ウルトラマンアバドン【完結】   作:りゅーど

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爆弾怪獣 エリナー・リグビー
ジッパー怪獣 ブルー・フィーリング
邪悪生命体 ワロガ
宇宙怪獣 イマージュベムラー
宇宙格闘士 イマージュグレゴール人

登場


青い感覚

 完全復帰し、張り切って仕事中の紗和。

「…………これ終わったら久々に鍛錬してみようかな?」

 かなり時間が経ったけど、体力をまた戻さないと前回のようにかなり疲労が増すので時折鍛錬をするようになった。

「! ……あの動きでもあの3人はボクの動き見抜けたのかな?」

 独り言で何か言い出した。

「……」

 一方慎太郎は新聞を読んでいた。

 もとより真実には期待してはいないが、その記事は「本当」であった。

「連続爆破事件、ねえ」

 仕事を進めていく紗和。一切手を止めない。

 だけど一瞬だけ背後からあの日の恐怖が覚えてきて、たびたび後ろを振り返ることがある。

「…………警戒はするけど……こんなにしなくても大丈夫だよね?」

 鳥肌が少し立っているが、気分を変えるために仕事部屋を一旦離れてみんながいるところへ向かう。

 慎太郎は嫌な予感がしていた。

「変な気分だ……」

 そうボヤいて通路を歩き続ける紗和。

 少し疲れているような顔が見える。そしてあまり、人と目を合わせないようにしている。

 周りの目は畏怖が篭っている。

「ッ……はぁ……」

 ため息を吐きながら廊下を歩き続ける。

 自分が原因なのは分かっている。だから耐え続けなければならない。

「お、紗和」

「! ……お疲れ様」

 顔をあげて笑みを見せる。

 その笑みは少しだけ、不安げだ。

「……またか」

 そう言うと、職員を一瞥する。

「あ……だ、大丈夫だから。気にしなくていいよ」

 慌てて止める。

「……そうかい。まあいいか」

「うん、大丈夫。…………慣れたから」

 笑みを見せるが、少し寂しげで、不安げな笑みだった。

 それでも仕事に励む。

 

 最近では刀の練習に励むようになった。

「太刀筋が悪いわよ!」

 マグマ星人の1人である基町が紗和を指導する。

 サーベル暴君なだけあって太刀筋は完全なる戦士である。

「ヒィィィィィィィ厳しい……!」

 弱音を少し吐きながらも刀を振り回し続ける。

 ……とはいえ前回の戦いの時にかなり腕は良いと思うが……

「あの無茶な戦いよりはマシだけどまだまだ駄目よ。やれやれだわ」

 呆れながら模擬刀を握る。

「斬る時は無駄な力を入れない!」

 藁を巻いた人形がすぱっと斬れる。達人である。

「…………は、はい……」

 本音だと『本当なら1人で鍛錬したい』と思っている。

「……」

 しかし紗和の成長の著しさは素晴らしいものがあったようである。

 

「…………疲れた」

 刀を鞘に戻す。ちなみに持つようになった刀は自腹で手に入れたようだ。だから前回現れた刀とは違う刀だ。

「驚いたわ。さっきより太刀筋が良くなってる。センスあるわよ」

 褒める時は褒める、それが教育方針らしい。

「! ……ありがとう♪」

 嬉しそうな微笑みを浮かべる。とはいえ……あまり近接で戦わないのであまり変身する時しか使わないような気がしてきた……。

「よし、今日のところはここまで!」

「ありがとうございました」

 軽く礼をする。

「…………刀を力に変える、か……」

 刃を見て独り言を呟いた。

 その時、トレーニングしていた人が爆死した。

 文字通り爆発四散した。怪獣が倒される時のような爆発であった。

「え!!?」

 驚愕して近寄って確認する。

 肉片すら残っていない。

 残っているのは個人情報の入ったカードのみだ。

「……なんで? 爆弾の気配なんかもなかったのに」

 いきなりの出来事に状況があまり把握ができない。

 僅かに残った血は文字列を為していた。

「ターゲットを間違えたのでなかったことにさせていただく。迷惑をかけた。爆弾の戦士 エリナー・リグビーより」

 その瞬間、()()()()()()()()

