ユニゾン・ワールド   作:新人ガイア

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融合事変以降の世界
異なる世界同士が融合したことで大きな混乱が起きたが地球連邦の設立により鎮静化された。国という形を廃止し一つの組織として動き人類の敵に対抗するために結束を強めるようとするが聖罰の大陸浄化が人類の生息域を脅かし、活動領域の分断を余儀なくされている。
エリア同士で連絡し連携を維持しているが特定の企業や団体などの野心がいつ牙を剥いても可笑しくない。



第六話「騒乱の夜明け」

この世界は人を否定した。

 

青々と生い茂る草花と緑豊かな山々。その草を獣が食し、猛獣が獣を喰らう自然本来の景色。

 

人という異物を取り除き本来あるべき姿を取り戻した世界、「聖域」。

 

地面からは光の玉「マナ」が断続的にあふれ出し天へと昇っていく。

 

アレは純粋なエネルギーであり生命を生み出す素なんだとなんとなく理解する。

 

温かく眩しい光、人が触れれば瞬く間にマナとなって浄化されるものがこの世界に満たされ循環されている。

 

この世界では生と死の境界はなく食われた草はすぐ生い茂り喰われた獣は光となって母体へと戻り生まれる。猛獣も然りだ。・・・・とても異質だ。

 

幻想的で争いの無い世界・・・・・・・・何故そんな世界で俺だけが消えず存在しているのか・・・・

 

見えるはずの無い人が俺を見つめ、聞こえるはずの無い声が俺に語り掛ける。

 

――どうして助けてくれなかったの?――消えたくないよ――なんでお前だけ生きてるんだ――ズルい――助けてくれ――許さない――お前は何も守れない――私達を見捨てた――憎い――返せ――俺達の未来を返せ―――――――

 

これは現実じゃない。過去の記憶と自分自身の嫌悪が混じり合った夢だ。

 

彼等はそんなことを言う事も出来なかった。消え入る瞬間を恐れることで精いっぱいだったはずだ。だからこの声は俺自身が彼らの思いを代弁したものにすぎない。

 

次第に声は消え人影も一人また一人と消えていく、一人の少女だけ残して。

 

この娘は俺が避難誘導をしている際保護した少女だ。親とはぐれ泣いていたのを見つけ抱きかかえて避難所にむけて運んだあの少女だ。大丈夫だよと声をかけ泣き止ませ家族のもとに連れて行くと約束し笑顔を見せてくれた彼女を俺は守れなかった。

 

聖罰の光にのみ込まれ俺の腕の中で消えていく彼女を俺はただ見ているだけしか出来なかった。

 

「・・・・・・・・・・すまない。」

 

なにも出来ず救えなかった俺は謝ることしか出来なかった。

 

「―――――――――」

 

彼女が口を開くがその声は聞こえなかった。

 

いつも同じだ。同じ夢を見て何度も彼女の言葉を聞くことが出来ない。

 

彼女が何を伝えたいのか、理解できないことに焦り彼女の元へ向かおうと足を踏み出すと景色は一変し舗装された道路のコンクリートを踏む。

 

すると体の力が一気に抜け地面に倒れ伏してしまう。

 

これは聖域を抜け人の地に出た時の記憶だ。聖域を出ようと歩き続け、太陽が昇って沈むのを数えるのを繰り返して三十超えたあたりでようやく出れた時の記憶だ。

 

聖域では飢えと言うものも感じず何も食べなかった、食べなくても体を動かすエネルギーはマナから供給させそれ故に空腹を感じず眠ることもない。聖域にいれば何も食わな無くても生きられるのだ。

 

だから聖域を抜けた途端、人本来の疲れと栄養を取っていない故に栄養失調に陥り倒れ伏したのだ。

 

夢の中だというのに意識が薄れ次第に視界が暗くなる。やがてまぶたを閉じ意識を失う。

 

それが夢の終わりであり現実へと連れ戻さる工程である。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・んっ・・・・・うぅ・・・・・」

 

目が覚め見える白い天井。

 

「目が覚めた?」

 

と逆さに映る鳶一隊長の顔。

 

「・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

 

寝起きと突然の出来事に混乱が中々収まらない!

 

「あ、あの~鳶一隊長?」

「なに?」

「何故俺は隊長に膝枕されているのでしょうか?」

 

そう俺は本来の畳の床ではなくふっかふかなベッドに寝かされており、なぜか鳶一隊長の膝に頭をのせている(いや乗せられている)状態であった。

 

「顔色を変えず苦悶の声を出し大量の汗を出していたからうなされていると思い処置を行っただけ。」

「それが何故膝枕!?」

「人肌に温められると大概の人間は落ち着くと科学的に証明されているから」

「それ絶対ハグの方ですよね!?だまされてますよぜったい!!」

「・・・・・部下の体調管理は隊長の務め。」

「なんで言い直した!?」

 

俺には隊長が何を考えているのか解らない!何か裏でもあるのか?元から感情が読めない顔をしているからなおのこと理解できない。

 

「お?目が覚めたのかい?」

 

混乱の最中、天の救いか地の災いかはわからないが日下部副隊長が入り口のドアを開け入ってきた。

 

