一颯視点
東京湾全体を基地にしてる第三基地。その第三基地の外、湾外に浮かぶ60㎢の人工島『特設演習所』。
連邦の持ちうる技術の粋を集めて出来たをあらゆる状況に合わせてステージを形成する万能演習場。戦闘訓練や救助訓練などどんな訓練もできるようにいろんな地形を再現し実践に近い経験が積める優れものというフレコミだがなるほど、驕りとかではなく本当に優れものだ。
六角形の住宅街エリアを囲うように森林・廃墟・工業地帯・荒野・渓谷・砂漠と七つのフィールドに分けられ各々が得意な状況で戦えるようにセッティングされている。
そしてその住宅街エリアの中央部でPSを着た連邦軍とISが数機混じって集合している。その中で一番目を引くのが俺の前にいる鳶一隊長と後ろの日下部副隊長だ!率直に言うと前門のミーティア、校門のデンドロビウムである。隊長のCR-ユニットは「高火力」「高機動」「鉄壁」のバランスを超越した『アリス・リコリス』。天を貫くかのようにそびえたつ50.5cm魔力砲〈ブラスターク〉二門、両腕の篭手に内蔵されている大型レイザーブレード〈クリーヴリーフ〉、機銃やミサイルなどの武装を格納した大容量ウェポンコンテナ〈ルートボックス〉8基、防制随意領域の組成に特化したシールド装置〈ハイペリオン〉とイカレタ性能をこれでもかとぶち込んだような頭のおかしいユニットだ。
ちなみに
融合する前の世界の30年前に創られた、コンピューター上での演算結果を物理法則を歪めて現実世界に再現する、いわば科学技術を持って「魔法」を再現する技術および装置の総称である。
そしてCR-ユニットとは「
防護服である着用型接続装置(ワイヤリングスーツ)と武装が小型のデバイスに格納されており、起動するとこれらを瞬時に装着することが出来る。標準装備として、ワイヤリングスーツに搭載されている基礎顕現装置が発動すると同時に自分の周囲数メートルに見えない領域「随意領域」(テリトリー)を展開する機能がある。随意領域は文字通り、使用者の思い通りになる空間でありCR-ユニットの要でもある。
ユニットの使用適性を持つ者はごく少数で、かつユニット使用のためには頭部に脳波を増幅させるための機械を埋め込む必要がある。
本来それほどの高性能のユニット使用する場合脳にかかる負担は計り知れない。・・・・・のだが、どういう訳か隊長はあれを半日も使用したまま各地の遊撃を行ったが脳への負担が一切なかったと資料に記されていた。・・・・・流石英雄。常人では出来ない荒業を悠々とやってのける!
そして後ろの副隊長纏っている(?)PS(?)『ラウンドハンマー・クアッドリガ
PS化された旧型機「ラウンドハンマー」。それに取り付けた強襲ユニット「クアッドリガ」を副隊長が改造した重機体。もともと移動速度の遅い機体に格闘戦用の武器腕「パイルナッコ」、機動力確保のホバーユニットと大型ブースターと白兵戦使用だったのを何を血迷ったのか背部ユニットに増設した重砲「シージキャノン」二門、武器腕に取り付けた大型盾に左右片方づつガトリング砲を三丁計六丁内蔵し余った装甲に大量の機銃と追尾ミサイルを取り付けた「強襲重火力高機動機」と訳の分からない機体となった。さらにこれだけの武装を維持するためにPAギアに使われるエネルギー源「エナジーコア」を二十個も使用しているらしい。コストどうなっているんだろうか?
その改造機で隊長と肩を並べる実力者なのだから凄いのか変なのか・・・・
そんな二人の間に立ってる通常機の俺は圧迫感にうなだれそうだ。これが一番隊、実力が形になったような隊だなと思う。
と、うなだれてる間にレナルド司令が台座に立ち演説を始める。
「諸君、今回から始まる合同軍事演習はIS学園の専用機持ちとの連携の強化を目的としているが同時に各々の戦力強化も重視して欲しい。我々の敵はノイズや天使だけではない!EDFにいた者なら解かると思うが我々人類を脅かす脅威は地球に留まらず外からやって来るものもいる!融合事変が起きる前に追い出すことが出来たがいつまでも奴らが戻ってこないとは限らない!!その為にも諸君らには毎度のことながらお互いに覇を競ってもらう!各隊に与えられた役割を全うし研鑽を積んでくれ!!では演習を開始するッ!!各隊は指定の位置に移動し準備を進めてくれ。遊撃一番隊はここで待機、鳶一少佐は五分経つまで中央エリアを出ないように!解散ッ!!」
「あの、副隊長。」
『ん?』
「なんで隊長は五分間のエリア制限が掛かってるんですか?」
『・・・・・五分経てばわかるわよ。知ったら知ったで疲れるから。』
「はぁ・・・。ところで覇を競うとは?」
「これから全隊による生き残り戦が始まるから隊の実力を示せという事。」
なんでデスマッチ!?
