異・英雄記   作:うな串

1 / 45
甲の章
1~2


 長大にして能く勤めて學ぶ者は、惟だ吾と袁伯業のみ 『典論』より

 

 男は周りから距離を置き、ひとり炎の爆ぜる音とくぐもった奇妙な音を聞いていた。

 太陽が西に傾きつつある空をもうもうと昇る煙を見つめる瞳は小石のように無機質で、また同様に小石のように小さい。三白眼である。その眼の下にはうっすらと隈が見える。

 艶のある黒い髪、形の良い眉、高い鼻。青年の容姿は整っており、美貌と表現してもよかったが、人に与える印象は怜悧というより、冷たさだった。それをいっそう際立たせる無機質さと三白眼である。彼はその瞳を閉じた。

 すると、彼の鼻腔に肉が焼け、脂が溶ける臭いが飛び込んできた。

 それを嗅いだとき、彼は空腹を覚え、自己嫌悪に陥りかけたが、すぐに気を引き戻した。

「あ、あの伯業様」

 そんな青年の背中に言葉が投げかけられた。

 蚊の鳴くような小さな声であったが、青年は聞き漏らさず、振り返った。

「ああ、雛里か」

 彼が振り向いた先には、ひとりの少女が立っていた。

 身長はやや低め、長い薄紫の髪を左右で結び、まるで、西洋の魔女のような大きな帽子をかぶった少女である。

「こんなところで何をしていたのですか?」

 雛里と呼ばれた少女がおずおずと尋ねた。

「いや、特になにも」

 伯業は少女の横に行き、答えた。

 伯業は笑みを浮かべた。普段の他人に冷たさを感じさせる貌であることを忘れさせるような優しげな笑みだった。

 人より小柄な雛里と人より長身の伯業が並べば、年の離れた兄弟を通り越して、親子にさえ見えた。

 伯業は、行こうか、と彼女に言った。

 ふたりは、勢いが衰えた火元を背に歩き出した。

 しばらくして、伯業は雛里が自分のことを見ていることに気付いた。

「ん、どうかしたか?」

「あ、あわわ、伯業様が、よく、あんな異臭漂うところにいれたなっておもいまして」

 最後の方は、声が小さくなり、ほとんど言葉になっていないが、雛里が言った。

「ああ、髪と服が焼けた後は、鼻も慣れてか、そこまでひどい臭いはしない」

 彼は、自身が肉が焼ける臭いで空腹感を感じたのを言わなかった。

 ふたりは立ち止まり、火元をもう一度、見た。

 焼かれていたのは大量の死体であった。大量の死体が、焼かれたことにより筋肉が収縮し、蹲った形になっている。中には収縮に負け、骨が折れたり、関節が存在しない場所で曲がり毬のような形をしたものまである。彼が先程まで、聞いていたくぐもった音は死体が折れ曲がる音だった。

 死体を焼くように、進言し、指示したのは、伯業自身だった。

 死体から疫病が出ないようにである。

 伯業―――彼の姓は袁、名は遺、字は伯業。二世紀の中国を生きた人間である。ただ、彼には、前世の記憶と呼んでもいいようなものが、存在した。

 

 

異・英雄記

甲の章

 

1 袁伯業

 

 

 袁伯業は彼自身のことを狂人だと考えている。

 物心ついたときには、彼は自身が異物であるということを理解した。

 それは、なんというか、自身が袁遺であるはずがないという確信を持ったからである。

 彼にとって、袁遺とは、三国志の時代に生きた人物であった。そして、三国志とは、古代中国の歴史であり、自身が何度も読んだ本のことだった。故に、彼は自身が袁遺ではないと、断定した。

 しかし、次の疑問が来た。

 ならば、自分は誰なのだ? 何故、袁遺が三国志の時代の人物だということを知っている?

 彼はそれを思い出そうとしたが、思い出せなかった。

「ああ、自分は記憶喪失なのだ」

 彼は、他人事のようにつぶやいた。

 記憶にはいくつもの種類がある。記憶喪失になったからと言って、いきなり、赤ん坊のように、言葉を失い、立てなくなるなどといったことはない。それは、エピソード記憶と呼ばれる個人的な体験や出来事の記憶が失われたのであって、言葉の意味についての記憶、意味記憶や物事を行うときのノウハウの記憶である手続記憶を失っていないからだ。

 その証左を自身が、三国志やエピソード記憶、意味記憶などの単語を知り、説明できることであった。

 俺は誰だ? それを思い出そうとしても思い出せない。だが、自身が袁遺と呼ばれ、育てられてきたことは覚えている。袁家は三公を輩出した名家で、教育もしっかりしている。そのため、今まで受けてきた儒教的な教育も、その風景も覚えている。