「副隊tyッ!?ぐぉおおおおおおおお!?」

 

俺は勢いよく上体を起こした途端、全身を尋常じゃない激痛が駆け巡り悲鳴を上げる。

 

「あぁ重症なんだから無理しないの、顕現装置で治したと言ってもダメージは残ってるんだからね。」

「ッ!そうだ!任務は!?あれからどうなったんですか!?敵は!?味方に被害は出てないんですか!?」

「落ち着けって言ってんでしょ!!」

 

副隊長は取り乱した俺の頭頂部にご自慢の鉄拳を繰り出し鎮圧した。頭が割れるかと思われるくらい強烈な激痛が脳天に集中する。

 

「お、おれ重症患者なんですよね?・・・」

「悪いわねつい手が出てしまったわ。」

 

その後落ち着いた俺に副隊長は襲撃の後の事を教えてくれた。

基地の被害は小さなもので負傷者も軽傷、広場は巨大生物の体液で汚染され死骸からサンプルを取り焼却処分、除染に数日を要するらしい。敵が使ったロケットやバンカーは証拠を残さないためか自爆し解析不明な状態まで壊れたらしい。そして敵に逃げられた隊長達はすぐ倉庫に向かい正体不明のPSを纏って倒れていた俺を見つけたらしい。

あ、因みに鳶一隊長はベットから降りて椅子に座っていただいてる。

 

「いやぁ救護班から聞いた時はヒヤッとしたわよ。あんた息してないし心臓止まってるし左腕の骨が砕けて原型とどめてないていうしどんな戦い方したらそうなるのよって話よ!」

 

それ重傷通り越して死んでません!?よく蘇生できたな顕現装置!科学が神秘を再現できる時代の素晴らしさを今理解したよ。

 

「なにはともあれ。そい!」

「んぎぃ!?」

 

副隊長は俺に歩み寄り首筋に何か注射のようなモノを打たれた。

 

「な、なにをやったんですか・・・?」

「強心剤よ、これで歩けるはず。」

「メタルギアかッ!!」

「ごめんあんたが何言ってるかあたしにはよく解らないけど多分それで合ってるわ。」

「すいません俺もなんの単語言ってるのか解らないですが納得しないでください。」

「強心剤。主に衰弱した心臓の機能を高めるために使用する薬剤。ジギタリス製剤・キサンチン誘導体・ドーパミンなどg・・」

「誰も効能なんて聞いてませんよ!!」

 

唐突なボケの副隊長、冷静にボケをかます隊長、この隊にはツッコミが少なすぎる!!

 

「そもそもなんでそんなもの打ったんですか?」

「あんたが目覚めるのを誰かが確認したら直ちに打つように各隊に言われてんのよ。ねぇ折紙?」

 

隊長がコクンとうなずいて胸ポケットからトリガータイプの注射器を取り出す。ほんとうに皆強心剤を持っていたようだ。

 

「さて!薬も打ったしさっさと司令部に行くわよ。あれからずっとお預けくらってたんだし、あんたのこと含めよぉく聞かせてもらわないと!!」

「着替えはここに置いてある、着替え終わるまで外で待ってるから急ぐように。」

 

俺の軍服が入ったカゴを置き部屋を出ていく隊長達。

・・・・・・・・・・・・・俺、重傷なんですよね?

激痛は走るがそれでも体を動かし、痛みに悶えながら着替えを済ませ隊長達と合流し司令部に向かう。

 

 

 

 

 

司令部に到着し中に入るとブラスト小隊の皆やあの時テロリストの襲撃に対応した隊達が整列していた。

 

「来たな、君が目覚めたことは既に各隊に通達され把握している。これでようやく事件の報告ができると言うものだ。」

 

なんで各隊に通達されてんの!?どっかに隠しカメラでも設置されてるのか司令!?

なんて言うのは流石に野暮だな、隊長達の後に着いていき列の中に加わる。

程なくして周りから視線を感じヒソヒソと耳打ちが聞こえる。無理もないか、”こんな髪”してれば。

今まで俺は軍帽をかぶって髪の事を隠していた。俺の髪は前側が普通の黒髪の短髪で後ろ半分は肩まで伸びた長髪、色はグラデーションのように黒から白に変色している。おまけに先端の白髪は薄く発光しているのだ。気にならない筈がない。

 

「なぁ、おい一颯。その髪って・・・」

 

とうとう耐えかねてマイクさんが声をかけてきた。

 

「あぁ、、、やっぱり気になりますよね?この髪、聖罰を受けてからずっとこんな感じで、切っても朝になるとこの長さまで伸び切るんですよ。」

「また、聖罰か・・・」

「そう!聖罰を受けて生きて帰った唯一の人間!!それが今回の作戦の重要なファクターなのさ!!」

 

屈強な兵士たちが集まるこの場でとても似つかわしくない幼女の声が司令部にこだまする。てかこの声って・・・

皆が謎の声に動揺した束の間、司令の後ろに隠れていた小さな影が躍り出て高らかに声を上げる。

 

「やぁ諸君!ご機嫌は如何かね?良いとは言い切れれないだろう、なにせ突然の襲撃、新型PSを盗まれ大変歯がゆい気持ちだろう。だがしかぁ~し!気にすることは無い!!なぜなら~新型PSは既にある隊員に渡してあるかね!!」

「あぁ!!あの時の武装少女!!」

「知り合い?」

「そんな訳ないでしょう!?こいつはあの襲撃のあさ、俺の部屋に侵入した不審者ですよ!おまけにスタングレネードまで持って怪しいのなんのって。てかしゃべり方変わってる!?あの時と全然違うんだが!!」

「あぁあれねぇ~。いや~せっかく所属するわけだし、なにかキャラでも作ろうかと模索してたんだけど、途中で飽きた。」

 

飽きたんかい!!てかいま所属するって言ったか?!