「敵は私達の常識から逸脱した存在。そんな相手に通常の戦い方は役に立たない、だから精鋭同士ぶつかることで戦闘技術向上を目指してるの。緊迫した戦況下は人の闘争本能を掻き立て進化を促す。らしい。」
「唐突に人の心読むのやめてもらえません!?」
「顔に出ててから。」
「隊長最初から前しか向いてないですよね!?ISのハイパーセンサーでもついてるんですか!?」
『ま、折紙はそういう子だから。あんたも前線で生き残れば知らぬ間に備わるやよ。』
マジですか、俺も隊長みたいな超人になるのか。
「一つ付け加えるけどこの演習は実戦を想定している。敗北は死を意味しそれだけ犠牲者が出ることに繋がる。市民を守る軍人が死んでは意味がない。だから簡単に敗れるような隊員は一番隊に必要ない。君はそうでないことを祈ってる。」
「・・・・はい。」
言い終えたのか隊長は俺達から距離を置き各エリアの方角を確認し始めた。
『ねぇ一颯知ってる、遊撃一番隊が発足されてから今日にいたるまでに亡くなった隊員はもう40人にもなるの。』
「え?」
『私と折紙は発足当時からの仲でね。一番隊は他の隊よりいち早く現地に赴き驚異の侵攻を止める大変な役目だから当然死亡率がどの隊より高いのよ。新しく隊員を追加しても激しい戦闘に耐えきれず一人また一人と亡くなっていってね、折紙のほうから追加要員を拒否するようになったの。そしてあんたが最後の追加要員て訳、さっきのは折紙なりやさしさなのよ。この演習でやられるようなら私も見込み無いと思うわ。だから、せいぜい折紙をがっかりさせないでね?』
「・・・・・はい。俺もここで終る訳にはいかないんです。自分のできることを精一杯やって生き抜いてやりますよ!」
副隊長は返事を返さなかった。ただ俺の答えを聞いて満足したのかその巨大な図体を回転させ隊長とは別方向へ移動し武器のチェックを始めた。あと少しで演習が始める、絶対に負けられない。相手は精鋭ぞろい、俺なんかより実力のある先輩方に新入りが勝てる見込みはほぼない。
だからこそ!勝つんだ、この演習で少しでも経験を積んであの地獄を繰り返さないために!
「へいきへっちゃら。へいきへっちゃら。へいきへっちゃら。・・・・・・・・・ふぅ。よし!」
おまじないはした。後はやるだけだ!
ヴゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ―――――――――
開始を告げるブザーが鳴る。程なくして各方面から銃声・爆音が鳴り響き弾丸が飛び交う戦闘が始まった。
『とうとう始まったわね。』
「副隊長は中心部一体を殲滅。私は外園部を掃討する。君は・・・・」
「はい!」
「・・・・自己判断に任せる。」
「わかりました!」
指示を出し終わり隊長は空へ飛び立ち副隊長は少し離れた所で凄まじい弾幕の嵐をばらまいていた。
『さぁさぁさあ!死にたい奴からどんどん来なさい!!死にたくない奴も粉々にしてやるけどね!!オラァ!!』
「ゴはァッ!?」
両腕のガトリングから放たれるおびただしい銃弾をばらまきPSを撃破したかと思ったらブースタを吹かし一気に間合いを詰めネルを纏った連邦兵を殴り飛ばした。
ギャァァァァァァァァァァァ!!