 彼は自身の足元が崩れる錯覚を起こした。

 謂わば、自己の消失だった。

 何故、突然こうなったのか? 彼は考えた。考え考え抜いて、熱が出た。

 彼は世話係によって、寝台に寝かされ、典医に掛かった。結果は、幼い子が突然熱を出す、よくあることと診断された。

 熱は二日で収まったが、熱にうなされる間、知恵熱を出すなんて漫画みたいだなと思った。そして、漫画という言葉を知っていることがおかしくなった。

 この熱で彼は、ある意味冷静になれた。

 突然、こんな状況になったのは、今まで幼く、まだ、物事をうまく考えることができなかったからと結論付けた。もちろん、赤子が物事を考えられないというわけではないし、そのことも知っていた。だが、あえて無視することに、彼はした。でないと、耐えられないからだ。

 次に、これからどうするか考えた。

 自身が狂ったのでなければ、袁遺は従弟である袁術に敗れ、逃亡先で部下の裏切りで殺されるはずだ。それはごめんだった。人はいつか必ず死ぬにしても、そんな死に方は嫌だ。

 歴史を変えるしかない。

 寝台の中で、彼は決意した。

 まずは、状況を整理する。

 自分がいかな知識を持っているかということを確かめておかなければならない。

 そこから、自分が二一世紀に生きていた日本人ではないかという結論を出した。その理由は、二〇〇〇年、特に二〇〇〇~二〇一〇年代の歴史で自分の知っている歴史が途絶えていることとその多くが日本についてのことだからだった。

 その他、自分は歴史や軍事、経済、経営、文学などの造詣が深いらしい。本当に自分は一体なんだったのだ? 彼は自身に呆れてしまった。ただ、同時に自己の消失について、デジャビュを感じた。

 すると、涙が出てきた。

「ああ、俺は、本当に、何を経験したんだ」

 ともかく、彼は行動を開始した。

 武技を磨き、さまざまな知識を吸収し、人脈を作った。

 その過程で、従兄の袁紹に会った。そこで彼は、第二の驚愕を感じた。

 袁紹は女だったのだ。

 彼は混乱した。

 自分の知る限り、袁紹は男のはずだった。だが、女であった。

 彼は理不尽な怒りが自身から湧き上がってくるのを感じた。正直なところ、袁紹に対して、何故、女なのだ。何故、男でない、と怒鳴りたかった。

 しかし、彼は落ち着き、自身より年下の袁紹に挨拶をし、醜態をさらすことはなかった。

 この混乱は、すぐになくなった。

 袁遺は現実家だった。ただ、目の前の現実を素直に受け止めた。

 そのためか、それから数年後、私塾で、女の曹操に会ったとき、彼は動揺することもなく、ああ、彼女もか、とだけ思った。

 その後、袁遺は、様々な人脈と配下を得、河間の張超に推挙され、右中郎将の朱儁のもとで、黄巾党と呼ばれる賊との戦争で部隊をひとつ任せられていた。

 

 

 袁遺は自分の上官の元へと歩いた。そのとき、雛里との出会いが、ふと頭をよぎった。

 雛里とは鳳統の真名である。真名とはこの世界特有の本人が心を許した証である特別な名前らしい。

 雛里とは、袁遺が朱儁のもとに従軍してから、間もなく知り合った。長社の街に行く途中、数人の賊に襲われそうなところを助けたのだった。

 話を聞くと、友達と逸れたらしい。そこで、袁遺は、隊の者に女の子を見なかったかと聞き、彼女の友達探しを手伝った。

 連れは、すぐに見つかった。子供がひとりで歩いていれば、目立つからだ。もっとも、本人たちは子供ではないと否定していたが。

 そのまま、彼女たちを長社の町まで送った。

「ありがとうございました」

 ベレー帽のような帽子を被った少女が袁遺に礼を言った。

 雛里の連れの少女だ。

「いや、気にしなくていい。それよりも、最近は黄巾党と呼ばれる賊が暴れまわっているから、あまり町の外を出歩かない方がいい。危険だ」

 袁遺はそれだけ言うと、部隊に戻った。今日はこの町で宿をとるようなので、早く隊員たちにそのことを伝え、略奪強姦の類の禁止の旨と羽目を外さない限りの飲酒売春の許可を出したかった。

 袁遺は部隊に戻って行った。彼にとって少女たちはもう会うことのない者たちだった。

 しかし、翌日、彼は少女たちに再会した。

 彼女たちが、軍の近くをうろうろしているところを発見したのだった。

 袁遺の頭に様々な可能性が浮かんだ。その可能性が少女たちを無視することを拒んだ。彼は少女たちが間諜であることを考え、腰に佩びた太刀の柄を撫でた。彼の腰の物は長さ三尺二寸。形状は日本刀の野太刀に似ていた。片刃で反りがある。本来なら、この時代にないものだが、彼は気にしていなかった。良質の鋼が使われてはいるが、刃紋に美しさはない。それも気にならないことであった。であるからするに、当然、柄にも鞘にも豪華な装飾品など一切ない無骨な作りである。

