天草一颯
性別:男
生年月日:不明 22歳
血液型:B型
身長:178㎝
初めて起きた聖罰を受けて唯一生き残った地球連邦の兵士。
真面目で明るい性格で誰かの手助けを出来ることを喜びにしている。本人曰く「他人の幸せは自分の幸せ」らしい。
軍人として市民を守ることをモットーにしており二年前の聖罰は彼にとって大きな傷となっている。
演習開始から三分が経過、たった三分で全体の八割の隊員が脱落し今もなおその数は減っている。
その原因である鳶一折紙は専用機IS五機を相手に眉一つ動かさず一人一人の動きを見て正確な対処をしていた。
(BT兵器、6時4時8時7時の方角から接近。角度・出力から見て回避を想定した
龍咆をピンポイントで防ぎ、四方から来るビットのレーザーをかいくぐり防御随意領域を展開し下から撃っていたラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ「シャルロット・デュノア」に体当たりを仕掛ける。
「うわッ!?」
予想だにしなかった行動に対応が遅れたシャルロットの横脇をかすめ、否!切り刻まれたッ!!
通り過ぎる際に体を回転させクリーヴリーフを当てたようだ。回転の勢いを利用し直角に曲がって急上昇、同時にミサイルをばらまき鈴・シャルロット・セシリアに爆炎の嵐を浴びせた。
「くッ!やはり一筋縄ではいきませんわね。なにより動きが尋常ではないッ!」
「それに攻撃が命中しなかった際の対応が早いッ!」
「箒を不意打ちとはいえ一撃で倒すだけじゃなくあたしの龍砲を的確に防いだり、性能面ではこっちが上なのに何で押されてんのよッ!!」
天使が地球に埋め込んだ楔によりISやリアライザの出力は大幅に失われた。だがそれでも性能はISの方が上、特殊な力の無いPSに劣ると言った状況だ。
だが折紙がISを圧倒してるのも事実である。
「うわぁ・・・凄いですね鳶一さん。織斑君達を相手に被弾一つせず追い込んでます。」
「アレが『事象反転装置』、『ウィル・ドライブ』が引き出した『意志の力』か。」
新設されたIS学園のモニターから演習の光景を見ている山田真耶と織斑千冬。
二年前の融合事変で天使によりIS学園が破壊され連邦に保護された彼らは一時的に連邦の嘱託隊員として働いていた。学園崩壊により多くの生徒が他の学校に転校するなか一部の生徒だけがIS学園の復興の為に努力し今に至った。
「『意志の力』の力ですか?」
「ドクターウィルの提唱した『事象反転理論』に基づき作られた事象反転装置、一部の者には『ウィル・ドライブ』と呼ばれる装置により事実の逆説化が可能になった現代、ノイズなどの常識の通らない存在を無理やり通らせるあの装置の本質はだだノイズを倒すだけのものではない。事象の反転、不可能を可能に変えるあの装置は人の意思を具現化し本来有るはずの無い力を生み出す。鳶一少佐のあの力は彼女の強い意志を『ウィル・ドライブ』が具現化し底上げしたものだ。あれほどの力を体現する強大な意思を持つ彼女が相手だ、同じ装置を組み込んでるとはいえまだまだ小僧共のあいつ等が敵う相手ではない。」
「でも、あれだけの出力を出してるんですよ?流石に自身への負荷がかかるのでは?」
「無いものを有るとする力だぞ?どれだけ強力でも存在しない力に負荷などあったものではない。」
千冬は不敵に笑い言ってのける。
「そんな!?それじゃあ鳶一さんは無敵ってことですかっ!?」
「なに、そうでもないさ。意志を力に変えると言うことならその意思を挫くことが出来れば当然弱まる。・・・・あいつらにそれだけの力があればの話だがな。」
そういい再び観戦に戻る千冬はそれ以上何も言わなかった、真耶もまたなにも聞かずモニターに向き直った。
爆煙が立ち込める空中、目視での確認が出来ない黒煙の中ハイパーセンサーでなんとか折紙を捉えているラウラは四方八方から襲うクリーヴリーフの刃をプラズマ手刀でいなしていた。
「ッぃ!センサーによる動きではない!この動き・・・向こうは私が見えているのかッ!?」
ラウラの言う通り折紙の目にははっきりとラウラの姿が見えている。それだけではない、煙の外にいる一夏たちの姿も捉えている。意志の力で強化された折紙は常人を超えた演算処理能力と人外の域に達した身体能力を持って戦っている。今の彼女は音だけで周囲の状況が解り千里眼のように演習場全体を見渡せることが出来るのだ。
(次の攻撃をしのぐとアンカーを射出し私を遠ざけ仲間に援護させる。なら対応するまでッ!)