中心エリア外園部では光が地面に向かってすべったかと思うと大爆発を起こしその場にいると思うPSを焼き払う隊長がいた。
「うわぁ・・・・・圧倒的すぎるうちの隊長達。」
と感心してる暇はないようで俺の方にも高速で接近してくる機影が二つ、ホバー移動で敵の間合いに入り込みショットガンで吹き飛ばすことで有名なPS「タイフーン」だ。
「くッ!」
素早い移動で俺に近づき先頭の一体が牽制で撃ってきた。咄嗟に肩に取り付けてある防弾装甲で防いでしまったがこれは悪手だった。防いでる一瞬の間にもう一機に回り込まれショットガンのストックで殴られ宙に浮かされる。
俺を殴ったタイフーンは爆薬を取り出し俺に取り付けようと接近する。
「ッ!させるかァ!!」
俺は右肩の防御装甲を引き千切りぶん殴った。
「がッ!?」
「!?ちぃ!!」
予想外の反撃に一瞬動揺したようだが囮の奴がふたたびショットガンを撃ってきた。それを引き千切った装甲で防ぎひるんでるもう一機を蹴り飛ばし相手にぶつけた。一瞬の出来事で両機は受け身もとれず地面に突っ伏す。その隙を逃さずアサルトライフルで覆いかぶさってる方の背中を撃つ。弾丸は背部に搭載されてる爆薬に引火、爆発を起こし撃破されたことを示す『LOST』の表記がモニターに映し出される。演習の為機体の損傷は微々たるものだが銃器のセーフティが掛かりこれ以上戦闘できないようになっている。
「・・・・一番隊とはいえ新入りと侮ったのが敗因か。」
「防御装甲を鈍器として使うとは流石常識離れした一番隊らしい戦い方だ・・・」
「あ、ありがとうございます。」
常識離れなのは隊長達で充分なのだが確かにこれは普通の軍の戦い方とは言えないな。だからこそ勝てたわけだ、ならこれは俺の戦い方の一つと認めておこう。
「まぁまだ他の奴らには程遠い。せいぜい撃破されずに頑張れや!」
「忠告感謝します!あ、先輩方の武器拝借しますね。」
「あ、ああ持って行け(案外図太いな)。」
先輩方のショットガンとマグネティックグレネードをしまい戦闘にもどる。周囲に敵影は居ない、このままじっとして狙撃される恐れもあるし場所を変えよう。依然爆炎をおこす副隊長とは反対方向へ行くことにした。外園部はもう火の海と化し空中で何かを待っている隊長がいた。
「隊長、どうかしたんですか?」
「もう片付いた。だから待っている。」
「え?」
『外園部の隊は全滅したと言うことよ。だからエリア制限が解除されるのを待ってんの。』
全滅って!まだ始まって一分も経って無いんですよ!?俺ですら二人倒すのに精いっぱいなのに・・・あぁだから司令がエリア制限を掛けたのか。こんなあっさりかたをつける隊長が自由に動けば全エリアの皆さんを瞬殺するのはたやすいと。それじゃあ演習にならないから五分の猶予を与え少しでも皆が研鑽できるように・・・・今頃外の部隊は隊長への対策を講じてるんだろうなぁ。
キィイイイイイイイイイン
上空から響く音に釣られ上を見上げると白い飛行物体が旋回していた。連邦の航空主力機ガイヤー:エヴォルヴの群体だ。可変機構を搭載してるガイヤーは人が纏うのを想定していない。第三基地のどこかにある操作ルームから遠隔操作する無人PSだ。操縦者は高度な操縦テクニックが求められこの多くは元EDFの航空部隊ライトニングチームが占めている。そんなガイヤーが急上昇したかと思うと何かが外れ落ちてくる。ここに!?
「うッソだッろオオオオオオオオオオオオオッ!?」
中心エリア全体への空爆は瞬く間に街を崩壊させレーダーに映る反応が三つだけ残る。
三つ?あ、俺生きてる!?
瓦礫を払いのけ周囲を見渡す。さっきまであった街の風景は一瞬にして瓦礫の山に変わっていた。
「うわぁ・・・・・やるなぁ先輩方。」
反応が三つてことは副隊長も無事なのだろうか?その心配を打ち消すかのように対空射撃を行ってる副隊長が見えた。あれだけの爆撃を受けて傷一つ付いてないなんて硬すぎなのかそれとも副隊長の技量なのか?