 彼は左手を柄の頭に添えながら、ふたりに近づいた。

「なにをしている?」

「はわわっ!」「あわわっ!」

 少女たちは、驚きで飛び上がった。

「すまない。驚かせたかい」

 袁遺は素直に謝った。

「い、いえ、だ、大丈夫でしゅ」

「噛んでいるよ」

「はわわ……」

「それで、何か用があるのかい? 興味本位なら、近づかない方がいい。戦前の軍隊は気が立っているからね。危ないよ」

 袁遺は、自分の顔が、好き好んで子供が近づきそうもない顔であることを知っていた。だから、せめて声色だけでも穏やかなものを作った。

「そ、それは……」

 ベレー帽の少女は、そこで、今まで彼女の後ろに隠れるようにしていた昨日の迷子少女に視線を向けた。小さな声で、雛里ちゃん、頑張って、とも聞こえる。

 促された少女は前に出る。

「あ、あの……」

「うん?」

「な、名前を、お、お教えいただけますか?」

「……姓は袁、名を遺、字は伯業。現在、朱右中郎将様の元で、軍候(二六三〇人の部隊・曲の長)をやっている」

 袁遺は、一瞬、名乗るかどうか迷ったが、そうすることにした。

「袁……」

「ん? ああ、一応、三公を排したあの袁家の一族だよ。もっとも、私は領地も持たず、大した力もないけどな」

「…………」

「…………」

 黙ってしまった少女を袁遺は見つめた。その目は無機質で小さな目ではあるが、決して無感情でも、無気力でもない。確かな気力と感情がある目である。

「わ、わたしの……」

「うん……」

「わたしの……わたしは、姓を鳳、名は統、字は士元。真名を雛里と申します。わたしを、袁家の末席にお加えください。お願いしましゅ」

 そう叫ぶように言って、鳳統……雛里は頭を勢い良く下げた。勢いが付きすぎて、被っていた帽子は地面に落ち、髪は乱れた。

 袁遺は、その落ちた帽子を拾い、土埃をはたいて、鳳統の頭に被せなおした。

 冷静にその動作を行ったかのように見えた袁遺であったが、心中は混乱の嵐が起こっていた。

 彼の三国志の知識で、龐統(鳳統)のことは知っている。後世の歴史家がどのような評価を下し、彼の同僚が彼についていかに評したかを知っている。そして、そこから、どれだけ高い能力を持っているかも予想できた。

「…………」

「…………」

 今度は、沈黙する袁遺を鳳統が見つめる形になった。違いは鳳統の目が、袁遺の無機質な目などではなく、泣きそうになっていることだった。

「あ、あの…………」

 そんな様子に、初めに耐えられなくなったのは、鳳統の連れのベレー帽の少女だった。

「ひ、雛里ちゃんは、昨日、あなたに助けられたことが、すごく嬉しかったんです。それに普段はとっても引っ込み思案で、こ、こうやって、自分から、た、頼むようなことは、殆どないんです。だ、だから……」

「……君の名前は?」

「あ、し、失礼しましたっ! わ、私は、諸葛亮、孔明でしゅ」

「……伏龍と鳳雛か」

 今度はそれほど驚かなかった。目の前の現実を受け止めることは袁遺の特技だった。

「水鏡塾の出身かい?」

「は、はい」

 袁遺は、知識人に対して、礼を失していたことを詫びようと、丁寧な態度をとろうとしたが、やめた。それは、このふたりを余計に慌てさせるだけだと思ったからだ。

 袁遺は鳳統にいろいろ聞きたかった。そして、いろいろ伝えなければいけないような気がした。例えば、何故、自分を選んだのか、ということや、自分はあるひとりを例外に他の袁家(特に袁紹、袁術)とは距離を置き、そのふたりほど権力などないということや現在、自分の立場は官軍のたかが軍候(二六三〇人の部隊の長。官秩比六〇〇石)にすぎないことなど、いろいろあったが、袁遺は黙っていることにした。

 それらのことくらい、今までの会話で鳳統は分かっただろうし、例え分からなくても、自分で袁遺を選んだのだから、その責任くらい彼女に取らせようとしたのだった。その責任を放棄する程度のものなら、かえって罪悪感も感じない。

「あなたの臣下の礼、ありがたくお受けします」

 袁遺は彼女の臣下の礼を受けた。

「あ、ありがとうございましゅ」

 鳳統の目からとうとう涙がこぼれた。

 そんな鳳統に諸葛亮は、よかったねー、と言い涙をぬぐった。鳳統は、それに対し、うんうん、と何度も頷いた。諸葛亮が言ったように、あまり自己主張をしない子のようで、慣れないことをして、普段の倍緊張したのだろう。その緊張の糸が切れ、感極まったのだ。