「くッ!ええいッ!」
斬撃を受け止めワイヤーブレードを射出し折紙を絡め捕ろうとする。そうすれば折紙が回避し離れると考えセシリアたちの集中砲火で仕留めるという算段だ。だが折紙はワイヤーブレードを軽やかに避け、回避の勢いを利用しラウラを蹴り飛ばす。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
折紙に一直線に突き進む白い影、白式のワンオフアビリティ「零落白夜」を開放した一夏が減速せず切りかかる。
「・・・・ッ!?」
直撃は危険と判断し回避をしようとする折紙だが金縛りにあったように身動きが取れなかった。原因を探し視線を走らせると折紙の後方に先程蹴り飛ばしたはずのラウラが手をかざしていた。
「フッ・・・・いくら強かろうとシュヴァルツェア・レーゲンの停止結界の前でッガっ!?」
勝利を確信し勝ち誇っていたラウラは突然崩れ落ちた。折紙はラウラの頭に随意領域を展開し随意領域内の重力を何倍にも増して圧迫したのだ。いくら完全防御があるISとはいえ意識を刈り取ることは造作もないのだ。
「結界はハイペリオンさえあればいい。」
ラウラの無力化を確認し一夏に向き直る、既に目と鼻の先まで近づき雪片二型を振り下ろしていた。
歯嚙みし防御随意領域を展開し防ぎ切ろうとする。
「無駄だあぁぁァ!!」
「ッ!!」
だが防御随意領域は零落白夜を纏った雪片にいともたやすく切り裂かれ折紙を・・・・
場所は変わり廃墟エリア。ロプトル・レーギャルンの直撃を免れた部隊たちは燎子のクアッドリガの弾幕に襲われ撃破されていた。
「ふぅ・・・・・ここ一帯はもうじき片が付きそうね。ん?」
不審な物音が聞こえ音の方へ向くと黒い軍用外骨格「パワードスケルトン」を纏った兵士「フェンサー」たちがスラスターを吹かしその素早い動きで燎子を包囲した。
(黒いパワードスケルトンにブラストホールスピア・・・てことは)
記憶に該当する情報を基に彼らがどの隊なのか思案している間に一人のフェンサーが接近しスピアを放つ。
だが燎子はその鈍重な図体には見合わない身軽な動きで相手の横に回りパイルナッコの反撃で瞬殺する。
「やっぱりグリムリーパーね!伝説のストーム3の実力是非とも見せてもらいましょうか?」
「フッ。一番隊の死神直々の誘いとは、同じ死神部隊として手は抜けんな!」
グリムリーパーまたの名をストーム3。
レナルドたちとは違う世界のEDFに所属していた部隊。彼らの黒いパワードスケルトンは、「ブラストホールスピア」に特化している。
パワードスケルトンと同時期に開発された恐るべき兵器「ブラストホールスピア」は、物体を爆砕する特殊な槍だ。この武器は、凄まじい破壊力を持つ半面、近距離でしか効果を発揮しない等リスクが高く、グリムリーパー以外には使用者はほとんどいない。融合事変前は常に困難な任務に志願し、捨て身の戦術を駆使する彼らを、兵士たちは死神と恐れられていた。
事変後は第三基地の遊撃部隊として新たな戦場を駆けている。
双方死神と恐れられる者達は顔は見えないがお互いに口角を上げ武器を構える。
そして廃墟に鉄がひしゃげる音が鳴り響く。
さらに場所は変わり工業地帯エリア
一颯視点
隊長の邪魔にならないよう別々に別れたが、演習が始まってまだ三分も満たないのに各隊を壊滅状態に追い込むだけの実力を持つ隊長達には驚きよりも劣等感が勝るな。
新人の自覚はあるがあそこまで強力な力を見せつけらると俺に出来ることなんてあるのか不安になって来る。
ガスッ!
