後言い回しが変だったり誤字があるかもしれませんm(_ _)m
小屋に着くと簡易的なベットの様なものに下され、仰向けになった事により眼前が照明の光で埋め尽くされ思わず顔をしかめた。
どうせだったら暗所でゆっくりさせて欲しいもんなんだが…。
俺達が戻ってきた事により、周りがガヤガヤと騒ぎ出して話し合ったのだろうか、少しの間騒然とした後に誰かが俺の元にやって来て魔法をかける。
「ブレイクスペル」
魔法解除の魔法により、酩酊していた俺の思考回路と身体の怠さが一瞬の内に綺麗サッパリ消え失せ、お陰で考えたくも無かった現実へと引き戻される。
感覚が元に戻った所でゆっくりと起き上がり周囲を確認すると先程の少年と目が合いペコリとお辞儀をされる。彼なりの謝罪なのだろう。
「カズマさん大丈夫ですか?気分は悪く無いですか?」
「ああ、大丈夫だ」
起き上がると心配してくれたのだろうか、ゆんゆんが横に座って此方を見ていた。他のメンバーは卓上を囲んでおり何処か威圧感を漂わせている。
脳に関して魔法を掛けられるのは初めてで少なからず不安があるので、念の為手指や足等を動かして障害が無いかを確認する。特に関節の動きが鉛管のように曲げづらくななる様なこともジャックナイフの様に引っ掛かる様なこともないので多分大丈夫だろう。
「サトウカズマ、無事目が覚めた様ですね。貴方にはこれからどうするかについて考えて頂きます」
「おいおい、起きて早々俺をこき使うつもりか?ぶっちゃけ今傷心中だから一人にしてくれると助かるんだけど」
ふざける様に言っては見たが、本音を言えば正直しんどい。今まで仲間や他の連中が死にかける様な事は多々あったがそれでも何だかんだ言って最後は助かっていた。
だが、今回は目の前で本当に冒険者一行が爆発の中で消えて行ってしまったのだ、それは誰かが悪いわけでは無く自分の身を守れる実力がない彼らが悪いのだが、それでも俺が指揮するれば何とかなると思っていた。
あの少年も言っていたが、そんな物は俺の思い上がりだった事に今回の一件で気付かされた。俺の作戦はあくまで高レベルの仲間があって初めて成立されたもので今回の様な弱小パーティーでは何の役にも立たなかったのだ。
「カズマさん…」
ゆんゆんが隣で悲しそうに呟いた。
自分で言っておいて何だが、冷静に考えている時に同情されるとなんか気恥ずかしくなってくる。
「一人になりたいのは結構ですが、生憎この小屋の中以外に安全な所はありませんよ」
「何でだ?潜伏を使えば来た時みたいに気づかれずに行けるんじゃないのか?」
「貴方が魔法で酔っ払っている間に状況は最悪な状況になっていました。まあ、百聞は一見にしかずと言いますので一度外を見て下さい」
セナが窓を指差す。如何言う意味なのだろうか、もしかして人形が仲間の誘爆によって連鎖的に爆発したからダンジョンの入り口がそれによって埋まってしまったのだろうか?