 鳳統が落ち着くと話は自然と諸葛亮のことへとなった。

 彼女はどうやら、幽州に向かうらしい。そこで、劉備という人物に仕官するつもりだった。鳳統をそれに誘ったが、あまり乗り気ではなく、逆に自ら望んだ主を得れてよかったと諸葛亮は言った。

 袁遺は、一瞬、諸葛亮を引き留めようとしたが止めた。士は己を知る者のために死す、という言葉を知っているからだ。彼女は、自分のためには決して死んでくれない。それに()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と相性が良くないかもしれないな、とも思った。

 袁遺と鳳統は諸葛亮を見送った。諸葛亮の背中が見えなくなると袁遺は、自分は現在、官軍の一軍候に過ぎない身であること。故、私的な参謀という形で従軍してもらい。空手形ではあるが、領地を手に入れたら、それ相応な地位を鳳統に約束し、改めて、真名を預かった。

 そんな少し前のことを思い出しながら、袁遺は上官である朱儁の元に向かった。

 朱儁は歴戦の強者であった。

 孝廉という郷挙里選の察挙科目の一つで推挙され、その後、交趾で起きた反乱を鎮圧した武功を買われ、諫議大夫となり、黄巾党の討伐には右中郎将に任命され、各地を転戦している。袁遺は張超によって、その朱儁の元に推挙された。

 朱儁は袁遺の上官に当たり、この官軍の大将でもあった。

 袁遺は、朱儁の陣まで行き、幕僚のひとりに朱儁に取り次ぐよう頼んだ。

 幕僚はそれを快く了承した。袁遺はほとんど待たされることなく、朱儁に会えた。

 朱儁は、袁遺とは違い美男子からは、かけ離れた容姿だった。人より広い額に、戦塵に叩かれた浅黒い肌。ぎょろりとした目。高いと言うより大きいと形容した方が正しい鼻。濃いあごひげ。所謂、鍾馗面である。

 そんな朱儁を見て、袁遺は完璧に礼儀作法にのっとって挨拶をした。

 袁遺は朱儁に死体の焼却がすんだことを告げた。すると、朱儁は、少し歩こうか、と言って袁遺を陣から連れ出した。

 ふたりは、陣中を練り歩いた。

 負傷兵たちの様子を見、善戦した部隊を訪れ、賛辞を呈し、兵たちに手を挙げて答えた。

 そんな朱儁の後ろを、袁遺は文字通り影を踏まぬようについて回った。

「伯業、そういえば、管輅の予言の噂について知っているか?」

 突如、朱儁が言った。

「管輅の予言、というと、乱世を天の御使いがどうとか、というやつですか?」

「おお、それよ」

 朱儁が顔だけを袁遺の方へ向け、言った。どう思う、ということらしい。

「眉唾物でしょう」

 袁遺はバッサリと切り捨てた。

「それに、黄巾党なる賊が暴れまわっているとはいえ、世は乱世などではありませんから」

「ふーーむ」

 朱儁はその髭で覆われた顎を撫で、袁遺の返答を咀嚼した。

 朱儁と袁遺の付き合いは長くはない。だが、共に戦い、酒を酌み交わし、語り合ったため、朱儁はある程度、袁遺の為人をつかんでいた。

 袁遺は、彼の従妹の袁紹、袁術とは違う。そのふたりが暗愚の見本のような者たちであるのに対し、儒教的な教養と素行を兼ね備え、かつ、文武に優れた男であった。しかし、この男の朝廷観というものは恐ろしく歪んでいた。その歪み、かの中華史上初の簒奪者・王莽でも並ぶことのできない奸賊であると同時に、史上いかなる忠臣でさえも称賛せざるえないほど尊んでもいるということだ。

 この二律背反の歪みを身に飲んでいる男に朱儁は不気味さを感じていた。

「だが、わしはそうは思わんぞ」

 朱儁が返した。

「つまり、朱右中郎将におかれましては、世が大乱乱世に見えるわけですか?」

「おお、そうよ。民は黄色の賊と銅臭い政治に苦しみ、喘いでおるわ」

「で、あるならばこそ、世は乱世ではないのです。皮肉にもその青銅の異臭漂うものが乱世ではないと証明しているのです」

 袁遺は何の憚りもなく言った。

 つまり、汚職に塗れていようと皇帝の統治下である以上乱世ではないということだ。

 しかし、不遜な物言いである。上官の意見を真っ向から切り捨て、漢朝をものとまで言った。だが、同時に、漢朝が存在する限り、乱世ではないと言ってみせた。これはつまり、どれほど、朝廷権力が弱まろうが、有名無実となろうが、彼は朝廷に敬意を払い、従い続けると言ったのだ。

 この朝廷をものと思うと同時に敬うといった歪んだ朝廷観である。

 袁遺は、謝罪の礼を取った。

 朱儁は、依然とあごひげを撫でている。

 正直なところで、朱儁は袁遺のことが嫌いではなかった。策を弄すのを好みそうな男ではあるが、どこか竹を割ったような素直さがあり、下の者からも慕われていた。官吏に見えるが、同時に将でもあり、武人でもある。少なくとも口だけの頭でっかちではない。

