ウルトラマンフラット
ウルトラマンフラット メビウスバーニングブレイブアーマー
登場
ニセウルトラマンを倒して一週間。
残党狩りが始まった。それは慎太郎の提案だった。
なぜ彼がそうしたか、それはたった一つの思想である。
「この国を愛することも出来ない馬鹿な輩がこの国にいるせいでこの国はおかしくなっている」
合理的だろうが、歪んでいる。ウルトラマンとして考えてみろ、確かに侵略者は基本的に嫌われている。しかしそれだけで『殺す』というのは短絡的すぎるのではなかろうか。
結局は歪んだ愛国心のせいである。愛国心がない奴はそれはそれで問題だが、暴走する愛国心というのも大変恐ろしいものだ。
もっとも、彼の愛国は地球、いな日本へのものでありウルトラの国ではないのだが。それはそれとして。
その残党狩り中に、二人の青年が駆け込んできた。
「助けて下さい! 僕達狙われてるんです!」
「は?」
一蹴。
慎太郎に情はあるのか?
「うわぁ……」
紗和が慎太郎を見て、少し引いたような顔つきになった。
いくらなんでもやりすぎだろうと。
「今CETは残党刈りやら怪獣処理やらで大慌てだ。すまねぇが警察当たってくれ」
「で、でも! 僕達その怪獣に襲われてるんですよ!」
ボブカットの青年が言うと、紗和が二人の方を向いた。
「……はぁ。ボクがその話を詳しく聞きましょうか? 彼はちょい色々とあって不機嫌なんです……。ボクが詳しく話を聞きますよ」
「「ありがとうございます!」」
青年は二人いる。銀髪のボブカットの青年は、自らを
「おふたりの関係は?」
そう紗和が聞くと、二人は答えた。
「夫婦です」
「そこまでじゃないよ、恋人止まりじゃん!」
さらりとしたカミングアウト。さも当然のようだった。
「……はぇー。いや、愛のかたちは色々あるよねわかってるよ」
慎太郎は己に言い聞かせるような形で弁明し、
「そ、そうですか……え、えーと……その怪獣の特徴、教えてくれますか?」
紗和は引き気味だが仕事を全うした。
「身体は赤く、まるで林檎でした。その皮膚はぬらぬらとしていて、とても形容しがたいおぞましさを感じました」
「顔はりんごをくし切りにしたようで、もちろん赤くて目がギョロっとしてます。尻尾は長く、ツタのようでした。顔には角があった気がします」
「……りんご…………りんご……の……怪獣……う──ん……今まで見た怪獣にそんなのいたかなぁ?」
二人の証言から推理する紗和。そんな紗和を見て、慎太郎が質問した。
「さすがに、空間割って出てきたわけではあるまい」
慎太郎は麦茶を口に含んだ。その瞬間、猫山が叫んだ。
「そうです! 空間を割って出てきたんです!」
慎太郎は麦茶を噴き出しそうになり、噎せた。
「え……?!」
紗和はバッと慎太郎を見るが、話に戻す。
「お、オホン……(もしかしたら……何かの欲望で生まれた怪獣? もしかしたら……)……ふ──む、空間が割れた、なら色々と特徴が思いつく」
「はい、僕の友人も不安に思っていて……」
そんな時、着信があった。
「……またあの人か」
照路は無視した。
「……誰なの?」
「
そう小嵐が言う。猫山も継いだ。
「以前は気のいい友人だったんです。それが、少しずつテルルに擦り寄ってきて……」
その時、慎太郎が質問した。
「ちょっと待て、テルルって?」
その問いに、照路が答える。
「僕の下の名前、照路って書くんですけど、読みを変えると「テルル」とも読めるんです」
「うわぁ……まるでストーカーみたい……(ん? ストーカー……まさか、な……)」
チラッと慎太郎を見る紗和。慎太郎はひどく憤慨していた。
「人間の屑がこの野郎……(憤慨)」
「…………てことは……まさか、な……その人の他に何か情報もらえない? もしかしたら……君達が狙われている理由……分かるかも」
紗和の問いかけに、二人は答えた。
「
「彼らも狙われてるっぽい。冨良はよく分からないけど」
「その2人も友達なのは分かった……う──ーん……いままでりんごみたいな怪獣なんて出会ったことないしそんな記録もないからなぁ……」
紗和がボヤいた。そんな時、基地に警報が。
「A-89-3地区に異常反応発生! モニター出ます!」
赤い巨軀の怪獣、いや超獣が街を蹂躙している。
「!!? 赤い、怪獣!?」
