少し余裕がなくて投稿できませんでした…
一応リハビリみたいな事はしましたが文章が変でしたらお許しくださいm(_ _)m
あるえを小屋に残し、俺は彼女に託されたリアカーに2人を乗せて停留場へと向かう。
あの隠し通路の行き先は一体何処に繋がっているのかと思っていたが、どうやら魔王城の近くらしく行商人の姿や他の冒険者の姿が見える事はなかった。
失っていた感知スキルの精度は今更ではあるが回復し、周囲のモンスターの気配を探るとそれなりに危険度が高い事が伺える。
「…」
道を進んでいると後方で花火の様な爆発音が鳴り響き、それに反応してか周囲の動物が何かに怯えるようにそこから離れている。
多分あるえが追い付いてきたあいつらと戦闘を始めたのだろう。
一番近い人間の気配はそう遠くない事から停留場の場所が近いことが分かるが、それまでに奴らに追いつかれてしまうとあるえの犠牲が無駄になってしまう。
疲れている2人を起こさない様に細心の注意を払いながら肉体を強化し停留場へと向かう。
停留所に着くと血まみれになっている俺たちの事を見てギョッとされたが、場所が場所なので皆何かを察したのか何も言わずに手続きが進んでいき俺達は無事砦行きの馬車に乗ることができた。
「…」
「…」
「…」
そして馬車に乗る際にどうしても起こさなくてはいけないので起こすと、2人は俺の無事を喜び、そのまま馬車の席で座って静かにしている。
そして2人ともあるえの事を俺に聞く事はなかった。
ゆんゆんは馬車に設置された窓から遠くの景色を眺め、めぐみんはこめっこの眼が入ったシリンダーを眺めている。
そして俺は左眼をさすりながら馴染むのを早めている。
ねりまきの左眼、あるえ曰く問題はないとは言われているが、元の世界では何の検査もなしに移植すると殆どの確率で拒絶反応が起こると聞いている為、光を取り戻すまでは気が気でない。
バルターは紅魔族の眼を使ってコロナタイトを作るつもりだろうが、果たしてそんな物を作って一体何をしようと言うのだろうか?
デストロイヤーは王都の連中らが回収しているのを前に見たが、今更それに動力を入れて動く様にして魔王城を破壊しようとかそんな正義感溢れる計画を立てていたりしていたら楽なのだが、だとしたら紅魔族全員を狩り殺す必要は無いだろう。
「それで、これから何処に行くんですか?」
そうしてしばらく時間が経ち、日が真上に登ったあたりでゆんゆんが口を開く。
「あるえと相談したんだが、これから砦に行こうと思う」
「砦ですか?」
「ああ、あそこなら王都に対抗出来る戦力があると思うから、少し分けてもらえる様に交渉してみようかと思う」
「そうですか…」
「悪いな、出来ればアクセルでしばらく落ち着きたいけど今の俺達には帰る場所が…いや、今の俺達は進むしかないんだよ」
正直こんなメンタルで王都の事をどうにかする程の余裕は無いので全てのタスクを一度静止し、各々の療養の為に時間を取りたいのだがやつらにアクセルを押さえられている以上俺達は進み続ける以外の選択肢は存在しないのだ。
「魔王軍との戦闘が一番苛烈な砦の戦力をわざわざ私達のために貸して頂けるかどうか分かりませんよ」
「めぐみん…」
「まあ、それもそうだよな。けどやって見ない事には分からないだろ?」
めぐみんに言われた様に向こうはこの国の一番の戦力が集まる場所であるが反対に相手の戦力も集まる場所でもある、その様な場所にいきなり現れて協力してくれませんかとは流石に行かないだろうが、何事もやって見ない事は分からない。
それに砦には俺と同じチート持ちがゴロゴロいるそうだ。
基本的にチートを貰った日本人は皆アクセルで肩慣らしをした後に色々巡り最終的にこの砦に辿り着くという。
俺の既知しているチート持ちはミツルギしかいないためパッとしないが、全員集まっているのであればその沢山の中に総力戦に向いている奴が居るはずで、そいつの協力さえあれば問題ないだろう。
相手は同じ日本人達。同じ出身者同士気が合えば良いが、もし気が合わずに交渉になった際に日本人の知恵というアドバンテージは使えない。