 だが、どうしても、その朝廷観を肯定してやることはできなかった。

 この当時の武将で十常侍のことを疎ましく思っていない者は少数派だった。そして、目の前の青年はその少数派だったのだ。しかも、十常侍から、何の厚遇もされていないにも関わらずだ。袁遺はここで、十常侍と誰か武将が政変を起こす方が嫌だったのだ。その方が大乱乱世が見えてくるからだ。袁遺は十常侍をある意味で必要としていたのだった。それは、まともな憂国の士ではない。やや安っぽい表現をするなら、本当に朝廷を愛しているものなら、今の宦官が牛耳り、賄賂が横行する朝廷を愛することなどできないはずだ。

「ふん、まあ、天の御使いが、眉唾であるというのは、わしも同意見だな」

 朱儁が鼻を鳴らして、大股で歩みだした。その後ろを先程と同じように、影を踏まぬよう、袁遺は続いた。

 その顔は穏やかなものだった。

 袁遺は朱儁のことを良い上官だと思っていた。

 

 

2 威力偵察部隊

 

 

 相手を探し求める軍隊は、斥候を先行させる。

 その斥候には二種類あり、通常の情報収集に専念する偵察部隊と、いざとなれば一戦を辞さない覚悟と規模を持つ威力偵察部隊である。

 袁遺の部隊は後者であった。

 戦慣れした軍隊は、威力偵察部隊を重んじる。

 敵味方双方が互いに敵を探し求めた場合、斥候同士がぶつかり合い、戦闘が開始される遭遇戦が起きる。

 遭遇戦とは文字通り前進していた自軍と敵軍が遭遇し、戦うことを言う。この戦いは、双方に混乱を発生させ、投入した戦力からは考えられないほど得られる成果が低い。特に互いに情報不明のまま戦闘に陥る不期遭遇戦は、この時代だけではなく、過去未来いかなる時代でもそれを望む指揮官というものは存在したことがない。

 そうなった場合、威力偵察部隊は、その混乱の中から情報を持ち帰ることができる。さらに、敵の足止め。また、敵が脆弱だとわかったら、そのまま、撃破し、前進することができる。

 しかし、威力のない通常の偵察部隊ではそうはいかない。

 何も伝えられぬうちに揉み潰され、何も知らぬまま本隊が戦闘に巻き込まれてしまう。この場合、何もわからないのだから、いかなる努力も功をなさず、行き当たりばったりの戦闘になり、損害だけが増え続ける。

 もちろん、威力偵察部隊だからといって、偵察部隊の本分である、敵に見つからずに、敵を見つける、といったことは、原則的に正しいが、物事は常に本分どおりいかないのである。

 先行させている将は高覧である。彼は元々、袁紹に仕えていたが、冷遇されており、それに目を付けた袁遺が引き抜いてきた。もちろん、袁紹からの非難をかわすため、いろいろと手を打った。さらに、高覧だけではなく、彼が持つ三国志の知識と、ここまで生きてきて培った人を見る目で、これはと思う冷遇された人物は袁紹はもとより、袁術の元からも引き抜いている。袁遺軍の武官筆頭の張郃。賊の懐柔と討伐を一手に引き受ける陳蘭と雷薄。袁遺は彼ら全員から信頼を得ていた。余談であるが、全員男である。

 高覧は能力と経験がある。自分の主である袁遺の任務と自分に求められている役割を承知していた。

 二五人の足が速く、且つ、臆病と言われている者を選び、偵察に出かけた。そういった者の方が、偵察部隊に向いているのである。

 そして、彼は偵察部隊の本分を果たしてきた。そう、見つからずに見つける、である。つまり、敵を見つけてきたのだ。

「西南に砂塵。規模からして一万。賊、目視できず」

 高覧は、見てきたことを簡潔にそして、はっきりと伝えた。遠方に靄が見えたら注意せよ。時代を超えた戦場での鉄則だった。

「ご苦労。少し待て」

 袁遺は高覧を待たせ、雛里の方を振り返った。

「どう見る」

 彼は参謀に尋ねた。

 雛里は考え込んだ。ここで、考えたのは、高覧のもたらした情報だけではなく、彼女の立場についてでもだった。

 雛里は参謀であり、軍師ではない。

 元々、参謀と軍師は同一のものと考えてもよいが、この時代の前後からやや趣が異なってくる。軍師は、参謀であり、政務官であり、外交官であり、監察官であり、ときには部隊を率いる指揮官であるようになってきた。今まで帷幕の中で策を巡らし、千里の外で勝利を決していたのだが、軍師も千里の外に出るようになった。つまり、権力の範囲が拡大したのである。これには名士層の取り込みのためなどの理由もあるが、本筋を脱線するため今は脇に置いておく。ともかく、軍師と参謀は厳密には違うということが言いたい。

