ユニゾン・ワールド   作:新人ガイア

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鳶一折紙

年齢:24才

身長:158㎝

好きな物:知らない筈の誰か・ギター
嫌いな物:二年前の自分
スリーサイズ:黙秘

二年前の総力戦で初めて天使を討伐した女性。
一番隊の隊長になってから多くの部下を失い表情を表に出すのが下手になった。
もう部下を死なせない為に研鑽を積み連邦最強の一角を担う一人となった。
学生時代にゴスロリの教師に半ば強引にバンドをやらされ今では趣味でギターを嗜む。
時々知るはずの無い男性の記憶が頭に流れることがあるらしい。


第三話「極彩色の盾」

第三基地には隊員一人一人に部屋が与えられ大体四畳半の広さがる。

一颯もまた自分の部屋の真ん中で仰向けに寝て天井を眺めていた。

 

(明日は新型パワードスーツの性能実験が行われる。テロリストの襲撃も予測され警戒しなければいけない・・・・か。)

 

「演習の時とは違い命を奪い合う事になるのは嫌だな・・・誰かを守る為に誰かを傷つける・・・・矛盾してるな俺。」

 

(いや、迷えばそれだけ誰かが傷つく。なら迷うな。相手は人を人と思わない虎狼の輩。情けは無用なんだ。)

 

「へいきへっちゃら。へいきへっちゃら。へいきへっちゃら。・・・・・・スゥ・・・・はぁ・・・・」

 

おまじないを口ずさみ呼吸を整え、一瞬で眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

部屋のロックが解除され扉が開き小さな影が入っていく。そしてゆっくりと扉は閉まる。

 

 

 

 

 

 

お腹に伝わる重みと首すじが引っ張られる感覚に違和感を感じ目を覚ましてしまった。

違和感のもとであるお腹に視線を下ろすと見慣れない子供が猫のように丸まって俺のドッグタグ(待機状態のヴィンディケーター)を掴み眠っていた。

・・・・・・セキュリティがゆるい。という場合ではないか。

 

「君、君!悪いが起きてくれ。ここは関係者以外立ち入り禁止の軍施設だぞ?不法侵入で逮捕されるぞ。」

 

とりあえず体をゆすり罪状を述べてみた。こういう場合どう対処すればいいのだろう?

 

「ククッw見知らぬ幼女が眠っていてかける言葉がそれか?なんとも華が無いのうお主。」

 

見た目の予想を超える貫録を感じさせる口調に驚いてしまった。

 

「ふ~む、経験不足は否めないが意思は及第点と言ったところよな。これからの成長が楽しみだ。」

 

一人で勝手に満足してドッグタグから手を放しお腹から降りる幼女?はスタスタと部屋の出入り口に向かって・・・

 

「て、そこを動くなッ!」

 

状況に流されて不審者を逃すところだった!すぐ上体を起こし臨戦態勢をとる。

 

「ククッwそう怖い顔をするな一颯一等兵。私はここにいるおじさまに会いに来た一応の関係者さ。まぁもっとも、いまはまだ部外者だがなッ!!」

「っ!?」

 

幼女は懐から取り出した物体を投げると閃光がはしり俺の目を襲う。スタングレネードなんて持ってるなんていよいよ怪しい!扉の開く音が聞こえた幼女が部屋を出たのだろう。目はまだくらんでおり音を頼りに走る。手探りで部屋を出るころにはようやく視界も回復し廊下を確認する。

既に廊下に幼女の姿はない。逃げられたか、急いでこのことを司令に報告しなければいけない!不審者は見た目と違い武装してるおそれ・・・・・まてよ?

武装した幼女のことを報告して果たして誰が信じる?絶対寝ぼけていたと思われ笑われて終わる!!・・・ダラダラと汗も出てきた。

少し思案し起きた現実が非現実的なことだと悟り、俺は考えるのをやめ部屋に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

「もうすぐ作戦が始まるな。」

「あぁ。囮と陽動はいつでも使用が可能だ。それに捨て駒たちが長く持たせてくれればオレの任務成功率が上がる。もしもの時はお前が奴らを足止めしてくれ。それとだがヴォルフェス。」

「ん?なんだ?」

「あまりシンジケートにいるのは危険だ。この組織は何かがおかしい。ディセンダーが提供した神性異物『束の頭脳』で組織の装備も強くなったがただのテロ組織にしては化学技術が高すぎる。ゼクサの野郎もディセンダーの思想に崇拝していやがるしどうもきな臭い。お前の愛機が出来上がったら手を引くべきだ。このままは奴らと一緒にいると絶対ろくなことにならないぞ。」

「はぁ・・・お前なぁ。俺が手を切れねぇ理由知ってるだろ?俺には奴らの力が必要なんだ。お前だって自分の目的があるだろ?今さら後には引けねぇ、俺達がやらなきゃいけないんだ!」

 

組織の異質さに気付いているグレアは信頼できる相棒の身を案じるがヴォルフェスの意志は揺らぎなくけして引くことは無い。

 

「だがな!それを利用するのが奴らのやり方だろうがッ!俺達の目的が奴らにつぶされ‘あイタッ!?なにすんだッ!!」

 

必死にヴォルフェスを説得しようとしたら眉間にデコピンをくらわされた。

 

「ハッ!オレより賢いからって優位に立ったとのぼせ上がんな!そういう時はお前が何とかすんだろ参謀殿?」

「・・・参謀になった覚えはねぇんだが・・・・はぁ、いやな役目はいつも俺だ。」

 

ため息を吐きながらヴォルフェスと嗤い合い説得の件をなかったことにする二人。紅炎と業火の双炎は互いに違う目的を持とうと決して消せぬ絆があった。

そんな彼等の通信機に特殊通信がはいる。

 

[email protected],h@;3,jmuhxhpy00qq@aib4s@4p9.』

 

暗号化された通信を受け二人は作戦行動の準備を始める。

 