不安が不安を呼ぶが、ここで何も得られなければこのままアクセルへと戻りダクネスと敵対しなくてはいけなくなってしまう。
出来れば彼女がアクセルに居る間に全てを終わらせたい。
「私はあまり乗り気ではありませんが、カズマについて行きますよ」
「ああ、悪いな」
「わ、私もカズマさんについて行きますよ!」
「ああ、ありがとう」
皆、投げやりに聞こえるが此処でウジウジしているよりかは何か目標を持って行動に取り組んでいた方が精神衛生的には良いのかもしれない。
「ほらついたぞ」
そんなこんなで気づけば目的地に着いたので2人と共に馬車を降りて砦へと向かう。
砦は城壁に囲まれており、ゲームで言えば如何にも物語の終盤になった様な雰囲気を醸し出している。
「コラ、お前達みたいな子供がこんな所に何の様だ‼︎」
停留所から少し離れていたので仕方無く歩いていくといかにもと言った門があり、そこを潜ろうとした際に門番の様なおっさんに止められる。
そう言えばアクセルの外に出る際にはクリスだったりダクネスが居たので指摘される事は無かったが、俺達だけだと子供がふざけてきた様にしか見えないのだろう。
「すいません、俺たち冒険者なんです」
「へぇ、でも君達まだ始めたばかりでしょう?ここまで来れた事は素直に凄いと思うけど、ここから先は君達には危険だから大人しく戻りなさい」
「…はぁ」
冒険者と言っても年齢制限が低い為、それが自身の身分を証明してくれる訳ではない様だ。
「これを見てもらえますかね」
「冒険者カードを見せられてもね…って嘘だろ⁉︎こんな子供がこのレベル⁉︎偽物…じゃないよな」
ここでシンフォニア家の紋章を見せても良かったんだが、それであいつにこの場所が見つかってしまう危険があるので今回は仕方なく自身の冒険者カードを見せる事で納得してもらうことにした。
俺の冒険者カードには魔王軍幹部の討伐履歴が記載されている為、前線に参加する条件を満たしている筈である。
「し、失礼しました。今すぐ部屋を割り当てますので」
「ああ、すいませんね。後俺の名前は誰にも言わない様に頼むよ」
「え?あ、はい分かりました」
俺のカードを確認した門番は血相を変えたように建物の中へ入っていったと思ったら案内人を連れて再び現れて俺達を中へと案内する。
砦の中は昔の建物を増築したような感じで奥に行けば行くほど施設が古くなったり新しくなったりを繰り返している。
「部屋は2人が相部屋で俺が個室か」
「そう見たいですね、私は別に3人同じ部屋でも大丈夫ですが…」
どうやら砦は出来るだけ消費エネルギーを抑える為に一つのパーティーに対して男女一部屋の計二部屋のみ与えられるそうだ。
内装は何処かの地下闘技場よりも良くて何処かの族長の部屋と比べると大分劣っている。
「それでは私達は部屋の確認と荷物の整理をしますので、何かありましたらノックして下さい」
部屋の前に案内され自分の与えられた部屋を覗き、自分だけ1人部屋はなんだか悪いなと罪悪感を抱いているとめぐみんが後ろから声をかけてくる。
「あいよ」
彼女の言葉に適当に返事を返し部屋の中に入る。
しばらくしたら案内人がこの施設を案内してくれるらしく、それまでは自由時間となっていのでベッドに寝転びながら緊張を解き少し気を休める。
流石の奴らも日本人の集まっているここまで追ってくる事はないだろう。
だが、奴らの狙いは日本人の持つチートアイテムである以上そう遠くない未来に日本人狩りが始まる事は避けられない為、ここにいる奴らと話す機会があれば教えておかないとまずい事になりそうだ。
「カズマさーん!案内の人が来ましたので出てきて下さい」
「はーい、ただいま!」
ゆんゆんに呼ばれ部屋の外に出て案内人に案内されるがまま施設の説明を詳しく受ける。
トイレの位置浴場の男女の交代の時間など、まるで軍隊の訓練場だなと思わずにはいられなかったが、前線である事を考えればむしろ贅沢では無いのかと思えた。
「へーやっぱりすごい事になってんな」
窓から外を眺めると、今高い階にいるので周囲の景色が見えるが地面の彼方此方に激戦の後なのか爆心地のようなクレーターが出来ていた。
「あれは…」