「超獣だよこんちくしょー! ああくそ、ヤプールの香りがするぜ!」
「ちょ、ちょっと待って……赤い……赤い怪獣……もしかして……2人を狙っている怪獣って……アレじゃない?」
紗和のつぶやきに震えつつ言うふたり。
「あ、あれです!」
「あの怪獣が僕達をッ」
その二人の叫びを手がかりに、紗和は思案した。
「……なんだろう……謎の……何かを感じる……怨念……まさか……まさか……! (もし、いままでの話が繋がるなら……彼らがあの怪獣に狙われているのって……!)」
「テェルルゥウウウウ!!! ドコナノヨォオオオオオ!!!!」
そう聞こえる恐ろしい吼え声がした。
そんな中、紗和が閃く。
「……! そういうことか、妄想ウルトラセブン! 妄想セブンみたいに、人の欲望みたいな何かで……自らが怪獣になった可能性が高いよこれ……! 急いで止めないと!」
「それにしてはヤプールの匂いがする! 牧原ァ! 今使える飛行機は!?」
「駄目、出払ってるかメンテ中!」
「ちくしょうっ!!」
そんな時、牧原が叫ぶ。
「先程のA-89-3地区の避難は終りょ……いや、生体反応が!」
金髪気味のボブカットの中性的な人と、全身真っ青の青年がいるらしい。その特徴を聞いた猫山が吠えた。
「龍夢と斗真だ!」
「くそ、俺たちは見守るしかねぇのかよッ」
その時である。
青い光が吹き上がった。
慎太郎は僅かににやけた。
「ギャラクシーレスキューフォース、ウルトラマンフラット。只今馳せ参じた! 出動だァッ!」
その手には龍夢がいる。身体はシャボン玉に包まれ、CET基地に移動していった。
それを見た慎太郎はこういった。
「ギャラクシーレスキューフォース、お手並み拝見」と。
「そうだね!」と紗和が便乗した。
超獣の放った林檎汁がフラットを襲う。フラットは、それをフラットブロッカーで虚空にはじき飛ばし、回避した。
フラットは次々と回し蹴りを放つ。その無数の鋭い蹴りは、しかし敵超獣には当たらなかった。全て回避したのだ。
「回避力が高いね、あの超獣」
「マジで林檎だな。リンゴーンとでも名付けるか」
「いいネーミングセンス! りんごジュース飲む?」
「頂こう」
ほのぼのとしてる場合かァーッ! と思う読者諸兄はどうか落ち着いて欲しい。
「……フラットさんすごいなぁ」
小声で呟く紗和であった。
さて、フラットとリンゴーンの戦闘だ。
リンゴーンはしっぽを振るった。
そのツタのような尻尾の一撃は強力かつ速すぎた。
「グォアッ!?」
フラットはモロにくらい、吹き飛ばされた。
「Woooops……フラットさんヤバかったら援護しちゃう?」
「その方がいいだろうな」
二人は変身アイテムを握りしめた。
「これじゃガトスやリブットに顔向けできねぇっ!」
そう奮起したフラットの攻撃は、鋭い回し蹴りであった。
リンゴーンの顔面に回し蹴りが決まる。その蹴りは、リンゴーンの脳髄を揺らした。つまりは脳震盪だ!
……その時である。
リンゴーンの声が変わった。
「テルルゥウウウ……ドコォオオオ! ドウシテアノオトコヲエランダノ! ゼッタイニミツケテアイシテアゲルワ!! ワタシヲカイゾウシテクレタヤプールサマノタメニモアナタヲミツケナイト! テルルゥウウウ!!!」
そういうリンゴーンの声に、フラットはたじろいだ。
「……やっぱり……ボクの考察……当たってた……完璧にヤンデレの……あの2人の友達……ヤプールによって……超獣になったんだ。重い愛……ヤンデレの欲望で」
「……まあ龍夢はこっちにいる」
「けどなんでリンゴなんだろうかな」
紗和の呟きに小嵐が答えた。
「……りんごみたいな頬だって褒めたからだろうね」
「……馬鹿なヤツめ。しつこい女は嫌われるんだぞ」
慎太郎がぼやく。
「まぁ……やり過ぎだからね。やり過ぎな欲望でヤプールの言いなりになった……最近の人間は嫌だなぁ」
紗和もぼやいた。そこに慎太郎が重ねる。
「むしろアレ、ヤプールもドン引きしたと思うぞ」
「ヤプールサマヲオドシテニコンガンシテエタコノリンゴミタイナハダ! ドウ!? リンゴハダダヨ!?」
四人は恫喝したのかと察した。そして、心底ヤプールに同情した。
「デラァアッ!」
フラットが追撃をかける。しかし、蹴りで吹き飛ばされた。フラットがピンチだ!