そして、雛里の立場は参謀である。

 参謀はありていに言ってしまえば、知性と教養と勇気を兼ね備えた道具に過ぎない。何故なら、参謀に命令権がないからだ。参謀は命じられたときにのみ、発言し、構想に必要な手順の立案と作成ができるだけなのだ。普段の行動は制限される。

 何故、袁遺が雛里をその立場に置いたか? そのことは、すぐに出てくる。何故なら、軍の編成は出立したときに、もう完成しているからだ。それを軍旅の途中でいじることを嫌ったのだ。軍師はその巨大な権限から、三〇〇〇にも満たない部隊には強大過ぎた。この場合、大は小を兼ねる、には当てはまらないのだ。

 彼女は、参謀の立場で意見を述べねばならない難しさに考え込んだのだ。参謀は元々、専門の教育を受けた者がなるものだ。その教育は、兵法だけにはとどまらない。ある種、自身を道具とする教育だろう。使われて初めて、意味を持つものは道具と同じである。

「まず、黄巾党と見て、間違いないと思います」

 雛里が言った。声の小ささは相変わらずだが、前のように吃ことは殆どなくなった。

「西南に砂塵なら、援軍の可能性は殆どないでしょう。この辺りで、援軍に来そうなのは陳留の曹操軍と寿春の袁術軍だけです。曹操軍なら北から袁術軍なら東南から来るはずです」

「うん、なるほど」

「もちろん西南方向に官軍がいないわけではありませんが、そうなると、南陽の秦頡軍ですが、これは、まだ、南陽の黄巾党と戦っているはずです」

「ああ、南陽の周辺の黄巾党を率いていた張曼成を討ち取ったらしいが、新たな指揮官を立て、宛城に篭ったらしい」

「ですので、黄巾党と見て、間違いないはずです」

「うん。高覧。ご苦労。よく見つけてくれた。おかげで不期遭遇戦にならずに済んだ。隊に戻り、戦闘準備」

 袁遺は命令を下した。

「はっ!」

 そして、高覧は速やかに実行に移した。

「どこに、陣を敷く?」

「……あの小高い丘がいいと思います」

 雛里が指したのは、少し離れたところにある高所となった場所であった。あそこなら、少なくとも敵の目視が遅れることはない。

 袁遺はすぐに、伝令を出し、丘の上に陣を敷いた。敷き終わると、張郃がやってきた。彼の立場は、この隊の副隊長にあたる。

 長身の男である。長身ということなら、袁遺もそうであるが、袁遺と違って、張郃は威圧感を感じさせる長身であった。角ばった顔は健康そのもので、達筆家によって書かれたような力強い眉毛が特徴的である。

「伯業様」

 その声は、太かった。それに袁遺は応じた。

「うん、我々はこれより威力偵察に入る。一戦をもってして、敵を量る」

「はっ」

「基本戦術は敵が弓の射程に入ったら、雨霰の如く打ち、それを抜けてきた者を槍で叩くか刺す。こちらは、隊列を崩さないようにする」

「いつも通りですな」

「そうだ、ならば―――」

「礫は集めさせております」

「うん、ならばよし。行け」

「はっ!」

 互いに互いの意図が分かっている会話であった。張郃より武人として強い者はこの大陸には両の指では数えられないほどいるが、実戦部隊の指揮官、野戦指揮官としては、袁遺という男の元で戦場をかけたことにより、大陸で五指に入る実力者になっていた。袁遺は、儒教的教養を兼ね備え、その人格と品格で推挙された人物だが、こと戦争行動においては、この時代でこの惑星上、最も実際的な者であった。そんな男に仕えるということは、戦場において、その一挙手一投足、全てが試されていると言って過言ではなかった。

 そんな中で張郃が最も学んだことは『人無遠慮 必有近憂(人遠慮なければ、必ず近憂あり)』であった。孔子の言葉であり、意味は、遠い将来のことを思慮に入れて、思いめぐらす、である。そう言った思考は、指揮官には必須ともいえる思考である。

 張郃は、前線に戻りつつ、主人の横にいる少女のことを考えた。

 主である袁遺の女の好みは知らないが、良くも悪くも戦場に愛妾を連れてくるような男ではない。であるならば、あの少女を連れているのは、彼女が役に立つからだろう。少女―――鳳統もまた、自分たちのように袁遺という男から何かを学び、何かを考えさせられるのだろうか。そして、何かに変わり、何かを変えるのだろうか? いや、変わらないかもしれない。この軍旅には従軍していないあの男のように……