「どうしためぐみん?爆裂魔法使いとして何か感じるものでもあるのか?」
「いえ、なんでもありません、ほら次に行きますよ」
彼女もクレーターを見て何かを感じたのか視線を固定して何かを言いかけていたが、追求するとまるで何も無かったかのようにはぐらかした。
「カズマさん…めぐみんは昔誰かに爆裂魔法を見せて貰った人が居るんです」
「へーそれじゃあここにその人が居るってことか?」
「そこまでは分かりませんが…でも爆裂魔法を使う人なんてそういませんからね」
めぐみんが先に進んでいくと後ろからゆんゆんがめぐみんに聞こえないように配慮してか耳打ちするように説明してくれる。
「…なるほど、めぐみんの爆裂魔法の師となればめぐみん以上にヤバいやつかもしれないから注意が必要だな」
「…何を言ってるんですかまったく」
最近悲しいことばかり続いているのでここらで一度彼女の気分転換になってくれればいいなと、その爆裂魔法使いに期待を寄せながら俺たちはめぐみんの後をついていく。
「ゆんゆんには師匠とか居ないのか?」
「居ないですね…」
「…だよな、ごめん」
「謝らないでください‼︎」
質問を間違えたと心の中で反省しながら本当にいても紅魔族の生き残りは2人しかおらず多分亡くなっているので、ある意味彼女がボッチでよかったと不謹慎にも安心する。
「あー疲れた‼︎」
意外にも平和だった前線を見て今まで張り詰めていた緊張の糸が切れたのか、溜まっていたであろう疲れがどっと体の奥から湧き出してきた。
「痛っ」
そして今まで忘れていた眼の痛みが復活したのか疼き始め思わず手で押さえる。
人は痛みよりも触られた感覚のほうが強く感じるため痛みを感じた時は手で押さえるといいと聞くが、激痛を前にそんな知識はあまり役に立たなかったのか今なお俺の目は拍動痛を与えてくる。
出来れば回復魔法でチャッチャと治したいところだが、この目に回復魔法を掛けると拒絶反応が現れてしまい俺との繋がりが断たれてしまうので自分の自然回復力のみで治し自分の肉体だと認識するのを待たなければいけないらしい。
…仕方ない。
ベッドの上でのたうち回ってもしょうがないので外の空気を吸いに景色のいいであろう展望デッキに向かう。
「めぐみんも居たのか」
デッキに上がるとすでに先客がおり、その独特のシルエットからめぐみんだと推測し声をかける。
「何だカズマですか…驚かせないでくださいよ」
めぐみんはビクッと体を震え上がらせながら後ろを向き、話かけた人間が俺であった事に安堵したのかほっとした様にそう言った。
「何やってんだこんな時間に?」
「こんな時間ってまだ日も沈んでいないですよ。まあ、そうですね何かをするつもりではありませんでしたがこの子に夕日でも見せてあげようかと思いましてね」
「…ああ、そうだな」
彼女に近づくとデッキの手すりにこめっこのものと思われる眼の入ったシリンダーが置かれ、その瞳は景色のメインである夕日を写していた。
「それでその眼の調子はどうですか?」
「ああ、それな。特に問題はないよ」
気づかせない様にはしていたが勘の鋭い彼女はやっぱり気づいていたようで、俺が眼の痛みを誤魔化すためにここに来た事を見抜いていた様だが、これ以上彼女達に余計なストレスを掛けない様に何も無かった事を装う。
「まったくかずまは嘘が下手ですね、視線を動かすタイミングで少し体が痛みで反応していましたよ」
「マジかよ…上手く隠せてると思ったんだけどな」
「ゆんゆんは騙せても私は騙せませんよ」
どうやらバレていた様で彼女は少し呆れながらそれを指摘する。
「俺は何とかなるからいいんだよ、それでお前達は大丈夫なのか?」
「私もゆんゆんも問題はありませんよ、まあ肉体に限定した話ではありますが」
「そうだよな…」
結局紅魔の里で起きた事件は俺たちの中で癒える事はなく、一生心の傷として残っていくのだろう。
「暗い話はもう終わりです。それでこれからどうするつもりなのですか?」
「ああ、そうだったな。とりあえず手当たり次第声をかけて協力をしてくれる人を探す感じかな」