 

「んんッ!このままでは話が進まないので私が紹介しよう。彼女は一番隊の技術班として着任したウィル・アイン博士だ。」

「え?ウィルってまさか!?あのウィルですか!?」

 

突然のワードにマイクさんが狼狽するのを見てニィ、、、と不敵に笑う少女。

 

「そう、私こそ君たちが利用してる事象反転装置の生みの親にして人類の未来を守らんと研鑽する天才!ドクターウィルその人さッ!!」

 

俺を含め隊の大半がその事実の驚きの声をあげる。ウィル博士は連邦軍であれば知らない者はいない有名人だ。人類の脅威に対抗するための発明を連邦に提供し今の体制を維持してきた。

それがこんな身長130cmほどの幼女だとはだれも思わなかった。

 

「うんうん君たちの気持ちは大体察したよ。目に見える事柄に囚われ真実を認められない実に人間らしい反応だ。私の予測通りでむしろ安心するよ。」

「ウィル博士、そろそろ本題に入ってもらおうか。」

「やれやれ、レナルド君は心にゆとりと言うものを持った方がいいと思うよ?「ウィル博士!」ハイハイ解りましたよ。」

 

博士のあっけらかんとした性格に皆呆然とするがレナルド司令はペースを乱されることなく厳格な態度で博士を制する。

 

「さてと!君たちが事件のことで知りたいことは新型PSの件だったね?奪われたスコートロンの事で気に病む者がいるなら必要ないので気にしないでくれ。アレは私の最高傑作の性能を引き立てるための真っ赤な偽物だからねw」

「「「「「はぁ!?」」」」」

 

ふざけんなよおいッ!!じゃあ俺は偽物に命かけて取り戻そうと奔走したのか!?死にかけたのにとんだ無駄足じゃあねぇか!!

 

「まぁまぁ落ち着きたまえ諸君。君たちを騙したことには申し訳ないと思っていないが、全ては新世代型PSの起動の必要な処置だったんだ。」

「「「「新世代型PS?」」」」

「そう!!万能型強襲用支援機【セブンスライト】。人類を守る盾にして未来へ架ける橋、私の技術の粋を集め心血を注いだ新時代に投じる一品さ!!」

 

高らかに機体名を告げ高揚感に酔いしれる博士と対照的に聞いたことのある機体名に心臓の鼓動が激しくなり汗ばむ俺。つまり博士が言った新型PSを持っている隊員というのは俺の事だ。だが肝心のセブンスライトを俺は持っていない!マズい!これは非常にマズい!!

 

「事象反転装置とPSが普及し現代、一般兵でもノイズを倒せる今の連邦にとってノイズはもはや脅威ではなくなった。だが天使はノイズなど比較にならない程強力な敵だ。天使はノイズと違って出現確率が極めて低い。人が密集している場所に現れる習性があるが必ず現れるわけでもなく、残念なことに今の武器では天使の衣に傷をつける程度しか効果がない。今の連邦軍に出来ることは天使に集中砲火を浴びせマナを霧散させることで消滅(ロスト)させることくらいだ。だが消滅は一時的に活動を止めるようなもので殺すに至らない。天使殺しのエキスパートである一番隊であるなら話は別だけどね。だがいくら一番隊でも世界各エリアに出現した天使を倒すのは至難の業だ。仮に遠いエリアで出現したら今の移動手段では間に合わない。

そこでセブンスライトが活躍する訳だ!!理解したかな、一颯君。」

 

俺を名指したことでみんなの視線が俺に集中する、どうしよう(汗)

 

「完成したセブンスライトを一度電子化させ君のヴィンディケーターの回路内に忍ばせた時はちゃんと起動してくれるか不安であったが君は見事私の期待に応えてくれた!!

強奪されたスコートロンと対峙し相手に一泡吹かせたのは爽快だったよwやはり私の予測に間違いはなかった!」

「で、ですが。俺はそのセブンスライトを持っていません・・・」

「あぁ大丈夫。セブンスライトは君の中にあるからね!」

 

は?・・・・・・・あまりにも現実味を感じない発言に胸の鼓動が速くなり胸に手を添える。

 

「おれの・・・なか?」

「そう君の中。ずっと考えていたんだよ。いくら強力な兵器を作ろうと、奪われれば元も子もない。どうすれば盗まれずに済むか模索した結果、使用者と兵器を【同化】させればいいと思ったわけさ!