「目的は新型パワードスーツの強奪、既にタネは仕込んでおいた。後は計画通り事が進めば儲けもんだが足が着くのは避けらないのだろう。」

「お前の作戦は雑に見えて計算されてるから解りずれぇんだよ。最終的自爆はなしだかんな!」

「自爆の何が駄目なのは置いといて陳宮の兵法は偉大なんだぞ!」

 

芸術が爆発では偉大も何もないのではとヴォルフェスは思ったが口にすれば「効率的だろ?」と言うに決まってると諦めた。

 

作戦実行まであと十五分

 

 

 

 

 

 

時間は遡り第三基地の格納庫の一つ、搬入される物資の列を観察する一颯は一緒に搬送される新型PSを見つけて考えていた。

 

「新型て意外と軽装なんですね。」

 

従来のメカらしい角ばった物と違い全体的に丸みを帯びた機体。銀色の装甲に赤いラインが特徴的の新型PSは紫のスリットアイから光を発し装甲の隙間に流れ全体に広がりまた目から光を全体に廻らせるを繰り返している。

アイ〇ンマンとウ〇トロンを掛け合わせてような見た目はどこかおぞましさすら感じさせる。

 

「回収したスコージャーのデータを基に開発されたのでそれに近い見た目になっているんです。侵略兵器の解析・研究は前から進んでいましたが融合事変の騒動でそれどころではない状況が続き開発に時間が掛かってしまいましたからね。ですがその分期待に見合う性能を発揮してくれますよこの『スコートロン』は。」

 

物資の搬入を担当する隊員が手元のタブレットを操作し自信満々に説明する。スコージャーのデータから作られたPSだからスコートロン、実に単純な命名だ。

 

「武装が見当たらないのですがどんな武器を使うんですか?」

「スコートロンの武装は内蔵式で手のひらから発射されるパルスレーザー、指先にエネルギーを収束させ刃を形成する機能もあります。あと胸部装甲に内蔵された高出力ビーム砲の二つがメインですね。」

 

隊員は新型の性能を誇らしげに説明するが一颯はどうも納得がいかなかった。

今の現況を変える新型という割には武装が少なすぎるのだ。性能が良くてもそれだけでノイズや天使、いつか戻ってくるかもしれない宇宙人の相手をするにはどうも得心がいかない。

彼にはあの新型は言うほどの力が無いと思えてならなかッた。なにせ彼の隊長と副隊長がそれ以上の力を見せていたからだ。その力をフルに発揮できるよう自分でカスタマイズしてるのをよく理解している。

いろいろと思うところはあるがもうじきブラスト小隊の装備点検が始める為その場を離れることにした。

 

 

 

 

 

格納庫からⅢブロック離れた訓練広場にブラストの人たちが自分が携帯する武器の点検を行っていた。

広場というだけにこれと言って設備があるわけではなくコンクリートと土の台地が広がる場所であった。

 

「ご苦労様です!」

 

ブラスト小隊の皆さんに見える位置に移動しビシッと敬礼をする。

 

「よう新入り!お前も武器の点件に来たのか?」

 

フランクに声をかけるマイクさん、結構気分屋な所があるがどこか熱い一面もある第二分隊長だ。

 

「いえ、自分のは既に調整が済まされているのでこのままブラスト小隊に合流しました!」

「合流て実験が始まるのはまだ決まっていないぞ?そっちの隊長達はどうした?」

「隊長達は自分の装備を調整しておりまだ来れません。」

 

演習後から隊長達は愛機の点検の点検に続く点検を繰り返し未だ本人たちの望む万全の状態にならず時間が掛かっていた。

 

「へぇ~ならオレの武器視てくんない?こう多いと時間掛かってさぁ。」

「あんたの場合めんどくさいだけだろ?」

「おいおいそりゃないぜ。」

 

ハハハと笑い合うブラスト小隊、とても微笑ましく仲間とはこういうモノなのだなとおもう。いや俺もこの基地の仲間なんだ。なら俺も仲間として手助けをしよう!

 

「俺でよければやらせてください!幸いPAギアを使ったことがあるのである程度の装備なら視れます。」

「マジ!いやホント助かるわ!!」

「あんた、無理に付き合わなくていいんだよ?こいつは昔からこうだから付き合うだけ疲れるわよ。」

「大丈夫です、現在絶賛手持無沙汰中なのでむしろ手伝わせてください!」

 

いやしかしなとブレンダ第一分隊長が心配するが笑顔で応え納得させた。

マイクさんの装備を点検して思うが精鋭部隊の割には使用するのは通常隊員が使用する普通の武器と変わらないんだなぁ。

 

「天草一等兵、PAギアを使ったことがあると言ったがそれはいつのことだ?」

「はい、二年前の総力戦が初陣でその時に」

 

―――――あ

 

「二年前ってあの?」

「・・・えぇ、人類が初めての聖罰を受けたあの日、市民の避難誘導を担当してました。」

 

そのことを話すとブラストの皆の顔色が悪くなった。当然だよな、あの出来事は人類にとって大きな傷をつけたんだから。

 

「人類初の聖罰。北アメリカとその周辺の国を巻き込んだ大災害、大陸一つを飲み込んだ光は一瞬にして人間の痕跡を消したと言われその死者は約六億人を超えたと聞く。この出来事によりアメリカは完全に壊滅した。聖罰を受けた土地は地面からあふれ出る高純度のエネルギー《マナ》に満たされ”人間”だけが生きるのを否定された世界となった。マナに満たされた場所は神秘に包まれたような景色に変り『聖域』とまで言われているそうだ。」

 

タクマさんの言う通り、あの世界は聖域と言っていい程人を否定した場所だった。大地からあふれ出る光の玉《マナ》、それが天に昇って世界を温かく照らす世界は一切の不純物を取り除いた綺麗すぎる世界だ。そんな世界に何故俺だけが生きられたのか?解らない。だが解ることはあんなこと繰り返してはいけないことだけは確かだ。

 

「あの件で君も辛い思いをしたと聞く。」

「もう過ぎたことです。大事なのはこれからどうするかですよ。人類はまだ生きている、ならば今を・」

 

言い終える前にヴォンという音が俺達の真上から聞こえみな上を見上げる。上空には白い機械が浮いていた。

俺を含む皆少しの間思考が止まったがすぐに状況を理解し武器を取り戦闘態勢をとる。俺も遅れてヴィンディケーターを纏いアサルトライフルの標準を飛行物体に合わせる。あれは資料にあったアグレッサーの

 

「こちらブラストリーダー!上空にアグレッサーのアタックポッドが出現した!司令部、支持を頼む!!」

 

そう自立稼働し空中から人間を襲う殺戮兵器、黒いタイプもいるらしくそっちの方が脅威らしい。アグレッサーを追い出し機能を停止したはずなのになぜ動いている!?

