「力が欲しいか?」
「欲しい! 射手も銃手も敵じゃない、圧倒的な力が!」
「ならばこのトリガーを使うといい」
大体こんな感じの話。
仮想戦闘用に、ボーダーのトリオン技術によって構成された昼の市街地。その街角の影に、大神拓夢は体勢を低くし、いつでも飛び出せる用意をしながら潜んでいた。腰に挿した刀状の近接戦闘用トリガーの『弧月』に手を当て、すぐに鞘から引き抜く準備も済んでいる。
さあこい、と拓夢は獲物がやって来るのをひたすら待った。
自分から探しに行き、追い立てることはしない。悔しいことだが、それでは返り討ちに合うと経験上わかっていたからだ。
待つのは嫌いだ。でも負けるのはもっと嫌いだ。だから先手は決して譲れない。先手を取られれば、自分は狩られることしか出来なくなる。
卑怯だと指差し、笑うがいい。だけど最後に笑うのは自分だ。
(来た……!)
走っているのだろう。足音が一気に近づいてくる。
「おーい、どこに隠れてるんだー?」
(馬鹿め!! 言うわけがないだろう!)
暢気な男を心中で罵倒する。その余裕が続くのも時間の問題だと決めつける。
(さぁ来い。その首ぶった切ってやる!)
今か今かと逸る意識を押し殺すも、あの男が驚く瞬間を想像して獰猛な笑みが零れる。
だが、男はピタリと足を止めた。
(何故だ? あと少しなのに!?)
もどかしい。今すぐ飛び出して斬りかかりたい。
(いや……)
飛び出すべきかもしれないと思考する。この距離。未だ十分とは言えないが、妥協するなら悪くない。むしろ正面から挑みかかればここまで近づけることの方が稀なのだ。だとするならば勝負を仕掛けてもよいのでは?
そうこう迷っているうちに、男が動いた。
「うーん、面倒くさいな。もう全部吹き飛ばすか」
「……えっ?」
瞬間、轟音と共に、拓夢の周囲一帯が光と衝撃に包まれた。建物は瓦礫となって吹き飛び、地面は抉れて小規模なクレーターをいくつも作り出す。
街中に出来てはいけない惨状が一瞬で出来上がってしまった。
咄嗟に『シールド』を張っていなければ、拓夢も今頃木端微塵だっただろう。
そしてこの惨状を作り上げた男──出水公平は、ニィッと口角を上げた。
「大神見っけ」
「……まじか」
まさか着弾地点で爆発を巻き起こす弾丸系トリガーの『メテオラ』を巻き散らすとは。
ボーダーは街を襲う近界民から市民を守る存在だ。それなのに市街地を吹き飛ばすような真似をするなんて、拓夢は考えもしなかった。
(クソッ!)
隠れられる遮蔽物はもうない。逃げるのは難しいだろう。
だがこうなってしまった以上は腹をくくるしかない。
ダッと駆け出し、その間合いを詰める。その距離およそ10メートル。数秒もいらない距離だ。
だけどそれは何の障害もないときの話だ。
「『アステロイド』」
出水の両手付近にそれぞれ大きな立方体が生みだされる。中距離で戦うポジションの射手用トリガーの一つ、貫通力に優れた『アステロイド』の弾丸を形成したのだ。
トリオンキューブとも呼ばれるその立方体はすぐに細かなトリオンキューブに分割され、出水の周囲に星のように散りばめられた。その分割されたトリオンキューブの一つ一つから弾丸が放たれる。
個人が生みだしたとは信じたくない弾幕が襲い掛かる。
ここで避けることを選ぶと、その隙に距離を離されてしまう恐れがあった。それは互いの武器の適正距離を考えれば致命的だった。拓夢は二重に『シールド』を前面に張り、避けることなく突き進む。
『シールド』を『アステロイド』が絶え間なく削ってくる。一枚目の『シールド』が破れた。
出水は後ろに下がりながら『アステロイド』を形成し、撃ち続けている。けれどもその距離は確かに縮まっていた。
(ここまで来れば───)
弾幕に耐えきれず、最後のシールドが破れた。けれどももう『弧月』の間合いだ。
「貰った!」
勢いよく踏み込み、『アステロイド』の射線から逃れる。微かに体を弾丸が掠めるも支障なし。腰から抜いた『弧月』で出水に斬りかかった。
出水はさっきまで撃ってたので『シールド』は間に合わない。もしも間に合ったとしてもそれごと叩き斬るつもりの一太刀。これは決まると確信した。
けれども視界の端から不自然に折れ曲がり、こちらに飛んでくる弾丸に凍り付いた。
(あの軌道は『アステロイド』には無理だ。つまり『バイパー』だったのか!?)