PSを量子変換し人体の物質構造に同化することで肉体の一部とする。そうすることで盗まれる危険を回避しお互いの性質が反発することもなく安全に扱えるという訳さ!【融合】だと異なる二つの性質が共存しどちらかに傾けば命の危険が伴う。だが【同化】ならお互いが同じ性質になり一つとなって安定する。1+1ではなく1×1なんだよ。

つまり君がセブンスライトでありセブンスライトが君であるんだ。理解できたかな?」

 

いや一文字一句理解することが出来なかった・・・・・今のはオンドュル語か?

 

「いろいろトラブルはあったが無事起動したことでソレは完全に君のモノになった。まぁもともと君専用に創ったから当然なんだけどね。」

「俺専用・・・ですか?」

「あぁ、セブンスライトの装着者は初めから君と決めていたからね。性能は素晴らしかっただろ?」

「え、えぇ・・・扱えない程ハイスペックで・・・てそうじゃなくて!なんで俺なんですか!?」

「君は特別だからさ。聖罰を受けても消えず、聖域から脱出した唯一の人間!天草一颯こそ私の発明を託すに相応しい!!」

 

また聖罰か、、、その言葉を聞くと胸の奥が痛み体が重くなる。それだけの理由で貴重な新型を託されるのは非常に心苦しかった。

 

「間違っている。」

「うん?」

「ただ聖罰を生き残っただけで新型を託されるのは間違っている!

俺は特別なんかじゃない!

タクマ隊長達のような世界を救った英雄でもなく、最近復帰したばかりのただの軍人だ!

新型は俺なんかより有効に扱える人がいるはずです。ですので「いいや君は特別だ」ッ!」

 

話の途中で博士は声色を変え真剣な表情で俺の意見を打ち切る。

 

「そもそもセブンスライトを起動した時点で君が特別な存在であることは証明されたんだよ。」

「え?」

「セブンスライトはただのPSではない。【聖遺物】というガラクタを「貴重な異端技術をガラクタと…」レナルド君シャラップ!!。コホン、そのオーパーツをコアとして組み込んでいてね、既存するPSの範疇を超える超常的な代物なんだ。

使った聖遺物はふたつ。あらゆる攻撃を防ぐ無敵の盾【氷盾・スヴェル】、世界の端と端を繋げる無窮の橋【虹橋・ビスレスト】。正確にはビスレストは橋を起動する鍵なんだけどそれは置いといて、この聖遺物は起動するのに特殊な方法でないと動かなくてね。現在確立されている方法は反政府勢力『特異災害対策機動部二課』が保有する兵器『シンフォギア』の適合者による歌から発せられる『フォニックゲイン』というエネルギーで稼働する方法でね、現状それ以外の方法が見つからなかったんだよ・・・・二年前までは。

私は研究を重ねついに聖遺物を起動させる方法を見つけた。ようは特定のエネルギーで動く機械に万能燃料を注げばいいと言うことだと気付いてね目的の燃料を探したんだ。そして『マナ』に行き着いた訳さ!

マナはあらゆるエネルギーの原点であり命の源でもある。つまりマスターキーとして使えると言うことだ。

私は実験を重ね聖遺物が起動できることを立証しPSへと組み混んだ。

だが起動できたのはマナを照射している間だけ、しかも人が管理できる濃度の低いものだからか機体の性能をろくに引き出せなかった。

・・・・・それを君は、フルパワーの状態で起動しその力を悠々と振るってみせた!!

つまり君にはセブンスライトを纏い聖遺物の力を完全に引き出すほどの膨大で高濃度のマナを宿し生成しているという訳だッ!!」

 

ビシッと俺に指をさし博士が断言する。

 

「俺の中に・・・・マナが?」

 

あまりの事実に動揺し思考が追い付いていけない。

 

「おそらく聖罰を受けた時からだろう。それだけじゃない、襲撃を受けた時ここから(司令部)君の映像を見させてもらったよ。

あの時君は何度も命の危険にさらされていたのに何度も立ち上がり常に冷静に立ち回っていたね?普通なら恐怖におののき逃げ出しても可笑しくないというのにだ。

まるで自分の生死が解かっているかのようだ。」

「ッ!!」

「図星か。君は”次元難民”だから過去の記録は無いが少なからず聖罰前はそうではなかった筈だ。それが聖罰以降その力を宿しいままで生きてきたのだろう。

私が何を言いたいか解るかい?

天草一颯、何故君が体内にマナを宿しているのか、何故自分の生死の境界を理解できるのか、何故聖罰を生き残ったのかッ!!・・・・その答えは唯一つ。

ハァ~・・・・天草一颯!君が、人類で唯一、マナに適合し人から逸脱した存在だからだぁッ!!」

 

突きつけられる博士の結論。それが憶測だろうと今の俺には衝撃的すぎてなんといえばいいのか解らなかった。

他の皆もざわめきだし混乱し始める。

 

「じ、冗談ですよね?俺をからかう為にそんなこと言ってるんですよね?」

「冗談をいう雰囲気だと思うか?」

「・・・・・」

「信じられないのは仕方が無いだろう。だがそうでなければ君の髪の辻褄が合わないんだ。」

 

俺の髪が?