 そんなことを考える張郃の背中を袁遺と雛里は見送った。見えなくなると、袁遺は視線を変え、何かを見つけたようにつぶやいた。

「ああ、砂塵が見えた」

袁遺が西南の方向を見つめた。

彼の視線の先には、土煙が入道雲のように立ち込めていた。

「一万はありそうだ。高覧の見立て通りだな。伝令を出せ。敵の規模は約一万。騎馬はなし。交戦に入る」

 袁遺は本隊に一二人の伝令を送った。ひとりしか送らず、それが途中で途絶えた場合、悲惨な目に合うからだ。

 戦力比は約一対五。厳しい状況であるが、声には焦りはない。兵が劣勢のもとでも焦りを表に出さない指揮官を信頼の対象とすることを知っているからである。それに、自分たちの任務が威力偵察であり、別に相手を殲滅しなくてよい。ならば、隊列を崩されない限り、一瞬で揉み潰されることは、たとえ、戦力比一対五でも余程のことがない限りない。

 黄色の旗と『蒼天已死(蒼天すでに死す) 黄天當立(黄天まさに立つべし) 歲在甲子(歲は甲子にあり) 天下大吉(天下大吉なり)』の文字が見えた。黄巾党のシンボルカラーとスローガンである。

 砂塵がいっそう大きくなったように見えた。

「向こうもこちらを気付いたらしいな」

 袁遺は誰にともなく言った。

「弓兵は打方用意」

 袁遺が命令を下すと、復唱が起きる。

 黄巾党は袁遺の部隊に一直線に向かって来る。まるで獣の群れのようであった。その獣たちが射程距離に入ると、袁遺は号令を下した。

「斉射」

 静かな、しかし、確実に殺意という感情が込められた声だった。その声と同時に、太鼓が乱打され、命令が全隊に伝えられる。そして、風切り音と共に矢が高々と舞った。

 面制圧射撃を受けた黄巾党は多数の死者をだし、その突撃の勢いが消失した。勢いがない状態で、丘の斜面を登り、黄巾党は槍衾の前に次々と刺殺されていく。

 袁遺の敷いた陣形は、正面に槍兵の部隊を置き、その両脇を弓兵と槍兵の混成部隊で固めたものだ。弓兵の射撃で徹底的に相手の勢いを削ぎ、それを槍兵で刺殺(もしくは撲殺)する。集めた礫は騎馬が相手だった場合、馬や乗り手に投げる。それだけでも、落馬を誘発できるからだ。

 部隊は戦闘正面を徹底的に限定し、防御的な戦闘に徹している。

 袁遺はひとりでも多くの将兵を生き残らせようとしていた。

 それは人道的な見地からではない。戦場では兵士は常に不足がちな消耗品である。それに袁遺にとって、後に黄巾党の乱と呼ばれるようになったこの農民反乱は、将たちの試金石だった。後世において将校といわれる地位についている連中と後世で下士官と呼ばれる地位の連中の育成だった。彼らの能力が高ければ高いほど、柔軟な部隊の運用が可能になるからだ

 袁遺は不思議な現象を味わっていた。

 鋼の音色、肉を斬る音、苦痛の呻き、断末魔―――戦場に溢れているだろう音が遠くの喧騒の様に聞こえる。静寂の中にいるような錯覚を起こしていた。

 兵士に戦場とは何か? と聞くと、「孤独と静寂」であると返ってくるのが殆どだという。戦場ではある種の緊張状態により、爆発音も戦友の断末魔も聞こえなくなることがあり、そして、それは階級が上がれば上がるほど、強くなる。当たり前のことだった。階級が上がれば、必然的に同じ地位の人間が減り、最終的にひとりになるのだから、孤独を感じぜぬにはいられない。

 袁遺は、隣で青くなっている雛里を見た。

 戦場に立つのが初めてなのだろう。幼い彼女もまた、この孤独と静寂を味わっているのだろうか?

 袁遺は雛里の手を取ろうとした。孤独を忘れさせてあげたかった。

 だが、やめた。

 彼女が軍師を希望していたからだ。ならば、今、彼のやろうとしたことが、ただ、彼女を甘やかすだけだと感じたからだ。軍師を志すなら、他者から人面獣心とまで蔑まれるまでにならなければいけない。それが政戦両方に大きな権力を持つ軍師の、ある意味、対価といえた。

 彼女にも試金石を用意しなければいけないな。

 袁遺はそう思った。

 袁遺は、その試金石を考えた。こと戦術に関しては、彼女は金剛石の原石のような才である。金剛石を磨き上げるには、同等の硬さを以て磨き上げるしかない。世界で最も硬い鉱石を磨き上げられるものを袁遺は探した。この無理難題に思えることの答えは、意外にすぐ見つかった。