寝起きでふらつく体を動かしながら入り口近くに設置されたカーテンを開けて外の景色を見る。
「うわっ…何だよこれ?意味わかんねえよ」
窓の外を見ると、夥しいほどの仮面人形達が蠢いていた。正直言って気持ち悪い以外の感想が出て来ないが、もしあの集団が此方まで攻めて来ようなら俺達はあっという間に全滅だろう。
しかし、幸いにもセナの張った結界が功を奏したのか人形達はこの小屋までは来れない様に線引きされ守られている。
だが、その頼みの結界もいつまで保つかは分からない、セナの表情に曇りがある以上時間制限か耐久性に何かしらの制約があるのだろう。
「見ての通り外はあの爆発人形で埋め尽くされています。ですので我々は現在攻めるどころか逃げ出す事すら出来ないか状況になっています」
「マジか…」
小屋の周囲を人形で囲まれて包囲されている。慌てて結界を張ったのだろうか範囲が意外にも広く少し木々も巻き込まれている。だが、広いと言っても麓まで続いている訳では無いので特に意味は無いのだが…。
これではセナの言った通り逃げ出す事は不可能に近い、それに仮に逃げられた所で多くの犠牲が付き纏うので誰も賛成はしないだろう。
「それで、セナはこの状況を如何考えているんだ?策か何かを考えているのか?」
「えぇ…まあ一応ですが」
セナは頼りなさそうにメガネの位置を直す、目が泳いでいることから多分あまり期待できる物では無い様だ。
「セナの考えを聞かせてくれないか?」
「はぁ…別に構いませんが…私の考えは助けが来るまでこの小屋で待機すると言う事になります。これでも一応はアクセルを任されている身ですので、公務で外に出て帰ってこなければ他の職員が私の行動録を見て助けに来る流れにはなっています」
「成る程な」
考えは悪くないし、それで出来るのならそれが一番展開としてはいい。しかし俺らの拠点は初心者の集まる街アクセル…当然そこのギルドに在籍する冒険者のレベルは当然低い、俺が知る限り、警察署は何かあれば業務提携先のギルドに協力を要請するから特にレベルの高い冒険者を抱えている訳では無い事が窺える。
であれば、何処からか呼び出していく事になる。もし、すぐさまテレポートで高レベルの冒険者が来れれば事態は早いのだが、それだとアクセル支部の面子が立たなくなってしまう。
所詮はお役所、セナみたいな末端組織員なら何も考えずに直ぐ様行動するのだが、上役の方々はそうは行かないだろう。何かしらの理由付けか、大義名分が無ければそう簡単には動き出さないだろうし、仮に出来たとしても事務処理に時間が掛かるだろう。
ふざけていると思うが、組織と言うのは組織が出かければデカくなるほど、小さい組織に比べ初動が遅くなってしまうのだ。
其れはともかく、結果として助けが来る事を前提として考えるのであるならば、日常生活面に問題が出てくる。
幸い此処はダンジョンに対しての一時拠点として扱われているので生活面には問題はないが食料は如何なのだろうか?
「それで、籠城するのは賛成だけど食料はどれくらいあるんだ?待ってて餓死なんて俺は嫌だぞ」
「それでしたら私の部下の荷物に入っていますので心配なく、ですがこの人数でしたら持って数日程ですかね…」
「マジか…」
セナの指差した部下の鞄を漁る、量自体は一人が篭る分には結構あるが小屋のメンバーの数を考えるとかなり少ない。俺が昔部屋に引き篭もって籠城していたときの極限生活していた経験から考えるとギリギリ動ける範囲でカロリーコントロールしても持って3日位だろう。
「そう言えば結界は如何なっているんだ?あれはどれくらい保つんだ?」
「結界ですか?あれは私の魔力で編まれているので、私が意識すればいくらでも持ちます」
成る程、掛け捨てるタイプではなく持続させる方式になっているのか…そのタイプは効果が長い反面魔力の供給が無くなればすぐさま消え失せてしまう。その結界を持続させる魔力を保つにはセナに優先的に食料を回さないといけなくなる。
そうなれば食料計算を再び考え直さないといけなるが、大雑把に見繕って持って2日だろう。
今日の夕食からから食料を使うと仮定する。そして明日の朝にセナの残されたであろう部下が不審に思いこの山に来て集まる人形の群れを見たとして、そこから再びアクセルに戻って上司に報告、そこから会議を経てギルドの冒険者を掻き集めて此方に向かわせながら他所のギルドに連絡し救出が始まとするなら、ギリギリ保つかもしれないがそれはあくまで全てがうまく行った時の場合だ。