「っ!アンカー!?」
不安を抱くとすぐ周りが見えなくなるのは俺の悪い癖だ。こんな戦場のど真ん中で立ち尽くすなんて愚かの極み!
俺の横脇に刺さったアンカーの先を見るとワイヤーを高速で巻き取り急接近する巨体、「ネルA3」がその剛腕を突き出す。
ネルA3はラウンドハンマーのサブシーケンスとして、新しい戦場のニーズに適合する新しいエンジンとOSを採用し機動性が大幅に向上したモデルだ。近接に特化した機体で驚異的な単発ダメージを発揮する。装備の増加で重くなった機体をロケットアンカーでカバーしている。そんなネルA3の腕に取り付けられてるトンファーみたいな装備「零距離徹甲弾」が俺のヴィンディケーターの胸部装甲に打ち込まれようとしている。不思議なことにその光景がスローモーションのようにゆっくりと進んで見えた。このまま撃ち込まれると大ダメージは免れない。
だが俺は”この程度問題ない”と理解し下手に避けるでもなく直撃を受ける。当然胸部装甲は大爆発実戦なら致命傷だろう、だが撃破交信が無い以上まだ俺はやられたことになってないらしい。なら問題ない、戦おう。
「ウおラアァッァァァァァァァァァッ!!」
残ってるもう片方の肩部防御装甲を引き外しネルA3の頭部目掛けて兜割をくらわす。
頭部のカメラがひしゃげ動きが鈍った所を関節部のところどころに目掛けアサルトライフルを撃つ!どれだけ強固な機体であろうと関節箇所は基本装甲が薄い、そこさえつけばもう敵ではない。
程なくしてネルA3の「LOST」情報が更新され射撃を辞める。そこへ新たな機影、通常型のネルがヘビーマシンガンこちらに狙いを定めて撃ってきた。
「まだだアァァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
装甲を盾代わりに銃弾を防ぎながらブースターを吹かし接近する。装甲から伝わる衝撃からこれはそう長く持たないだろう、かなり危険だがせっかく拝借した武器を腐らせるのは癪だ!ネルにタックルしたのと同時にマグネティックグレネードを射出、装甲に足をかけ近距離からのショットガンをお見舞する。弾の一つがマグネティックグレネードに着弾し大爆発を引き起こす。衝撃を装甲に任せ爆風で離脱、吹っ飛ばされながらネルを見ると無事「LOST」を確認した。
受け身を取りすぐ周囲を見渡し敵がいないことを確認する。これで四機、ノイズたちで見ればまだ四体。これだけ苦戦してたったの四体、これが俺の今の実力か。
うなだれる暇はない、次に向かおう!と思ったが・・・
「なんだアレ?」
上空から地に向かって降り注ぐ薄い緑色の光とミサイルの雨・・・とても現実的な光景じゃない。
それは地上に着弾すると大爆発し演習終了のブザーがなる。
訳が解らないまま演習は終った・・・・・
時は少し遡り中央エリアへ
「ぐッ・・くッ!!」
一夏は折紙の眼前で刀を止めていた。いや、それ以上振り下ろせなかったのだ。
確かに一夏は折紙の随意領域を切り裂き切ろうとした。だが一夏はそれ以上自分の意思で体を動かすことが出来なかった。折紙が展開した随意領域に体を固定され拘束されてしまったのだ。
「貴方のそれがどういうモノか知っている。だから私が守りを固めれば絶対切り裂くと確信できた。なら後は罠を張れば簡単に仕留められる。」
落ち着いた口調で一夏に説明していく折紙。彼女にとってここまでに至るまでの出来事は全て計算通りの結果なのである、むしろ計算通り過ぎて拍子抜けというのが本音だろう。
捕らわれた一夏を助けようと鈴たちが切ったり撃ったりするがハイペリオンの防御随意領域に阻まれ逆に折紙のミサイルを喰らう始末だ。
ハイペリオンの防御随意領域はシールドの位相がモノフェーズ化※しており展開中であっても折紙からの攻撃はすり抜ける。※本来、物質の位相(フェーズ)は表と裏の両側で対になっているのだが、この防御随意領域では単位相化されているので裏面が存在しない(捕縛用は表と裏がある)。このおかげで自分からの攻撃は一方的に行えるのである。
「貴方たちに時間をかけている暇はない。私は隊長としての責任がある!」
ブラスタークの標準を一夏に設定しゼロ距離で発射する。これには「OVERKILL」の表記が出たとか出なかったとか・・・・・
ピィィィィィィ!!