無事なのは副隊長だけではない。隊長もまたガイヤーの編隊めがけ空を駆っていた。
空爆を終えて上空を旋回するガイヤーを操作するライトニングチームの隊長マーカスは爆炎立ち込める地上の映像をいぶかしげに眺めていた。
(今の空爆で中央の殆んどは倒せた筈、でも強者揃いの一番隊がこれで倒せるはずはないよな・・・)
「各機は地上を警戒!敵の滞空攻撃をッ!?」
部下に指示を出すより早く燎子が対空砲火しガイヤーを一機、また一機と撃破する。
「全機散開!各エリアに避難し各隊の支持をッ」
「隊長ッオォォォォ!!」
迎撃された時既に遅し!マーカスの操作するガイヤーのメインカメラに映る白い影が画面を光で塗りつぶし操作モニターとのリンクが切れ「LOST」の文字を刻んだ。
「・・・・・はぁ・・・・やっぱり化け物だよ一番隊は・・・・」
演習開始から一分で全体の二割が壊滅した。そのほとんどは折紙と燎子の二人による攻撃が主である。
そんな光景を双眼鏡で観察する各エリアの部隊長たち。
『やはり空爆だけでは鳶一少佐を倒すことはできないか。』
『それだけでなく日下部大尉も健在だ。今回の演習の為にライトニングチームとの協力を仰いだのに足止めにもならんか。』
『開始から一分、脱落者は千七百人。あと四分の間にどれだけ一番隊達を消耗できる事やら・・・』
『問題ない、あと四分間は鳶一少佐は中央を出られない。各部隊と連携し集中砲火を行い随意領域を削げば・・・』
『お、おいあれッ!!』
『『『!!!!!!』』』
『嘘だろおいッ!?』
部隊長達は皆驚き通信を切り自分の部隊に退避指示を出した。
その原因は未だ空中に佇む折紙のとった行動である。
折紙はブラスタークの銃身を外し、クリーヴリーフに直結した。そして両腕を交差しエネルギーをチャージする。
「ちょッ折紙っ!?」
「出るなと言われたが撃つなとは言われてない。だからセーフ。」
「セウトダヨ!!」
燎子の静止も虚しく折紙はチャージを終えたブラスタークを放射しゆっくりと体を回しながら両腕を開いて全エリアの地上を薙ぎ払っていく。直結された砲撃は極太に収束されて巨大な斬撃となり遮蔽物など関係なく切り刻んでゆく。無慈悲なまでの火力が各エリアの部隊を襲う。
ギャアァァァァァァァァァァァッ!!!!!
薙ぎ払い火の海となる外周エリア。誰も予想だにしなかった広域殲滅斬撃「ロプトル・レーギャルン」。ブラスタークとクリーヴリーフを直結させ出力を圧縮・膨張させた魔力を剣状の形で放出する対天使用兵装。
その魔剣が放たれたことは直撃を免れた者たちに大きな動揺を誘った。
その光景を司令室のモニターで見ていたレナルド司令は手で顔を覆い上を向いて落胆していた。
(次の演習、鳶一少佐を外すべきかな・・・)
ブラスタークの連結を解除し折紙は部下の状況を確認する。
(副隊長はいつも通り健在、廃墟エリアへと進行中。彼は・・・よかった、まだ無事みたいね。ッ!)
一颯の無事を確認し一安心したのも束の間、危険を察知し後方に跳び右に防御随意領域を展開する。瞬間折紙がいた所を青い無数の閃光が降り注ぎ防御随意領域に見えない砲弾が直撃した。
「なんで龍咆が防がれんのよッ!!」
「見えないから見えた。」
「意味解んないわよッ!!」
「落ち来なさい鈴さん一筋縄ではいかないとあれだけ言ったはずですわよ?」
「流石は連邦最強の魔術師。攻撃する隙を与えんか。」
折紙を囲うように六機のIS。そのうち黒いISの重砲は折紙の随意領域によりひん曲げられていた。回避と防御の合間に砲身を曲げる卓越された思考能力、この才能が折紙を最強と垂らし込める理由の一つである。
(すでに二人は別エリアに移動したようね。なら心置きなく戦いに専念できる。)
「ッ!来るぞッ!皆構えろ!」
白いISを纏う男「織斑一夏」の号令で武器を構える専用機持ち、対する折紙はゆっくりと息を整え意識を集中する。
刹那!折紙の姿が消えたのと同時に真紅のISを纏う「篠ノ之箒」が地に叩きつけられ「LOST」される。
「「「「「ッ!?」」」」」
一瞬の出来事。二年もの戦闘経験を積んだ彼等ですら対応できなかった圧倒的な力に驚愕するしかなかった。
「さぁ、私達の
折紙「こんにちは遊撃一番隊隊長の鳶一折紙です。」
燎子「副隊長の日下部燎子よ!」
折紙「原作では女子高生として青春を謳歌してるのにまさかの24才大人。(驚愕)」
燎子「私なんてなんかヤバイもの纏ってヒャッハーしてるしどうなってるのこの世界?」
折紙「混乱する暇もなくIS乗り六人と混戦。これは骨が折れる。」
燎子「どの口が言うか!?主人公より主人公して何目指してんのアンタぁ~!!」
次回「新たなる火種」