「……え?!」

 周りを見渡す。何もかもが元に戻っていて、挙動不審になりながら辺りを見渡す。

「…………今のは?」

 さっき死んだはずの人が生き返っている。

 さっき()()()()()()はずなのに、である。

「……どうして? (なにが……どうなって?)」

 完全に混乱している。

「……何かあったのか?」

 慎太郎が訝しんだ。

「ッ……! ビ、ビックリ……した。……信じて、くれるかな?」

 さっき見たことを全て話した。信じてくれるかどうかは分からないので一か八かで話してる。

「……ああ、だいたい分かった」

「……もしかして……例の事件かな?」

 紗和もあの事件については知ってる。なるべく警戒はしているようだ。下手したら自分が疑わられるかもしれない。

「連続爆破事件……だな」

 慎太郎は、苛つきつつ言った。

「だけど……あの時のメッセージは……『ターゲットを間違えた』って言ってた。……てことは……この基地にいる中の人たちが狙われているってことじゃない!?」

 焦りながら言った。時が戻ったとはいえ、あの時の爆死を見たら焦るのも仕方ない。

「だろうな。座標指定だと思われる」

「だとしたら……マズくない? 今のうちに警備を強化した方がいいんじゃない? …………あ」

 何かを思い出したようだ。

「……どうした!?」

 慎太郎は紗和に聞いた。

「…………確か……名前……書かれていた。血で書かれてた……犯人の名前。洋楽っぽかったよ」

 あの時は一瞬だったのでそこまで思い出せないようだ。

「……そうか。Killer queenか? それともback in the USSRか? それともあれか、Paper back writerかぁ!?」

 慎太郎は聞いた。

「とりあえず落ち着いて……見たけど、一瞬で時が戻されたから薄々だけどね」

 むしろ、あの一瞬で犯人の名前を覚えているのがすごくないか? 

「……最後が思い出せないけど……爆弾戦士 エリ……最後は……思い出せない……」

 頭を掻いて思い出そうとする。

「……エリナー・リグビーだ!」

 慎太郎はビートルズのCDを持ってきた。

「ちょうど俺が聞いてた曲がビートルズの『エリナー・リグビー』なんだよッ!」

 そういう話ではない。

「…………あ……う、うん……」

 いきなりの話で困惑してる。

「エリナー・リグビーじゃないか? 見た文字列とやらは!」

「──!! そうだ……その名前のはず!!」

 思い出したかのように叫ぶ。

「さすがだぜ紗和ァッ!」

 慎太郎はサムズアップした。

「……良かった……思い出せた……(今背後から謎の視線を感じたけどスルーしよう……)……とは言っても……顔は見れてないんだよね」

「たぶんそれは顔を見られないようにしたんだと思う。影に潜んだかもしれんな」

「あ……あの、さ……もし、ソイツがボクを操った犯人なら……どうする?」

 震え声で問いかける。紗和を操った礼の黒いローブを着た青年のことを思い出すと震えだす。

「それはないだろうな。恐らく暴走したイマージュが自我を持ったんだろう」

 そう言うと、慎太郎は特定作業を開始した。

「イマージュが暴走することなんてあるの?」

 慎太郎の特定作業を手伝う紗和。

「イマージュの暴走ってのはよくあるんだが……自我を持つことは少ないな」

「自我を持つことは少ない? 自分の……意思が無いみたいに?」

「そういうことだ」

 慎太郎は特定を進めている。

「自分の意思が無い……つまり、自分の自律神経が無いってことと同じ?」

「……そうとは違うな。ただただ流されるようなやつなんだ」

「……流される? ……世に、流されてる……的な?」

 自分はイマージュではなく怪獣を使うのでこういったことはよくわからないので特定作業を手伝いながら質問し続けた。

「違う、そうじゃない。心の持ちようってことだ」

「心の持ちよう…………なる、ほど……?」

 あまりよく分かってないようだ……

「まあいいや……っと、ここか」

 そのイマージュを放った相手が特定出来たようだ。

「……イマージュが使える同士だと分かるの?」

 これが? という意味で指を指した。

「イマージュ使いは引かれ合う。まるでそれは運命にも似ているのさ。……ほう、ミサワか。……CETの技術班だと?」

「……あれ? この人……アバドンの技を使えるあの機械を作ってる人……だったっけ?」

 慎太郎は首を横に振る。

「別担当だ。コイツにデータなんざ渡してねえよ」

「へぇー、そうなんだ。とはいえ、技術班かぁ……それなら爆弾の技術とかも詳しそう」

「だと思うぜ。そう言えば、ライトン60爆弾もこいつの発案らしいな」

 なるほど、と思いながら推理する紗和。

「だけど、何故基地の人たちを狙うんだろう? その人がイマージュが使えるなら……心に何かしらの影響を受けていてもしかしたら礼の事件の犯人の可能性も……」

「例の犯人では無いと思うぞ。もっとも、連続爆破事件はこいつだが」

「やっぱりね……まぁ、アイツじゃないというのは分かったけど、その人を……今すぐ止めないとマズいんじゃない? ボクの考察だけど……その人……ボクと同じで操られているんじゃ……」