「……そろそろ始めようか」
紗和はスマートフォンを握りしめた。
「……おう、やるぞ」
慎太郎もアバドスティックを握りしめた。
「今回も即終わらせてやるよ♪ (変身コードを入力)」
『認証ッ!』
「ウルトラチェンジ!」
『キラキラKILLER!! Hey come on!! ウルトラウーマンラピス!!』
ウルトラウーマンラピスが変身し、
「うぉおおお゛お゛お゛お゛お゛お゛オ゛オ゛オ゛オ゛ッ゛ッ゛!! ア゛バドン゛ッ゛ッ゛!!」
ウルトラマンアバドンも変身した。
「……あのふたりもウルトラマンだったのか」
「ネコザメ、どうしよう。怖いよ……」
「大丈夫、あの二人と冨良を……ウルトラマンを信じよう」
ラピスはバードンの力を纏い、炎を纏った蹴りをあびせた。
「これで焼きリンゴになれ!」
それに合わせるようにアバドンは蹴った。
その隙にフラットは立ち上がった。
着弾した途端、リンゴーンは硬化した。
「うわっ、硬くなったよ。……このままさぁ……アップルパイの材料にしていい?」
「人間ミートパイとかアマゾンしか食われへんやろ」
いや、噛み合ってないが。
「すまん、助かった」
「いいってことよ、ギャラクシーレスキューフォース」
フラット、アバドン、ラピスが揃い踏みである。
「……ところで、倒したら人に戻る?」
「……どう足掻いても不可能だ」
そうフラットが冷酷に告げた。
「やっぱり無理か」
ラピスは悲しい顔をした。
「落ち込むのはあとにしな。今はこいつを殺す事に集中しな」
アバドンが先陣を切った。
「おっしゃあ! シャオラァッ!」
リンゴーンの巨躯が吹き飛んだ。
「よし来た! ふん、どっ、せぇええええい!!」
フラットは、ラピス目掛けてぶん投げた。
「……はぁっ!」
無意識下でゴモラの力を纏い、その鋼鉄の如き尻尾のような一撃で空に打ち上げた。
「おし!」
そうアバドンがさけぶと、空中でラッシュを開始した。
「ベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリィッ!」
「ほう、ゴモラの力を纏ったのか! なら俺も、すこしアームドオンしますか!」
フラットは、G-ドライバーを起動した。凹みにウルトラマンメビウス バーニングブレイブのピースをはめ込む。
『ピースドオン! ウルトラマンメビウス バーニングブレイブ!』
「ファイヤーファイヨー!」
燃え盛るかのような鎧が身体を包む。
ウルトラマンフラット メビウスバーニングブレイブアーマーである。
『ハイパーピースドオン!』
「バーニングメビュームフラニウム!」
十字に組み、炎の螺旋が空を切り、リンゴーンを焼き払った。
地に落ちていくリンゴーン。
今がチャンス、と三人は思った。
「これで決める……! プラニウム振動波!!」
ラピスは腕を逆十字に組んでスターサファイアナイトのポーズをつくり、ゴモラの超震動波に酷似した技を放つ。
アバドンは左腕をのばし、その上に右腕も載せる。そして円状に回し、L字に組んでノワールブラッドレイ・シュトロームを放った。
そしてフラットは十字を切り、精神統一をする。その腕を十字に組み、フラニウム光線を照射した!
もう一溜りもないだろう。リンゴーンは最期に、「ネコザメサエ! ネコザメサエイナケレバァアアアアアアア!!!」と恨み言を叫んで爆発四散した。
「来世では、こんなことしちゃダメだからね」
ラピスが優しく呟いた。
「…………ヤンデレって……怖いね……。死んでも……亡者になってさ迷うのかな? ま、まぁ……もう、無理だもんね」
「……ネコザメ、テルル、ノリウム。終わったよ!」
「任務完了。飯食いに行くか」
バラバラな感想である。
「ありがとうございました! 本当に!」
「僕達は、もしかしたら離れ離れになってたかもしれなかった。ありがとうございました」
「助けてくれてありがとう。ネコザメとテルルをよろしくね」
「ウルトラウーマンラピス、助かった。流石はセブンの娘だ」
「! ……いいえ、これがボクらの仕事だからね。君達もこれからも気をつけて今を楽しんでね」
口々に礼を言われ、小っ恥ずかしくなった紗和であった。そんな時、斗真が驚くべきことを報告した。
「……御二方もお気をつけて」
そう言うと、四人は深深と礼をして立ち去った。
「……お疲れさんだ」
「う、うん」
「……これからも頑張ろうぜ、紗和」
「……うん、頑張ろうね」
「あっ、そうだ。この辺にィ、美味いラーメン屋の屋台来てるらしいんだわ。行くか?」
「……たまには、行こうかな?」
「行こうぜ、俺の奢りな」
「うん……♪」
二人の声が響いた。
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フラットマンさん、木村ネコザメさん、テルルさん、のリノリウムさん。ご協力ありがとうございました。