 

「君の体をスキャンしてわかったことだが、君のその変色した髪の先端からマナが放出しているんだ。といっても濃度が極めて低く、浄化されてない空気に混ざり消えるほどだがね。

おそらく体内に収まり切らなくなったマナを発光に使い消費し排出しているのだろう。

それに聖罰以降そうなったと自分から言ってた以上私の仮説は明確だと思うがね。

これで納得してくれたかな?君は特別な存在でありそれ(セブンスライト)を託すに値する人間であると。それとも、この期に及んでまだ自分はタダの人間と言い張るのか?

悪いが事は君が思ってるほど生ぬるい物ではない!私達人類は天使・ノイズという共通の敵に脅かされている。

君は既に人類存亡をかけた戦いの中枢を担う立場にあるんだ。いつまでも新人だからといって臆してもらっては困るんだよ!戦うと決めたのだろ?そのための力をもっておきながらウダウダしているんじゃない!!」

 

博士の鬼気迫る説明を聞き自分という存在を再確認する。確かに俺は聖罰を受けて変わった。その変化に気づいてないふりをし目をそらし自分が普通の人間じゃないという事実を恐れていた。だがそんなことはもうどうでもいい!

どんな力であろうと俺は俺だ!あの地獄を再び起こさないためにもう一度戦場に戻ると決めたんだ!

なら迷うことは無い、必要なものは託された。あとは俺次第だ。

 

「ふぅー、、、へいきへっちゃらへいきへっちゃらへいきへっちゃら。すぅ~はぁ~。

情けない姿を見せて申し訳ございません。でももう大丈夫です!

自分に何ができるか何も解りませんがやるだけのことをやってみます!!」

「・・・結構!ああ言っておいてなんだが何も君に重荷を背負わせる訳じゃない。ただ一番隊のハードな出動に役立てて欲しいだけなんでね、自分の正しいと思ったことを貫いてほしい。」

「そうだ天草!一番隊の隊員らしく自分を貫き通せ!」

「そうそうエイリアンの大群に囲まれるより大変な任務に放り込まれるから覚悟したほうが良いぞぉ~w」

「いやいやそれアンタ等(ブラスト小隊)の経験談だろ!」

 

タクマさん達の激励と副隊長のツッコミで現場に笑顔が戻る。嗚呼こんなにも頼れる仲間がいるのに何を恐れてたのだろうか。

場が和んできた所でウィル博士が両手をパンパンと叩き話を戻す。

 

「さて、この件はここまで!次は襲撃者の主犯についてだ。更識君、例の資料を。」

 

そう言われオペレーターの席から変わった髪飾りと眼鏡をかけた水色の長髪女性が立ち上がり博士の横に並び立つ。

 

「紹介しよう、彼女は更識簪君。元IS学園の生徒で現在は私の助手として働いてもらっている。では更識君後は頼む。」

「はい博士。ではこれをご覧ください。」

 

そおいい手に持っているタブレットを操作し司令部のモニターに写真やグラフなどが映し出す。

粉々に砕けた鉄の欠片、穴ぼこだらけのエイリアンの死体、黒焦げになったPSの残骸などなど襲撃に使われた兵器の写真だ。

 

「襲撃後回収した残骸を解析したのですがどれも損傷がひどく何処で造られたのかすら解りませんでした。ですが、襲撃のタイミング、間をあけての強襲、一番隊の足止め、そして倉庫内部に仕込まれていた転移装置、そして所在を特定できないように機材の破壊するなど用意周到に練られていた戦略。これらを総合しますと敵は知略を得意とし戦い慣れている人物だと予測できます。

そしてあの自爆、あんなことを好んでやる人物といえば皆さんもうお解りでしょう?」

 

更識女史の説明を聞いて周りの隊員たちが「アァ~」と何かを納得し数人が溜息を吐く。え、どういう事?

 

「これらのパターンを以前に各エリアで起きた反政府運動と照らし合わせると同様のケースが検知出来ました。そしてそれらの運動で作戦指揮をしていたのがこの…」

 

タブレットを操作しモニターに一人の男の顔写真を映し出す。特徴的な銀髪、見間違えるわけない。奴だ!

 

「彼の名は《グレア・ラインフォード》シンジケートに雇われた傭兵で知略と自爆を得意とする危険人物です。鳶一少佐の証言から傭兵の《ヴォルフェス・ボナパルト》がいたこともあわさりグレア()が実行犯で間違いないでしょう。」

「『双炎』の二人か、厄介な敵が現れたものだ。」

「でもでも、もうやってこないだろ?盗るもんとったんだしもう別のエリアに高跳びしちまったろ。」

「そういう問題じゃないだろマイク!あんたこの第三基地がテロリストに負けちまったて世間が知れたら大問題なんだよ!?」

 

主犯格がグレアと解かるとタクマさん達が口を開き思案する。だが俺にはそれよりも気になることがある。

 

「あのぉ更識女史。」

「なんでしょうか?」

「先程グレアが自爆を得意といってましたがそれってどういう事でしょうか?」

「あぁ、天草さんは初めてでしたね。グレア()は何度も持ち前の頭脳で連邦を翻弄しているのですが、撤退やここぞという場面で必ず自爆するんです。味方のPSや自立兵器など見境なく爆破しとても危険です。しまいには自身のPSにも爆薬詰め込んで特攻してきます。自分と他の構成員たちのPSに脱出機構を付けて自分達には被害を出さず連邦に甚大な被害を与える悪魔の策が彼のアイデンティティになっているわ。」