「はぁ…何を言っているのでしょうかこの男は…いいですか?ここは最前線なんですよ、今尚魔王軍の幹部と戦い続けている状況で今のカズマを取り囲んでいる状況をひっくり返せる戦力が集まるわけがないじゃないですか‼︎」
「確かにな、いきなり戦力を引っ張ったらここが陥落しちまうからな」
「そうでしょうとも」
適当に何とかなるだろうと思っていたが、そこを彼女につかれ何も返せなくなってしまう。
「まずはここに集まっている敵対戦力を減らさないとな」
魔王軍幹部も残り4人になり各地の魔物の管理などを考えればこの前線に配置出来ても1人くらいだろう。ならばここの幹部さえ落として仕舞えば残りの幹部が兼任でここを扱わなくてはいけなくなり、しばらくの間はこちらの戦力を分けて貰っても大丈夫な状況になるだろう。
「そうです、私達の力があればきっと何とかなりますよ」
「…そうだな」
いつもの彼女であれば絶対なんとかなると言うはずなのに、それをきっとと言うのは紅魔の里を守れなかった事を引きずっているのだろうと思うと少し…いやこれ以上考えるのはやめよう。
「あれ?やっぱりその姿は佐藤じゃないか‼︎」
「お前は…マツラギ‼︎」
「ミツルギだ‼︎いい加減僕の名前を忘れるのはやめてくれ‼︎」
具体的どうするかを考え始めたところでいつぞやのソードマスターが現れ声をかけてきた。
「まさか君がここに来るとは思ってもいなかったが一体何しにきたんだ?」
来て早々喧嘩を売ってきたのでボコボコにしてやろうかと思ったが、いつもの取り巻きが居ない事から見知らぬ地で一人ぼっちになって心細いのかと考えると不思議と怒りが引いていった。
「そうだ、ちょうどよかったお前に聞きたかった事があったんだよ」
「何かいやそうな気がするが…いいだろう」
「今ここで戦っている幹部ってなんて奴なんだ?」
気軽に話しかけられる日本人はこいつくらいしか居ないのでこいつから話を聞き出し、あわよくば他の日本人を紹介して貰うのもいいだろう。
「幹部の名前かい?名前は確か邪神ウォルバクで魔法を得意としているんだ」
「何か曖昧だな?まだ誰も姿を見ていないのか?」
今まで戦ってきた幹部みたく武闘派ではなく知性で部下を上手く運用し連携を使って戦うタイプも居るだろうなとは思っていたが、今回の的であるウォルバクがその知将なのかもしれない。
であればミツルギも姿や特徴を知らなくても不思議ではないだろう、何せ知将が前に出たら狩られて終了になるからな。
「まあ、こっちも色々あるのさ。それより僕の仲間を見なかったかい?時期的に盗賊だった子なんだけど」
「何か情報がゴチャゴチャしてるな…急いでるわけじゃないから一から説明してくれ」
「すまない…私の仲間に職業が盗賊の子がいたんだ」
「そういえば居たな」
前見た時取り巻きに剣士と盗賊の女の子が居たなと思い出す。
「最近戦う魔物のレベルが上がった事を感じてね、どう対策するか考えていたらその子が気を使ってウィザードに転職したんだ」
「へー仲間思い出いい奴じゃないか」
「それで気がついた時には姿が無くなっていたんだ」
「え?どゆこと?」
背景を説明するあまり本題の説明が曖昧になると言うプレゼンあるあるを披露され少し困惑しながらも、こいつのコネは使えるので下手に切り捨てず話を続けさせる。
「すまない…危険だから僕がここから戻るまで2人は王都で過ごして貰う話になっていて、出発するまでの数日は僕も王都に泊まったんだけど出発の日に御守りを買うと買い物に出掛けたきり帰ってこないんだ」
「そ…そうだったのか」
どうやらここに来る前に王都により準備をしている間に居なくなったってわけか。
「悪いけど見てないな、それにあんまりその子と話した事もないから顔を見ても分からないかもしれない」
「そうか、すまない。分からなければいいんだ」
奴の悲しそうな顔を見て何だかんだ仲間として大切にしているんだなと感心するが、この失踪事件がもしかしたらどこかでまた別の何かが関係してそうな気がしたのか悪寒がはしる。
「それで話は変わるんだけどそこにいる君の仲間何だけど…ん?それは紅の目じゃないか‼︎」
「ひっ!! 」