そうこうしてる間にアタックポッドはどんどん転送され数が増えていく。

 

『こちら司令部、オペレーターのメイヴです!状況は確認しました。直ちに撃破してください!』

「了解!天草一等兵!緊急事態だ、指揮系統を一時的に「了解!!」・・・総員攻撃開始!!」

 

いくら俺でも現状くらいわかる。いまはタクマ隊長の指示に従い侵略兵器を破壊する!

標準を合わせ引き金を引く、手持ちのアサルトライフルは弾丸が毎秒五十発発射されその弾がポッドの装甲を貫き爆発する。既に攻撃態勢に移ってるポッドがパルスレーザーをばらまき俺達に襲い掛かる。

 

「あぶねッ!」

「油断するな!ギアを纏っているとはいえ当たればただではすまないぞ!」

「くっ!ちょこまかとッ!」

「天草落ち着け!攻撃時はこちらを狙い動きが鈍る、そこを狙え!!」

「了解!」

 

ワープしたと勘違いする程の超高速移動でこちらをかく乱するポッド、だがタクマ隊長の言う通り攻撃時はこちらに標準を合わせるために移動速度を落としている。

敵の攻撃を避け・守りチャンスをうかがい的確に落とす!

徐々に援軍が此処に集まりポッドの数が瞬く間に減り出現から五分足らずで全滅出来た。同時に司令部から通信が入った。

 

『上空からそちらに飛来する物体を多数検知しました!注意してください!!』

 

俺達はすぐに空を見る上空に黒い点がいくつも見えそれが徐々に大きくなっていく。

 

「お、おいアレってッ!?」

「プライマーのテレポーテーション・アンカーだとッ!?」

 

タクマ隊長達とは違う世界のEDFが戦った異星人「プライマー」の転送装置。その金色の柱が目視出来るだけで十六本もここに向かって落ちてくる!その一本の軌道がが俺のいる場所に向かって落ちてくる!!

 

「う、ウッオォォォォォッ!?」

 

間一髪飛びのき押しつぶされるのを回避したが落下の衝撃で数メートル吹っ飛ばされる。

 

「大丈夫か天草!」

「問題ありません!皆さんの方は無事ですか?」

「他の隊が数名負傷したが問題ない!それより気を付けろ、アレが本物なら・・・」

 

アンカーの方を見やり頭頂部の宝石のようなモノが光り巨大なアリやカブトムシみたいなゲテモノが無尽蔵に転送されて来た。特にカブトムシの化け物は体のところどころを機械でつなぎ合わされ紫色の血を吹き出しながら単眼をぎょろぎょろと動かしていた。物凄く気持ち悪いッ!!

 

「各隊は巨大生物を狙え!俺達はアンカーの撃破をsッ!!」

「なッこいつ等は!?」

 

タクマ隊長が指示を出すが敵はさらなる先手を打って落ちてきた。

先程新型PSの資料で見た人型兵器「スコージャー」と金色の継ぎ接ぎ装甲を纏った巨人がライフルらしき武器を持ち落ちてきたのだ!よく見たら巨人の方は体のところどころに電極らしき装置が刺さっており定期的に電気を発している。

巨人たちは操り人形のようにガクンガクンと関節をあり得ない方向に曲げながら各隊に武器の標準を合わせ、スコージャーもまた油の切れた機械のようにギギギッと音を鳴らし腕の銃口を向ける。

 

「ッ各隊はそのまま巨大生物を撃破しろ!俺達は巨人どもの相手をする、天草一等兵!」

「!はいッ!!」

「お前はテレポーテーション・アンカーの破壊をしてくれ!」

「俺がですか!?」

「俺達が全力でお前を守る!その間に素早く破壊しろ!これは命令だッ!!」

 

なんて無理難題を新兵に任せるんだ!!だがやるしかない!アンカーがある限り巨大生物を送り続ける。たとえそうじゃなくてもこれ以上増えるのは良くない。

 

「わかりました!ブラスト小隊の皆さんにご武運を!!」

 

アサルトライフルを握り直しアンカーにみけてスラスターを吹かす。

アリとカブトムシじゃなくラズニード・ラーヴァ?の大群のうち数匹が俺に狙いを定め群がって来る。

だがその群れ左右から弾丸が放たれ奴らを襲い動きを止める。

 

「お前等の相手はそいつじゃないだろ?」

「今のうちにアンカーを叩け!」

「はい!」

 

マイクさんとブレンダさんの援護に感謝しつつライフルの射程距離まで近づきアンカーの頭頂部を撃つ!

転送装置に弾丸が当たるがひびが入る程度の損傷が続き次第に大きなカケラが飛び散るよになって三つ目のマガジンをリロードし終わり撃ちだしてようやく一本破壊出来た。一本破壊するまでに他のアンカーからとめどなく巨大生物を転送している。このままでは埒が明かない・・・・

思考を切り替え次のアンカーに向かいまたライフルを発射する・・・・・が弾が途中から出なくなった!

 

「ッこんな時にジャム!?」

 

いけない急がないとと思うと手元が狂い中々薬莢を取り外せない・・・こんなことで時間をかけている場合ではないのに!次第に最悪な結末を想像してしまう。駄目だダメだだめだ!!