「セナ的には後2日で助けに来ると思っているのか?」
「それは…」
軽く聞いてみた程で聞いてみたが、彼女は言葉に言い澱んだ。組織の中に組み込まれている彼女なら俺以上に必要な時間を計算できるので、そのいい淀みは可能性が低い事を決定づけさせてしまう。
「やっぱり厳しいよな。持って後2日、取り敢えず助けを待ちながら明後日の朝には如何するか考えないとな」
「そうですね…すいません、本来であれば年上である私が仕切らないといけないのですが」
「ああ…じ、時間が惜しいから早く集めて作戦会議しようぜ」
落ち込みそうになるセナに対してとっさに話を逸らす。セナの放つ結界はどうかは分からないが、通常魔法などは術者のメンタルがその効果に影響する。なので此処でセナに落ち込まれて結界に綻びが生じると厄介な事になる。
気を持ち直し、メンバーを小屋の中心を円で囲む様に集める。先程の誘爆で殆どのメンバーが居なくなってしまったので些か足りない感は否めない。
「よし、集まったな。それじゃあ第一回この小屋からどう抜け出すか大作戦の会議を始める」
「何ですかそのカッコ良さの欠片も無いネーミングセンスは」
「何だめぐみん?俺の作戦名には不満でもあるのか…と言うか今はふざけている時じゃ無いんだ静かにしてくれ」」
「何ですと‼︎この私がふざけてそんな事を言うと思っているのですか‼︎全く、前から思っていたのですがカズマにはセンスと言うものが欠落していると思うのですよ」
作戦を始める前にめぐみんが突っかかってくる、こんな非常事態に何やっているんだと注意してやりたいが、彼女なら多分抵抗してくると思われる。そうなればこの会議がグダグダになってしまうので此処は上手く受け流さなくてはいけない。
「言ったなこの小娘‼︎だったら作戦名アビス・ファージに変更だ‼︎」
「成る程‼︎何だか意味は分かりませんがカッコイイ気がしますので認めましょう‼︎」
ビシっと捨て台詞を吐いて彼女は座った。まあ適当にアビスでも付けておけば喜ぶだろうとおもっていたが、まさか本当に此処まで喜ぶとは思わなかった。
だが、これによって余計な邪魔は無くなった。
「取り敢えずだ…何かいい作戦はないか?」
皆を集めて聞いてみたのは良いのだが、何も意見が上がってくる事は無く場は静寂に包まれる。人数がかなり少なく前のデストロイヤー戦の時の様にまでとは行かずとも少なからずも意見が出ると思ったのだが、如何やら違った様だ。
沈黙の重圧で意見が出ない事もあるので名指しで指名してもみたがそれでも案が出る事は無く、これ以上続けても仕方ないので一旦会議を中止する。
「はあ…」
一旦外の空気が吸いたいと小屋の外へ出る。
外は人形だらけだが、幸いにも結界の内側であれば安全なため外に生えている木に寄り掛かる位は出来る。
「あの…」
「何だ?何かいい案でも浮かんだか?」
「そう言うわけではありませんが…」
少年が俺の方へとやってくる。意見が無いのであれば一体なんの用だろうか?
「なら来ない方がいいんじゃ無いのか?」
モジモジしている少年に対して外に指差す、此処は結界の境界に近いので人形が凄い近くで蠢く様が見える。
「うひゃあ⁉︎」
「あーあ言わんこっちゃない…」
俺の指差す方向を見てびっくりしたのか、少年は腰を抜かし地面に尻餅を着いた。
「大丈夫か?」
「はい。済みません驚いてしまって」
「まあ近場にあんなのが居たら流石に気持ち悪いよな」
ましてや仲間を殺した兵器の様なものだ、少年にとってはトラウマそのものだろう。少年に手を貸して起き上がらせる。
「それで?何か俺に用があったんじゃないのか?」
「そう、そうでした」
ハッと何かを思い出したかの様に少年は俺に向き直る。
「先程はすいませんでした…折角カズマさんが助けようとしていた所に水を差してしまって」
「何だ、そんな事か…急にきたんでビックリしたぜ。俺の仲間が寝ている間に何かして復讐しに来たのかと思ったぜ」
適当に茶化して場の雰囲気を変える。俺はあまりこう言った雰囲気は嫌いだ。
「そ、そんな事はありません‼︎皆さん僕にはとても優しくして下さいました」
「そうかい、それは良かったな。あ、そう言えばお前の職業はなんなんだ?」