「知略と謀略を駆使しトドメとして自爆するとにかく自爆する。尋常じゃない自爆への執着から《陳宮の申し子》なんて呼ばれているよ。まぁ結論、彼は自爆する、理由の有無関係なく自爆しなければ納得しない、そう言った人間なのだよ」

「ビリリダマかッ!?」

「私はクヌギダマの方が好きだがね。」

「どっちでもいいわ!!」

「博士、話が脱線しますから黙ってください。」

 

更識女史の冷たい一言に「私の方がエラいのにぃ~」と愚痴をこぼしながら大人しくなる。

 

「話を戻して、彼の自爆があまりの驚異の為、連邦軍から台風のような印象を受け皆関わりたくないんです。」

「あぁ~だから皆さんの顔色がよろしくないのか。にしても流石ですね、こうも早く敵の正体をつきとめるなんて!」

「でもいくら正体が解かっても私達に打つ手はない。」

 

各隊が対策を講じようと思案してる最中鳶一隊長が放った一言で場が一瞬に静まり返った。そして追い打ちをかけるように副隊長が続く。

 

「そうね、敵がシンジケートてのは解るけど肝心の居場所がわからなきゃこちらから打って出るどころか偵察すら出来ないわ。」

「肝心な証拠は彼お得意の自爆でコナゴナ、向こうは好きなだけ襲い私達の手の届かない安全地帯へと一瞬で逃げおおせた。完全に連邦(私達)の負け。」

 

隊長達の言葉に誰もが反論しようと思ったが事実である為言い返せず沈黙が続く。

だがこの光景を見て博士がにやりと口角を上げ口を開く。

 

「そう!いくら軍備を増強しようと君たちに出来ることはいつも自衛だけ!!自ら攻撃するには上からの許可が必要で常に対応に遅れる。敵は好き勝手暴れているというのにいつも君たちはその後からやってきてようやく武力を行使する。結局君たちは後からしか動けないなにせ『防衛』の軍だからね!!反撃しか出来ない。」

 

侮辱とも等しい暴言を吐き続ける博士、明らかに俺達を煽っている。しびれを切らせマイクさん辺りが異議を唱えようとした時。

 

「だがそれは悪い事ではない。」

 

博士自身が否定した。

 

「君たちは兵士だ。戦うことを目的として武器を取り死地へと赴く者だ、力は振りかざすモノではなく象徴であればいい。君たちは守るものがあるから戦う、だから後手に回ってしまうことは仕方が無いんだ。

だからこそ私達、智慧をしぼる者がいる!敵の居場所が解らないだって?上等じゃないか!なら解かるまで徹底的に調べ、つきとめてやるさ!!どうせ奴らは連邦を攻めてくるんだ、いくらでも対策は講じれるよ!」

 

途中からやけくそのような気もしたが皆の気が収まっているようだし言わないでおこう。

 

「彼らの調査は諜報部も動いている。詳細が分かり次第各隊に指示を仰ぐ。尚、鳶一・日下部両名は許可もなく冠位顕現装置(グランドクロス)を使用した為謹慎を言い渡す!!」

 

隊長達に指をさし怒気を込めた司令の言葉に驚いた。

隊長達の謹慎処分ではなく冠位顕現装置というワードの方にだ!

 

「グランドクロス!?それって世界で唯一顕現装置(リアライザ)を製造してるAIT(天草インテリジェンス)のあの!?」

 

グランドクロスとはAITが天使を倒すために世界各国の技術の推移を集めて開発された最高性能を誇る顕現装置だ。ISのVT(ヴァルキリー・トレース)システムの設計を一から見直したFT(フェイトトレース)システムによる歴史上の英雄の疑似人格を投影、CR‐ユニットに顕現させるというコンセプトを確立し顕現装置の域を超えた存在へと至った代物だ。

疑似とはいえ英雄の意志が宿っているため並の魔術師では使うことが出来ず、疑似人格を従わせるほどの強力な精神を持った特別な魔術師『契約者(マスター)』の存在が必要不可欠だった。だが契約者が纏えばその恩恵は絶大であり一人でノイズの大群を一掃できるほどの力があるとされる。

一人で大国を支配できるほどの性能がある為、連邦議会の決定で1エリアにつき適合者一人と決められている筈だ。

だが司令の言葉を聞く限り隊長と副隊長がそのグランドクロスを所持しているということになる。

 

「一颯君が驚くことも無理もないかく言う私も、第三がグランドクロス適合者を二人も保有しているのを知ったの時は驚いたよ。」

「激戦区である第三は通常より天使の数が多い、他の基地と同じでは対応が追い付かないのでな。至導代表より許可を得て二人まで引き上げてもらった。だが当然使用には上層部の許可が必要だというのに・・・・お前達という奴は!!」

 

着任して間もない俺だがレナルド司令程の方が怒気を込めてこんなに感情的になるのはそれほどグランドクロスが問題の代物という訳なんだろう。

そんな司令の怒りなど知らんというかのように司令部を出ていく隊長達。それを見てさらに怒りをあらわにしそうなのをウィル博士がなだめていた。まるで駄々をこねる息子を諭す母のように・・・・