折紙の通信機に五分経過のアラームが鳴る。折紙のエリア制限が解かれたのだ。
「五分・・・経過。終わらせる。」
折紙は捕縛用随意領域で鈴たちを捕らえ、急上昇する。演習場全てを見渡せる高度に達し見下ろす折紙は体制を整えヘッドギアの一部が変形、バイザーを展開しターゲットモニターを投影する。
モニターにはレーダーに表示される各部隊の光点が映し出され、それが一つまた一つとマルチロックされる。
「ターゲット、マルチロック。クリーヴリーフをブラスターモードに移行。ブラスターク最大出力。全砲門開放。ハイマットフルバースト、ディスチャージッ!!」
アリス・リコリスの全武装を開放し一斉掃射する。魔力砲とミサイルはロックした対象に向け雨のように降り注ぎ地上を焼き払ってゆく。狙いは正確、魔力砲とミサイルは余すことなく地上の各部隊を射抜き撃破していく。やがてバイザーに映る光点は完全になくなり演習終了のブザーが鳴る。
「ハァ・・・はぁ・・ふぅ・・・彼は・・・・」
自分の持ちうる全てを乗せた砲撃を撃ち尽くした折紙は先程までの冷静沈着な姿はなく疲労困憊によるくたびれた姿だけだった。だがそれも一瞬の事、息を整えていつもの無表情に近い平静の顔に戻る。
地上は瓦礫とクレーターだらけの大地が広がり煙と炎がフィールドを埋め尽くし上空から一颯を確認する事は出来なかった。代わりに廃墟エリアに目立つ大きな物体を目視で確認した。
『ふぅ・・・・なんとか折紙が撃つ前に仕留められたけど・・・流石グリムリーパーの隊長。私のクアッドリガにかすり傷をつけるなんて、流石と言わざるを得ないわね。』
廃墟エリアの一角、死神同士がぶつかり合った結果木々は折られ建物は瓦礫に変わり地面は無数の杭の後と薬莢が散らばっていた。その中央に鎮座する要塞(燎子)は右腕に付けられた一筋の傷を感慨深く見て笑っていた。
燎子の周りはパイルナッコに殴られ吹き飛ばされたグリムリーパー隊が倒れ伏している。
そこへ白い飛行要塞(折紙)が降りて燎子と合流する。
「副隊長。そっちは?」
『問題ないわよ。最後は歴戦の猛者がいたけどかすり傷で済んだわ。』
「そう・・・彼は?」
『コールはしてるけど一向に繋がらないわ。もしかしたら・・・』
演習が終了しコールを続けていた燎子の話を聞いて折紙の顔に動揺の影が現れる。
『ザザ・・・・・ゲホッ・・・ジッ・ジィ――・・・ゴホッ!嗚呼・・・隊長・副隊長、一颯です。こちらはなんとか無事です。エホッ!爆風で瓦礫の下敷きなってましたが、なんとか生き残りました・・・』
「ッ!・・・・そう、よく頑張ったわ。」
不穏な空気を打ち消すように一颯からの通信が繋がった。それを聞いた燎子は喜び、折紙は一瞬驚きの表情を見せすぐ無表情に戻り安堵の溜息を漏らす。その顔はどことなく笑っているようだった。
演習開始五分。開始当時のボリューム満載な演習会場は五分で更地と化した。
その現実に大きくため息を吐くレナルド司令。
「次からは一番隊は外そう。これでは演習ではなく蹂躙だ。」
「司令、ちょっとよろしいでしょうか?」
うつむいている司令に声をかける男性が手に持った資料を渡しある話を持ち掛ける。
一颯視点
演習が終わり第三基地格納庫で各々がPSをメンテしたりフォーメーションの話し合いや別の隊と戯れたりとみんなが自由に体を休めていた。一番隊もまた自慢の装備の・・・・