 流石にそれはあり得ないと自分もそう思ってはいるようだが……。

 その可能性もある、と慎太郎は言った。

「……なら、今すぐその人のところに行こうよ。もしかしたら既に……ここに爆弾が設置されてる可能性も」

 嫌な予感がする……という表情を見せながら伝える。

「嫌な予感がするんだよな……」

 脱兎のごとく逃げ出す慎太郎たち。その直後、慎太郎の椅子が爆発四散した。

「ッ!? ……やっぱり……椅子で良かった…………待てよ……てことは……慎太郎、狙われているってこと?」

 爆発した椅子を確認しながら伝える。少し冷え汗をかいてる。

「狙いは俺って事か!」

 慎太郎は回避のために【テルモピュライ】で力をあげる。

「ボクの考察なら……ウルトラマン……もしくは、イマージュが使える人物が狙われているんじゃ……そしたら……イマージュが使える松本も……ヤバくない?」

 イマージュが使えないが仮にもしウルトラマンが狙われているならマズいと思いながら考察したことを話す。

「……イマージュ使いは引かれ合うって事が裏目に出やがった!!」

「……イマージュが使える人、まだいる? その人たちを守らないと……マズいよ! ボクはイマージュが使えないから安心はできるけど君も松本君が危ないよ」

 そう言うと、肇が出てきた。

「いやあ勝ちましたわ」

 肇は爆破耐性のあるイマージュを使用していたのだ。

「あってめ、ずる過ぎやろ!!」

「ウワ──ーオ……w」

 2人とも仲良いなという笑いを見せながら考察を続けた。

「とりあえず……その人に会いに行く? いや、むしろ……戦闘しちゃう? アリバイがある可能性があるけど……化けの皮を剥がす可能性あるかも」

「いいな、それ」

 肇が言った。

「いざと言う時はお前肉壁にするからなヴェラっち」

「やめーや」

 笑いながら技術班のところへ向かう。

「…………ボクはイマージュが使えないならから下手したら怪獣出すかも」

 紗和は、2人が羨ましいと思いながら話をした。

 

