女子高生はケーラ・スゥ?   作:くとろあ

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 教えて欲しい事が在る。この世界の責は、罪は一体誰に在るのだろう。

 

 ……機動戦士ガンダムの世界、宇宙世紀は私の所より人口が何十倍と膨れ上がった世界だ。

 

 度重なる人口爆発に耐え切れなくなった地球は何時しか限りある者たちだけの土地となり、そして人の住処は否定と不安を孕みながらも宇宙まで広がった。

 

 だけれども、裕福な者を地球に、そして弱い者だけを宇宙に押し込んだ結果、地球と宇宙との確執が生まれる。

 

 更に地球は宇宙の拠点、コロニーに対して杜撰な政治しかせず、抑圧された民たちは何時しか団結し、連邦はジオン公国の設立を許してしまった。

 

 そしてこれから先数百年憎しみの連鎖が起こるわけだが……さて、ここで問題だ。この状況、この世界の責は誰に在るのだろう。

 

 やはり地球か? それともコロニーを好き放題にした政治家? 言い過ぎてジオンを拠り所にした貧しい人々?

 

 ……違う。

 

 全部だ。全てが、腐った地球側も、怒りの矛先を自らと同じ人に擦り付けた宇宙も、つまり私達人間が悪い。

 

 ……ならばまずは、一番腐っている地球から人間を排除して、強制的に皆を貧しさを知る宇宙側にしてしまおう。

 

 ……これですべてが平等だ。

 

「……うーん、超大雑把にシャア・アズナブルの話もほんの少しは解るんだよなぁ……」

 

 ぷかぷかと、ちょっと前まで牢獄の様に扱っていたケーラ・スゥの部屋で私は図々しくもファスナー付きベットの上に転がりこれからの立ち回りを考えていた。

 

 ……話を戻そう。シャア・アズナブルの理想と言うのはひと先ずは全人類を宇宙に昇らせることだ。

 

「ただ、そのために死んじゃう人が多すぎて、話が宇宙側から見た都合過ぎて、賛同は絶対に出来ないなぁ……」

 

 服はしっかりと着て、部屋に転がっていた何故だか使い方を知っている端末に、これまた何故だが知っているコードを受け口に刺して、またまた何故だか読めてしまう文字を読み、ごろごろと情報収集をしていた。

 

 果たして、こんなにゆっくり動いていていいのだろうか? ふと自分ですら疑問に思う。

 

「でもこんな話を支持する人が多くいる程、地球に不満を持ってる人がいるのかぁ……」

 

 同じ人間同士が互いを不幸になってほしいと思いあう世界、それは非常に悲しい事で、あってはいけない事だ。政治や勉学に疎い私でもそのくらいは考える。

 

「私はシャア・アズナブルの主張は理解できないなぁ」

 

 ……その結論は自分が裕福な者だから出来るとても幸せな考え方だと、私は後になって気付いたのだった。

 

 ……一区切りついて自分の置かれた状況の話に戻ってくる。ひとまずの謎はこうだ。

 

 この世界はガンダムの、宇宙世紀の物語、私は何故この世界に割り込まされたのか?

 

 そして私は恐らくケーラ・スゥという存在を、言うなれば「上書き」したかのようにこの世界に現れた謎の物体。一体何がどうなっているのか他の人には元のケーラに見えて、認識されている。それはいいとしてそもそも元のケーラさんはどうなったのか?

 

 アニメの世界に入った事は一番の突っ込みどころだけど、たぶん私の世界のプログラムされた新体感ゲームなどではない事は確かだ。それは私の世界では到底実現不可能なMSという物を間近で見て触ったのだから言える。

 

「……むしろゲームだったら死んじゃっても現実に戻れるからいいのかな?」

 

 溜息をまた吐いて、この話は一時置いておく。今はこの世界を現実と捉えて一生懸命生きるのが確かだと私はそう感じた。

 

 話を戻そう、そして私と同じくらい謎な物体が一つある。

 

「……何だろう。この金属の……切れ端?」

 

 そして一番謎な言葉をしゃべる金属の切れ端、今は喋らないが、あの時助言をしてくれたので一応の味方と思う事にはしておこう。

 

「サイコフレーム……だよね、チェーンさんが持ってた」

 

 伝説のエース、アムロ・レイが最後に思いを馳せた恋人チェーン・アギ。私の手の中にあるそれは、そのチェーンさんが持っていた試作のサイコフレームの切れ端に寸分の違いもない。

 

 このサイコフレームが登場するのは物語の中盤頃だし今現在、この船には存在しないものだ。最後にみんなの想いを乗せて隕石を押し返したこの逆シャアのキーアイテムでもある。

 

「なんでこんなものが今私の手にあるのだろう。」

 

 ……考える事が多すぎる。とりあえず悪いものではないみたいだしこのサイコフレームは携帯しておく事にしよう。

 

 今できる結論をまとめて私は寝そべりあの声を思い出す。

 

「アムロ・レイ……カッコいい声だったなぁ……」

 

 思い出したはいいが、先ほどその人の初対面が最悪だったことに気付き頭を抱え、瞬時に頭の中の話題を変える。コロコロコロコロ話題を変えてまるで私は坂から転げ落ちるおにぎりの様だ。

 

「……ファスナーが付いているベット……か。私のところに居た時はまさかこういったものに寝そべるとはおもってなかったなぁ」

 

 結局、他の所に気を取られる。が、それは悪くない兆候だった。

 

 無重力下で寝る場合はどうしても普通のベットだと、航海の途中により布団や体があちらこちらに漂ってしまうために、こういう風に掛布団とベットが一体化していて掛ける方の真ん中にファスナーが付いている。ごちゃごちゃして使いにくそうという感想を持つ人も居るだろうが、こういったものは地味に命綱なのだ。

 

 宇宙において、捕まるものがない状態で躓きでもしたらそれは惨事なのだ。偶々運悪く誰も居ないMSデッキで体勢を崩し、ぐるぐると脳に血が周って気絶、そのまま無様に死ぬまで踊り続けたりした恐ろしい事件もある。なのでこういう物は野暮ったいからと言っても決して馬鹿にしてはいけないのだ。

 

(……アストナージさんはこういう豆知識も交えて心配しつつ私の興味を引いて教えてくれる。やっぱり良い人だ) 

 

(この世界の人々は私達と変わらない、暖かい人たちだ。私はその人たちの悲しい顔を、血を吐く様を見たくない)

 

「……だから、私は……ケーラ・スゥに、この世界の一員になって……いいのかな?」 

 

 ……そう悩んでいる私は、これから起こる事の重大な未来に目を向けようとしない。この世界を舐め切っていたのだ。自分の命一つで済むのならラーカイラムの船員の為犠牲にもなろう。と、その「程度」しか考えていなかったのである。

 

 ……これから起こる、5thをめぐる戦いにすら目を向けずに。

 

 

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