かつてとある世界に絶望を仮面の下に隠し、半世紀もの間戦い続けた男がいた。
最低最悪の魔王と人々に憎まれながらも世界を守り続けたその生き様は紛れもなく英雄。
故に彼は再臨する。
藤丸リッカという人の命を尊ぶ少女と共に戦う為に。

FGO×仮面ライダージオウのクロス作品です。

また『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』のネタバレを含みますのでまだ見ていない方はご注意ください。


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今更FGOにはまりつつある作者がジオウの劇場版を見て衝動的に描いた作品の為、独自設定などがありますがそれでも良ければお願いします。




20XX:逢魔の騎士は再臨する

荒涼としたただ広いだけの大地。建物の残骸やベルトを巻いた人骨の転がる世界の滅んだ後の如き殺伐とした大地の中心に像と玉座のみがある。

 

巨大な像はいずれも仮面をつけた雄々しき戦士たちの像。今となっては世界より名を忘れられた英雄たちの像の中心にはベルトを巻きポーズをつけた少年の姿。そして一つの玉座に座りたたずむ王がいた。

 

永遠に続く平坦な時代に像と玉座、王はそこにあり続ける。いつまでも。いつまでも。

 

 

 

 

ある男がいた。その男はかつてはごく普通の高校生であった。ただ一つ、最高最善の王様を目指しているという点を除けば。それは本来かなうはずのない稚気じみた夢のはずだった。

 

しかしある日彼の人生は激変する。彼は平成という激動の時代を駆け抜けた英雄たち―――――平成仮面ライダーと呼ばれた男達の一人となったのだ。

 

彼の変身する仮面ライダーの名前はジオウ。仮面ライダージオウは全てのライダーの力を受け継ぐ絶対の王者。これまでの戦いを経てなおも生き続けてきた彼ら平成仮面ライダーやその仲間から、力と生き様の結晶たるライドウォッチを託され、彼は過去の邪悪の残滓から人々を守り戦い続けてきた。それは彼の信ずる王への道の為、彼の元で暮らす人々の笑顔の為。その気高い戦いの行く末は、決定的な破滅だった。

 

平成という時代の終わる間際。後の歴史では『逢魔の日』と呼ばれるその日。彼の前に立ちふさがった組織の名前はQuartzer(クォーツァー)。平成という混沌とした歴史のリセットを大義に掲げ暗躍する彼らの目論見は最終的に半分以上成功したといっていい。人も建物も歴史も技術も、すべからく平成という時代に生まれた物は空の彼方へと消え去っていき、二度と戻ることはなかった。その過程で少ないながらもいた彼の友も、育ててくれた叔父も皆死んだ。惨劇の末、その素質を完全に開花させジオウの究極形態『オーマジオウ』に覚醒した彼がQuartzerの首領格の三名を倒した時にはもう遅い。平成という時代は完膚なきまでに焼却されたのだ。

 

しかし最悪はそれで終わる事無く続いた。彼はQuartzerを殲滅する事は出来ず、平成という時代の焼却により混乱する世界に対して逃げ延びた残党が工作を開始し、孤立無援の彼はその暗躍に対抗できず数年で事実は書き換えられた。彼こそが平成を滅ぼした張本人、最低最悪の魔王であると。Quartzerは正義に燃える人々を糾合、レジスタンスを組織し幾度なく彼を倒そうと攻撃を加えた。

 

さらに平成という時代の混乱を機と見たのか、それともおよそ三十億という大量の死が呼び寄せたのかはわからない。覇権を握ろうとする新たな悪が、かつて滅びたはずの悪が、外宇宙より来た力の塊が生き残った人々を襲う。それはまさに平成という終わらない地獄がこの世に現出したようであった。

 

そんな危機にあってかつて彼に力を託した平成ライダーたちもその後に続くはずの新時代のライダーたちも最早いない。彼を支える者もいない。そればかりか彼に敵意を向ける者しかこの地球にはいなかった。

 

だから彼は、魔王オーマジオウはそうであらなくてはならなかった。人類を永遠に守護し続ける、最高最善の魔王に。

 

 

 

何もかもが破壊されつくした荒野の中に緑色の爆炎が連続して煌めく。それを成すのはオーマジオウと呼ばれる魔王の召喚せし赤の戦士二人。かつて平成の時代には仮面ライダーカブトとドライブと呼ばれた仮面の戦士二人はその特殊能力である超高速で、縦横無尽に戦場を駆け抜け異形を殲滅していく。常人の目にはとまらぬ秒にも満たない速さで行われた殲滅は爆炎の数が三十を数えた所で終了した。先日飛来した隕石より出でたワームはこれで全滅だ。