なにか手はないか?最速で最短でなおかつあの硬い装置を破壊する手は・・・あ!

 

「くおォらッアアアア!!」

 

思い立ったら吉日!左肩の防御装甲を引き千切りスラスターを点火し急上昇、アンカーの頭上にいたり急降下して装甲を垂直に維持しながらダンクシュートのように振り下ろす!ただでさえ硬い装甲、面積が薄い側面ならなおのこと固く推進力に乗った装甲はアンカーの装甲を貫く。駄目押しで殴りつけると装置の中枢を砕いたのか嫌な音がしたので急いで装甲を引き抜き盾の要領で防御態勢をとる。

ワンテンポ遅れアンカーが大爆発し爆風に吹き飛ばされる。その勢いを利用して近場のアンカーに狙いを絞り同じ方法でぶったき破壊する!!

 

「うん、とても扱いやすい。これならいける!!」

 

チマチマ撃つより早い、この方法で一気に終わらせる!!

 

 

 

 

 

 

 

 

防御装甲でぶん殴る光景を見ていたブラスト小隊は皆々呆れと関心の表情で笑みを浮かべていた。

 

「あいつ、また装甲で殴ってるぞ。」

「《盾殴り》・・・一番隊らしい常識はずれなやり方だな。」

「隊長!敵の増援です!」

「お前たち!天草がアンカーを壊している、一匹たりとも天草に近づけさせるな!!」

「「「了解!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第三基地の戦闘をモニターで確認しているグレアは顎に手をあて思案する。

 

「・・・・・囮に獲物が引っ掛かり動ける部隊が誘われたか。いかに二万の兵力とはいえど全隊が常に基地にいるわけではない。今いるのが奴らの最高戦力か・・・・噂の一番隊が出て無いのは気がかりだが問題ないか。」

 

アンカーがまた破壊され巨人たちの数が減ってもなおグレアの顔は笑っていた。

 

「囮の役目はもうじき終わるか・・・・・なら次は”陽動”だ。この陽動に作戦成功率が大きく左右される。・・・・・・・・・・・・まぁ成功しようとしまいと目的は果たされるんだがな・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すおりゃああああああァアアア!!」

 

装甲がアンカーに突き刺さり爆発、爆風を防いで次に行く。これで十二本目、八本目あたりから装甲に限界がきて突き刺さる途中で折れてしまった。諦めて右肩の装甲を引き千切り破壊作業を再開し今に至る。

上昇して急降下し勢いつけて装甲を突き刺す、この工程を続けて少しコツを掴んできた。

装置の核は上から二メートル横三メートルの位置にあり真上から勢いよくぶっ刺せば装置内の機材をを押し込み核を押しつぶすようだ。

俺の防御装甲は大体一メートル。ほぼ刺されば後は押し込まれた機材が核を潰してくれる。もしだめなら装甲を殴ってしまえばいいだけだ。

また一つアンカーを破壊しあと三つ、転送された巨大生物の数は確実に減っている。振ってきた巨人たちも各隊の奮闘で目で数えるほどだ。しかしあのコスモノーツ達はなんなんだろうか?電極の電流で動かされているというよりは無理やり動いているような、それはラズニード・ラーヴァにも言える。あっちも体についている機械で無理やり動かされているような気がする、現に単眼の目は明後日の方向を見て体液をドバドバ出している。

まさかどっちも死骸から電流を流して動かしてるのか!?

そもそも今俺達は何と戦っているのか?

アグレッサー?プライマー?いやだとしたら自分たちの同胞をあんな風に使わない筈だ。

ではシンジケートなのか?だとしたら奴らはエイリアン共の技術を手に入れてるのか?

考えても答えは出ない。現状だけの情報だけでは少なすぎる。それに今俺がやることはアンカーの破壊だ、集中しろ俺!

考えながらやってる間にあと一本!スラスターを最大まで吹かしアンカーに迫る。

だが俺とアンカーの間に割り込むようにスコージャーが現れた!

 

「邪魔だぁあアア!!」

 

さらに加速してスコージャーに迫ろうとする。だがスコージャーの体に一筋の縦線が引かれたと思ったら左右に真っ二つに裂け俺はその間を通り越してしまった。何が起きたのかと疑問に思ったらスコージャーの残骸の後ろから白い大きな機体が見えた。それは最近見てそしてよく知っているものだ!

 

「鳶一隊長!!」

「そのまま飛んで、君のやるべきことを果たしなさい!」

「了解ッ!!」

 

隊長のクリーヴリーフから魔力刃が出ている、あれでスコージャーを両断したのだろう。もっとも頼もしい人の参戦、これほど不安を吹き飛ばす要因はない!迷いを吹っ切り手に持つ装甲に力を込めてアンカー目掛けてダンクシュート!最後だから余すことなく装甲を限界まで押し込む!!刹那大爆発!!

 

「勢いつけ過ぎたぁあああアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

加減を考えずにぶっ刺したから爆発の時間を早めてしまったみたいだ。衝撃をもろに喰らい体全体に痛みが走り爆炎で装甲が焼かれ物凄く熱いッ!!