『バイパー』は威力こそ低いが、その弾道を自由に定めて撃てる変化弾だ。『アステロイド』からいつの間にか切り替えていたのだろう。
完全に読まれていたのだ。
「悪いな大神」
出水が得意げに笑った。
(いずみぃーーーーーー!!)
その笑みに殺意を抱きながらも、『弧月』が出水に届く前に『バイパー』に貫かれたのだった。
ボスン、とベッドに体が転送される。仮想戦闘から敗北者の帰還だ。
「……」
天井を見つめ、今の戦いを振り返る。
出水が『メテオラ』で周囲を更地にする前に飛び出せば勝てただろうかと考えを巡らすも、『勝てた』とは今になっては自信を持って思えない。
確かに不意を打てるので勝てたかもしれない。けれども間合いを詰めたところを先ほどと同じように『バイパー』で仕留められた気がする。
ではどうすればよかったのだろうか。
一回退くべきだったか? いや背中を撃たれてお終いだ。
『シールド』での突撃ではなく、回避するべきだったか? いやあの弾幕を回避仕切るのは無理だ。結局はジリ貧だろう。
「……う」
拳を握り締めた。
「うぎゃぁあああぁ!! むぎゃぁあああぁあああ!!」
悔しさのあまりベッドの上でじたばた暴れまわる。心なしか目頭が熱い。
「勝てるか!? たったの十メートル詰めるのも『シールド』持たないとかどうしろって言うんだよこんちくしょう!」
『弧月』にも中距離に攻撃する手段はある。刀身を一時的に伸ばすオプショントリガーの『旋空』だ。これを使うと、あたかも漫画によくある飛ぶ斬撃を放ったかのように離れた敵を一刀両断出来る。
けれども動く相手に当てるのは想像以上に難しく、それでいて弾幕の隙をついて放つことなんて今の拓夢には技術的に無理だった。
だから近づいて斬るしかないのだが、そもそも近づけない。弾幕に『シールド』がもたないのだ。
部屋に備え付けられた機械から、憎き射手の音声が響く。
『おぉ荒ぶってるな。で、どうする? もう一戦やるか?』
声音だけで出水のドヤ顔が目に浮かび、拓夢は怒鳴るように返事した。
「やる!」
蜂の巣にされた。
泣いた。
思えばC級時代からそうだった。
訓練生にあたるC級ではトリガーは一つしか使えないため、シールドは使えない。互いに武器となるトリガーだけでの勝負だった。
そして近距離武器の『弧月』を選んだ拓夢は、射手や銃手に鴨にされた。
防ぐ手段がないので回避するしかない。けれども弾幕を張られながら距離を開けられると、近づくことさえ出来ないのだ。
特に酷いのは『ハウンド』と呼ばれる追尾弾だ。これをばらまかれただけで回避すら出来ない。
やっとの思いでB級に上がり、念願のシールドを手に入れ、さあこれで憎き射手や銃手を返り討ちにしてやろうと思ったら、今度は多種多様な弾丸に蜂の巣にされる始末。集中的に撃たれれば当たり前のように割れるため、シールドはそこまで万能ではなかった。
「大神は正面から来過ぎなんだよ」
同期の射手である出水の言葉だ。これを聞いて拓夢はなるほど、と感心した。さすがは最も蜂の巣にしてきた相手の言葉だ。
試しに機動力を上げてみることにした。
初めに高速戦闘を得意とする者たちのトリガー構成を真似て、軽さと形状の自由さが特徴の『スコーピオン』を入れてみた。使ってみると、『弧月』と違って想像以上に軽く、動きやすさが全然違った。
けれどもこれは長続きしなかった。射手たちとの戦い以前に、近距離戦をする同じ攻撃手相手との勝率が下がってしまったからだ。
これは『弧月』での戦い方が染みついてしまい、同じように『スコーピオン』を使ってしまったことが原因だった。『スコーピオン』は応用力があるが、脆く、『弧月』と違って受け太刀をするとあっさりと折れてしまうのだ。
次に触れたものを弾き飛ばすジャンプ台を作り出す『グラスホッパー』に手を出した。空を飛ぶように移動でき、中々に面白いトリガーだ。
しかし体勢の制御が難しく、それでいて咄嗟に使うとジャンプ台の向きと踏み方が合わないという事故が発生。結果盛大に空中で大車輪を決めてしまい、その隙に出水に蜂の巣にされた。