 

「ワームの第七陣、殲滅完了」

 

赤の戦士二人が消滅するとともにオーマジオウは独り言ちる。すでに彼が魔王となっておよそ半世紀ほどが過ぎているが戦いは終わらない。Quartzerによって整地され平坦になった平成の時代を象徴するかのように長く続いていく。今日もまた宇宙より来る脅威の一端を彼は完膚なきまでに叩き潰した。

 

だが今日の戦いのみですらこれで終わらないことを彼は知っている。戦いを終えた彼の元に降り注ぐのは無数のミサイル。本来ならば戦車すら容易く破壊出来るはずのそれらは、ただ彼が手を掲げるだけで本来の100分の1以下の質量に圧縮され爆散する。しかし射手たちは怯まない。時の声を上げて一斉に突撃する。

 

「恐れるな勇敢なる戦士たちよ!今日こそ最低最悪の魔王を倒し世界を救うのだ!かかれえっ!!」

 

剣を掲げ檄を飛ばす指揮官の号令の元レジスタンスの有志達は雑多な小火器を掲げ彼に迫る。その中にはロボット兵器も混じっているが彼らの総力はオーマジオウ単体の力に遥かに劣る。それが分かっているはずなのに彼らは立ち向かう事を辞めない。死に急ぐことを辞めない。それを悲しむ心はオーマジオウからもう摩耗しきっていた。

 

「がごっ!!」

「司令官がやられた!」

「怯むな!司令官の遺志を継いで魔王を倒すんだ!」「応っ!!」

 

レジスタンスは司令官が殺されても止まらない。むしろ士気を増大させ向かってくる始末だ。その中にはQuartzerの残党やその意をくんだ者もいるのだろう。だから殺すしかなかった。かつての平成ライダーの力を使う必要もない。彼からすれば児戯に等しい力の発露のみでレジスタンスたちは死んでいく。

 

「……」

 

この半世紀繰り広げられてきた通り虐殺としか言いようがない一方的な戦いはすぐに終わった。残されるのは本来彼が守るべきであったはずの無数の屍に残骸、そして逢魔の魔王ただ一人。彼は瞬間移動で一瞬で戻る。彼の住処である玉座へ。

 

忘れられた平成ライダーたちの像と剥き出しの玉座しかないこの場所が彼の育った家の跡地である事は平成ライダーの記録と共に忘れ去られた。今となっては彼一人が覚えている事だ。

 

玉座に身を預けオーマジオウは一人休む。次の戦いに次の地獄に挑むために。

 

嗚呼何という事だろうか。最早彼にはかつての理想はなく、されど最高最善の魔王であることを辞められない、やめない。まっ平の平成の道をただ一人歩いていく。

 

ただの一度も敗走はなく、されどただの一度も理解される事なく魔王の歩みは常に孤独のままである。

 

その生涯に意味があるかはオーマジオウ、彼自身にしかわからないのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

ある少女がいた。藤丸リッカという日本人のその少女はごく普通の高校生であった。しかし偶然スカウトを受けカルデアという機関でバイトをしたことをきっかけに、彼女は世界の存亡をかけた戦いに巻き込まれた。本来戦線の主軸を担うはずのエリートたちは全滅。指揮官であるはずの所長も無残に殺され残る戦力は彼女一人のみ。その戦いは彼女の、ひいては人類の敗北という結果で終わる事は火を見るよりも明らかだった。

 

しかしリッカは戦いぬいた。生きたいという人の持つありふれたされど尊い思いを胸に抱き、彼女を慕う後輩やカルデアの良き人々と共に七つの特異点を解決した。その成果には彼女に手を貸した人類史の象徴たる英霊たちサーヴァントたちの力も大きいが、紛れもなくリッカの人間性に拠るものが大きいだろう。彼女の持つ普遍的な善性の。

 

そんな彼女の戦いはまだ続いている。七つの特異点を解決した後も彼女の戦いは続いている。怖い事もつらい事も数えきれないほどあった。しかしそれでも多くの人々に支えられて彼女の戦いは続いている。彼女はまだ戦い続ける事が出来ていた。

 

 

 