 

「アチャチャチャチャチャチャチャ!!」

 

ふっ飛ばされて地面をのたうちまわり必死でPSについた火を鎮火する。きっと機体のダメージは火より地面を転げまわった摩擦が多いと思う。

 

「なにやってんのアンタ…」

 

自分の醜態を恥じていると茶色と黒の戦車みたいなこれまた見慣れたロボモドキPSを纏った日下部副隊長が俺を見下ろしている(この機体デカすぎるから顔がどこなのか見当がつかないが視線を感じるので多分見下ろしている)。

 

「あ、副隊長。整備終ったんですね。」

「全然よ!いきなり敵襲が来るから急場しのぎ見繕ってで出向いてきたのよ。」

 

「はぁ」とため息を吐き愚痴をこぼす副隊長。よく見たら機銃がいくつか取り外されて主砲のシージキャノンが二門ともなかった。隊長のリコリスも鉄壁を誇るハイペリオンを取り外し以前よりスマートに見える(目の錯覚です)。

周囲を見渡してみると既に巨大生物と巨人は倒れ動く奴は一匹もいなかった。なんとか勝ったんだな・・・・

 

『こちら司令部!気をつけてください、さらに上空から飛来する物体を確認。これは・・・・ミサイルですッ!』

 

ッまだ来るのか!三度空を見上げるとブースターから勢いよく火を噴き地上に目掛けて飛んでくる大型のミサイルが五つ。機体が弾道予測を算出し着弾地点を予測する。

 

「総員!衝撃に備えろッ!!」

 

タクマ隊長の号令でみなが動く。鳶一隊長はミサイルに向かい合いブラスタークを起動する。

 

「撃ち落とす!」

 

この基地であの大型ミサイルを破壊できるのは隊長の大火力兵装しか他ならない。

チャージが完了したブラスタークから放たれる魔力が五発のうちの一つに向かって進みそして・・・・魔力が霧散した。いやなにかにぶつかり行き場を失い弾けたというのが正しい。ヴィンディケーターのカメラを拡大させ見てみるとミサイルの先端近くについている装置が光の壁を形成しそれが隊長の魔力砲を無効化したと見える。

 

「アレは・・・・」

「シールドベアラーの防御フィールドだと!?」

 

周りのみんながどよめきだす、当然だエイリアンの襲撃に驚かされこんどは人間の兵器にエイリアンの技術が利用されている。間違いない、この襲撃は人為的な物だ!しかも連邦よりエイリアンの研究が進んでいる。こんなことが出来る組織がいるとしたら・・・

 

「くッ!間に合わない!!」

「総員伏せろぉッ!!」

 

鳶一隊長の迎撃も虚しくミサイルは隊長の横を通過してしまう。そしてここに向かってなお加速する。既に皆着弾予測地点から退避しており着弾の衝撃に備えるべく身をかがめる。

そして広場の中心部に五発のミサイルが着弾し・・・・爆発せず土煙と加速による衝撃波がとんでくる。

程なくして土煙はやみゆっくりとたちあがる俺達の前に五発のミサイルが不気味に鎮座する。

 

「なんだ?不発かぁ?」

 

マイクさんの冗談が合図となったのかミサイル中心の装甲が吹き飛び中から何かが降りてきた。

赤いメインカメラが特徴的なヘッドパーツの機体と見たことの無い赤いスリットアイの黒い機体、それがミサイルから十機、総勢五十機が着地しゆっくりと立ち上がり赤い目を光らせる。

 

「あのモノアイって土木建設用PSのオーバロード1000じゃねぇか?」

 

誰かがポツリとつぶやいた一言で思い出した。よくノイズなどの襲撃後の現場で復興作業をしているPSだ。それがいまもう一種の機体と同じ武装をして俺達に銃口を向けている。

間違いない、アレは敵だ!

 

「「総員迎撃開始(せよ)!!」」

 

隊長達の号令で皆一斉に銃撃を開始する(俺はいまなにも装備がない)。が、ミサイルの装甲がまたパージされそれが敵機の前に突き刺さり敵が身を隠し横脇から反撃する。

 

「ちぃ!ハンガーまで用意してるとは周到な!・・・一番隊!」

「「「ッ!!」」」

「お前たちは新型PSが保管されている倉庫へ向かってくれ!!」

「タクマ隊長?」

「奴らは間違いなくシンジケートだ!これだけの準備をしておいて強襲部隊がこれだけとは思えない!倉庫に向かい新型の防衛を頼む!!」

「了解。」「わかったわ!そっちは頼むわよッ!」

 

タクマ隊長の指示に迅速に動く隊長達。俺もいそいで倉庫へ向かおうとしたら副隊長が俺の前に立ちふさがる。

 

「乗って!その方が速い!!」

 

考えるよりも先に体が動き副隊長の砲台が無い部分に乗る。

 

「しっかり捕まってなさい!四肢がもげるわよ!!」

 

ブースターが点火し急加速する。ヴィンディケーターの装甲が軋み体に凄まじい、いやとてつもないGが襲う!!

瞬発的に爆発的な推進力を生む超加速に体が押しつぶされそうになるがヴィンディケーターはなんとか耐えている。こんな殺人級のGによく副隊長は耐えられるなぁ・・・いやもしかしたら平気なのかもしれない。

 

「アンタ武器ないわよね?これを使いなさい。」

 

そういいクアッドリガに内蔵されている補助アームからサブマシンガンとマガジンを俺に差し渡す。

 

「ありがとうございます!」

 

振り落とされそうな状況の中武器を受け取りリロードする。既に副隊長は上空を移動してる隊長と並走し新型が保管されている倉庫へ向かって駆けている。

Ⅱブロック目を抜けてあと少しと言った矢先副隊長が急停止し勢いよく投げ出されてしまった。

 

「ほブっ!?」

 

慣性に乗った勢いで二転三転どころではなく転がり二メートルを超えるバウンドをし続けて壁に激突する。物凄く痛かったが”死ぬほどじゃない”と解っていたので俺は冷静に何が起きたのか知るべく副隊長の元へ戻る。

副隊長の姿が見えた所でようやく理解した。副隊長のクアッドリガの脚部に白い糸がまとわりついていて動けないでいた。

 

「ナニコレ!?ぜんぜん引きはがせない!!」

「ハハハッ!どうだいアラクネの糸は強力だろぉ?」

 

品の無い荒々しい声の主が物陰からクモンガみたいな気持ち悪い見た目のISを纏って姿を現した。

 

「「キッモ!!」」

「なッ!?キモくねぇし!!」

 

副隊長も同意見だったみたいで見事にはハモる。(というか本音が漏れてしまった。)

感想を述べてると俺の後方上空で爆発音がし振りむくと鳶一隊長が黒い蝶を彷彿とさせるISと対峙していた。

 

「一颯!あんたは先に行きなさい!!」

 

クモンガ女の糸を引きはがそうとしてる副隊長が急に指示を出してきて戸惑ってしまう。この状況、助けるべきだが副隊長を置いていくという選択が判断を鈍らせる。

 

「しかしッ!」

「今動けんのはあんただけなのよ!状況解ってんでしょうね!?」

 

ッそうだ。今重要なのは新型PSの防衛だ。それに隊長達は俺なんかよりはるかに強い。それなのになにを腑抜けていたんだ俺は!みんな命を賭けて自分の仕事を全うしている。なら俺は俺のやるべきことを全うするんだ!!