ついでにメンバーの職業を聞いておくことにする。見た目を見れば大体はわかるのだが、それでも使える魔法等や得意不得意などの個性を把握しておきたい。
「僕ですか?僕はプリーストです回復は苦手ですが支援魔法は得意ですよ、父が武器職人な事もあって物の強化も可能です‼︎後他の仲間は戦士とウィザードのになります。残りは全員あの人形によって亡くなってしまいました…」
「成る程な、オーケーありがとな」
戦力としてはバランス型なのだろう。しかしウィザードはなりたてなので少年が魔術スクロールなどで魔法攻撃も行い後方を支援しているらしい。
「あの…一つ聞いてもいいですか?」
「何だ?」
「自分で言うのも何ですが、目の前で他の冒険者の方々を失ってしまってショックとかは無いですか?貴方も冒険者を始めて一年経っては居ないと聞きました、それに仲間も初期メンバーからずっと同じだとも聞いています」
オズオズと聞いてくる。きっと少年の目的はそれなのだろう。
「確かに何も感じないと言えば嘘になるな。けどそれはそれだし、結局は…いや何でもない。まあ今はまだ安全な場所に居るわけじゃないしこれからこの人形の集団から逃げ出す事を考えないといけないからな」
「そうですか、強いんですねカズマさんは」
「まあね、他の奴らにステータスじゃ勝てない俺にはこれくらいしか無いからな」
「そんなご謙遜を」
その後、少し談笑した後少年は小屋へと戻っていった。
情報はある程度揃って来たが、その中心となる作戦が思いつかない。めぐみんの爆裂魔法で吹き飛ばすのは如何だろうかと思ったが、あの数なら必ず撃ち漏らしが出てくるだろう、それらに囲まれたら結界がないので即ゲームオーバーだ。
ゆんゆんの魔法にしてもそうだ、彼女を中心に陣形を組んでも再詠唱の際の隙を埋めるウィザードが少なすぎる。近接戦闘が出来ない以上魔法による中距離攻撃で間合いを開けながら脱出するしか無いだろう。
そう言えばあの人形の動力源とは一体何あのだろう?セナの結界の様に常に魔力か何か供給されているのだろうか、それとも魔力を抱え込んだ自立型なのだろうか?もし前者ならその大本との繋がりを絶てばいい話になる、それかあの洞窟の奥にいるであろう制作者を撃破するのも手である。
そう考えながら結界の外に集まっている無数の人形を眺める。とても燃料切れを起こしている個体がいる様な雰囲気を感じ無い。だが個体が近くにいる生命体に向かっている現状を見るに統率が取れているイメージも感じない、まるでセンサー付きのロボット掃除機の様でもある。
統率が取れてい無いのであれば難易度は下がる、単調が故に心理戦や誘導も単純なものしか通じ無いので応用が効か無い。
第一陣を抜けても追っ手が来る事を考えると、やはりどうにかしてダンジョンの主を倒すのが良い気がしなくも無い。だが、あのダンジョンに入る方法が思いつかず結局あの人形をどうするかと言う問題が最初の壁になって先に進めない。
「……はぁ」
溜息を吐き、上を眺める。視界には木々の枝と満天の空だった、あの空を飛んで逃げられたらどんなに楽だろうかと思うが、そんな能力女神の餞別で見た事はあるがそれ以外ではないだろう。
せめて遠距離中距離近距離の三方向を攻められる武器が有ればな……いや待てよ‼︎
視界に映ったものを留めながら頭の中で情報を走馬灯の様に流していきピースを揃えていく。
リスクは大きいがもしかしたら行けるかもしれない、幸い俺のバックには買い貯めたマナタイトがふんだんに残っている。後はあの少年の根性次第だ。
ピースは揃い、俺は小屋に戻る。
食事は皆から掻き集めて入れたバックに詰まっている物を分配している、基本的に中身はレーションで種類は沢山あるが一つ一つの量は少ない。幸い此処には子供などがいない為、取り合いなどの小競り合いは起きないので助かる。
周囲のメンバーの表情は先の見えない不安はあるが正気は失っていない、篭城作戦に限らず閉鎖的空間に留まる事で一番必要なのはメンタルであると俺は思う。まあ食事も必要だと思うが…ガバガバだな俺の理論。
作戦を行うにあたって体力も必要になるが、幸いにもまだ初日で全員体力に余裕はある為、出来れば力作業は早めに済ませておきたい。
「みんな聞いてくれ、俺に良い考えがある」
食事が終わった頃を見計らい俺は一つの提案をした。