 

 

厚い雲により日の差さない不毛の地。そこはいわば都市の死骸だ。以前は栄えていただろう大都市。本来ならば世界でも屈指の規模であるはずのその都市は如何なる災いが起きたのか今はもう歪で虚ろな廃墟ばかりが残る都市の死骸となっている。

 

荒廃の原因は分かり切っている。都市にはびこる幾多の異形たち。ある者は灰色の機械的な、またある者は黒い忍びのような、またある者は緑色の人型の蛹のような、それぞれ形は異なるが多くの異形たちが都市にはびこり、人を襲い続けていいる。

 

「はあっはあっ……本当に何なのこの世界…」

 

廃墟の街を一人の少女が走りゆく。明るい色の髪に人好きのしそうな顔立ち。白い制服に包まれた健康的な肢体はこの年の少女のみが持つ健全な魅力を放っている。彼女は藤丸リッカ。本来はカルデアという機関で働いていた元はごく普通の少女である。最も人理焼却なる大偉業を防ぎ、一度世界を救ったという点を除けばだが。

 

「ここまでくれば…一安心かな。あの人たちも無事だといいけど……」

 

路地に入り追っ手をうまくまいた事を確認するとリッカは独り言ちる。リッカがこの世界のこの都市に来たのはほぼ偶然だ。ある日眠りについた後気が付けばこの都市のスクランブル交差点に立っており、そのまま彼女のよく知る東京とよく似た廃墟となった街に驚き恐る恐る探索する内に彼女は見つけてしまった。人を襲う異形の群れと、その異形たちに襲われようとしているまだ生きている人々を。

 

状況は分からないが明確な無辜の人々の危機である光景。その光景に対してリッカがしたことは一つだ。彼女はわざと声を上げ異形たちの囮になった。

 

その行いは無謀な物だ。今のリッカには普段彼女の身を守り共に異変解決の為に戦ってくれるサーヴァント、かわいい後輩を始めとする仲間が一人もいない。およそ戦う力や知恵に限っては強者とは言えない彼女が一人でこのような行いをするのは紛れもなく死を招く。人によってはそれこそ愚行とすら評するだろう。

 

しかし藤丸リッカはそういう人間なのだ。自身と人の生きたいという意思を可能な限り尊重し守ろうとする。そんな彼女であるからこそ、多くの人々が彼女に手を貸し、一度世界を救えた。それは紛れもない事実だ。

 

「っ!?」

 

しかしリッカの行為は愚かではないが危険な行為ではあったようだ。路地裏の様子を伺いながらもさらに安全な場所へ歩き出そうとした彼女は突如として悍ましい気配を感じとっさに身をかわそうとする。

 

「siiiiiiiiiiiiiiiiiii!!!」

 

建物の二階に張り付き、そこから立花に飛び掛かってきたのは緑色の蛹としか言い難い異形だ。さっきからリッカを追跡してきたのか悍ましい相貌に殺意を浮かべた異形は右腕の鋭い爪を顔の前に掲げる。悪魔の持つそれが如き鋭い二本の爪には鮮血が付着していた。嗚呼リッカは躱し切れなかったのだ。

 

「っ…あああああああああ!!!」

 

腕をざっくりと切り裂かれたリッカは思わず苦痛に悲鳴を上げる。先程の異形の一撃は彼女の腕の血管を傷つけるだけではなくその肉までを切りさき苦痛を与えていた。リッカは歴戦とはいえどその精神は一般人のそれに近い。

思わず悲鳴を上げてしまったがそれがまずかった。

 

「ターゲット、カクニン……」

「vvvvvvv…」

「gobbbbbbbb!」

 

(嘘…こんなにたくさんどこから…!)

 

リッカの悲鳴を聞きつけるや否やどこから出てきたのだといいたくなる程に大量の異形が沸き、彼女をとり囲む。その姿や獲物のバリエーションは先ほど見た通り豊富だが共通した特徴がある。リッカの命を狙っているという事だ。

 

「ぐうう……」

 

痛い。苦しい。怖い。命の危機に瀕した心を暴力的なまでの感情が責めさいなむ。しかしリッカは自身の命を諦めない。目の前に迫る奇抜な形状の槍を携えたロボットのような異形をにらみつける。まだ死ねない。まだ生きたい。ありふれた、しかし強く根源的な感情を胸に抱き生存の道を探し続ける。

 