どうやら元々めぐみんに用があったようで、俺との会話が一通り終わると彼女に何かを聞こうと近づき彼女の持っていたシリンダーに目が行ってしまい思わず声が出てしまったのだろう。
「へー実物はそんな感じなのか…人の眼を美術品にするなんて恐ろしいい事を考えるもんだとは思っていてけどこれなら納得かな、あっ」
「ーっ‼︎ミツルギ‼︎」
いきなりの事に驚き怯えながらシリンダーを抱きしめるめぐみんに、初めて見た美術品の美しさに興奮を隠しきれていないミツルギ、彼の好奇心でこの場は地獄へと変わった。
奴に悪気は無い事は分かるが、悪気がなければ何をやってもいい事はなく気づけば俺はミツルギをぶん殴っていた。
「ぐはっ⁉︎いきなり何を……そうか…すまないデリカシーが無かったね」
俺にぶん殴られ勢いよく地面に叩きつけられたミツルギは、興奮して眼が赤く発光し震えているめぐみんを見て全てを察したようで申し訳なく謝罪した。
「それでめぐみんに用があった様な雰囲気出してたけど何かあったのか?」
「ああ、そうだったね」
あれから過呼吸を起こしためぐみんを落ち着かせ、いつもの調子が戻ってきたのを確認した後ミツルギに会話をふる。
「話より先に見て貰った方が早いかもしれない、案内するよ」
「ああ、頼むよ」
一体何があったのだろうかと思い奴について行く事にする。
正直奴との関わりなんてそう無かったので、普段なら変な詐欺かなんかの勧誘かと思って断るのだが流石に前線でそんな事をする様な奴に見えなかったので多少の警戒はしておく。
「ここだよ」
案内されたのは地下にある倉庫だった。
「おいおい、殴られた腹いせにここに閉じ込めようってか?」
「それについては悪かったって言っているだろう、勘違いしないでくれここに君たちを読んだのはこれを見て欲しいからだ」
奴はそう言いながら倉庫の品にかけられていたカバーをひっくり返し隠されていたものの正体を俺達に見せるが、特に凄いものではなくどこにでもある様な武器や防具、雑貨が統率なく並べられていた。
「こんなガラクタ見せて一体何がしたいんだお前は?」
「まあ、いきなりこれを見せられても君は混乱するかもね、でもこれを見てくれないか?」
「…これは?」
統率なく並べられた武器の中からミツルギは一本の杖を取り出しそれを俺の前に突き出した。
それはつい先程までめぐみんが持っていた杖だった。
「…めぐみん?」
「いえ、私の杖はこの通り私が持っています!」
めぐみんも奴が出した杖を見て自分の杖だと思ったのか、自分が現在も持っていた杖をその杖を交互に見ていた。
正直めぐみんの持っている杖はオーダーメイドではなく既製品なので同じ様な杖は探せばどこにでもあるのだが、めぐみんの杖にはいつぞやの思考盗聴防止のために作ったアルミ箔がハゲかけではあるが巻かれており、この場にあるその杖二つは両方とも同じ様に巻かれ、同じ様に剥げかけているのだ。
「この杖に巻かれているのはアルミホイルだろ?君なら作りそうだとは思っていたからピンときたんだ」
「それで、この杖をどこで見つけたんだ?」
「そうだったね、これは…ここにある品々は数日前に謎の爆発音と共に空から降ってきたんだ」
「爆発音?」
「誰もどこから落ちてきたかは見てないから分からないみたいだが、音がしたところに向かったらあったそうだ」
「そうなのか」
「最初は皆倒された仲間達の物を奴らが投げてきたと思っていたんだけどね、君の仲間の他にも数人同じ武器や道具が重複しているんだ」
「マジか…敵に同じ様な武器を渡して使い始めたところで爆発させるなんて作戦だったりしないだろうな?」
「その心配はない様だよ、鑑定士に調べたところ全て本物だそうだ」
「マジか…」
「それに僕のこのグラムの様に女神様から預かった神具も同じ様に存在する、もちろん効力は失っているけどね」
それじゃあグラム二刀流だなと思ったが、どうやら奴の剣は降ってこなかったらしく今回の件には無関係らしい。
「誰かの神具の仕業とかか?効力がないなら複製品の可能性もあるだろう?」
神具で作られた模倣品であれば鑑定士の目を欺き、本物と言わしめる事も可能だろう。