返事はせず踵を返し倉庫に向かう。最速で最短でいっちょくせんに!!

 

「いかせるk「すおりゃあああああああッ!!」がっ!?」

 

後ろで鉄が軋み何かがガラガラと崩れる音が響く、振り向かなくてもなんとなく想像できる。きっとクモンガ女の糸を馬鹿力で引き千切ってクモンガ女をご自慢のパイルナッコで殴り飛ばしたんだろう。

ハハハッ圧倒的じゃないか俺の隊長達!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新型PSが保管されている倉庫の内部。そのなかに置いてある備品の一つが赤く光り周囲一メートルほどのドーム状のフィールドを展開した。フィールドの中心が赤黒い光を形成し徐々にドーム内に充満する。やがてドームが収縮し消え一機のPSを転送させた。広場でオーバロード1000と一緒に連邦に攻撃してる『グレーム』というPSだ。

同じグレームだが強襲部隊の黒ではなくこちらは燃え盛る業炎のように真紅(あか)かった。

紅いグレームの乗り手グレアは自分の足元にある一平方センチメートルの紫色の装置を踏みつぶし歩き出す。

 

(作戦は順調に進んでいる。エイリアンの残骸共を囮に奴らを広場に集め釘付けにする第一段階。囮が役目を終えスティールドーンと傭兵の陽動部隊を投下し奴らを倉庫に近づけさせないようにする第二段階。それでも倉庫に近づく敵に捨て駒をあてがい時間を稼ぐ予備作戦。これだけの作戦にこれほどの準備をしたおかげで事は上手く運んでいる。後は輸送コンテナにしのばせたておいた転送装置を使い俺が潜入すれば目的は完遂される。)

 

グレアはマスクの中で不敵に笑う。彼にとってこの作戦は上手くいかなくてもよかった、ほんの一時時間を稼げればよかったのだ。とはいえすぐ邪魔が入られれば強奪どころではない、だからあえて手間のかかる作戦を用意し自分が安心して強奪できるように計画したのだ。

左右を見渡し目的のブツを探す。

そして・・・

 

「・・・・あった。」

 

前面のアクリル板から紫色の光が漏れるスコートロンの収納ケース。そのケースには強奪防止のために何重ものセキュリティが施されているがケースの前に立つグレアは転送装置とは違う黒色のキューブをコンソールに当て、瞬く間にロックを解除しケースを開閉する。

 

(フッ、いかに技術の粋を集めた連邦のプログラムもエイリアンの技術とあの”流れ者”の技の前には紙切れ同然か・・・・にわかに信じていなかったがこれならオータムたちに渡した(なすりつけた)悪魔の種(デモニック・シード)も期待できるだろうな。)

「さて、さっさと頂いてかえr「動くなッ!!」・・・」

(はぁ・・・そう簡単にはいかないか・・・)

 

ため息を漏らしそれでも強奪を諦めていないグレアは両手を上げてゆっくりと声の主、一颯へ向き合う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうしたものか・・・・スコートロンのある倉庫にたどり着いてすぐ周りを警戒したが敵はいなかったので安心するがいやな胸騒ぎがして倉庫の中に入ったら敵がスコートロンのケースを開いて強奪する瞬間だった。すぐにサブマシンガンを構え相手の静止を促す。襲撃してきたPSの色違いはゆっくりと振り向き俺を見る。顔は無論装甲でおおわれてるから確認は出来ない。だが何故か俺にはこいつが笑っているように思えた。

 

「・・・・世の中上手くいきすぎると重要な所で失敗するもんだなぁ。こうも邪魔が入るなんて、どこで計算を間違ったかな?」

 

追い詰められているような気配を感じさせず悠然としゃべりだす。しかもオープンチャンネルで変声機の類も使っていないようだ。それ故に相手が俺より年上の男であるのが解った。

 

「お前達はそれを使って何を企んでいる?」

 

理由を問う。だが犯罪者がそうそう目的を話すわk

 

「これを使って世界を変えるのさ!」

 

てッ!答えるのかよ!?

 

「世界を変えるだと?」

「そうさ、融合事変により世界は混沌に見舞われた。だが政府は連邦なんてものを築き上げ全てをうやむやにした。しまいには自分達の意にそわない組織を弾圧してねじ伏せる始末だ。特に鎌倉の件は上手くやったもんだな?権力と暴力で民衆を欺く連邦のやり方では世界は変わらない!だからオレ達が連邦を打倒し民を導くのさ!!」

 

なんてありきたりなセリフ。連邦の在り方を暴力などといいながら暴力で解決するて矛盾してるだろ!