「ハイジョシッコウ。シネ」

 

そんなリッカに電子音声と共に異形の槍が振り下ろされる。生きようとする少女の躰を禍禍しい刃が捕らえようとしていた。

 

嗚呼、ただ人の命を尊重しようとしただけの良き少女の命はここで潰えるというのか。この異常にまみれた世界には最早人命を無為に奪い続ける悪のみがはびこる、それが真理だというのか。

 

槍の振るわれる風切り音に続き、路地裏に音が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

魔王となったオーマジオウの歩んできた歴史が変わり始めたのはいつ頃のことになるだろうか。ウォズというQuartzerの一員が二重スパイとして現れた頃だろうか、それともゲイツというレジスタンスの一員が自身の隙ともいえない隙を突きライドウォッチのうち二つを奪い取った時だろうか。それは分からない。

 

だが過去は確かに変わり始めていた。若き日のオーマジオウ、常磐ソウゴ は一人の力ではなく仲間と共に戦いに挑み困難に打ち勝っていった。そしてその先に待ち受けるQuartzerの引き起こす事件にも仲間と共に挑んで行く。その姿は若くひたむきで、老いた彼に自分を超える王になるのではないかと感じさせた。

 

だからこそ彼は若き日の自分に「世界をより良くするために王を目指す」という理想を抱き続けていた自分にその力の結晶たるオーマジオウライドウオッチを託した。一瞬一瞬を必死に生きていた頃の自分に。そして若き日の彼はバールクスを破り平成という時代から新時代たる令和へとつなげた。それは紛れもなく若き日の彼が自分を上回る最高最善になった証。老いたオーマジオウを若き日の仮面ライダージオウオーマフォームが上回り、世界をよりよくした証である。

 

「若き日の私よ。良くやったな……」

 

だから自身の存在が消えゆく時も彼は満足だった。平坦な時代が消え、また凸凹だけど熱さに満ちた時代がやってくる。その結果に満足し魔王は目を閉じ、静かに終わりを迎えた。

 

そうして最高最善の魔王であった男は世界より消えていった。だが人々が忘れても世界は忘れない。オーマジオウは半世紀にわたりただ一人世界を守り続けた、その孤独で、されど気高い生き様は紛れもなく英雄として記憶されるべきであると。

 

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がきん、と金属的な音が鳴った。

 

「え?」

 

リッカに振り下ろされた槍を防いだのは黒地に金色の装飾をつけた豪華な腕。一見するとギルガメッシュのそれに似た逞しい腕は多くのサーヴァントとの絆をつないだリッカからしても見覚えのない、しかしその姿から放たれる強大な魔力の波長は―――――紛れもなく特一級のサーヴァントだ。

 

「新しい、サーヴァント…?」

 

黄金のサーヴァントは黒地のスーツを着込み、体中に腕と同様の金色の装飾を鎧のように装着したまさしく豪華絢爛な姿だ。特に特徴的なのはたすきのように斜めに胴を横切る時計のベルトの如き帯。さらに赤き複眼(気のせいかカタカナでライダーと書いてあるように見える)の上に立つ時計の針を模した二本の角。黄金の魔王のごとき威容がその姿から醸し出されていた。

 

「ふっ」

 

黄金のサーヴァントはただ一息、払いのけるかのように腕を振る。ただそれだけで異形のほとんどが猛烈な勢いで吹き飛び壁にめり込み前衛芸術のような有様になり、爆発四散する。

 

「shaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!」

「GRRRRRRRRRRR!!」

 

「ハッ!」

 

その圧倒的な力にもひるまず異形たちの残りが構わず突撃していくが、黄金のサーヴァントの振るう拳や蹴り脚が一撃で返り討ちにしていった。その力は圧倒的、まるで無力な雑兵を蹴散らす魔王であるかのようですらあった。瞬く間にすべての異形が爆散し路地に静寂が戻る。

 

「……怪我をしているようだな」

 

黄金のサーヴァントはリッカに向けて手をかざす。それだけでリッカの傷がふさがりまるで傷の方が非現実の存在であったかのように消えた。

 

「あ、ありがとう」

「どういたしまして、と言ったところか。しかし私が、癒しの力を使う時が来るとはな」

 

半世紀、使う機会も感謝される機会もなかったからな、と黄金のサーヴァントは特に感情を見せることなく言い放つ。しかしその言葉の裏にはわずかながらも寂寥の感情が含まれているように感じられた。だからこそリッカはこう思う。