 技術班に到着した瞬間、慎太郎は殴られた。

「もう辿り着いたのか」

 ミサワである。

「…………君の狙いはなに?」

 鞘から刀を抜いて刃を向ける。

「俺以外のイマージュ使いを殺すため。全てはあのお方のためでもある」

「…………あのお方? ……一応、聞く……ソイツは……黒いローブを着てる青年?」

 イマージュが使えない自分が情けなく感じるが、例のアイツならと思って問いかける。

「そうだ。あのお方は偉大なのだよ」

「狂ってやがる」

 慎太郎は銃を取りだした。

「……アイツが主犯なら……ボクは……いやボク達は君を倒す!」

 刀を構えながら銃を取り出す。中距離で戦うようだ。

「ふん、それくらい容易いものよ! いでよ! 『エリナー・リグビー』!」

 エリナー・リグビーという人型の怪物が現れる。

 その下顎と手袋の下、そしてブーツの下は完全なる人骨である。顔は赤茶けた仮面で隠してあり、緑色の装備をしている。

「…………ッ……!」

 ゾワッと背筋に悪寒が通った。不気味だ。

「それがエリナーリグビーってやつか! 来い、ベムラー!」

 肇はイマージュベムラーを解放。ペイル熱線を撃つ。

 しかしその瞬間、エリナーリグビーが動いた。

「時間よ止まれ」

 ミサワの言葉が僅かに響き、刹那エリナーリグビーは消えた。

「(!? ……時が……止まった?)」

 時が止まったのを感じた。あの時と同じだ。

「どこにいった!?」

 イマージュを引っ込める肇。その直後、肇は吹き飛んだ。

「ククク……我がエリナー・リグビーの前にはどんなイマージュであろうとも勝てるわけが無いのだよ!」

「……松本くんって爆発耐性のイマージュ持ってなかったっけ? ……よいしょ」

 吹き飛んだ瞬間に見えない速度でキャッチした。

「大丈夫?」

 紗和は、松本をお姫さま抱っこして救出した。

「悪い……つーか、コイツ腹パンしやがった!」

「腹パンでぶっ飛んだ人初めて見た……」

 よっと……と言いながら下ろしてあげた。

「……普通の近接攻撃とかも効く? ボク、イマージュ使えないから」

 少し悔しそうに問いかける。

「多分効くだろうが……爆発するかもしれん」

「…………爆発するなら……外の方がいいんじゃ……?」

「おっ、そうだな!」

 そう言うと、肇は全員を掴んで外に出た。

 

「ここなら……爆発してもそんなに被害出ないかもね。それにさぁ、爆発した方が……相手にもダメージ受けれるんじゃない?」

「一か八かだけど」と告げた後刀を構える。

「無駄無駄無駄ァーッ! 我がエリナー・リグビーは爆発など一切動じないのだ! 貴様らごときの攻撃に怯むはずがない!」

「…………う──ーん……ならせめて爆発を軽減させる方法があればなぁ……後は爆発を防ぐガードとか」

 考え込みながら2人に問いかける。

 慎太郎は頭を抑えてうずくまった。

「…………これ、詰んでないよね? …………あ」

 何か思いついたようだが……少し不安げな苦笑を浮かばせる。

「っ、ぐ……あ……頭が……ッ」

 慎太郎が呻く。

「!? 慎太郎……!?」

 隣に立って肩を揺らす。

「ねぇ!? 大丈夫!? ねぇ!」

「っ、があ……ッ!」

「しんたろ……っ!?」

 続けて肇も呻き出した。

「ほう、頭の中にしかけた爆弾が作動したか! ならば死あるのみよ! 冥土の土産だ、教えてやろう! 我が能力のエリナー・リグビーは任意の場所に爆弾を仕掛けるという能力を持ち、さらに重力操作や骨型の爆弾を使う事も容易いのだ! 故に我がエリナー・リグビーは最強のイマージュよ、WRYYY!!」

「なに……!?」

 立ち上がって刃を向けるが、攻撃しようにも難しい。

「松本君……こういう時、どうすればいいと思う?」

 冷や汗をかきながら相手を睨み続ける。

「っぐ、くそ……ッ」

「無駄無駄無駄ァーッ! 今エリナーリグビーは脳細胞を破壊しようとしている!」

「…………あ……中身は爆弾なんだよね?」

 刀を下ろして問いかける。

「我がエリナー・リグビーの力の主となるのは爆弾よォーッ! しかしお前は邪魔だ! エリナーリグビーよ、奴を止めろ!」

 エリナー・リグビーは紗和に超重力をかけた。

「ッ!!」

 地面に勢いよく倒れ込む。そのはずみで刀を手から離してしまった。

「しまった……!! …………松本君……一か八かの賭けを……言っていいかな?」

「耳を貸して」とジェスチャーする。

「……ッ」

 一か八かの賭け……爆弾を盗む、だった。

「隙を作って……そしたらアルセーヌの力で……爆弾を盗む。でも、これが失敗したら……ボクと慎太郎は一緒に……爆死だよ」

 爆弾が小型でももしその仕掛けられた細胞から全部取り盗めば助けられる可能性がある……ということだ。

「決して不可能よ! 何故ならばこのエリナー・リグビーは呪怨特攻持ち! 呪怨属性にとことん強いのだぁーっ!!」

 意気揚々と叫ぶミサワ。こういった悪人は、しっぺ返しを喰らうのが常である。

「いや、ボクの手持ちはパートナー……それの耐性があるから……ボクはイマージュが使えない。でも……アルセーヌなら……!」

 重力に逆らって慎太郎のところに向かう。

「アルセーヌ……ボクに力を」

 紗和の身体の中にアルセーヌの力が宿る。

「松本君!! 時間稼ぎお願い!! ……耐えて、慎太郎……!」

 アルセーヌの『盗む』力を借りて爆弾を盗み始める。

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァーッ! 無意味無意味無意味ィーッ!! エリナーリグビーよ、埋め込め!!」