 なんだ、俺がいるじゃないか、未来の戦術を知る俺が彼女を磨き上げるか。

 ある種の自惚れを感じる結論であったが、現実としてこれ以上、最適な試金石はいなかった。

 こんなことを袁遺が考えられたのは戦況が膠着したからだった。

 こうなった場合、指揮官は隊の士気を下げないようにしなければならない。そのために、袁遺がとった行動は、兵に自身が全く動揺していないことを見せつけることだった。戦況が膠着した途端、指揮官が、顔色を変え、おろおろし始めたら、兵は不安に思う。しかし、指揮官が落ち着いていれば、兵も自然と落ち着く。つまり、袁遺に求められていることは、鷹揚に構えていることだった。

 それは袁遺にとって、苦痛ではなかった。

 もともと、どこか達観した部分も持っていたし、本隊を指揮しているのが信頼に値する人物だったからである。

「伯業様!」

 雛里が、袁遺の袖を掴んだ。

 袁遺が雛里を見ると、彼女は自分たちの後方を指していた。

 土煙が見える。

「本隊か」

 朱儁が期待に応えたのであった。

 本隊の先鋒が無防備になった黄巾党の横腹に突っ込んだ。それに続いて、二隊が突っ込む。ただし、先に突っ込んだ隊と違いやや右方向へ。もう片方がやや左方向へ。上空から見ると、まるで黄色の扇が開いていくように見える。見事な敵陣突破と突破口拡張の戦術運動である。

 黄巾党のあってないような隊列は崩れた。そこへ官軍の騎兵が突撃する。それで終わりだった。兵を兵足らしめるのは集団ということであり、それは隊列だった。隊列が崩れると兵は集団から個人へと変わる。集団で最も大切なものは命令だが、個人で最も大切なものは命である。集団で無くなった彼らは命を守るために、逃走し始めた。

 戦闘はあっけなく終結した。

 袁遺は、朱儁に敵の死体を焼くことを進言した。

 儒教において火葬は禁忌である。それを進言したことは袁遺の風聞を悪くする恐れがあったが、疫病の可能性を考えると躊躇はなかった。

 軍人としてある種の実際性を持つ朱儁は、それを許可した。彼は経験的に戦場で疫病が流行することがどれだけ恐ろしいことか理解していた。黄巾党討伐の前の任務が南方の交趾の反乱の鎮圧だったのが、その理解を深いものにしていた。この時代、南は疫病の宝庫である。

 反対する者には、漢朝に逆らうことへの見せしめとして行っていると言って袁遺を庇う約束もした。

 本当は味方の死体も焼きたかったが、それは進言せず、埋めることにした。

 袁遺は、その指揮を承った。

 死体に矢が刺さっていれば、それを抜き、使えるようなら集めさせた。防具を脱がせ、服を剥ぎ、一か所に死体を集めさせる。魚油をかけ、火をつけた。

 火をつけたのは袁遺自身だった。

 炎はすぐ燃え上がり、辺りに悪臭が立ち込めた。

 燃え上がる瞬間、袁遺の目に映った死体の顔がとても清らかなものに見えた。死体から服を剥いでいるときは悪鬼のように目を見開いているものから、苦痛と恐怖に歪んだもの、呆気にとられたものなど様々な死に顔があったが、今は全てが清らかな死に顔に見える。

 袁遺は彼らの冥福を祈った。

 

 

 そして、周りから距離を置き、ひとり、炎の爆ぜる音とくぐもった奇妙な音を聞いていた。

 




補足

・袁遺
 袁紹・袁術の従兄とされる人物。袁術の兄という説もある。
 張超にその人格と才能を絶賛され、朱儁に推挙される。
 曰く、世間に冠絶した美徳と時代を動かす器量を持ち、その誠実さ、邪念のない心は、まことに天が与えたもの。書を網羅し百家を総合し、高所に上ってはよく詩を作り、特に物事を識別しその名を知るという点においては当世に匹敵する者はいない。
 つまり、誠実で器が大きくて勉強家で賦を作るのが上手くて物知りで、特にその知識は現代で最高のものだ、て感じで誉められた。
 まあ、部下に裏切られて殺されるけど。
 曹丕も自身の書物で、父の曹操は、大人になっても勉強する努力家は俺と袁伯業くらいだ、と言っていたと書き残している。
 まあ、反董卓連合のとき、戦わずに酒ばっか飲んでて曹操にガチギレされるけど。

・張超
 袁遺を朱儁に推挙した人。張邈の弟で広陵の太守である張超とは同姓同名の別人。

・人無遠慮 必有近憂
 論語の一説。遠い将来のことをよく考えておかないと、近いうちに災いがあるよ、という意味。

・兵に自身が全く動揺していないことを見せつけることだった
 「士官たる者、死にそうなほどに空腹でも、そのような素振りを見せてはいけない。食事は最後にとること。寒さや暑さでへばりそうなときも、そのような素振りを見せてはならない。怖くてしかたがないときも、そのような素振りを見せてはならない。士官はリーダーであり、兵は士官と同じ感情を抱くからだ」―――湾岸戦争時のアメリカ軍統合参謀本部議長が陸軍兵学校で叩きこまれたこと。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。