 

(この人も…悲しい事があって、それでも頑張り続けて、その果てに英霊となった人なのかな?だったら――――)

 

リッカのこれまで巡り合ってきた人々。サーヴァントも人もそれ以外も区別なく悲しみや苦悩を隠して、それでも理想の為に戦い続けてきた。その中にはリッカたちを支えてくれた今はもういない臆病な元王様も含まれている。

記憶にある彼らと黄金のサーヴァントを重ねて、リッカは思う。

 

(私は、この人の事がもっと知りたい。)

 

それは苦難を経た少女の純粋な願い。ただそれだけだった。

 

「あの、あなたの名は…後ろ!」

「vooooooooooggo!?」

 

黄金のサーヴァントの背後の鏡から金属質な体を持つ異形が現れる。が、一撃で彼に殴り飛ばされた。しかし異形の流入は止まない。鏡の中から地底から、空から物陰から無数の異形があふれ出す。その姿を見たリッカは固唾をのむ。一般人とはいえ無数の戦いを経た彼女には分かる。この異形たちは先程の物たちの上位種。一体一体が一筋縄ではいかない力を秘めた強力な怪物たちだ。

 

だが黄金のサーヴァントは一歩も引かない。仁王立ちし、まるで正当な王であるかのように異形たちを睥睨する。

 

「数だけは多いが――――問題ない。消え失せろ」

 

彼が掲げるのは仮面の戦士たちが描かれたウォッチ。ライドウォッチと呼ばれるそれが光り輝くとそこから次々と仮面の戦士たちが現れ異形へと立ち向かっていく。

 

ある者は巧みに四種の力を使い異形を翻弄し

 

ある者は風を纏った格闘で異形を薙ぎ払い

 

ある者は英雄の力を行使し二刀で異形を切り裂き

 

ある者は軽快なジャンプで飛び回りながら異形たちを処理していく。

 

夥しい数の異形たちを勇ましく駆逐していく仮面の戦士たち。戦士たちはリッカにはあずかり知らぬことだが彼らはとある世界の平成という時代を駆け抜け守ってきた平成ライダーたちの一部。その力の行使こそが黄金のサーヴァントの力だ。

 

「これで良し。我が名を問いたな少女よ。ならば答えよう我が名は」

 

そこで彼が取り出したのは黒地の板。長方形の底辺を持ち彼が掲げる板にはでかでかと金文字で『 平 成 』と書き込まれている。

 

「オーマジオウ。平成の時代を駆け抜けた仮面ライダーの一人にして、かつて最高最善の魔王であった男だ」

 

駆逐されゆく異形たちをよそにオーマジオウは名乗りを上げる。その姿は彼の偉大さを感じさせる威風堂々としたもの。かつてただ一人、仮面の下に絶望を隠し人類を守り戦い続けた王にふさわしい姿だ。その姿とは裏腹な平成ボードの突拍子もなさにリッカはややあっけにとられていた。

 

「……平成生まれの人なんですか」

「うむ。私は2000年の4月28日生まれだ」

「同年代!?」

 

驚くリッカをよそにオーマジオウは悠然と立つ。これがリッカとオーマジオウの出会いだった。

 

 

 

 

そう、オーマジオウは再び世界へと現れた。その理由を彼は黙して語る事はない。しかし確かに、かつてそうであったように彼はその力を人々を守り、違う道を歩んだ若き日の自分と同じように仲間と共に戦う少女に手を貸す事を選んだ。その気高さはまだ彼の魂にかつての決意の火が灯っている事を示している。

 

仮面ライダーである誇り(クロスオブファイア)を宿す限り彼は人々の幸せを守る為に戦い続ける。歴史が変わろうが消滅しようがそれは変わらない。それが最高最善の魔王であった彼の誇りだからだ。

 

最高最善の魔王であった仮面の戦士、ライダーのクラスのサーヴァント、逢魔が時のライダーオーマジオウ。彼と藤丸リッカの戦いはまだ始まったばかりだ。

 

 




連載版についても現在構想中ですがラスボス候補についていろいろ考えています。例を挙げるとアフラ・マズダやアンリ・マリユ、並行世界のQuartzer、神の方のクロノス、メタ世界の住人、それと白k…ゲフンゲフン氏とか。

連載時には連載についてまた告知しますのでその時はまたよろしくお願いいたします。

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