 アルセーヌが盗む度に二倍の数を埋めていく。

 コレがエリナーリグビーである。

「ッ……せめてアイツの攻撃を防げれば……!」

 増えてもなお、盗み続ける。1個ではなく5個手にして盗み続けた。

 その度に10個増える。しかし、その時慎太郎の目が光る。

「……う、お、うぉあああああああああああああああ!!!!!」

「ッ!? 慎太郎!!?」

 慌てて離れて様子を見る。

 慎太郎から風が吹く。

「…………風? この風は……?」

 呆然としながら慎太郎を見つめ続ける。

「……ようやく見えた、力がッ」

「……力……? もしかして……イマージュの!?」

 イマージュに関してはよく分からないが、なんとなく、そう感じたようだ。

「……これが、新たなイマージュか……ッ」

「…………凄い」

 アルセーヌの力を解除する。

 重力に耐えながら立ち上がって慎太郎の隣に立つ。

「……やっぱ慎太郎は、凄い人だよ。だって、あんなにあった細胞の爆弾をイマージュに変えたんだから……!」

「違う、俺の頭をよく見ろ」

 慎太郎は頭を見せた。

「……! 大きなチャックが」

「ああ、チャック。そして洋楽、決めたぜ。この力の名前は、『ブルー・フィーリング』だ!!」

 

 呆然と見ていたが、切り替えて敵に刃を向ける。

「バチが当たったみたいだね」

 定番の敵に対して煽る紗和。

「く、くそぉーっ! なぜだ! たしかに今殺したハズ!!」

「爆発はしたな、しかし今のブルー・フィーリングは別のところに繋げたのさ!」

 繋がった場所、つまり赤い政党のビルの地下が爆発したのは言うまでもない。

「! ……だからあの時に爆弾の気配がなかったのか。盗む意味、なかったみたい」

 少し悔しそうな笑みを見せるが、すぐに体勢を整えて……

「2人とも、反撃をしようか! やられた分はきっちりお返ししよう!」

「行くぞ! ぶっ殺そうぜ、ブルー・フィーリング!」

「無駄なことを、今楽にしてやる! エリナー・リグビー!」

「はぁああ……! 来い、グレゴール人!」

 エリナーリグビーをグレゴール人が抑えて殴る。

 エリナーリグビーは地面から骨を生やした。いや、骨型の爆弾か。

 その骨型の爆弾は、虚空に消えた。

 直線上でチャックが空いていたのだ。

「そして……閉じろチャック!」

 チャックが閉じる。赤い政党のビルの地下でまた爆発四散した。

「はへ〜〜……凄い力……」

 紗和は少し気が抜けたかのような顔で見つめていたが、敵を攻撃する。

「イマージュが無理なら……イマージュは2人に、ボクはアイツをやる……!」

「エリナーリグビー、あとは任せる! 俺は変身して奴を殺す!」

 そう言うと、ミサワはワロガに変貌していた。

「どんな姿に変わろうとも! ボクは諦めたりしないから!」

 刀を振り回して切り倒し続ける。

 しかしワロガ、その特殊能力で紗和を振り回す。

 一方慎太郎、エリナー・リグビー対ブルー・フィーリング&イマージュグレゴール人という異質の戦いをくりひろげている。

『WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!』

『ハァッ』

「くっそ、開くぜチャック!」

 チャックを開き、グレゴール人の跳び蹴りを回避不可能技に昇華した。

「っと……!! …………危なっ……振り回すと厄介だなぁ〜……ならボクのスピード……ついて来れる?」

 走る瞬間……目の前から消えた。

 ワロガは直感で蹴った。

 そして「時間よ止まれ」。

 時間がたしかに、止まった。

 そして紗和たちの動きが止まってしまった。だが、それらは予想通りであり、策のひとつだった。

「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!!!!!」

 ワロガはこれみよがしに紗和を殴り続けた。

 紗和は殴られていくが……それは本当に紗和なのか? 