 

「そんな事、させるわけにはいかない!!」

「ま、冗談だがな。」

「は?」

 

さっきまで組織の信念めいたことを熱く語っていたテンションから一片、肩の力を抜き左手を腰にあて溜息を漏らす。

 

「だいたいオレは奴らの思想なんてどうでもいいんだよ。こんなクソッタレな世界、どう変わろうと知ったことかって話だ。」

「じゃあ何故こんなことをッ?」

 

銃を構えなおし標準を頭に集中させる。

 

「言う義理があるか?まぁ強いて言えば・・・・・奪われたものを取り戻すために力が必要だったてとこだな。」

 

奴はまたも笑う。自信に満ちた奴の声は悪意を全く感じさせず俺は困惑する。速やかに拘束するべきだが相手の力量が未知数な以上下手に動けない。

 

「オレにはオレの目的がある、お前達ごときに無駄な時間をかけるわけにはいかないんだ。つうわけで、奪わせてもらうぞッ!!」

 

男はスラスターを吹かせ俺に急接近する。

 

「そうはさせないッ!!」

 

引き金を引きサブマシンガンを乱射する。

 

「いいや、させてもらうよ。」

 

バシュッ!と音がし敵PSの背中が縦に裂け、虫の脱皮のように男が脱出する。纏う者がいなくなったのにPSは止まらず俺に抱き着き押さえつけられてしまった。

 

「くそッ!!」

「フッ、そこで大人しくしてろ。」

 

顔を上げ露となったヤツの姿を見る。白に近い銀色の長髪に真紅のコート、紺色のジーパン茶色のブーツ。

白銀のロン毛が薄暗い倉庫の僅かな光で輝き、その光でコートが業火の如く燃え滾っているように見えた。

 

敵の思い通りにさせない為に腕を滑らせ腰からナイフを取り出しPSの首筋を突き刺す。PSは糸の切れた人形のように力を失い機能を停止した。急いでPSを払いのけ立ち上がると目の前に銀色の足が伸び顔面に重い痛みが走り視界が一瞬真ッ黒になる。そのすぐ後に背中から体全体にかけて痺れるような痛みが駆け巡る。

なにが起きたのか解らないまま目を開けると俺は倉庫の外にいた。目の前には大きな穴の開いた倉庫、それを見てようやく理解した。俺は、蹴り飛ばされたんだ。そして外にあったコンテナに叩きつけられたのだ。

俺が現状を把握するのに合わせたかのようにスコートロンを纏った男が空いた穴から出てきた。

 

「これが新型PSの性能か・・・悪くはない、が。これが戦況を大きく覆すだと?たしかに強力なのは認める。しかしその為に高性能なOSや装着者の動きをカバーするバックアッププログラム・・・随分とお金を掛けてるな。それにこの装甲・・・ビブラニウムか、また貴重な物を使っているなぁ・・・これ一つで高層ビルが二つも買えるだろうに。性能は良くても量産性に欠ける。こんなのが本当に戦況を覆すのか?」

 

・・・・・・・・・驚いた、まだスコートロンを着てそんなに時間も経ってないのにそこまで機体の状態を理解するなんて、ただのテロリストが到底真似出来る事じゃない。奴は一体・・・・

 

「まっ、そんな事気にしても俺には関係ないか。折角手に入れた新型だ。機体のテストに手伝ってもらうぞ、連邦の軍人さんよぉッ!!」

 

さっきと同じく男はスラスターを吹かせ急接近する、違うところがあるとすればスピードが二倍近く速い!サブマシンガンを撃ち牽制するが弾幕の中を縦横無尽に動き俺との距離を一気に詰める。

 

「くッ!!」

「ちょせぇッ!!」

「かはッ!?」

 

懐に入られナイフを横薙ぎに振るうが奴は腰を落としナイフの軌道を回避し右ストレートのカウンターを喰らわしてくる。

お腹に伝わる鈍痛と吐き気、再び宙に浮き壁に叩きつけられ意識が朦朧とする。

 

「そんな通常機でオレを捉えられるのか?さっきから隙だらけだぜ?」

 

返す言葉もない、機体性能は圧倒的な差がある、それだけじゃない。さっきから奴の動きを見てたが荒々しい言動に比べ動きに無駄がなくキレのある一撃で的確にこちらを屠りに来ている。明らかに手練れだ。

基礎的な戦闘術しか心得てない俺には到底太刀打ちできるものではない・・・・・・・・

 

「・・・からこそ」

「ん?」

「だからこそ!逃げ出すわけにはいけないんだ!!痛いし苦しいが、”死ぬほどじゃない”と解っているなら恐れるものはない!!」

 

そうだ、どれだけ相手が強くても生きてる限り足掻いて噛みついてやる!!

 

「へぇ~、面白いこと言うなぁお前?ならギアを上げていくぞッ!!」

 

さらに速度を上げてより正確により重い拳が俺の左胸に当たり続けざまに左アッパーを喰らい脳が揺れる。攻撃の手を緩めない相手は体を捻りながら飛び、首目掛けて回し蹴りを浴びせた。

ゴキッと嫌な音がし首に激痛が走り地べたに顔面から滑り落ちる。

 

「ぐ、ガアァァァァァァァァァァァァ!!」

 

痛みを堪え立ち上がると背中に焼かれるような高熱が襲い爆発が起きた。恐らく腕に内蔵されてるパルスレーザーだろう。

爆発の衝撃で再び倒れすぐ立ち上がると振り向きざまに左頬を殴られ、みぞおち、背中、右頬と立て続けに殴られ続けた。文字通り手も足も出せない。機体性能と相手の技量についていけずサンドバック状態と化していた。

 

「はぁ・・・これじゃあ性能実験にもならない・・・もういいよ、お前。」

 

殴るのを止め体を捻ってミドルキックを繰り出し俺のみぞおちに命中し吹き飛ばされる。

 

「あ、そうだ。まだコレの性能を試して無かったな!!」

 

スコートロンの胸部装甲が開閉し内蔵されたビーム砲があらわになる。奴は腕を胸の前で交差させ僅かなエネルギーチャージを行い腕を広げると自分の体を包み込むほどの極太ビームを俺に放射させる。

流石にあれは防がなければ”死ぬ”のが解ったので両腕を前に交差し守りを固める。

高出力のビームは簡単に俺を飲み込み全身を焼かれる。

 

「ガ、アアアア、グぅ、アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア――――――!!」

 

ヴィンディケーター越しから高熱が伝わり装甲が焼けこげ人体が蒸される。防御した腕の状態が一番酷く装甲が解け腕を焼かれて炭化し始める。暑いを通り越して熱い。機体も耐えられる温度を優に超え、けたたましいアラームが鳴り響く。

自分の身が危険にさらされているのに”死なない”と解っているからか俺はとても冷静だ。

ビームが止み、満身創痍の体は受け身もとれず地面に叩きつけられる。打撲と火傷の痛みが体全体を襲う。多分骨折もしてるだろう、それでも”まだ死なない”と解るあたり俺の体は丈夫という訳か?