次に悪魔に魂を売るつもりで射手用のトリガーに手を出した。牽制に撃つだけでも違うと思ったのだ。
ただ作り出した『メテオラ』を速攻で起爆させられ、自身の『メテオラ』による自爆で敗北してからは手を出すのを避けている。
もちろん、練習すればこれらのトリガーも使いこなせるようになるかもしれない。そんなことはわかっている。
けれども拓夢は、とにかくあの弾幕張っておけば勝てるよねとばかりにバカスカ撃って来る弾馬鹿共を黙らせてやりたかった。
そんな拓夢に遂に転機が訪れる。
それは話題になっていた姿を消すトリガーである『カメレオン』を使ってみようと思い、トリガー構成を変えようと開発部に行ったときのこと。トリガーを変えて貰ってる間、つい愚痴を漏らしてしまったのだ。
どうすれば弾丸トリガーに対抗できるのか、と。
ぽっちゃり体型の男のトリガーを弄る手が止まる。そしてニヤリと怪しい笑みを浮かべた。
「銃手や射手に対抗できるいいトリガー知ってるけど……教えようか?」
「お願いします」
迷わず即答した。
「出水」
「おっ! 大神じゃん。最近見なかったけどどうしたんだ?」
呑気な出水に対し、拓夢はフフフと不気味な笑みを浮かべる。
「ちょっと特訓をね」
「へぇ。じゃあやるか?」
「ああ。ブースに入れ。今日こそその首ぶった斬ってやる! 忌々しい射手の時代ももう終わりだからな」
「……前からこじらせてると思ってたけど、しばらく見ないうちに悪化してるな」
何とも言えない微妙な顔をする出水を無視し、さっさと拓夢は空いてるブースに入った。
拓夢の入ったブース番号を確認した後、出水も空いてるブースに入る。機械に先ほど確認したブース番号を入力し、ランク戦を申請すると、すぐに受理される。
(『弧月』のポイントは前とあんま変わってないな)
出水のいない時間にランク戦をしていたわけではないようだ。チームを組んだという話も聞いていないので、どこかの訓練室を借りて特訓していたのだろうか。
(どうくる? 前は隠れてオレが近づくのを待ってたから、今度は『カメレオン』で近づくとかか? そうだったら手当たり次第に『メテオラ』か『ハウンド』でもばら撒くか)
先ほど見た不敵な笑み。今回はかなりの自信があるのだろうか。
拓夢が射手や銃手を目の敵にしていることは出水も知っている。というかC級時代に彼のポイントを目当てに弾丸系トリガーでボコボコにした面子の一人だったりする。
結局、同じ攻撃手とだけ戦うことでポイントを上げた拓夢だが、B級に上がり、『シールド』を手に入れてからは積極的に射手や銃手に挑む姿が見られた。その流れで挑んで来たので返り討ちにしてやったら、それが気に食わなかったようでやたらと戦うことになった。
別に拓夢は弱くない。ポイントこそ出水に根こそぎ奪われているので4000付近だが、出水以外の射手や銃手との勝率は悪くないのだ。
出水もボーダーに入って日が浅いが、それでも自分が射手の中でも優秀であることは自覚していた。このポジションはトリオン量による影響がかなり大きい。それでいて銃手以上にセンスがとわれる。
幸運なことに出水にはその両方の才能があった。
出水の放つ弾丸系トリガーの威力や数は他の隊員の中でも抜きんでていたし、リアルタイムで『バイパー』の弾道を設定して撃ったり、各種トリガーを使うときのトリオンコントロールが上手だと言われている。最近チームへの打診が増えていることがその優秀さの証明になるだろう。
つまり出水からしてみれば、十分に射手や銃手と戦えているのに、そこまで執念を燃やせるのかがわからなかった。
(……まあいっか)
そろそろランク戦が始まるので、思考を切り替える。
転送が始まった。
視界が切り替わる。場所は適当に選んだ市街地。時刻は夜。初期位置から既に拓夢の姿が見える。今までは初期位置はランダムで決まるようにしていただけに、いきなり対面したことに少し面食らう。
(『カメレオン』使っての奇襲じゃないってことか?)