司令が頭を冷やすために自室に戻ったため会議は終わり各隊は今後の対策や明日の職務の事を話し合いながら退室していく。

 

「あっ!一颯君ちょっと待ってくれ。」

 

俺も退出しようと思った時ウィル博士に止められ、白衣の中から茶封筒を出し俺に渡してきた。

 

「これは?」

「それはセブンスライトの戦闘に役立つ資料だ。セブンスライトは強力な性能を誇るがあくまで支援機だからね、武装も盾しかないから参考になる映像資料を用意した。ぜひ活用してくれ!」

「ッ!ありがとうございます!!必ず使いこなせるよう精進します!!」

 

親指をグッと立て笑顔を見せる博士に感謝し俺は急いで自室に向けて歩き出す。

病み上がりでさらに薬で無理やり立っていた状態の為走ることが出来ず早歩きで部屋に戻った。

はやる気持ちを抑え茶封筒の封を切り中身を取り出す。中にはディスクを治めた青いケースが二つありその表紙に目を通した。一枚には青いスーツを着た星のマークのついた盾を持つ青年が描かれ、もう一枚は厳つい鎧を着た初老のおじさんが描かれていた。そしてタイトルには・・・・・

 

『Captain America: The First Avenger』『イングヴェイ:伊達と酔狂に生きた男』

 

と書かれていた・・・・・・・・・

 

「ただのアメコミ映画じゃねぇかあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

怒声とともにケースを地面に叩きつけた。だがケースは最新技術の強化プラスチックで出来ていたため衝撃を吸収し中身のディスクを完璧に保護していた。どこに技術注いでんだ!!

茶封筒にはそれ以外何もなく本当に映画二本しか入って無かった。これを見て訓練しろと?冗談だろ?

幸いテレビとブルーレイレコーダーは部屋の壁に組み込まれていたから見れるが・・・なんか釈然としない。俺はこんなの見てセブンスライトを使いこなせるのだろうか?

そんな疑念を抱いていると玄関からノックが聞こえた。

 

「はぁ~いただいま!」

 

玄関の戸を開くとそこには鳶一隊長がいた。

 

「すこしいい?」

「え?・・・・あぁどうぞどうぞ!」

 

流石に部屋前では失礼なので中に入れる。突然の来訪に驚くが一体何なんだろう?

 

「すいませんなにもない部屋で(汗)」

「そう言って本当に何もない部屋を見たのは生まれて初めて。」

 

家具も何も置いていない部屋(一応バスルームに洗濯機と替えの軍服が10着ほどあるが扉で隠されてるから見えない)を一瞥する鳶一隊長、これといって気にしていなかったが今後は来客用のお茶でも用意しておこう。

 

「それでこんな時間にどうされたんですか?」

 

既に時刻は午前四時を過ぎている。わざわざ自室に赴いてまで来るようとは何なのか聞こうとしたら突然頭を下げ

 

「ごめんなさい。」

 

突然謝罪してきた。

 

「!?何してるんですか頭を上げてください隊長!!」

「私は君を守る立場にありながら君を危険な目に合わせあまつさえ死にかけさせてしまった。すべて私の判断ミス、とても許されることではない。」

 

隊長・・・・あれからずっと気に病んでいたのか。部下を多く失ってきたからか、誰よりも責任を感じているんだろうな。

 

「顔を上げてください隊長、俺は気にしてませんから。あの時の俺は自分のできることを全力でやっただけです。隊長が謝ることじゃありませんよ。」

「でも・・・」

「それでも申し訳ないと思うのでしたら、俺に守ることを任せてもらえますか?ほら俺防御専門のPS持ってる訳ですし!」

 

言ってることが理解出来てないのかぽかんとする隊長。

 

「俺は二度と倒れません。隊長達に認められる部下を目指してこのセブンスライトを使いこなせて見せます。だから隊長も俺のこと信じてくれませんか?」

「・・・・・認めるもなにも君の事は正式な部下として認めている。」

「え?」

 

え?そうなの?まだ入隊して二~三日くらいしか活動してなかったけど俺隊長の期待に応えられるほど活躍してないような気がするんですが・・・

 

「言うのが遅れたけど合同演習で倒れず残っていた時から認めていた。改めておめでとう。私は君を部下として信頼してる。だから死にかけていた君を見た時、また部下を守れなかったことに恐怖で押しつぶされそうになった。

もう仲間を失うのは見たくない・・・・」

「・・・・ありがとうございます。でも安心してください。俺は自分の生死がハッキリわかりますから絶対に死にません!敵が強くて負けるかもしれませんが絶対に生き残って押し止めます!!一番隊の一員としてしっかり自分の役目を果たしてみせます!!ですから、これからもよろしくお願いします!!」

 

深々と頭を下げて俺の意志を隊長に伝える。

 

「・・・・そう。」

 

納得したのか隊長は口元を少し上げ微笑んでくれた。

そして踵を返し玄関へと歩いていく。

 

「貴方の覚悟はちゃんと受け止めた。明日はゆっくり体を休めて次に備えて。

隊長として部下の体調管理も重要な仕事だから。じゃあ、また。」

 

そう言い残し隊長は部屋を出ていった。

自身に掛かっていた不安は消え去りとても晴れやかな後ろ姿だった。

・・・・次の戦闘までに隊長達の謹慎解除されるよね?