 

「これは驚いた。あの一撃でもまだ原型保ってるなんて、意外としぶといんだなお前。」

 

男は自分の最大火力を耐えた俺を興味深そうに見ていた。

もう指先の感覚の無い腕を動かし立ち上がる。感覚は無いのに痛覚は生きてるのが不思議だ。

痛いイタイイタイ痛い痛い痛いイタイイタイ痛いいたいイタイイタイ痛いいたいいたいいたい

と頭が警報を鳴らしているが任務を果たすために無視する。

 

「まだ立ち上がるのかッ!?もうよせって!運よく死ななかったがこれ以上やれば間違いなく死ぬぞ!?無駄死にが任務とでも言いたいのか?」

「・・・死にたくはない・・だが・このままスコートロンを盗まれるわけにはいかない・・・それは・・人類の明日を守る希望だ・・・それを・・・・お前等なんかにわた・・すわk・に・・・・」

 

マズい、もう口を動かす力が・・・

 

「はぁ・・・・お前のしつこさはよく解った。・・・・仕方ない。気は乗らないが、このままお前を野放しにしたらおいおい作戦に支障をきたす可能性がある。悪いが、殺すぞ。」

 

明確な殺意を向けながら腕を交差しチャージを始める。またアレを撃つ気だ、次は”確実に死ぬ!”そう解っているが体はもう動かないしヴィンディケーターもバヂバヂと火花を散らし動いてくれない。

 

「許せとは言わねぇ。好きなだけ怨め、呪え。そして・・・こんな世界を憎め!」

 

交差した腕を広げ高出力ビームが放たれる。無慈悲な光が俺を消し去る為に迫って来る。

もうなんの術も思い浮かばない。なんの役にも立てず跡形もなく消される現実。

・・・・だからこそ!諦めるものか!!

俺はまだ、なにも守れていない!まだ死んでいない!生きてる限り諦めてたまるか!!こんなところで、終わってなるものかぁああああああ!!

 

 

『Matching fitting allclear。スヴェル、ビスレスト。タイショウヲテキゴウシャニトウロク。【ユニゾン・リンク】ヲジッコウシマス。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?」

 

グレアは目の前の光景に違和感を感じ首をかしげる。自身が発した高出力ビームは一颯を飲み込み焼き尽くす筈だった、だがビームは一颯の手前付近で何かにせき止められ扇状に拡散していく。真正面にいるグレアには何が起きてるのか解らないでいた。

だが事態はすぐ理解することになる。突如としてビームが弾き跳びまばゆい光の壁が姿を現す。否、アレは・・・

 

「氷の・・・盾・・?」

 

一颯の言う通りそれは盾だった。

その盾は突如として一颯の目の前に現れエネルギーフィールドを壁のように広範囲に展開して高出力ビームを防いだ。

氷のように蒼い半透明の盾が一颯に向き合うように反転し佇む。すると一颯と盾の間の何もない空間から新たな物体が出現した。

 

「虹色の、鍵?」

 

錠前に使うタイプの鍵は七色に彩られており盾の中心を差し込み独りでに回る。

盾と鍵は不思議な電子音の曲を奏でバラバラに砕け散った。

その欠片は一颯の周りを漂い、そして・・・一颯に襲い掛かる!

 

「ぐッ!・・アァァ・・・・アアアアアアアアアアアアぁァァァァァaaaaaaaaaa!?」

 

ヴィンディケーターの装甲を貫き体全体に突き刺さった欠片はじわじわと体内へと入りこもうと侵入する。

欠片が全て体内に入った途端体内がグチャグチャとかきまわされる感覚とナニかが体中を駆け巡る感覚に気持ち悪くなりその場に崩れ落ちる。

急激に体温が上昇し息が苦しくなる、だが不思議と嫌な気分はなくむしろ力が沸いていく感覚を感じる。

そして変化が訪れた。

ヴィンディケーターが光の粒子へと変わり一颯の体内へと取り込まれる。続いて背中から光の膜が現れ体全体を包み込み機械の形へと変わっていく。

変化が収まると一颯の姿は見たことのない白いPSを纏っていた。そして左腕の籠手には先程より一回り小さくなった白い盾が無数の輝きを放ち周囲を照らしていた。

 

「これは・・・一体・・・」

 

謎のPSを纏いさらに先程まで受けた傷が癒えていることに戸惑いを隠せない一颯。そんな彼の疑問に応えるかのように眼前に投影式のディスプレイが現れ文字が表示される。

 

『新世代型PS【セブンスライト】起動を確認。【スヴェル】【ビスレスト】、適合者との同化に成功。損傷した肉体を分解・再構築、異常なし。  SYSTEM ALL GREEN。 戦闘行動を開始します。』

 

その情報は未だ状況を理解するには難しいが唯一理解できることは―――――

 

セブンスライトと呼ばれるPSのツインアイが緑色の光を放つ。

 

(俺はまだ・・・・戦える!!)




グレア「長い!この回に至るまでの工程が長すぎる!!なんでこうなった?!どこで計算を間違えた!?」
オータム「つ~かあたしの扱いなんだよ!?出会い頭で「キッモ!!」とか初めての扱いだぞ!?」
エム「黙れクモンガ女。お前等いい方だ私は漫画の一コマだけの出演みたいな扱いだったぞ!此処の作者はIS操縦者の扱いがひどすぎないか!?」
グレア「あ、そうだ。ISで思い出したんだが水色の髪のメガネっ娘いただろ?あいつレギュラー入りするらしいぞ?」
オータム・エム「「優遇の差が極端すぎる!!」」

次回「そこで自爆だ!!」
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