「よし、そこの木を全部切り倒してくれ‼︎枝はどんなに折れても構わないけど幹に傷をつけるなよ‼︎」
次の日の早朝、俺は外にある木々を戦士のメンバーに依頼して倒して貰っている。数にしても約数本しかないが、それでも力の強いメンバーの数くらいあれば充分だろう。他のメンバーは念のために結界の維持に必要な手入れや解れの補修、出来れば範囲の向上させ木々を最も結界内に含めて欲しいと伝えている為、現在は隅の方で何やらゴソゴソしている。
やはり戦士になると力のステータスが違うな…悔しいが冒険者の俺が小細工をしないと出来ない事を平然とやってのける事に自身の情けなさを感じるが、それはそれで今は作戦を遂行させる事に専念しないといけない。
切り倒した木々を並べてもらい、今度はその木から生えている枝を剪定しもらい表面を綺麗にしてもらう。
それが終わると、結界の調整に出ていたウィザード組が戻って来たので、その木の表面に出来るだけ爆破に対する耐久性を上げるルーン文字を描いてもらう。
「あの、カズマさん…文句を言うわけじゃ無いんですけど、こんなので本当に大丈夫なんですか?」
「あのな…どんだけ不安症なんだよ。どっちにしろ何もしないと俺達はあの仮面人形に爆殺されちまうんだから、こんな作戦でもやらないよりはマシだろ?」
「う…それはそうですけど」
作業を見ていると、隣にゆんゆんが来てそう言った。確かに口頭で説明されれば不安に思うかもしれないが、それでもこの木材は信じても良いだろうと俺は自信を持って彼女に説明する。
「よし、作業は終わったな。後は詳しい作戦と配置を説明するから中に戻ってくれ」
木々の伐採加工を済ませ、後は突撃になったので一度小屋に戻り細かい指示を出す事にする。内容としてはシンプルで全員であの人形を蹴散らし、俺とめぐみんとゆんゆんの3人でダンジョンに特攻するというものだ。
ダンジョンの内容を俺は感覚で知っているのと、中に入れば人形が来る範囲が限られるのでゆんゆんの風の魔法で対処が可能だ、まあ爆発でダンジョンが崩れる心配があるがそれもリスクの一つなので仕方がない為運に任せる事にする。
後は、洞窟内のボスについてだ。セナは何かの召喚陣があると言っていたが、もしそうならそれ用のお札を貰ったのでそれを貼れば解決だろう。しかしと言うか、これは俺の予想だが何かしらの知性を持ったモンスターか何かが跋扈している気がしてならない、もしそうなら戦闘になる事を考えて他のメンバーを連れて行きたいが、連携が取れない上にダンジョンの部屋は狭いので一掃される危険があるので少数で行く事になっている・
めぐみんに関しては爆裂魔法がダンジョン内では使えないので外そうとしたのだが、彼女には何やら秘策があるらしく入れてくれと申し出があったので一応の程で入っている。
作戦内容を各自に通達し、意見を求めたが特に反対意見はなかったので体を休める意味を含めて作戦決行は夜にした。
「なあめぐみん」
「何ですか?カズマもお疲れの様ですし少し休んだらどうですか?」
ガサゴソと明日に備えてかめぐみんがバックを漁っている。意外にもそのリュックは高性能らしく上手く使えば欲しい物を欲しいタイミングで引き出せるらしいと前に彼女が言っていたのを思い出す。だがそのためには事前に色々と細工をしないといけないらしくこうして弄っている様だ。
「いや。そのリュックの中には何が入っているかいい加減教えてくれないか?こっちも作戦を考える上で必要になるんだけど」
「教えませんよ。前にも言ったでしょう、こう言うのはいざと言う時に使うからカッコイイのだと。それに作戦はもう既に決まっているじゃないですか」
めぐみんはリュックを漁る手を止めずに、まるで相手をしませんよと言いたげに視線をリュックに向けながらそう言った。彼女は何が何でもリュックの中身を言わないつもりなんだろう。
それなら仕方ない、流石に命を預かっている以上ふざけた事はできない、そのリュックの中身を千里眼を使って覗きに観ようとする。
「そこ‼︎」
「うわっ‼︎」
しかし、スキルが発動する前にめぐみんが何かを俺に投げそれが顔面に当てられ阻止される。
「…いててて。何すんだよ⁉︎危ないだろ‼︎」
「カズマから何か凄く嫌な予感がしました‼︎それに普段から感知を使っているカズマがこんな遅い攻撃に当たると言う事は、千里眼か視覚を弄るスキルか何かを今使おうとしていましたね‼︎紅魔族の知能を舐めないでください」
