッシェルと八幡がまだだったわね!
あたしは歌うわよっ!」
まぁ、ボーカルは弦巻だろうな。
八幡「あー、その事で話があるん「失礼します。八幡様、美咲様。少しよろしいでしょうか?」だが…………」
×××
黒服の人たちに呼ばれ、会議室を出て、隣の部屋に入る。
やはりどこの部屋も広いのな。
美咲「それで話ってなんですか?」
黒服「はい。まず美咲様にはコチラを。」
八幡、美咲
「「えっ!?」」
黒服の人たちが持ってきたのは、
美咲「こ、これって、あの商店街のマスコットキャラじゃ…………」
黒服「はい。『ミッシェル』でございます。
我々が買い取りました。
これでバンドとして見栄えするよう、私どものアレンジを加えることも可能です。」
ミッシェルでした。………買い取ったのか。
おい、弦巻お嬢様。
お前の知らないところでとんでもないことが起きてるぞ……
黒服「こころ様が『ミッシェル』と呼ばれた際は、私たちが、着替えるお手伝いをさせて頂きます。」
黒服「また、ライブについては、
日本一有名なロックフェスの出演権を交渉中です。
獲得した折には、ミッシェルとして、それをこころ様に」
八幡、美咲
「「っ……!!」」
弦巻たちはバンドのことなんてほとんどわかってないし、俺たちのことを振り回すし、めちゃくちゃだけど……
……それでもアイツらは本気でやろうとしてる。
【世界を笑顔に】なんて、めちゃくちゃ大変な目標を掲げてる。
………弦巻たちは言ってた。
自分たちの力で1人前になりたいって。
きっと黒服の人たちに頼めば何もかもが上手く行ったりするのかもしれない。
それでも…………それは……………違うと思う。
だから………
八幡「それは少し違うんじゃないんですか?
それにアイツらは、そんな日本一有名とか、どうでもいいと思いますよ?
………いいです。ライブは、俺たちで調べてみます。」
美咲「……あたしも調べてみますのでライブの件は大丈夫です。
ミッシェルだけお願いします。」
黒服「…………わ、わかりました。
それでは失礼します。」
ふと思う。
なんで俺はこんなにもムキになってるのだろうか。
美咲「………少し驚いちゃった。
比企谷くん、結構ムキになってたよね。
………まぁ、なんでかわからないけどあたしもだけどさ」
八幡「…………別にムキになってはねーよ。
ただ、少し………上手く言えねーけど、そういうのは違うと思っただけだ。」
美咲「………うん。そうだね。
あたしも、多分………同じ。」
………しかしさっきは、俺が弦巻たちに話してる途中で黒服の人たちが割って入ってきたけど、あれって………わざとか?
八幡「それ…………ミッシェル着て行くのか?」
美咲「あー……どうしよう。
ミッシェルの方がいいのかなー…」
八幡「とりあえず着ていけばいいんじゃねーの?
不備とかあったら直してもらえるんだし」
ミッシェルに慣れとかなきゃ危ないだろうしな。
美咲「あー………そうですね。
じゃあ着替えてから行くんで先に戻ってて」
八幡「へいへい。」
×××
こころ「あーー!やっと戻って来たわねー!
何してたのっ!?楽しいこと!?」
会議室に戻ってきたらすぐこれだ………
相変わらずテンションたけーな。
八幡「いや、ちょっと話し合いをしてただけで楽しいことではないな」
花音「比企谷くん………奥沢さんは……?」
八幡「あー、俺たちは呼ばれた後に別れたんで自分もわからないんですよね」
嘘です。すいません。
花音さんはミッシェルと奥沢のこと知ってるから嘘をつく必要なかったけどコイツらがいるし、話がややこしくなりそうだから知らないことにしました。すんません。
ガチャ
はぐみ「!!ミッシェルだ!!こころん、
ミッシェルが来たよ!」
こころ、薫、花音
「「「わぁっ!ミッシェル〜!!!」」
大人気だな。
こころ「これでメンバーが揃ったわね!
それじゃあ、改めて楽器を決めるわよっ!」
いや決めなくていいから。
俺はやらんし。
はぐみ「ミッシェルはクマだよ?
その手で楽器弾けるの?」
…………ちょっと待って。
コイツらミッシェルを本気でクマって思ってるんだよな?
えっ!?じゃあ何?全てのクマに言葉が通じるとも思ってんの?
それともミッシェルは別とか?
さっぱりわからん。
こころ「あっ!わかったわ!!DJよ!!
レコードをかけて、音楽を流す係!
パーティーで見たの。
あれならクマでもできるんじゃないかしら!」
ミッシェル「……………DJ?」
こころ「そう!ミッシェルはこのバンドのDJよ!
DJがいるバンドってかっこいいわよねっ。
う〜んっ。ワクワクしてきたわっ。」
八幡「おい。大丈夫なのか?」
ミッシェル「まぁ………CD流すだけなら、楽しそうだし………」
いや、流すだけじゃないと思うけどな。
めちゃくちゃ難しいって聞いたぞDJ。
花音「じゃあ後は、比企谷くんだけだね」
薫「あぁ!君はどんな儚い楽器を弾いてくれるのかな?」
はぁ。マジで困った。
もう初ライブだけでも出るか?
その後にバンドあるあるな、方向性の違いで辞めた方が楽な気がしてきた。
うん、そうしよう。
仕方ねぇな…………カスタネット八幡起動だな。
こころ「八幡はピアノよっ!
実は最初から決めていたのよっ!」
八幡「っ…………!!!!!」
花音「ピアノ………つまり、キーボード…?
比企谷くん……ピアノ弾けたの……?」
八幡「………………」
ミッシェル「比企谷くん?松原さんが聞いて…………っ!?」
美咲 (……ひ、比企谷くんがすごい怖い顔してる………)
八幡「……………あーー。悪い。
ピアノは出来ないわ。
あと、これから用事があったの忘れてたわ。
すまんな。先に失礼するわ」
5人「……………………」
カバンを手に取り、会議室を出る。
前は見ずに斜め下を向いて早足で帰る。
黒服「八幡様。お送りしますよ」
黒服の人に声をかけられるが
八幡「大丈夫です。1人で帰ります。」
拒否してそのまま歩く。
数分歩き、弦巻家を出るとやっと落ち着いてきた。
それでも今は誰とも話したくない。
用事なんて本当はないし、このままどうするかと遠回りしながら帰る俺だった。
×××
小さい頃は友達も数人はいたが、外で遊ぶような事はあまりしなかった。
家にあった電子ピアノを弾いていたからだ。
毎日のように弾いていた。
小町やお母さん、お父さんも褒めてくれたからずっと続けられた。
お父さん「八幡、また上手くなったんじゃないか?」
お母さん「それにしても八幡は本当に楽しそうに演奏するわね。」
小町「おにーちゃん!もう1回今のやつ弾いてー!」
八幡「うん!」
この頃はずっとピアノを弾いていたいと思ってた。
………………………あの事故が起きるまでは。