神具であれば高値で取引されているのでそれとすり替え一儲けをする事もできるだろうし、犯人が魔王軍であれば俺達の戦力を削ぐ事もできる。
「その可能性も無いと言われているね、そんな戦闘の役に立たないスキルを選んだ人間がわざわざこんな危険な地に来ると思わないし、窃盗目的にしてもすり替えられた形跡が無いと、皆で話してそういう結論になっているんだ」
「そうだな、流石に日本人が集まれば話が早く進むな」
「そうだね」
どうやら俺の他にも頭が回るやつがいる様で俺が考えそうな事は一通り考え尽くされているのだろう。
「とりあえずこの杖は持ち主である君の仲間に渡しておくよ、本当は色々しなくちゃいけないんだけどさっきのお詫びって事でそこは僕がやっておくよ」
ミツルギはさっきはすまなかったとめぐみんに謝りながら手続きのためか先にどこかへ行ってしまった。
「めぐみんお前はこの杖を見てどう思う?」
「どう見ても私の杖ですね…まあ置きっぱなしにされて手入れがされていなかったせいもあるのか少し傷んではいますが…」
奴が居なくなり後ろを振り向くとめぐみんが鑑定士顔負けの形相で杖を眺めていたので恐る恐る声をかけると思ったよりも真剣なレビューが返ってきた。
「だったら俺の剣もあったりしないかな」
めぐみんの物があれば俺の物やゆんゆんの物もある様な気がしたのでついでに探してみたが、最終的にスキルを使ってみて反応がなかったので多分無いのだろう。
「気が済みましたか?そろそろ食事の時間になるのでゆんゆんの所に向かいますよ」
「ああ、やべぇそんな時間だっけ」
軽く外の風にあたりに来ただけだったが、思わぬ出会に時間を取られてしまいゆんゆんを1人にしてしまっていた事に気づく。
「とりあえず急いでゆんゆんを迎えに行って食堂に向かうぞ」
正直何もしないで食事にありつく事に罪悪感を覚えるが、腹が減ってはどうしようもないのでここは施設の福利を充分に使わせていただく事にする。
食事を済ませ再びデッキに出る。
食事の場には日本人が多かった事もありどこぞなく懐かしい感じがしたが、今日は話しかけるべきではないと判断し2人との時間を楽しんだ。
周囲に誰もいない事を確認し魔力を手に込めると、手に紋様が浮かび上がり気づけば何処からかシルフィーナが現れる。
俺と彼女は奴隷契約で繋がっているため魔力を消費すれば何かしらの合図を送ることができるのだ。
便利な反面距離が遠ければ遠いほど魔力を消費するのであまり使わなかったが、ここは王都からそう遠く無かったので案外少ない魔力リソースで済んだのだ。
「お呼びでしょうかカズマ様」
「ああ、少しだけお願いがあってな」
「何でしょうか?」
色々あったのか少しやつれてる彼女の頭を撫でながら話を続ける。
「出来ればいいんだがバルターの居場所を調べて欲しいんだ」
「バルター、アレクセイ家の長子ですね。時間はかかりますが必ず突き止めて見せます」
彼女は久しぶりの俺のお願いに少し嬉しそうにしながら頷く。
「気をつけてくれよ、あいつは俺よりも強く俺よりも頭が切れるからな、もし何かあったらバルターは諦めて俺の元に飛んでこい、いいな」
「分かりました」
奴隷に使える強制命令権をこうしてシルフィーナに撤退命令を刷り込ませる。
これは人を道具として使うみたいで出来れば使いたくは無かったが、彼女の性格からして深入りしてしまうことが高い、ここで無理をさせて彼女を失う事になるのなら少しくらい乱暴なことになっても強制的に撤退させた方がいいのだ。
「そういえば今王都に居るんだよな、退廃区でクリスは見てないか?」
あの一件から見ていないクリスが少し心配になってきた。
彼女の事だから問題とは思っているし、単に俺がしばらくアクセルにいなかったので会えなかった可能性もあるので案外フラフラしている可能性もある。
「クリスさんは見ていませんね…一応店を拠点にはしていますが前の様に姿を見せに来ることは無くなったみたいです」
「そうか…了解だ。それじぁ…ああ、そうだちょうどお菓子もあるし少し食べていけよ命令な」
「え?あっはい!命令であれば…」
そういえば最近構ってやれてないなと彼女を部屋に案内し、補給された菓子を2人で食べて過ごす事にした。