何をするつもりなのか。俯きがちなせいで表情が見えない。出方を伺うには不気味過ぎる。
「ふっふっふ」
「……うわぁ」
拓夢の気味の悪い笑いについドン引く出水。
とにかくもう始めていいだろう。サブでは『シールド』をいつでも使えるように用意しつつ、メインで『アステロイド』を作成する。
瞬間、拓夢が真っ直ぐ駆けだした。片手に”何か”を握り、前に突き出しながら距離を詰めてくる。腰の『弧月』に触れる様子もない。
(何するつもりかわからないけど、前の『メテオラ』みたいに射手用トリガーに手を出したわけじゃないのか)
『シールド』からサブのトリガーを切り替えつつ、『アステロイド』を125分割し、一つでも弾幕を張れるように三段階に分けて発射するよう設定。後方にジャンプして距離をとる。
警戒に反し、一枚のシールドを作成してただ突っ込む拓夢を怪しみながら、シールドを突破すべくサブで『ハウンド』、メインで『アステロイド』を作成。牽制用の『ハウンド』は細かく分割して、速度は遅めの山なりに撃つ。そして本命の『アステロイド』は8分割と大き目にして、速度と威力にパラメータを振って撃ち込んだ。
この『アステロイド』は流石に『シールド』で耐えきれないと悟ったのだろう。拓夢は『シールド』を大きく広げ、跳躍し、先に到達した8分割の『アステロイド』から逃れた。けれどもそこに『ハウンド』が襲い掛かる。最初に撃ち込んだ『アステロイド』によりボロボロになっていた『シールド』がさらに削られ、防ぎきれなかった『ハウンド』が拓夢の体に細かな損傷を与える。
けれどもトリオン切れを狙うつもりはない。
「浮いたな!」
空中では取れる手段に限りがある。トリガー構成次第では何もできないほどだ。
拓夢もかつて『グラスホッパー』を使ったことがある。だが『グラスホッパー』を使いこなせず、体操選手のように空中で回転した姿は今でも鮮明に思い出せる。あれからトラウマになったのか、彼が『グラスホッパー』を使うことはなかった。
それでも一応空中でも高速機動が出来る『グラスホッパー』を警戒しつつ、メインとサブの両方で『アステロイド』を作成し、総攻撃を仕掛けた。
数えるのも億劫になるほどの弾丸が拓夢に襲いかかる。
その時、ボロボロの『シールド』が消え、もう一枚の『シールド』が拓夢を覆う。問題ない。『アステロイド』の威力ならその程度は削り切れる。
けれども彼の握りしめていた右手の”何か”から形成された幅広い盾を見て、目を疑った。
──『レイガスト』!?
「『スラスター』・ON!」
空中で『レイガスト』に引っ張られるように急加速した拓夢が砲弾のように迫る。
『アステロイド』の弾幕を『シールド』と『レイガスト』で防ぎながらぶち抜き、恐ろしい速度によって距離が詰まる。そのままの勢いで盾によるチャージが動揺で足を止めた出水に決まる。
「ッガ!?」
未だかつてない衝撃。勢いよく弾き飛ばされ、地面を二度三度とバウンドする。
(な、なんだ!?)