「くっ…勘の良いガキは嫌いだよ」
「うわ、カズマ今の凄く良いセリフですね。状況が状況でなければ満点をあげましたよ」
投げつけられた服か何かを丸められた物を払い皮肉混じりにそういうと、そのセリフが紅魔族の美的感覚に触れたのか高得点を得てしまったらしい。
しかもちゃっかりとリュックの整理を終えて蓋を留め具で止めてしまっている。あの留め具にめぐみんが組んだのかはなかなか強固の固定の魔法が掛けられているので今の俺のスキルでは対処できない。つまりお手上げだ。
「はぁ…参ったよ。俺は一旦仮眠をとるからめぐみんもゆっくり休んでくれ」
「はい、わかりましたよ」
めぐみんに見送られながら自分に与えられたスペースに戻り壁に背中を預けて眠りにつく。何か視線を感じると思い目を閉じた状態で感知を使い辺りを探ると、ゆんゆんが何やら悲しそうな表情で此方を見ていた。
「おっしゃ‼︎行くぞお前ら準備はいいか‼︎」
「「おぉー!!」」
夜になり皆荷物などを安全な所へと隠す。あの仮面人形は生きている物を狙うので距離を置いて地面に埋めればおおよそ何とかなる。俺たちも穴を掘って脱出しようかと思ったが、流石に何百メートルも下に掘り下げて行くのはナンセンスなので辞めておいた。
「よし‼︎みんな丸太は持ったな‼︎」
「「おおーっ‼︎」」
昼に加工した丸太を戦士と俺の数人で掴み抱える。ズッシリとするその重みは俺に安心感と勇気を与えてくれる。あぁ…やはりこれはいい丸太だな。
「よし、それじゃあ頼む‼︎」
「わ、分かりました‼︎」
少年に頼み丸太を強化してもらう。爆発に対してはウィザードのルーンがあるが、それだと丸太の耐久が低いままなのでこうして支援魔法を掛けてもらいこの丸太を一種の武器として扱える様にする。
そして、ほかのプリーストには支援魔法を掛けてもらい充分丸太を振り回せるだけの筋力を強化してもらう。
「よし、それじゃみんな各自辛いと思うが、頑張ろうぜ‼︎」
腕を上げ俺の上げた掛け声と共に周りが湧き上がる。毎度試合の時にみんなが叫んでいるのを見て煩いだけだと思っていたが、いざ自分がその立場になると意外に気持ちが良いもんだと気づく。
結界を前にして各自フォーメンションを組む。俺の後方にゆんゆんとめぐみん、この3人はダンジョンに突っ込みこの人形の本を断つ。もう一つのグループはセナ達を守る様に背中を預けて周囲の人形のヘイトを集めながらそれらを破壊し、余裕があれば先に街に戻り増援を呼ぶという算段だ。
「よし、それじゃあ作戦開始‼︎」
高らかに叫んだ後丸太を置き、小屋に戻り一旦人形の視界から抜けた状態で潜伏を掛け、再び丸太のところへ戻る。
セナのグループは結界を解いて次々と襲いかかる人形達を丸太で薙ぎ払っていく。人形は対象物に触れるか衝撃に反応するの二パターンで爆発するので、丸太で薙ぎ払われた時点で爆破してそれが誘爆をする。
やはり強化に強化を重ねた丸太、人形の爆発ではびくともしない、たまにその爆発や丸太を回避しようと下段や跳躍により空から攻める個体があるが、それらはウィザードの魔法で蹴散らされている。そのままセナグループは非戦闘員を囲みながらダンジョン周囲の人形を倒そうと進行して行く。
凄くカッコイイのだが、側から見ると丸太を持ちながらセナ達の周りをグルグル回っている様にしか見えないので、なかなかにシュールな光景だ。
「おっしゃ‼︎これならいけるぜ‼︎」
丸太を持った戦士がそう叫びながらダンジョン入り口周囲の人形達を破壊して行く。
「よし、俺達も行くぞ。ダンジョンに入るまでは戦闘はしないから二人は手を離すなよ‼︎」
「「分かりました」」
二人に肩を掴まれながら丸太を持ち上げる。この丸太はダンジョン様にと短めに加工して貰っているのであの戦士が持っているのと比べて短くなっている。
丸太無双をしているグループの後に続きながらダンジョンに向かう。人形は全てセナグループに向いているので安心だがそれでも注意は必要だ。
「カズマ‼︎今だ‼︎」
戦士の一人がダンジョン周囲の人形を振り払い一層すると潜伏で隠れていて何処にいるか分からない俺に向かって叫んだ。
「オーケー‼︎二人共行くぞ‼︎」
相手には聞こえないが、返事を返しながら丸太を突き出しながら突撃の要領でダンジョンへと突っ込んでいった。