そんな不安を打ち消してくれる人など居らず内心焦る俺なのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司令部での会議が終わり退出したタクマ達ブラスト小隊は自分達が担当する防衛エリアでノイズが出現した知らせを受け、ノイズの反応が合った山間へと降り立った。

だが・・・

 

「どうだ、見つかったか?」

「・・・戦闘の痕跡は見受けられますがそれ以外は何も。」

 

現場にはノイズは居らず刀で切り付けられた跡とノイズだった灰が散乱しているだけだった。

 

「とても鋭利な刃物のようね、プロールライダーが使うアークソードでもここまでの切れ味は出せない筈。」

 

地面に出来た斬撃痕を撫で確認するブレンダがその切り口を見て驚愕する。

 

「隊長!見てください!!」

 

麓側を調べていたマイクの呼びかけでタクマや他の隊員も集まって来る。

マイクの足元には二つの細長い凹みがありそれがふもとの方へと続いていた。

 

「これは・・・バイクのタイヤ痕か。」

「えぇ、恐らく俺達が輸送機で来るのを予期して地上から移動したのかと。」

「まだ遠くには行っていないと思いますがどおしますか隊長?」

 

ノイズを倒したアンノウンを追うかどうか悩むタクマ達。答えの出ぬなか闇夜に日の光が差し込む。

 

「もう夜明けか・・・・」

「たしかこの後、皇神グループの兵器を第三基地の格納庫に搬入する仕事が控えてた筈。」

「アレだろ?旧式の無人戦車で名前は・・・」

「ミチ一七式丙【マンティス】。機体自体は古いが事象反転装置を組み込んであるからノイズ掃討に役立つはずだ。わざわざ輸送船で大量に運んで来るらしいからな急いで戻った方がいいだろう。ここは調査班に任せて全員引き揚げるぞ!」

「「Hoo-ah!!」」

 

号令と共に各々が撤収作業に移る

姿の無い存在を探すのはその手の専門家に任せ次の任務に向けて引き揚げ準備をする最中タクマは戦闘跡をみて思案する。

 

(今月でもう6度目、他のエリアでもノイズの出現は聞くが俺達の担当エリアでのみ何者かがノイズと交戦している。ノイズの出現計数も他のエリアより多い。なにか理由があるのか?なんにせよ奴らの本拠地が特定できるのも時間の問題、戻り次第司令に報告せねばならないな。)

『隊長!撤収準備完了しました。』

 

通信機からの報告を受け輸送機に目を向けると機内に隊員たちが乗り込み開いた席に腰掛けていくのが見えた。

 

「あぁ解った今行く!」

 

通信を切りタクマも輸送機に向けて走り出す。全員の搭乗が完了し輸送機は第三基地に向けて飛行を開始する。

移動の最中ブラスト達をすれ違うように調査班の輸送機が戦闘現場へと向かっていく。

 

「彼らの調査で何か情報が掴めるといいですがね。」

「情報は着実に集まっているはずだ、焦ることは無い。」

 

ブレンダを諭すタクマは不意に窓から見える街並みを眺める。ビルや商店街が並ぶなか他より近代的な建物に視線を落とす。

 

「リディアン音楽学院」

「お?隊長もリディアンに興味あるんすか?」

 

ぽつりと建物の名前をつぶやいたのを聞き逃さなかったマイクがタクマに詰め寄る

 

「いやそう言う訳じゃなくてな。確かあそこの運営に奴らが噛んでいたはずだったのを思い出してな。」

「ですが二年前の調査では校内には奴らに関する施設も隠し部屋などは見つからなかったはずです。」

「そうなんだがな・・・・」

 

連邦の設立と同時におこなわれた大規模調査と摘発でリディアンには何もなかったことはタクマも理解しているがどうにも納得できない違和感のような物が彼の中で渦巻いていた。

しだいにタクマ達を乗せた輸送機は町から遠ざかっていく、その輸送機を地上から睨んでいる少女がいることを彼らが知る由など無い。




ウィル「天草一颯!君が、人類で唯一、マナに適合し人から逸脱した存在だからだぁッ!!・・・・・・フフ、決まった!一度こういうの真似したかったんだよねぇw」
簪「人が悪いですよ博士、一颯さん混乱してたじゃないですか。」
ウィル「フフフ、何事も自覚は大事なことさ、理解こそ人の絆を紡いでいくと私は信じている。いや、予測するね!」
簪「彼はSR(セブンスライト)を上手く使いこなせるでしょうか?」
ウィル「なぁ~に、君が用意した映像資料が役に立つさ。盾振り回してぶん殴るヒーロー物ほどうってつけなものは無いね!」
簪「そういうモノですかね・・・(言えない。若気の至りとはいえ手持ちのビデオがアレしか無かったなんて言えない!!)」


次回「休日の第三基地」

ウィル「ようやく序章も終わりを迎えるね。私の予測が正しければ明日は”槍”が降るね。」
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