一瞬の出来事だった。そのせいで何が起きたのか、目の前で起きたことなのに頭で把握できない。
混乱しつつも、『シールド』を張りながら顔を上げれば、
「射手死ねぇ!!」
『レイガスト』の形状を盾ではなく大剣に変えた拓夢が、凄まじい形相で目前に飛んできていた。そして『スラスター』の加速も加わり、目にもとまらぬ速さで振るわれた『レイガスト』に、出水の体は『シールド』ごと両断された。
ブースに転送された拓夢は、いつもの自分が転送されていた脇のベッドに視線を送る。
「ふ、ふふふ」
今、自分はそこにはいない。
なぜなら緊急脱出したのは出水で、勝ったのは自分。そう、勝者は拓夢だ。
「あはははは! いいねいいね最高だ!」
長い間悩み続けていたパズルが解けた瞬間のような快感が体を満たす。多幸感が止まらない。
「あっ、そうだ」
溢れ出すこの気持ちをおすそ分けしよう。早速出水のブースに通信を繋げる。
「いーずみくん、ど・ん・な・気・持・ち?」
『……うぜぇ』
「あはっ! こっちは最高の気分だよ」
ここぞとばかりに煽る。最低な人間がここにいた。
『いつから『レイガスト』なんだ?』
「泣いて喜べ。今回初披露だ」
『レイガスト』とは『弧月』『スコーピオン』と並ぶ攻撃手トリガーだ。
他の二本と異なり、守備的なトリガーだ。『スコーピオン』ほどとはいかなくてもブレードの形状を変えられ、攻撃力を激減させる代わりに耐久力に優れた盾モードが存在する。ただし『弧月』よりも重く、それでいて攻撃力にも欠ける。
さらに言えば防御には『シールド』があるため、わざわざ攻撃用トリガーに『レイガスト』を選ぶものはほとんどいない。不人気武器だといえる。
『『レイガスト』使ってる奴初めて見たわ』
「オレもだ。でも憎き射手・銃手をぶった斬るのにはこっちの方がいいっぽい。というかたった今それを証明した、お前で」
『まじかー』
ではなぜそんな武器をわざわざ今回選んだのかと言えば、あのぽっちゃりとしたエンジニアに『レイガスト』の誕生秘話を聞いたからだ。
かつて『シールド』の性能を弾丸系トリガーが上回っていたせいで、今以上に弾丸系トリガーが流行っていた時期があった。『シールド』が簡単に削れたため、撃てば勝てる暗黒期だ。
そんな中、一人の攻撃手が憤り、立ち上がった。
彼は自らのスリムな体型を犠牲に、『スコーピオン』と『シールド』を参考にして一つのトリガーを作り上げた。それこそが『レイガスト』だ。
つまり『レイガスト』とは、対射手・銃手用トリガーだったのだ!
「『スラスター』があれば強引に突っ込んで接近戦に出来るし、攻撃力も『スラスター』で補えるし、最高だな『レイガスト』!」
『……一番手にしちゃいけないやつが手にした気がするぜ。ランク戦で「死ねぇ!」って言いながら斬るか普通』
「いやー、遂にあの出水に勝てると思ったら感情が籠っちゃって。反省してる、後悔はしていない。うん。滅茶苦茶スッキリした!」
晴れ晴れとした気持ちだ。
(この流れでドンドンぶった斬ろう。あはっ、射手も銃手もどっからでもかかって……そういえば別に出水以外にはあんま負けてない? というか十分にあいつら斬れてない? あれ?)
そしてふと気づいた。
「どうしてオレってこんなにお前ら射手たちをぶった斬るのに固執してたんだろう? 別に親殺されたわけでもないのに」
『お前マジふざけんなよ!?』
後日、そこには元気に『レイガスト』を主武器にして相手を両断していくボーダー隊員の姿があった。射手・銃手よりも攻撃手と積極的に戦う彼の姿からはかつての狂気は想像できない。
だが彼は知らなかったのだ。トリオン量に物を言わせて圧倒的な火力と弾数でブイブイ言わせている射手の王となる者の存在を。
ポケインのスタイリッシュ野郎に蹂躙され、射手・銃手への憎しみが再発する日は近い。
将来の盾馬鹿:大神拓夢
C級時代、射手や銃手にボコボコにされたことから、絶対射手・銃手ぶっ殺すマンになった。B級にあがり、『シールド』を手にしたことで勝率があがり、かなり溜飲を下げていたのだが、出水に蜂の巣にされ過ぎてこじらせた。
雷蔵の入れ知恵で『レイガスト』を手に入れ、出水を倒すことに成功すると、あまりの達成感に復讐心が消える。けれども二宮のせいで再発する。良くも悪くも感情に素直な馬鹿。たぶん簡単に餌付け出来る。
原作開始時には『レイガスト』でマスターランクを達成している。盾としてしか扱っていないとかパンチに使うとかせず、正統派な使い方をしているので雷蔵もきっと喜んでる。