「クリーヴリーフのブラスターモードにいくつかの不具合があった。次の戦闘までに万全の状態にしておかないと。」
「シージキャノンの挙動が悪いわね。あと機動力がまだまだ低い!スラスターの出力を上げないと駄目かしら?折紙レンチちょうだい!一度オーバーホールしないとエナジーコアが爆発しかねない!」
「こっちも手が離せない。とるなら自分でやって!こっちもウィル・ドライブに無理をさせ過ぎた。新しいのと取り換えないと!」
自分の装備を自分でメンテしている。凄まじい剣幕にとても話しかける状況ではない。
「折紙さん、燎子さん。一度手を止めていただけますか?」
いつの間にか俺の横にいた男が勇敢にも隊長達に声をかけた!全く気配を感じなかった・・・
「岩動(イスルギ)さん。新たな任務?」
「えぇ、最高司令部から直々の御依頼です。詳しくは司令部でお話しますのでご同行お願いします。」
さっきまで整備に熱を出していた隊長達が一瞬で作業を打ち切り彼の指示に従う。この人は一体?
「あ、一颯さんですね。初めての演習お疲れ様です。岩動惣一(イスルギソウイチ)と言います。第三基地の諜報部員で連邦総司令部の仲介人を兼任しております。」
「はッ!天草一颯一等兵です!知らぬとはいえ挨拶もせず失礼しましたッ!」
まさか諜報の方であったとは思わなかった。改めて見ると細型の体型の割に纏う空気というのかとても俺が挑んでも勝てるとは思えないのが解る。
「岩動さんはシーア派暗殺教団の探求者でその技術は並の者では到底敵うものではない。」
「すいません心読むのやめてもらえませんか?」
「ハハハ・・・」
隊長との茶番に岩動さんは苦笑いをするしかなく大変申し訳なく思う。作業を一時切り上げ俺達は司令部に向けて足を運ぶ。
司令部に入ると俺達以外に別の隊もいた。どの方も並々ならぬ実力者の風格を感じる。
「一番隊・ブラスト小隊無事揃ったな。」
ブラスト小隊。レナルド司令と同じ世界のEDF隊員でレナルド司令直属の部隊と前に聞いたことがある。
なんでも宇宙人の侵略を防いだ伝説の部隊をか、そんな精鋭も一緒とは総司令部の依頼とはとても重大なのだろう。
「今回君たちを呼んだのは開発研究局局長、つまりウィルアイン博士が開発した新型PSの性能実験をこの第三基地で行うことが決定した。君たちはその新型機の護衛と実験に参加してもらう。それが総司令部からの命令だ。新型機はブラスト小隊隊長タクマ・ヤガミ中佐に装着してもらう。一番隊は実験が終了するまで周辺の警護にあたってくれ。」
「それにしてもその新型って一体どんなもんなんですかねぇ?わざわざ一番隊に警護させるなんてとても重要なもんなんでしょう?」
「黙らないかマイクッ!司令の前だぞ。」
「へいへい解りましたよブレンダ分隊長殿。」
「あの、一つ質問よろしいでしょうか?」
「「「「「「ん?」」」」」」
さすがブラスト小隊というべきか基地の最高責任者の前でよくあんなにフランクに話せるものだなぁとおもった矢先俺はある疑問を抱いて挙手をした。
「どうした天草一等兵。」
「護衛と言うことは襲撃される恐れがあるのでしょうか?」
司令のいう内容を聞くかぎり搬入される新型PSを誰かが強奪するように聞こえた。わざわざ一番隊に警護させる辺りその線は濃厚だと思う。
「あぁそうだ。なんでもその新型にはいまの戦況を大きく覆すだけの性能があるそうだ。そのことは既にシンジケートの耳に入っているとウィル博士は予測している。」
