この女神の居ない世界に祝福を   作:名代

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一章
プロローグ


気がつくと、見た事の無い部屋に設置されていた椅子に座らされていた。

周りを確認すると、正面に見た事の無い水色の髪と瞳をした少女が俺に相対する形で座っていた。

 

「突然ですが、佐藤和真さん貴方は死んでしまいました」

 

彼女は開口早々にザックリと訳が分からない事を言った。

俺が死んだって?何言ってんだコイツは。

 

「はあ、そうですか…で如何やったら帰れますかね…」

 

取り敢えず帰える方法を確認するが、彼女は呆れた様な表情をしたかと思えば次に面倒臭そうな表情に変わる。

 

「はあ、混乱して自分が死んだ事を理解していない様ね。貴方には死んだ記憶がある筈です、よく思い出してください」

 

彼女の丁寧な口調が段々と剥がれていき、本来の喋り方なのだろうかそれが現れていく。

確かに言われれば死んだ記憶がある。しかも凄く恥ずかしい死に方だ。

マジか…トラクターに轢かれかけた少女を助けて病院で医療ミスで死ぬとか人生の汚点じゃねえかよ。

頭を抱えて項垂れている俺見て満足したのか、彼女が再び話を再開する。

 

「それで死んだ貴方には選択肢があります。まず天国に行くか、それとも赤ちゃんからやり直すか。もちろん赤ちゃんからやり直す際には記憶をすべて消させてもらいますが」

 

成る程、ありきたりというかそこら辺はファンタジーみたいなものと一緒なのか。

 

「まあでも、天国と言っても肉体がないから何も出来ないし、やり直したらその時点で貴方という存在は消えてなくなるわ」

 

堅苦しい説明は終わりと言った感じで、彼女の丁寧な口調は砕けていき見え隠れしていた本来の形であろう本性が見えて来る。

 

「だけどそんな貴方に第三の選択肢をあげます」

 

おや?

如何やらもう一つあるらしい。

 

「貴方ゲームは好きでしょう?だったら他の世界に転生させるって言うのがあるんだけど、それはどうかしら正直悪い話では無いと思うわよ」

 

マジか、死ぬ前に流行っていた異世界転生系が俺に回って来るなんて夢にも思わなんだ。

 

「でも言語とか如何なるんですかね…いきなり他の世界に行って話が通じないとかそう言うのは流石に嫌ですね…」

 

椅子から乗り上げる体勢の俺の反応を見て、好感触と見たのか話を続ける。

 

「それについては安心して頂戴。あっちの世界に送られる際に頭に情報がダウンロードされるわ、偶に後遺症でクルクルパーになるらしいけど貴方なら大丈夫よ‼︎」

「おいコラ、ちょっと待て。今クルクルパーになるとか言わなかったか?」

 

さりげなくとんでもない事を言う彼女をとっちめるが、強引に話を進められ遮られる。

 

「あと、あっちの世界にはそっちの世界で言うモンスターなる物がいるわ。いきなり貴方みたいな貧弱もやしを送りつけるのはあれだから、何か一つ特典をあげるからこの中から選びなさい」

 

バサッと俺の前に紙の束を投げられる。なんだコイツは随分とガサツだな、と思いながら紙束を拾い上げ中身を確認する。

内容はまさにチートと言った感じで、ドラゴンナイト職や聖剣など様々な反則級な物が描かれている。

異世界転生したらこれが命綱になる訳なので、じっくり眺めデメリットがないか慎重に考え何度も眺める。

 

 

 

 

「ね〜え早くして頂戴。貴方の後残り少しのひとを送ればノルマ達成の報酬でバカンスに行けるから早くして頂戴〜。大体あんたみたいな引きこもりもやしに期待なんかしてないんだから何選んでも同じよ」

 

暫く考えていると、我慢の限界なのか彼女が退屈そうに髪の毛を弄り始める。

何だノルマって…俺達の命ってこんなに簡単に扱われる物なの?もっと大事にしてほしんだが。

ってかバカンスって…女神にも休暇とかあるのかよ。

選択を焦らせる彼女を尻目にじっくりと考えるが、最早迷いすぎて何が良くて何が悪いのか分からなくなって来る。レビューを見てみたいとこだがあの女神が一から説明するとは思えない。

 

「じゃあこれで良いか…」

 

どれを取っても反則級なのは変わらないので、裏返して適当な物を引く。

 

「ようやく決めた様ね、じゃあ魔法陣出すからそこから動かないでね」

 

呆れた様に彼女は立ち上がると何やらブツブツと唱え始め、俺の直下に魔法陣が引かれた。

何これカッコイイ。

そんな事を考えているうちに俺は異世界に飛ばされた。

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