「貧弱貧弱ゥ!! 無駄ぁああああ!!」

 その行為こそが無駄なのである。

「…………君の力は……本当に無駄だね」

 その言葉が時の中で聞こえた。殴られていた紗和が消えた。

「なにィっ!?」

 時間がもどる、その瞬間エリナー・リグビーが吹き飛んだ。

「さすがだブルー・フィーリング! すぐさま学びやがった!」

「どこを……見ているんだい?」

 いつの間にか目の前にいて刀を構えてた。そしてそのまま……

「打ち首だ。アクアマリン・スラッシュ」

 斬られた瞬間、首がはねられた。

「ひ、ぎいやあああああ!!!」

 ワロガの断末魔が響いた。

「無断で基地に入ったツケだね」

 紗和がクールに決めた。

 

 宿主を失ったエリナー・リグビーは、暴走を始めた。

「……アイツ(ワロガ)を打ち首にして正解だった?」

 少し不安げに話す。再生してないように肉体を切り続けてはいるが。

「……ああ、ようやく殺せる!」

「なら……好きにボコボコにしちゃえ!!」

 切り落とした頭と胴体を慎太郎に向けて投げ飛ばした。

「ソイツをサンドバッグみたいにボロボロにしちゃえ!」

 紗和が叫んだ。

「噴ッ!」

 殴り抜く度に肉片がボロボロになっていく……まるで腐った肉みたいだ。

「……後でちゃんと刃を綺麗にしないとな」

 そう言いながら鞘に戻した。

 殴り合うイマージュ。そこに加勢するは二人のウルトラマン。

「ベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリ」

「ボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラ」

 エリナー・リグビー対ブルー・フィーリング&ウルトラマンアバドン&ウルトラマンヴェラム。とどのつまり三対一。

 肉片が粉々になって完全に原型が無いワロガを見て、紗和は尋ねた。

「……今更思ったけどコイツ(ワロガ)に自爆装置とかついてないよね?」

 ワロガは粉々になっているのに今更? 

「自爆はない」

 そう言い切るヴェラム。

「なら問題なし!! 後は燃やして灰にしちゃえ!」

 そう紗和が言う。

「さあ、地獄に落ちろ殺人鬼!」

 アバドン、お前が言うな。

 肉片はもう全く見えなくなった。灰になって無くなった。

「…………終わったかな?」

「まだこれがいる!」

『殺してやるよォ!!!』

 エリナー・リグビーが叫んだ。

「…………これは、2人に任せていいかな? ボクには無理だからね」

「任せろ!」

「頼んだよ! …………羨ましいなぁ……」

 紗和は、2人に聞こえないくらいの小声でそう呟いた。

 

「ベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリ」

『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄』

「ボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラ」

『ウッ、WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYッッ』

「死に晒せクソッタレがよゴラァ!! 殺すぜこのクソがァ!!」

 アバドンが吠えた。

「アバドニックチャクラム!!」

 チャクラムを投げ、骨爆弾を斬り裂いた。

『時間よ─』

「時間の流れにチャックを作れ! ブルー・フィーリング!」

 時間の流れにチャックが生まれ、時間が止まったという軸が崩れ落ちる。

『ナッ、何だってェーッ』

 エリナー・リグビーが絶望した。

「ベリベリベリベリベリベリベリベベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリベリッ!」

『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァーッ』

「ボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラァーッ!!」

 どんどんと蓄積するダメージ、そして。

『無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァーッ!』

 ブルー・フィーリングの能力である《チャック》が本領を発揮。

 エリナー・リグビーの肉体に切断チャックを取り付けながら殴る。

『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄』

 そして、アバドンはノワールブラッドレイ・シュトロームを放つ。

『ウェラァヴァアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!』

 エリナー・リグビーはバラバラになり、最後は怪獣のように爆発した。

 皮肉にも、最期は死人と同じく爆死したのである。

 脅威は去ったのだ。

「……終わったみたいだね」

 笑みを見せながら2人に近づく。

「ああ」

「お疲れ様……♪」

 そう言いながら鞘を地面に刺して寄りかかりながら2人を見つめ続ける。

「……疲れた」

「お疲れさん……ただ、あんなに凄い力を持っているのに……宝石と石になっちゃってボクに助けられるのは……まだまだじゃない?」

 2人を煽ったなこの人。おまけにウインクしてるし。

「ガーゴルゴンの技が宝石化ってのはおかしいんだよ……てかお前の覚醒のための話の犠牲じゃボケ」

 メメタァ。

「あっはっはっはっ……メタイメタイ」

 紗和は陽気に笑っている。

「……さて、そろそろ帰って隊長にこのこと報告しようよ」

「おっ、そうだな」

 慎太郎が笑顔で言った。




よろしくお願いします。
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