「シンジケート?」
「融合事変で各国・各組織が解体され地球連邦が設立されたように反政府組織やテロリストが一つの組織として手を組んだのがシンジケートだ。今わかる勢力では『鋼鉄の黎明(スティールドーン)』を筆頭に『亡国機業(ファントムタスク)』や多くの非合法武装組織が結託しているらしい。奴らは連邦の一個中隊に張り合えるほどの軍事力を備え諜報部の調査を巧みに掻い潜りその構成すら把握できていない。恐らく奴らを支援する多数の社会団体があると思える。奴らにとっても新型PSは貴重でありこの性能実験を狙ってくる可能性は高い。とウィル博士は予測している。」
「また予測ですか?」
「ウィル博士はあらゆる事態を予測する癖があるんだ。それで助かったことが多々合ったから信憑性が高いと言えば高いんだ。」
「世界がこんな状況なのに人間同士で争うなんて・・・・」
「彼等のような争いをビジネスにする連中は国同士の戦争や紛争を収めた連邦が邪魔な存在としてみている。私利私欲に塗れた彼等にはノイズなどの脅威はどうでもいいの。」
「鳶一少佐の言う通り彼らは連邦の打倒を目指していると見ていいだろう。現に摘発しているの米国復権派の勢力が増したという報告を受けている程だ。連邦、ひいては人類の未来の為にも新型PSはなんとしても守らねばならん!明日には搬入され準備が出来次第開始する。各隊は万全を期して待機せよ。解散!」
司令に敬礼をし司令部を出ていく。頭で理解しても複雑な物だ。天使やノイズという共通の敵がいるのに人間同士で争ってる場合ではないだろう。なぜ人は一つにまとまれないのだろう?あの地獄が起きたのに私欲を優先させるなんて間違っている!もしそんな彼等を相手に俺は戦えるのだろうか?軍人は市民を守る楯、犯罪者とはいえ人を傷つける事に抵抗を感じないだろうか?
今の俺には答えが出ない・・・・・
同時刻某所
暗い格納庫の中に二人の男がいる。白い髪の男が赤い髪の男に歩み寄り声をかける。
「ヴォルフェス、機体の調子はどうだ?」
ヴォルフェスと呼ばれた男は自分の物と思えるPSのチューニングをおこなっていた。
「ようグレア!次の作戦は大仕事だからな、いつも以上に絶好調だぜ!そっちこそ機体の点検しなくていいのかよ?作戦の要はお前なんだぞ。」
「どうせ新型に乗り換えるんだ。いまさら調整する必要なんてねぇよちょろくせぇ。」
グレアと呼ばれた男は両腕を広げヤレヤレと首を振った。
「もうすぐ作戦が実行されるわけだが亡国機業の奴等役に立つのかねぇ?蜘蛛女が大見得切ってたがありゃ絶対フラグだぞ。」
「気にしても仕方ねぇだろ。それよりディセンダーから指示があったんだろ?」
「あぁ。例の『神聖異物』て奴を成功後受け取ることになる。その為にもこの作戦は絶対に成功させるぞ!お互いの目的の為にもな?」
「あぁ!期待してるぜ相棒!」
ヴォルフェスとグレアはお互いの腕をかけ健闘を祈った。
鈴「ようやく出番が来たと思ったのに噛ませ犬のあつかいはなんなのよ!」
セシリア「鈴さんは単調すぎるんですのよ。わたくしのように善戦出来てこそ役は生えるというものですわ!」
箒「私なぞ一言もしゃべられないまま退場されたぞ!」
鈴「こうなったらあたしたちの活躍を記録した話にすり替えてタイトルを乗っと、」
コンコン
ラウラ「おっと、誰か来たようだ。」
次回「極彩色の盾」